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インフレを甘く見た政党は選挙で敗北する

1:777 :

2024/12/03 (Tue) 06:45:07

サマーズ氏: インフレを甘く見た政党は選挙で敗北する
2024年12月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56905

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がハーバード大学でのインタビューで、ドナルド・トランプ氏が勝利した11月のアメリカ大統領選挙について語っている。

民主党が敗北した原因

クリントン政権の財務長官を務めたサマーズ氏は、もちろん民主党の支持者である。だが政敵のトランプ氏でさえも敬意を公言しているアメリカ最大の頭脳の1人でもある。


トランプ氏、自分の経済政策がインフレを再発させるというサマーズ氏の批判に反論 (2024/6/25)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50406


だからハリス氏が負けた今回の選挙では色々言いたいこともあるだろう。日付が近いCNNでのインタビューでは感情的な言い方が目立ったが、こちらのインタビューではいつもの冷静な分析が戻っているので、こちらを紹介したい。

ハリス氏は何故負けたか。筆者の分析はハリス氏の人格によるものであり、その分析は選挙の前に終わらせている。


不倫で成り上がったハリス副大統領がトランプ氏に大統領選挙で勝利する方法 (2024/9/6)
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/53069


民主党敗北の理由

だがサマーズ氏の分析はもっと経済学者らしいものである。

サマーズ氏は次のように始めている。

民主党政権がインフレを十分に重要視しなかったために選挙で右派が大きく勝利したことは、過去75年で3回ある。

1968年のリチャード・ニクソン大統領の選挙、ベトナム戦争におけるリンドン・ジョンソン大統領の選挙、そしてジミー・カーター大統領がロナルド・レーガン大統領に負けた1980年の選挙だ。

ニクソン大統領は、金融業界ではドル紙幣を無制限に刷りたいがために金本位制度を終わらせた人物として有名である。


レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


そしてその後インフレ政策はカーター大統領にも引き継がれてインフレが頂点に達し、レーガン大統領の時代にポール・ボルカー議長がそれを終わらせたのである。


ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/27377


何故その話をするのか? サマーズ氏は今年の選挙もそれと同じだと言いたいのである。

サマーズ氏は次のように続けている。

そして今回、ほとんどすべての出口調査で物価高騰と高金利は、人々が民主党を支持しなかった最大の理由だった。

インフレと有権者

2022年にはインフレはウクライナ情勢のせいだというデマがマスコミを席巻したが、少なくともアメリカではもはや誰もそんなことを信じてはいない。原因はコロナ後の現金給付である。


世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013


だが原因を厳密に分析することは議論を要するだろう。サマーズ氏は次のように述べている。

インフレのどれだけが景気刺激策のせいで、どれだけが金融政策のせいで、どれだけがパンデミックのせいで仕方なかったのかという細かい議論はある。

だが今物価が高くなっている理由は2021年の緩和政策のせいだということは合理的に言えるだろうし、2021年の過激な緩和がなければ、インフレが起こったとしても民主党はもっと非難を避けやすかっただろう。

珍しくサマーズ氏がトランプ氏を責めていないが、筆者はコロナ後の現金給付の規模とタイミングから、インフレの3割がトランプ氏、7割がバイデン氏のせいだと考えている。以下の記事で詳しい分析を書いている。


トランプ氏: 現金給付でインフレを引き起こしたのはバイデン氏だ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50460


また、量的緩和がなければアメリカ政府はそれをファイナンスすることができなかっただろうから、中央銀行もまた原因の1つなのである。


ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890



更にサマーズ氏は、インフレが政治家にとって毒となりうる別の理由も説明している。サマーズ氏は次のように解説している。

心理的な問題もある。賃金が7%上がって、物価も7%上がった場合、人々は「これで実質賃金の変化はゼロだ」とは言わない。人々は「仕事を頑張って給料が7%上がったのにすべてインフレに取られた」と言う。

失業率が2%上がれば、失業した人は全体の2%だ。だが物価が上昇すればそれを感じる人は100%だ。

これは興味深い観点だ。ニクソン氏やカーター氏を含め、インフレを引き起こした政治家が選挙で負けている理由の1つだろう。

そうした大統領の時代の物価高騰から40年が経過し、インフレが遠い昔のこととなっていた2021年、政治家も国民もインフレを軽視し、インフレ政策などと言って自分からインフレを引き起こそうとした。

