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今井正『仇討』(東映 1964年)

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2024/11/06 (Wed) 12:54:52

今井正『仇討』(東映 1964年)
監督 今井正
脚本 橋本忍
出演者 中村錦之助 (萬屋錦之介) 田村高廣
音楽 黛敏郎
撮影 中尾駿一郎
配給 東映
公開 日本の旗 1964年11月1日

動画
https://www.youtube.com/watch?v=BaegdALJ7CI



『仇討』今井正監督のエネルギッシュな演出 そして中村錦之助の熱演
2024-03-09
https://ameblo.jp/eigaoyaji/entry-12843666974.html

今井正監督は「青い山脈(1949)」「また逢う日まで(1950)」「ひめゆりの塔(1953)」「にごりえ(1953)」「真昼の暗黒(1956)」など日本映画史に残る数々の名作を撮っているが、この「仇討(1964)」は一般にはあまり知られていない。

そして東映時代劇が徐々に衰退していく中でだんだんと歌舞伎調の大げさな演技になって終いには萬家錦之介になってしまう前の中村錦之助の熱演。



二人とも、当時、全盛期を過ぎていたが両者の熱量の高さが妙にマッチして、この「仇討ち」は今井正にとっても、中村錦之助にとっても後期の代表作であり、作品も傑作となった。






<ストーリー>

江崎新八(中村錦之助)は奥野孫太夫(神山繁)に槍の穂先の曇りを指摘され皮肉られたことから口論となり、孫太夫は新八に果し状をつきつけ、二人は河原で対決したが孫太夫は新八に斬られて死んでしまう。

奥野家では神蔭一刀流免許皆伝の腕をもつ剣豪の弟・主馬(丹波哲郎)が、兄の仇をとろうと新八と対決するが、運悪く刀が木の枝に引っ掛かり主馬も新八に斬られてしまう。

憤る主馬(丹波哲郎)と弟の辰之進(石立鉄男)

仲の良い辰之進と新八


藩は、奥野家の末弟辰之助(石立鉄男)に新八に対しての仇討を認めた。
仇討の当日、辰之助の前に六人の助太刀が飛び出してきた。







助っ人の中に山本麟一発見



すべてが終わった後、重兵衛は新八の死骸の前で切腹して果てた。


















強い剣豪役ではない中村錦之助


この映画での錦之助は凄く強い剣豪というわけではない。

発端となった神山繁との対決は描かれないし、丹波哲郎との対決では終始押され気味だったが、丹波哲郎が振り下ろした刀が木の枝に引っかかって運よく勝利をものにしている。
















実力は丹波哲郎の方が上だったが、運悪く刀が木の枝に引っ掛かり負けてしまう













三田佳子を欲望をむき出しにして襲う錦之助


この丹波哲郎との対決前に錦之助が****むき出しになって三田佳子を襲うシーンがあるが、錦之助にしてはこのシーンは珍しい



美しい三田佳子



錦之助・思わず発情



一戦終了後













壮絶な仇討ちシーン


そして、何といっても最後の仇討シーンが凄まじい。



作法通りの儀式



一対一の対決と思ってら



助っ人登場



助人2人斬ったところで息が上がっているのもリアル






山本麟一死亡





途中からはあまりに理不尽な仇討に見届け人の家老に矛先が向かう。

最後は血糊と髷がほどけた壮絶な状態の錦之助の姿と錦之助のPOV。














1964年製作にもかかわらず白黒で撮った理由が分かった











「切腹」の脚本家:橋本忍の隠れた名作


脚本は橋本忍。

相変わらず、過去と現在の時間軸を行き来しながら、観客を混乱させない見事な脚本。





一本の作品としてみれば傑作なのだが、本作の2年前に同じようなテーマで、脚本も同じ橋本忍が書いた小林正樹監督の名作「切腹(1962)」があるため、本作はその影にかくれてしまった感があって、一般的にあまり評価されていないのが残念。














仇討ちの様式や当日の賑わい


仇討の様式や手順、そして周囲の柵の大きさまで規定があるのは知らなかった。

仇討の周囲で店がたくさん出て見物客で賑わっている様子はまるでビリー・ワイルダー監督の「地獄の英雄」のよう。







仇討の会場の準備





何故か楽しそうな藩の家老









出店でにぎわう





常田富士夫は見物料を要求













充実の脇役陣


三島雅夫、神山繁、田村高広、小沢昭一、進藤英太郎、加藤嘉、信欣三、織本順吉など、この頃の映画の脇役の存在感と時代劇のセリフ廻しの見事さ。



三島雅夫          神山繁




田村高廣         小沢昭一






進藤栄太郎           加藤嘉



信欣三           織本順吉









現在、「バイブレーヤーズ」などで脇役が注目されている。脇役に陽が当たるのはいいことだが、今の脇役は曲者感や個性的であることを意識しすぎてつまらない。

この頃の俳優たちは自然に映画に溶け込んでいるのがいい。









1964年 日本 モノクロ103分

【鑑賞方法】ブルーレイ EUREKA

【英題】REVENGE

【制作会社】東映京都

【配給】東映



【監督】今井正

【脚本】橋本忍

【制作】大川博

【撮影】中尾駿一郎

【音楽】黛敏郎

【編集】宮本信太郎

【美術】鈴木孝俊



【出演】

中村錦之助:江崎新八

田村高廣:重兵樹

毛利菊枝:とめ

木村俊恵:ぬい

佐々木愛:みち

神山繁:奥野孫太夫

丹波哲郎:主馬

石立鉄男:辰之助

加藤嘉:丹羽伝兵衛

三津田健:片貝頼母

三島雅夫:小川光兵衛

田中春男:白木甚左衛門

信欣三:西田三郎兵衛

三田佳子:りつ

進藤英太郎:光悦

榎英明:了念

小沢昭一:小山左門

中村錦司:田原市之進

山本麟一:藤巻清兵衛

蜷川幸雄:山口哲之

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