-
1:777
:
2024/04/23 (Tue) 10:23:23
-
レイ・ダリオ氏: 米国の莫大な政府債務は必ず紙幣印刷で解決される
2024年4月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47607
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、Columbia Business Schoolにおけるインタビューでアメリカの財政問題について語っている。
金利上昇で急増した政府の利払い
昔からそうだが、特に今年に入ってアメリカの債務問題に警鐘を鳴らす著名投資家が多い。
その理由は金利が上がったことである。金利が上がり、米国政府の莫大な政府債務に対する利払いが増加している。GDP比で見た政府の利払いのグラフは次のように急騰している。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/04/2023-4q-us-government-interest-payment-to-gdp-chart.png
コロナ後の金利上昇により、米国政府の支出が利払いだけでGDP1%分増えたことになる。
しかも米国債はまだ大半が金利が低い頃に発行されたものなので、これから国債の満期が来て借り換えが生じるごとに今の高い金利での利払いが増えるため、政府の利払い負担はこれからも増加してゆく。
アメリカの財務問題
一般の投資家は誰も気にしていないがこれは大事である。しかもアメリカの財政赤字はコロナ後に大幅拡大している。
この状況についてダリオ氏は次のように述べている。
政府の財政状況や財政赤字を考えれば、アメリカはほとんど身の丈を超えた支出をしていると言える。
だから債務の利払いが経済にのしかかり始めている。
GDP1%分を利払いに取られるということは、何もしなければこれまでGDPを支えてきた政府支出が1%分減るということである。それはGDP成長率が無条件で1%減るということになる。
ダリオ氏は次のように続ける。
この解決策は3つしかない。支出を減らすか、課税を増やすか、借金をして国債を中央銀行に買わせるかだ。
支出を減らすのが嫌なのであれば、収入(税金)を増やすか借金する(国債を発行する)しかない。
それぞれ別の結果を生む。日本でもそうなっているように、増税は国民の負担を増やすことになる。この結果は一般人にも分かりやすい。
政府債務の問題点
国債を発行する場合の悪影響はもう少し分かりにくい。先ず、その問題は金利が上昇するまで表面化しない。金利をゼロに出来る間は、借金がどれだけ増えても利払いがないので、多くの人がそれで問題ないと思い込む。
だがその間に政府債務は莫大な量にふくらみ、そしていつかの時点でインフレが発生する。今回のケースではコロナ後の莫大な現金給付が、緩和の限界を超えてインフレをもたらした。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/33013
「インフレが起こらない限り緩和政策は問題ない」というMMTの考え方は正しい。そしてインフレが起こったのである。
ガンドラック氏: MMT論者はネズミの巣穴に帰ってもう出て来ない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/41538
そしてインフレ対策のために金利を上げざるを得なくなり、低金利の時代に膨張した政府債務に利払いが発生し始める。
ここで問題が発生する。政府は国債の利払いのために新たな国債を発行しなければならなくなるが、その国債を誰が買うのかという問題である。
ダリオ氏はこう説明している。
問題は、投資家が債券を保有したいかということだ。新たに発行される債券がいくらで、そのうちどれだけが買い手に買われるかという債券の需要と供給の問題だ。これも厳しい状況になる。
これまでは量的緩和で中央銀行が買い支えてきたのだが、中央銀行はもはやインフレを発生させることなしに緩和ができない状況にある。ここで、それでも中央銀行に紙幣印刷させて国債を買い支えさせるのかという問題が生じる。
中央銀行は最終的には緩和する
ダリオ氏は次のように述べている。
中央銀行は選択を迫られる。もし紙幣印刷で介入せず需給をそのままにすれば、新たな債券発行に押されて金利は天井を超えて急上昇する。それは悲惨な状況を生み出す。
アメリカはどうするのか。インフレを抑えるために高金利を維持するのか。それとも国債を買い支えるために緩和するのか。
ダリオ氏にとって、この問題は問題ですらないようだ。彼は次のように説明している。
歴史的には、中央銀行は常に降参してきた。単に何年持つのかという問題だ。
世界恐慌は1929年から1933年まで続いたが、それで紙幣印刷をすることになった。
だから最終的に中央銀行が紙幣印刷をするということは誰でも知っている。
結論
何度も言うが選択肢は3つしかない。支出を減らしてこれまでのような経済成長を諦めるか、増税をして国民の生活を犠牲にするか、それとも緩和をしてインフレを再加速させるかである。