その結果がこれである。何度も言うが、例えば日銀の植田総裁も言っている通り、インフレ率はゼロである時が経済にとってもっとも効率的である。インフレを自ら引き起こそうとする考えは、自分の預金を自分でドブに捨てる考えにほかならない。

レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明していたように、大英帝国など歴史上の大国は債務とインフレで衰退し、国民もその犠牲となった。

日本も円安によって既に国民から多くのものが失われているが、それほど気にしているようには見えない。


日銀の植田総裁が円安を止められない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33890


現実を見ない国民からは更に多くのものが失われるだろう。歴史上の大国でもそうなってきたのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/56905
2:777 :

2024/12/03 (Tue) 07:00:21

ドラッケンミラー氏: インフレを引き起こした政府の間違いは長期にわたって貧困層を苦しめる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28780

レイ・ダリオ著 「変わりゆく世界秩序」
Principles by Ray Dalio 2023/10/03
https://www.youtube.com/watch?v=y3oy8y0EljY

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922

世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953

世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175

南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199

すべての紙幣の価値は最終的にゼロに向かってゆく
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16856204

紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14054383

日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16875882

各国政府はインフレを歓迎し、むしろインフレ誘導している
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14078205

インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14055430

利上げで預金者はインフレから資産防衛できるにもかかわらず日銀が利上げを行わない理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/29198

なぜインフレでも日銀は動かない?2022年冬、さらなる円安進行で中流階級の生活崩壊=吉田繁治
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1537.html

日銀はいつまで「利上げしない」と言い張るのか。物価上昇も見ないふり、迫る“ゼロ金利”政策の限界=吉田繁治
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1491.html




史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14040247

ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009793

40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14007513

政府主導の経済は自由市場の経済に勝てない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16860493

ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14068389

日本円と日本の物価は異常に安過ぎる _ 1ドル=50円 が適正価格
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/189.html

これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14091470

日本円を借りてドルを買っていた円キャリートレードの巻き戻しが始まった
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14080678

MMT論者はネズミの巣穴に帰ってもう出て来ない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16825321

金融緩和するとデフレになる理由
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日銀が平成バブルを潰して失われた30年を作った
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14037444

日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
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日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
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日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
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日本、金利上昇で経済崩壊の可能性
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黒田日銀総裁のスゴイ所は「平気でウソをつく」ところ
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日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は平凡なマクロ経済学者
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追い込まれた日銀!? 石原順チャンネル
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日銀の金融緩和はアメリカの出口戦略に協力していただけだった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/596.html

平成バブルはアメリカの指示で小沢一郎が作り、日銀総裁が意図的に潰した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/217.html

アメリカが日銀に異次元金融緩和させた目的は日本の銀行と大企業の乗っ取り
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/393.html

日銀のETF買い入れとテーパリング
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/529.html




「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14087468

銀行のバランスシートと銀行破綻
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アベノミクスのツケ「地銀含み損3兆円」…破綻シリコンバレー銀行とビジネスモデル酷似
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シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因と株式市場への影響
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14094256

銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14096858

1万円銀行融資すればマネーサプライは1万円増える、財政支出はマネーサプライを増やす
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14035981

GDP・経済成長率や株価の上昇に意味は無い
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16866187

GDP・経済成長率や株価の上昇に意味は無い _ 貨幣価値が下がったから GDP も株価も名目値が上がっているだけ
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/391.html

GDP というまやかし 物価が高い国ほど数字が増える
https://www.thutmosev.com/archives/33445.html

GDPでは国民所得はわからない _ 日本人の平均月収は15万円以下
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14042843
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/697.html

東アジア3か国は地価を上げることで資産価値を上げ、GDPをかさ上げする手法でGDPを積み増してきました
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1476.html

手軽なGDP倍増方法 _ 日本は資産バブル政策に舵を切るか
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14090370

GDPを増やすには不動産を高騰させればよい
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/996.html

GDPが増えると物価が上がるので、労働者は毎年貧しくなる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1089.html

アメリカGDPのまやかし 富裕層以外はマイナス成長だった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/877.html

GDPの半分以上は企業所得、さらに個人所得の半分は富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/954.html

GDPとは国民の給料ではないので、国民が貧乏で金持ちが資産を独占しても数字の上では「豊かな国」に見える
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1570.html

日本の労働者の方がアメリカの労働者より裕福だった _ マンハッタンのダイソーは270円
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14027380

「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14095196




政治とは税金を集めて政治家の裁量でそれをばら撒くこと
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16841750

1929年世界大恐慌の原因は高累進所得課税を止めた事
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14144412

資本主義の基本原理が富の独占である以上、貧富の格差が広がるのは必然
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14150799

トランプの真の敵/ディープ・ステートとは何か?
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16878485

ファシズムとは巨大資本が支配する統制経済の事
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14125646

アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/634.html

アメリカのロビイストは政治家に「この法案を成立させたら何億ドル差し上げますよ」と働きかける
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/530.html

国家を亡ぼす「狂った税制」
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/730.html

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

低金利の間に大量生産されたゾンビ企業は高金利にして一掃しないといけない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852548

倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14033162

インフレを退治するというのは株価の下落と景気後退を受け入れるということ
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16849802



3:777 :

2024/12/10 (Tue) 16:23:19

レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
2024年12月9日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066

世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が日本やアメリカの政府債務とマネタイゼーションについて語っている。

政府債務の意味

アメリカでは政府債務が大いに話題になっている。アメリカではコロナ後に金利が上がり、GDPの129%という莫大な政府債務に多額の利払いが発生しているからである。

米国政府は借金の利払いのために借金を増やしている。政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが開始しており、利払いの金額はGDP比で見て次のように増えている。


だがアメリカのこのプロセスは始まったばかりだ。まだ利払いがGDPの1%ほど増えたに過ぎない。上がり方が急速だから非常事態ではあるのだが、まだこれから始まる話に過ぎない。

政府債務はなぜ問題か

アメリカで政府債務が雪だるま式に増えるプロセスが始動していることはただの事実である。だが政府債務はなぜ増えてはいけないのか?

それは国債市場にも需要と供給があるからである。買い手に対して供給が多すぎれば国債の価格は下落するだろう。

グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ましてや今はインフレによって中央銀行が量的緩和を出来なくなっている。だから政府債務だけではなくて、インフレ政策によるあらゆるツケが回ってきているのである。

では国債の価格が下落すれば誰が困るのか。ダリオ氏は次のように言っている。

誰かの負債は誰かの資産だ。

困るのは国債の保有者である。では国債の保有者とは誰か? 銀行である。

だが銀行はもともとお金を持っていない。お金を預かっているに過ぎない。銀行は預かったお金で国債を買っている。ではそれは誰のお金か? 預金者である。

麻生太郎氏も言っていたではないか。借金をしているのは政府であって国民ではないと。

だから国債価格が下がって困るのは政府ではない。国民の方である。

国債価格が下落しない代わりに

預金者は銀行を通して大量の国債を保有している。だからダリオ氏は次のように言っている。

通貨が富の貯蓄手段だと言うとき、実際にはそれは債務が富の貯蓄手段だということを意味している。

そしてそこに大きなリスクがある。

だが実際には、先進国で国債価格が大幅に下落する可能性は低い。多くの人は漠然とそう思っているだろうし、それは正しい。

しかし国債の需給問題は事実として存在する。では政府はこの問題をどうするのだろうか?

ここで登場するのが日本である。国債価格を下落させられないなら、量的緩和で日銀に国債を買わせたり、低金利を維持させて債務負担を減らすしかない。

ダリオ氏は次のように述べている。

日本は非常に良い例だ。

日本が過去15年ほど行なってきたことは、平均してアメリカよりも3%低い金利を維持することである。そして自国通貨の価値を年率4%下落させている。だから日本人は年間7%を失っている。

誰も気付いていないが、低金利政策で得をするのは金利を払う側である政府であり、損をするのは金利をもらう側である国民である。

更に2022年まで誰も気付いていなかったが、政府のインフレ政策もまた、債務(イコール日本円)の実質的な価値を下落させ、日本円の保有者の犠牲によって債務者である政府の借金を実質的に帳消しにする政策である。

数年前まで誰も知らなかっただろうが、インフレとは物価上昇という意味なのである。インフレ政策を支持していた人にとっては何という驚きだろうか。その結末は名前に書いてある。

ダリオ氏は次のように言う。

インフレは通貨の保有者から少しずつ資金を奪う。人々は名目の金額で物事を考えすぎだ。インフレを差し引いた実質ではお金のことを考えない。

マネタイゼーションのために債務の保有者を犠牲にしているのだ。

結論

更に日本人にとって物悲しいのは、ダリオ氏が次のように述べていることである。

同じことがわれわれアメリカ人にも起きる可能性がある。

お分かりだろうか。ダリオ氏にとっては日本人の資産減少は既に起きた話なのである。アベノミクス以来、日本円の価値は半分になっている。

減価された日本円で計算した日本のGDPが上がって喜んでいるような国民が気付けるわけのない話なのだが、減価した通貨で計算したGDPや株価が上がるのは当たり前の話である。それはGDPや株価が上がったのではなく、円が下がったのである。