そして最初の2つの選択肢ではデフレとなり、株価は下落する。最後の選択肢ではインフレとなり、株価はインフレを差し引いた実質値では下落するが、名目値では横ばいか上昇になる。
逆に言えば、株価が上昇している状態でインフレが収まることはないということである。それがここ半年投資家が見逃し続けてきたことである。
株価が上昇しているなら遅かれ早かれ金利は上がる。それは株価に影響を与える。前回の記事で説明しているが、ここが今年の相場のポイントである。
米国株下落の理由、市場の年内利下げ織り込みがついに1回に
最終的には中央銀行は緩和をするだろう。だがそれは長期トレンドである。短期的には、これから利下げではなく利上げが必要になるのではないかということを金融市場は織り込んでゆくことになる。
サマーズ氏: 米国は利上げの可能性、市場に利下げを織り込ませたのは馬鹿げた間違い
そして金利が上がり、国債を誰が買うのかという問題が再燃することになる。それはポール・チューダー・ジョーンズ氏のシナリオである。そちらも参考にしてもらいたい。
チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/44883
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47607
▲△▽▼
レイ・ダリオ氏: 米国は利上げを続けられず、すべての通貨は価値が下がってゆく
2024年4月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47672
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のColumbia Business Schoolにおけるインタビューである。今回はドルの長期的価値についてダリオ氏が述べているところを紹介する。
米国は利上げ再開か
米国経済は転換点にある。インフレ率は9%から3%台に下がってはきたが、長らくそのまま横ばいとなっており、筆者などの分析によればここから上がってゆく可能性が出てきた。
3月の米国CPIでインフレ再加速はほぼ確定
金融市場は少し前まで今年6回の利下げを織り込んできたが、その楽観は修正されて今ではたった1回の利下げ織り込みとなっているが、筆者に言わせればそれも可能なのかどうか、むしろ利上げの可能性を考えるべきではないのかということである。
サマーズ氏: 米国は利上げの可能性、市場に利下げを織り込ませたのは馬鹿げた間違い
米国株がここのところ下がっているのはそれが理由である。
米国株下落の理由、市場の年内利下げ織り込みがついに1回に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47561
アメリカは金利を上げられるのか
ということで、アメリカはインフレを抑えるために利上げを再開しなければならないのかという帰路に立っている。だが前回の記事でダリオ氏が語っている通り、利上げをするとただでさえ急増している米国債の利払いが更に増加してしまう。
レイ・ダリオ氏: 米国の莫大な政府債務は必ず紙幣印刷で解決される
ということで、アメリカは金利を上げられるのか。ダリオ氏は次のように述べている。
歴史を通して、いつも金利を下げるという誘惑がある。
短期的な話ならば、利上げ再開は可能だろう。何処まで上げられるかは、パウエル議長にどれだけガッツがあるかどうかにかかっている。
サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
だが長期的にはどうなるのか。何度も言っているが株価が上がっている間はインフレは退治できていないということである。インフレを退治するというのは、株価の下落と景気後退を受け入れるということである。
通貨の運命
アメリカはインフレを退治できるのか。長期的には、その問いに答えることは簡単である。ダリオ氏は次のように説明している。
1700年からこれまでにおよそ750の通貨が存在した。
その中で今でも存在している通貨はたったの20%だ。そして生き残っている20%の通貨すべては、その価値が劇的に下がっている。
価値が下がっているというのはインフレで購買力がなくなったという意味である。ちなみに多くの日本人が円の価値下落を気にして購入している米ドルだが、インフレによる目減りを考慮すれば、ドルの価値は長期的には次のようになっている。1ドルをCPI(消費者物価指数)で割ったグラフである。1950年を100としている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/04/2024-mar-usd-to-cpi-chart.png
通貨の減価を避けるために通貨を買うこと自体が間違っているのである。
通貨の価値が下がる理由
通貨の価値(つまりは国民の預金の価値)が下がった理由は勿論政府によるインフレ政策である。
利下げや量的緩和などの政策の目的は、インフレを引き起こし国民の預金の価値を犠牲にして政府の債務負担を減らすことにある。2%のインフレ目標などと言って、そういう政策を公然と行い、搾取されている側であるはずの国民もそれを支持しているのだから、おめでたい話ではないか。
ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564
だからダリオ氏は、利上げが続くのか、アメリカはインフレを再加速させずにドルの価値を保てるのか、という疑問に対して次のように答えている。
だから結論は、これ(訳注:利上げ)を続けることは出来ないということだ。いや、出来れば良いのだが。出来たとしたら素晴らしいことではないか? でもそうなってしまうのだ。
結論
ということで、投資家に出来ることは政府とその供物(支持者)は置いておいて自分の身を守ることである。彼らは好きで奴隷になっているのだからそっとしておくべきだ。
上で述べたように、ドルを買って円換算で価値が上がったと言って喜んでいる場合ではない。価値が下がったドルよりも更に日本円の価値が下がっているだけの話である。
インフレで身を守りたければ、株式も選択肢に入らない。以下の記事で説明しているが、1970年代のインフレ相場では株式は実質値で酷いパフォーマンスだった。
ガンドラック氏: 株価の長期上昇を支えてきた過去40年の低金利はもうない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39962
インフレを回避するならば何よりも貴金属である。貴金属はインフレによる減価を避けられるだけでなく、1970年代のインフレ相場ではインフレによる値上がりを大きく超えて、実質値でも何倍もの価値増加となった。
1970年代の物価高騰時代における貴金属や農作物の価格推移
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35411
農作物もインフレ分は値上がりするので、株式よりも良い選択肢である。
要するに、通貨で貯蓄を行なってはならないということである。それは基軸通貨ドルも例外ではない。
ドル以前の歴史上の基軸通貨がどういう末路を迎えたかということは、ダリオ氏の著書『世界秩序の変化に対処するための原則』で詳しく説明されているので、そちらも参考にしてもらいたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47672
▲△▽▼
世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか 単行本 – 2023/9/23
レイ・ダリオ (著), 斎藤聖美 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%A7%A9%E5%BA%8F%E3%81%AE%E5%A4%89%E5%8C%96%E3%81%AB%E5%AF%BE%E5%87%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87-%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%81%AF%E8%88%88%E4%BA%A1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA/dp/4296116185?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=TDM09MVBZJYL&dib=eyJ2IjoiMSJ9.2qGKODN6BuEkRGN66w2lk5c7tiDRWnjw8QLPf8q8a4_lBi1_BZsYeLlqKq40XOphncuWPFl1F2t9xsgXoBkP3KJZtXtzyxctA4LTs9rv921NiLX1BPDxa4TnhoMsscmhn6UucyuTZ6A4qham6cIM8w07-1Xo4QFNrXd-0FQDD5mKyIStvOhbFihdu6RlizxhM_0XBGrfr47Mn_Gvh615MpmzvZiEFocTDRK2vOyaUGU.JUyDI1IllWDpBrm9koD1ocXqqBMm8byeXtcgoOzKRro&dib_tag=se&keywords=%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA&qid=1711598966&rnid=2321267051&s=books&sprefix=%E3%83%80%E3%83%AA%E3%82%AA,aps,173&sr=1-1&linkCode=sl1&tag=globalmacrore-22&linkId=68780e19b8fca524d8a1da3965884e95&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl
【内容紹介】
米中交代のシグナルはどこを見れば分かるか。
過去の類似する時期を学べば、
これから起きる事に対応できる。
世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者が、世界秩序のサイクルを明かす。
過去の教訓から学び、未来を歩むための実践的ガイドブック
●伝説的投資家で世界的ベストセラー『PRINCIPLES』の著者レイ・ダリオは、半世紀以上をかけて世界各国の経済とマーケットを調べ上げてきた。その彼が、過去500年に起きた政治的・経済的な激変を研究し、現在に生きる人々が経験したことのない根本的変化が、将来、発生し得ることを解説する。だが、これらの激変は、過去の類似する時期に起きてきたことなのだ。
●数年前、ダリオはこれまで経験したことのない大きな出来事を目撃した。巨大債務と、ゼロあるいはゼロに近い金利が同時に生じ、世界の3大準備通貨で大規模な金融緩和がなされた。過去1世紀で最大と言える経済的・政治的格差と価値観の相違により、各国で大きな政治的・社会的な対立が生じた。それはとくにアメリカで顕著だった。新たな世界的勢力(中国)が興隆し、既存の世界大国(アメリカ)と世界秩序に挑戦するようになった。これらにもっとも類似する出来事が起きたのは、1930~1945年だ。これを目の当たりにしたダリオは、過去500年の主要な帝国とその通貨の興亡を研究し、その盛衰の背後にあるパターンと時空を超えた因果関係を探求した。その成果が、本書である。
●パートIでは単純化した典型的な帝国の興亡を解説。パートⅡでは過去500年間に準備通貨国となったオランダ、イギリス、アメリカについて深く掘り下げ、さらに米中対立についても1章割く。パートⅢでは、これらすべてが将来にどういう意味を持つかを論じる。
「本書をなぜ書いたのかと不思議に思っているかもしれない。今までは自分が学んだことを口にすることはなかった。だが、人知れず達成することはもうあまり重要ではなく、私の学んだことが他の人の役に立てばと思う人生の段階にきている。私が目指すのは、世界がどう機能するかを見るために私が作ったモデルを伝えることだ。現在起きていることと表面的な形は違っても、パターンとしてはよく似た事象が歴史では繰り返し起きている。まるで「韻を踏む」ように。過去500年の歴史を1つのわかりやすい物語として伝えたい。そして、あなたたちがもっとよい意思決定をして、もっとよい将来を手にするお手伝いをしたい。」──(本書より)
【目次】
PART I 世界はどのような仕組みになっているのか
はじめに
1 ビッグ・サイクルをごくごく簡単にまとめると
2 決定要因
補遺 決定要因
3 お金、信用、債務、そして経済活動のビッグ・サイクル
4 貨幣価値の変化
5 内部秩序と内部混乱のビッグ・サイクル
6 外部秩序と外部混乱のビッグ・サイクル
7 ビッグ・サイクルに照らし合わせて投資する
PART II 世界は過去500年間、どのように動いてきたのか
8 ごく簡単に過去500年間をまとめると
9 オランダ帝国とギルダーの興隆と衰退のビッグ・サイクル
10 大英帝国とポンドの興隆と衰退のビッグ・サイクル
11 アメリカ合衆国とドルの興隆と衰退のビッグ・サイクル
12 中国と人民元のビッグ・サイクル
13 米中関係と米中戦争
PART III 将来
14 将来
付記 主要国の現状と長期見通しのコンピュータ分析
著者について
レイ・ダリオ
ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者。現在は同社CIO(最高投資責任者)顧問。1975年、26歳のときに創業したブリッジウォーター・アソシエイツを世界最大のヘッジファンドにまで成長させた。ダリオは、過去を学ぶことで、私たちの現在地を理解し、将来発生する変化に対処するための原則を知ることができると考えている。
著書に『PRINCIPLES(プリンシプルズ)──人生と仕事の原則』『巨大債務危機を理解する』『PRINCIPLESFOR SUCCESS(プリンシプルズ・フォー・サクセス)──成功の原則』などがある。
彼の人生や思想に関する情報は、www.principles.com、Twitter、Facebook、LinkedIn、Instagramの「@raydalio」で紹介している。
www.economicprinciples.orgには以下をテーマとした論文も掲載している。
・資本主義の改革の必要性とその方法
・パラダイムシフト
・ポピュリズム
・生産性と構造改革
・ユニバーサル・ベーシックインカム
-
2:777
:
2024/04/23 (Tue) 10:30:32
-
グローバルマクロ・リサーチ・インスティテュート | 世界の金融市場における分析と実践
https://www.globalmacroresearch.org/jp/
政治とは税金を集めて政治家の裁量でそれをばら撒くこと
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16841750
史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14040247
中央銀行が中央銀行自身を救済するという現金給付に次ぐ新たな緩和方法が既に始まっている
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14137906
ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009793
40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14007513