恐らく日本人はこのまま自分が資産を失っていることにさえ気づかずに、日本政府によるマネタイゼーション完了を見届けるのだろう。まさにダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予言した、衰退してゆく先進国の典型的なシナリオである。

すべてはこれまで数十年の選挙の結果である。日本国民が自分で望んだことなのだから、他人がどうこう言えることではないのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57066
4:777 :

2024/12/17 (Tue) 08:57:59

ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想
2024年12月16日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57350

何十年ぶりにインフレが現実のものとなり、インフレを回避するためにビットコインなどの暗号通貨も盛り上がる中、今一度20世紀最大の経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏の著書『貨幣発行自由化論』から通貨に関する論考を紹介しよう。

先進国の財政赤字

コロナ後、先進国の政府債務は急速に悪化しており、更に悪いことにインフレ対策の金利上昇により国債に利回りが付き始めたことから、アメリカなどの各国政府は財政状況が急激に悪化している。

金利がゼロだった頃には、債務がいくら増えても利払いはゼロだった。だから債務はどれだけ増やしても問題ないということがまことしやかに言われていた。

しかしインフレ政策でインフレが発生し、金利が上昇し始めれば、政府は借金の利払いを新たな借金によって支払わなければならなくなり、乱発される大量の国債が国債市場を下落させる危険性が出る。


レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する


だから政府はインフレ政策などと言いながら、中央銀行に量的緩和で国債を買い入れさせたりすることで、死にものぐるいで金利を低く保ってきたのである。

低金利政策の意味

それが長年行われてきた低金利政策の意味である。ハイエク氏は次のように述べている。

政府の肥大化は主に紙幣印刷によって財政赤字を補填できることが原因だが、表向きはそれによって雇用を守れるからだという言い訳によって行われる。

完全雇用ということが経済学の世界で長年言われてきた。それがあたかも経済学の最大の目標であるかのように持ち上げられてきた。

だが実際には政治家はそれを自分の使える予算が国債の利払い費用に食われないようにするためにやっていたのであり、ケインズ氏の系譜に属する大量の自称経済学者たちがそれを支持してきたのである。

だがケインズ氏と同じ時代に生きたハイエク氏は次のように言う。

人類の歴史は大まかにいってインフレの歴史であり、インフレは政府によって政府の利益のために引き起こされた。

通貨の歴史を研究する者なら誰でも、政府が2000年以上もの長い間、人々を騙して搾取するために通貨を恒常的に使ってきたことを我慢しなければならなかったのかと疑問に思うことを避けられないだろう。

常に減価されてきた貨幣

少しでも勉強したことのある人なら、歴史上のあらゆる硬貨は金や銀の含有量を少しずつ減らされ、最終的には無価値になったことを知っているだろう。

こうした政策で一番有利となるのは債務者であり、実体経済で一番大きな債務者とは多くの場合政府である。

だから政府にとって、金を100g借金して50gしか返さなくても良いということになれば、それほど有難いことはないだろう。現代の紙幣印刷も同じことであり、政府は同じように紙幣の価値を薄めている。

そしてその政策で一番の犠牲者となるのは、(麻生太郎氏も借金しているのは政府であって国民ではないと正しくも言っていたが、)銀行にある預金を通して国債を買っている国民なのである。

政府による通貨発行権の独占

だがここで1つの疑問が生じる。そもそも何故通貨は政府だけが発行しているのか? ハイエク氏はその特権をそもそも疑っているのである。

ハイエク氏は次のように述べている。

このことは政府の特権が必要なのだという神話によってのみ説明できるが、この神話はあまりに深く根付いているので経済学の学徒であっても疑問に抱くことが少ない。

しかしその妥当性を一度疑問に思ってみれば、その根拠が薄弱であることはすぐに分かる。

ハイエク氏の上の議論をもう一度持ち出してみよう。

通貨の歴史を研究する者なら誰でも、政府が2000年以上もの長い間、人々を騙して搾取するために通貨を恒常的に使ってきたことを我慢しなければならなかったのかと疑問に思うことを避けられないだろう。