世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由 2020年5月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10891
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨 2020年5月23日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退 2020年5月25日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10922
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953
世界最大のヘッジファンド: 豊かな国ほど借金まみれになる理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36175#more-36175
南海泡沫事件: バブル経済の語源となった近世イギリスの株式バブルを振り返る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/3199
▲△▽▼
追い込まれた日銀!? 石原順チャンネル
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16848778
石原順チャンネル - YouTube
https://www.youtube.com/@ishihara-jun/videos
https://www.youtube.com/@ishihara-jun/playlists
-
3:777
:
2024/04/27 (Sat) 02:06:36
-
円安進行で日銀方針転換!量的緩和終了!?【一般ライブ】4/26 (金) 17:00~17:30【渡邉哲也show】渡邉哲也×西村幸祐×小野寺まさる
https://www.youtube.com/watch?v=YmI8pwhIu0o
-
4:777
:
2024/04/30 (Tue) 12:49:27
-
【Front Japan 桜】渡邉哲也 円安はなぜ?どこまで進むのか? / ソロモン諸島の選挙報告[桜R6/4/30]
https://www.youtube.com/watch?v=vgOq-3rUK9k
【円安ドル高】なぜ日本の円安は止まらないのか…アメリカとの根本的な政策の違いとは【渡辺哲也SP対談】渡邉哲也×荒瀬弘毅
2024/04/27
https://www.youtube.com/watch?v=2q63dQoov8U&t=1165s
-
5:777
:
2024/05/12 (Sun) 18:15:09
-
低金利の間に大量生産されたゾンビ企業は高金利にして一掃しないといけない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852548
倒産する企業はそのまま倒産させるのが正しい
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14033162
政府が救済する弱者と言うのは中小企業や零細経営者の事で、 その会社の労働者は救済しない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14056768
大企業が破綻すると、 一般社員は直ちに失業者となるが、経営陣は優雅な余生を過ごす。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14096504
欧米政府は「労働者」を救済するのに対し、日本では倒産しかけたダメ企業を救済
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14082503
追い込まれた日銀!? 石原順チャンネル
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16848778
インフレを退治するというのは株価の下落と景気後退を受け入れるということ
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16849802
銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかない。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14096858
紙幣をばら撒けばインフレになるという単純な事実が多くの人々には難しすぎて理解できない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14054383
インフレが起これば金融緩和が出来ないので、低金利で資産価格バブルの時代は終わる。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14055430
史上最高の経済学者ハイエクの警鐘