何故なのか? 誰か教えてほしい。それを疑問に思いつつある人々は増えており、そうした人々は日本円やドル紙幣を捨てて、ゴールドやシルバーやビットコインに逃げているのである。

レイ・ダリオ氏: 日本人は日本政府の低金利政策のせいで年間7%の資産を失っている
フォン・グライアーツ氏: ゴールドとシルバーの本当の上げ相場はこれから


ハイエク氏は何十年も前の人なのだが、政府だけが通貨を発行するのではないという話は、まさに現代のビットコインの話ではないか。

暗号通貨がドルや円の代わりになるためにはかなり大きな障害が存在する。それはかつてスイスの銀行業が直面した脅威である。

アメリカに壊滅させられたスイスのプライベート・バンキング


だがハイエク氏が指摘したように、政府とインフレの関係を人々が 意識し始めたのは良いことではないか。ゴールドや暗号通貨の行方をこれからも報じてゆく。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57350
5:777 :

2024/12/25 (Wed) 17:01:16

【納税者は4割だけ?】小野寺政調会長 「国民の6割は納税していない」炎上〜労働者への減税より低所得者への給付を優先するの?金融資産より所得中心の課税制度に不公平感が広がる〜自民党税制の限界
SAMEJIMA TIMES 2024/12/25
https://www.youtube.com/watch?v=GRm7jj5HMlg
6:777 :

2024/12/29 (Sun) 04:57:23

ミレイ大統領、インフレ政策を永遠に続けるとどうなるかを語る
2024年12月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641

アルゼンチンのハイパーインフレを打倒した大統領でオーストリア学派の経済学者でもあるハビエル・ミレイ氏が、レックス・フリードマン氏のインタビューで大統領就任時のアルゼンチン経済の状況について語っている。

アルゼンチンのハイパーインフレ

ミレイ氏はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせるべく当選したアルゼンチンの大統領である。

オーストリア学派の経済学者でもあるミレイ氏は、政治家の野放図な財政支出がインフレと政府債務の悪化をもたらしていると批判し、インフレ政策を停止してハイパーインフレを終わらせると公約した。

ミレイ氏は大統領に就任した2023年12月のアルゼンチン経済の状況を次のように振り返っている。

われわれが政権入りした12月の第1週には、インフレは1日で1%上昇しており、それはつまり年率に換算すると3,700%になる。そして12月の半ばには年率7,500%まで上がっていた。

去年の12月、卸売価格のインフレは1日に54%だった。それは年率では17,000%ということになる。しかもアルゼンチン経済はそれまで10年成長していなかった。1人当たりGDPはおよそ15%下落していた。そして人口のほぼ半分が貧困状態にあった。

自国通貨がまったく信用できない途方もない状況である。それはミレイ氏以前の政治家たちが自分と自分の票田を利するために財政支出を続けたことで起こった。

ミレイ氏は次のように述べている。

より細かい議論に入れば、財政赤字はGDPのおよそ15%に達していた。そのうち5%は政府のもので、10%は中央銀行のものだった。

15%の財政赤字と言えば、アメリカがコロナ禍に一度達した水準である。


ハイパーインフレは先進国には起きないか

こうした現象は小国だけのもので、アメリカや日本などの先進国には無縁の現象なのだろうか。しかし実際にアメリカは15%の財政赤字を経験し、コロナ後に物価が高騰している。

アメリカのインフレはその後一度収まった。だがそのレベルの財政赤字が一時的ではなく恒常的なものになれば、インフレも当然恒常的なものになるだろう。それで多くの機関投資家がアメリカの財政赤字を気にしているのである。

だからアルゼンチンのハイパーインフレは小国だけの現象ではない。それどころかアルゼンチンは元々先進国で、1人当たりGDPも日本より高かったのである。それが政治家による政府支出で途上国に転落した。

実際、日本経済はアルゼンチン化している。アベノミクス以来、日本円の価値はほぼ半分に下落している。自国通貨の価値が半分になったというのははっきり言って暴落である。

つまり輸入物価は当時の2倍になっているのだが、日本国民は気にしていない。では4倍になれば気にするのだろうか。輸入物価の上昇はいずれ国内物価のインフレに繋がってゆく。

税金として徴収され東京五輪や大阪万博などに使われる金が国民の手元に残っていれば、国民はもっと好きなものが買えただろう。

アルゼンチンへの道のりは長いというだけの話で、日本経済は事実としてその方向に向かっている。単に日本国民がいつ気づくかという問題でしかないのである。

インフレ政策の結末

国の借金が増えると、中央銀行が国債を買い支えなければならなくなる。量的緩和である。

しかし量的緩和は自国通貨の下落という結果をもたらす。それで日本はここ数年、為替介入で円の価値を維持するということを繰り返している。

経済学者のラリー・サマーズ氏は、量的緩和で円を下落させながら為替介入で円を買い支えようとする日本政府を「1人綱引き」と皮肉っていた。

サマーズ氏: 日本政府はドル円で1人綱引きをしている (2022/10/10)
だが為替介入は保有する外貨を売り払って自国通貨を買い支えることである。だから外貨準備がどんどんなくなってゆく。

日本も外貨準備を削りながら為替介入を行なっている。その先には何があるか。ミレイ氏は自国通貨の買い支えを繰り返したアルゼンチン経済の末路を語っている。

中央銀行の外貨準備はマイナスで、その金額は120億ドルだった。

中央銀行は利払いのある借金を抱えていて、1日にマネタリーベースの4倍の債務が満期を迎えていた。それはつまり、1日でマネタリーベースを5倍にしなければならなかったという意味だ。

単純だ。為替介入をすれば外貨がなくなる。それを繰り返せば外貨準備はマイナスになる。日本は着実にアルゼンチンに向かっているが、一部の日本人は「為替介入はドルを利確しただけだ」などと喜んでいる。

ドルが80円の時にドルを買い入れて、自分で量的緩和をしてドル円が160円になったから喜んでいるのである。馬鹿ではないのか。それはドルの価値が上がったのではなく、円の価値が下がっただけである。日本政府の手元に残ったのは価値の変わっていないドルではなく、自分で刷った円だけである。本当に馬鹿ではないのか。

結論

だから日本経済は着実にアルゼンチンに向かっている。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明したように、国家が経済成長から政府債務の増加の段階に移り、最終的にはインフレと自国通貨の下落によって衰退してゆくというのが国の一生なのである。

アルゼンチンが特異だったのは、普通は200年ほどかかるその国家の一生を50年の間に経験したということだけだ。速度が違うだけであって本質は変わらない。

それでアルゼンチンはインフレ政策の終着点、つまりハイパーインフレまで早々と行ってしまったので、ようやくミレイ氏のようなまともな経済学者を大統領に選ぶことが出来たのである。アルゼンチン国民も流石にインフレ政策に懲りたというわけだ。

ミレイ氏は次のように言っている。

だから財政赤字を何としても終わらせなければならなかった。

そしてミレイ氏はそれを1年で実現してしまった。ミレイ氏はアメリカにも同じことをやれと言っている。

ミレイ大統領: トランプ政権は限界まで政府支出を 削れ


トランプ政権はそれを実現できるだろうか。2025年が楽しみである。そして日本人はいつ気づくのだろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57641
7:777 :

2024/12/31 (Tue) 06:06:13

ミレイ大統領: 政府が紙幣印刷で価値を薄める通貨は他のまともな通貨との競争に晒されるべき
2024年12月30日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736

引き続き、ハイパーインフレを打倒したアルゼンチンの大統領でオーストリア学派の経済学者であるハビエル・ミレイ氏の、レックス・フリードマン氏によるインタビューである。

ハイパーインフレを終わらせた大統領

ミレイ大統領はアルゼンチンのハイパーインフレを終わらせた大統領である。政治家による無駄な支出は容赦なく削減され、GDPの15%あった財政赤字はゼロになった。しかもアルゼンチンの2025年の経済成長率は5%と見積もられている。

だがミレイ氏の功績はインフレと財政赤字をなくしたことだけではない。政治家が自分と自分の票田のために財政支出を行う政策、すなわちインフレ政策の結果は、日本人も知っての通りインフレと財政赤字だけではないからである。

インフレ政策のもう1つの大きな結果は通貨安である。

日銀の植田総裁が円安を止められない理由
アルゼンチンペソ

前回の記事でミレイ氏はこう言っていた。

ミレイ大統領、政府支出を削減してハイパーインフレを打倒した方法を語る
財政の均衡を達成し、支出のために紙幣印刷をしなくても良い状態になると、債務の利払いなども払えるようになり、そうすると国債市場が再び機能し始めた。