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14040247
ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31597
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992
ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31421
ハイエク: コストプッシュ型インフレは政府の責任回避の言い訳に過ぎない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/31363
ハイエク: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564
ハイエク : インフレを引き起こすインフレ政策を止めさせるには民間企業が通貨を発行すべき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35579
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051
-
6:777
:
2024/07/27 (Sat) 10:27:42
-
ポジャール氏: 世界的なドル離れの結果はドル円下落ではなくアメリカの財政危機
2024年7月3日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50785
Ex Uno Plures創業者のゾルタン・ポジャール氏のBudabest Eurasia Forumにおける2023年11月のインタビューを見逃していたので紹介したい。
金利と通貨のスペシャリストであるポジャール氏がドルとアメリカの財政について面白いことを語っている。
世界的なドル離れ
基軸通貨ドルの衰退をメインテーマとしたリサーチ企業を創業したポジャール氏が今回語っているのはやはり世界的なドル離れである。
金利市場の天才ゾルタン・ポジャール氏、ドルの崩壊を予想するためのリサーチ企業を創業
だがポジャール氏が言う「ドル離れ」とは必ずしもドル下落のことではない。
どういうことか。ポジャール氏はドルの現状について次のように語っている。
元々は資源の売買や貿易にはアメリカのドルが独占的に使われていた。インドと中国、インドとブラジル、中国とブラジルのような、ドルとは一切関係のない2国間の取引でもドルで決済が行われていた。
だがそれは変わろうとしている。しかもその変化は急速だ。
きっかけはウクライナ戦争だった。米国はロシアに対してドル資産凍結などの経済制裁を行い、インドなど対露制裁に協力的でない無関係の国々に対しても制裁をちらつかせて協力を強要しようとした。
結果として欧米以外の国々はこぞってドルの保有を避けようとしている。BRICSはこれまでドルが使われていた貿易の決済に自国通貨を使うよう呼びかけており、中東では遂に比較的親米なサウジアラビアまでも原油取引のドル決済を減らす動きを見せている。
プーチン大統領: ドルを使った経済制裁はアメリカの自殺行為
こうして西側と東側の経済分離が進んでいる。欧米諸国がロシアの資源を輸入したがらない一方で、その他の国々はドルを避けている。
ポジャール氏は次のように言っている。
西側諸国が東側の実体経済や資源の供給網から身を引こうとしている一方で、東側諸国は西側の金融システムから身を引こうとしている。
それがドルの役割を変えようとしている。
ドル離れがどういう結果を生むか
その結果どうなるか。多くの人々が考える次のシナリオはドルの下落だ。しかしポジャール氏の考えはそうではない。ポジャール氏は次のように述べている。
世界はドルやユーロの次へと移行しようとしている。人民元やインドルピーやアラブ首長国連邦のディルハムの役割がもっと大きくなってくる。
こうした状況の結果として一番重要なのは、米国の資金調達が困難になるということだ。
ドルの利用が減ると何故アメリカが資金調達できなくなるのか? そこが国債や金利のエキスパートであるポジャール氏の観点である。
ポジャール氏は次のように説明している。
これまでアメリカの財政赤字には上限がなかった。誰もが米ドルで決済していたため、ドルの預金を積み上げている人々が常にいた。そしてその資金は最終的に米国債へと流れていった。
この変化について投資家が十分に熟慮しているかどうかは微妙だ。誰もがドル離れという現象をユーロや円に対する為替レートがどうなるかという意味で考えがちだが、それは間違った考え方だ。
ドル離れの最終的な結果は決済や精算に関するものだ。そして決算や精算の方法が変わるということは、政府の資金繰りに影響が及ぶということだ。
アメリカはコロナ後に世界的なインフレを引き起こすような規模の現金給付を行なった。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
それほどの規模でドルをばら撒いたのだが、ドルは下落しなかった。アメリカはそんなことができた唯一の国である。同じ規模のばら撒きをしようとしたイギリスのトラス元首相は、ほとんど首相に就任しただけでポンドと英国債を暴落させ辞任した。