財政がまともになると国債市場に投資家が戻ってくるようになり、高騰していた国債の金利が下がり始める。

そうすれば政府の利払い負担も減り、財政が更に改善するという好循環が始まる。

だが投資家が戻ってきたのはアルゼンチンの国債市場だけではない。為替市場も同じなのである。

ハイパーインフレの結果、当たり前だがアルゼンチンの通貨であるペソは暴落した。日本とまったく同じように、中央銀行による紙幣印刷が自国通貨安を引き起こしたのである。

ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
だが2024年のペソのパフォーマンスはどうか。高金利通貨のパフォーマンスは多少ややこしい。何故ならば、新興国の為替市場に慣れている人ならば分かると思うが、数十パーセントの金利を持つ通貨は、他の通貨に対してその分だけ為替レートが下落するのが普通だからである。20%の金利があれば、為替レートが20%下落してようやく他の通貨とイーブンなのである。

さて、アルゼンチン・ペソは米ドルに対し、2024年の年始からおよそ21%下落した。

だがペソの金利はハイパーインフレの改善とともに下落してきたとはいえ、2024年の間は126%から32%の間で推移している(書き間違えではなく、それが2024年のペソの金利である)。

だから、2024年にドルを持っていた人とペソを持っていた人を比べれば、為替レートの下落分を補って余りあるペソの金利によって、ペソの保有者の方が大幅に得をしているのである。

ミレイ氏の為替政策

ペソの下落は高金利による当然の下落分を下回っているので、つまり2024年のペソ相場は強かったのである。ミレイ大統領がいなければジンバブエドルに並ぶ紙切れになりかかってたアルゼンチンペソに、投資家の資金が戻ってきている。

だがミレイ氏は、2023年の選挙戦では紙切れになりかかっていたペソに代わってドルをアルゼンチンの公定通貨にすると主張して話題になった。

ミレイ氏は今ではペソについてどう考えているのか。ミレイ氏は次のように述べている。

わたしの発言を再検証してもらえば分かるが、わたしは通貨同士の競争の話をしたのであって、ドルを公定通貨にしなければならないと言ったわけではない。

わたしの論点は通貨同士の競争と中央銀行の廃止だ。

繰り返すが、ミレイ氏はオーストリア学派の経済学者である。そしてオーストリア学派の経済学の一番有名な特徴は、中央銀行による通貨発行権の独占を批判していることである。

例えばコロナ後の物価高騰を引き起こした直接の原因は、現金給付である。だがジョン・ポールソン氏が言うように、中央銀行による紙幣印刷、つまり量的緩和がなければ、無一文の先進国政府には現金給付は出来なかった。

ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした (2023/2/24)
だから現金給付のようなインフレ政策の根本原因は中央銀行とその紙幣印刷なのである。

オーストリア学派と通貨発行権

だからミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者は、通貨の発行を政府と中央銀行が独占している状態を批判する。それこそがインフレの根源だからである。

しかし、例えば17世紀にヨーロッパで中央銀行という概念が誕生する前の世界でそうだったように、民間のあらゆる銀行が自分自身の通貨を発行するようになればどうか。

ある銀行の通貨は紙幣印刷によって価値が毎年下落しており、別の銀行の通貨は発行量の厳格な管理によって価値が安定しているとする。人々はどちらの通貨で貯金をしたいと思うだろうか?

ミレイ氏を含むオーストリア学派の経済学者が主張するのは、政府の発行する通貨も経済内に流通するあらゆる商品と同じように競争にさらすべきだということなのである。

そうすれば、中央銀行が政治家の都合で紙幣印刷を行い、国民は全員その通貨を持っているので国民全体が犠牲になるということもなくなる。中央銀行は数ある銀行の1つに過ぎなくなる。

オーストリア学派の代表的な経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏は、『貨幣発行自由化論』で次のように書いている。

通貨の発行者同士が競争しなければならない場合、発行者にとって自分の通貨の減価は自殺行為になるだろう。人々がその通貨を使いたいと思っていた理由そのものを破壊してしまうからである。

アルゼンチンと通貨の競争

ミレイ氏も、ハイエク氏らの議論を継承しているようである。ミレイ氏は次のように言っている。

現在、アルゼンチンには通貨同士の競争がある。現在のアルゼンチンではどんな通貨でも決済できる。

それは単に法的に許されているという話ではない。アルゼンチンではミレイ氏の主導により、大手銀行がペソでもドルでも決済できるデビットカードが発行しようとしている。

だから国民はペソとドルを両方自由に使うことができる。ミレイ氏は、政府の発行する通貨を別の通貨との競争にさらすというオーストリア学派の理念を1つ実現しようとしているわけである。

ミレイ氏は次のように言っている。

国民が最終的にドルを選んだとすれば、それはそれで彼らの選択だ。

だがミレイ氏は国民にドルの使用を強制しているわけではない。 国民がどちらでも好きな方を選べる環境を作っているだけだ。

ただ一方で、ミレイ氏の最終的な目標は中央銀行の廃止らしい。政府支出を増やすために自由に紙幣を印刷したいという願望がない政治家にとっては、中央銀行は別に利益のない組織だからである。

政治家が中央銀行の通貨発行独占を擁護するのは、自分の意志で紙幣を印刷し、国民の持っている通貨の価値を薄めたいからである。

そういう願望のないオーストリア学派の経済学者には、中央銀行は無用の長物である。

ハイエク氏: 通貨を政府がコントロールしなければならないというのは根拠のない幻想

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/57736
8:777 :

2024/12/31 (Tue) 13:28:21

植草一秀の『知られざる真実』2024年12月30日
苛政と酷税に耐え忍ぶ日本国民
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-f7471e.html


日本経済の低迷が続く。

各国のドル表示名目GDPの推移を見ると日本経済の低迷がよく分かる。

1995年の名目GDPを100としたとき、2023年のGDPはどれだけになったか。

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米国は358、中国は2416になった。

しかし日本は76。

28年の時が過ぎ去り、GDPは4分の3に縮小した。

一人当たり実質賃金は1996年から2023年までの27年間で16.7%減少した。

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このなかで一般会計国税収入は1996年の52.1兆円が2023年の72.1兆円へ20兆円増加した。

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とりわけ拡大したのが消費税。

1996年度の消費税収(国税)は6.1兆円だったが2023年度には23.1兆円になった。

20兆円税収が増えたが、そのうち17兆円が消費税の増大である。

一般会計税収は2020年度が60.8兆円。

2023年度は72.1兆円。

この3年間で国税収入は11.3兆円増えた。

国税庁の民間給与実態調査では1年を通じて勤務した給与所得者の51%が年収400万円以下、21%が年収200万円以下である。

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10月27日の衆院総選挙で自公は過半数割れに転落。

無所属で当選した裏金議員4名、自民系無所属議員2名を合わせても自公会派は221名にしかならなかった。

衆院過半数は233.

過半数に12名も足りない。

本来は政権を失う局面。

ところが、自公は少数与党で石破内閣を存続させた。

国民民主が自公にすり寄ったのがその原因。

国民民主は「手取りを増やす」と豪語したが、現状では年収600万円の世帯で税負担が1年間で1万円程度しか減らないという結果しか示せていない。

3年間で国税収入は11.3兆円も増えた。

少なくとも10兆円減税が決定されてしかるべきだが、国民民主の意向を取りいれた減税は0.7兆円規模。

お話にならない。

日本国民はどこまでおとなしいのか。

なぜ、消費税率を5%にすることを国民の声としてこだまさせないのか。

選挙期間中は国民民主も「消費税率5%」と叫んでいた。

「維新」も消費税減税を公約に掲げていた。

選挙で野党が国会過半数を確保したのだから、野党が結束して「消費税減税」実現に総力を結集するべきだが、国民民主、維新、立憲民主が消費税減税を一切主張しない。

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この消費税減税こそ、財務省が絶対に阻止したい施策である。

国民民主、維新、立憲民主は財務省の協力隊である。

消費税の特徴は所得の少ないすべての国民からむしり取る税金。

この税がいまや最大の税目になっている。

消費税で巨大な税収を獲得すると何を実現できるか。

答えは明白だ。

大企業の税負担と富裕層の税負担を激減させることができる。

実際に1989年度から2023年度までの税収推移を見てみよう。

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消費税で509兆円もの金を国民から巻き上げた。

その509兆円を一体何に使ったのか。

同じ期間に法人の税負担は319兆円減った。

同じ期間に個人の所得税・住民税負担は286兆円減った。

消費税の税収のすべてを巨大企業と富裕層の減税に使った。

減税規模は605兆円。

消費税収すべてに、さらに100兆円も上乗せして減税を行った。

これほどむごい政治を実行している国は世界に一つもない。

一般国民を踏みつけにして、大企業と富裕層に「ばらまき財政」を実行している。

それなのに、 日本国民は従順にこの悪政に耐え続けるのだろうか。
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2024/12/post-f7471e.html

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