サマーズ氏: 景気後退で財政支出する国はイギリスの二の舞になる
また、インフレになった後も量的緩和というインフレ政策を続けている日本では通貨が暴落している。
日銀の植田総裁が円安を止められない理由
だがアメリカだけはドルを暴落させずにばら撒きを行なうことができた。それはこれまでドルをどれだけ刷ってもドルを買おうとする人々が世界中に居たからである。
ドル離れとアメリカの財政問題
しかしアメリカは自分でそうした人々を追い払ってしまった。そしてBRICS諸国や中東諸国では急速にドル離れが進んでいる。
だがポジャール氏によれば、問題の本質は人々がドルを買わなくなることではない。
これまで諸外国によって買われたドルは当然銀行に預けられ、銀行はそのドルで国債を買っていた。だからドルを買うというのは米国債を買うことと同じである。
ここに問題の本質がある。ドルを買う人がいなくなるということは、米国債を買う人がいなくなるということなのである。
ドル離れで米国債が暴落する
米国債の買い手不足はまさに今年に入って多くの機関投資家が警告していることである。
レイ・ダリオ氏: 米国債が投げ売りされて次の経済危機が始まる
グリフィン氏: 米国債暴落でブラックマンデー再来の可能性
ガンドラック氏: 米国債が債務減免される可能性
何故ならば、インフレによる金利上昇から米国債にこれまでほぼゼロだった利払いが発生しており、米国政府は借金の利払いのために借金をしなければならなくなっているが、それは市場に大量の米国債がばら撒かれることを意味する。
そこで大量に発行される米国債に対して、十分な買い手がいるのかということを機関投資家は懸念しているのである。
とはいえ中央銀行が紙幣印刷で国債を買い入れればインフレが再燃する。
米国債は買い手が見つからず暴落してしまうのか? ポジャール氏によればその兆候は既に見られているという。ポジャール氏は以下のように述べている。
アメリカの金利市場を注視している人なら誰でも、アメリカの長期国債の発行が上手く行っていないことに気づくはずだ。それでアメリカは長期国債ではなく短期国債で資金調達することを強いられている。
国債のオークションに参加する機関投資家は既に長期国債には手を出さず、すぐに逃げられる短期国債にシフトし始めているらしい。期間の長い国債ほど困難に直面しやすくなるだろう。
結論
米国債の問題を指摘したこの手の警告で一番早かったのはポール・チューダー・ジョーンズ氏の2月の警告である。
チューダー・ジョーンズ氏: 今年中に米国債暴落、金利急上昇の可能性 (2024/2/24)
だがこのポジャール氏のインタビューは去年11月なので、それよりも早いことになる。さすがは金利市場の天才といったところだろうか。
さて、米国債はいつ暴落するのか。タイミングについてはレイ・ダリオ氏が5年以内とする一方で、ジョーンズ氏は今年11月のアメリカ大統領選挙がきっかけとなる可能性を指摘している。
レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
サマーズ氏: トランプ氏が大統領選挙勝利ならインフレ悪化で金利上昇
いずれにしてもあまり良い話ではない。筆者は超長期米国債の空売りを既に始めている。投資家は経済危機になっても利益を得られる唯一の職業である。
トランプ氏が大統領再選なら株価やドルはどうなる? 2016年のトランプ相場を 参考に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/50785
-
7:777
:
2024/08/01 (Thu) 05:11:53
-
高橋洋一 緊急Live 日銀が利上げ!なんて事だ!
https://www.youtube.com/watch?v=uZADXdPmunM
日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ
2024年7月31日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51799
7月31日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げることを決定した。また、現在行われている国債の買い入れについて、徐々に減額すると発表した。いわゆるテーパリングである。
ゼロ金利脱出とテーパリング
まずは利上げからだが、政策金利がゼロ金利から0.25%に引き上げられた。これは3月にマイナス金利から離脱したことに続いての動きである。
日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量的引き締めを視野に (2024/3/20)
これで長年続いたゼロ金利政策が終了した。経済への影響としては、変動金利で住宅ローンを借りていた人に対する金利がいよいよ上がることになる。固定金利が超長期国債の金利に影響される一方で、変動金利は政策金利に影響されるからである。
また、この会合では日銀による国債買い入れ(つまり量的緩和)の金額を段階的に縮小することが発表されている。現在6兆円である毎月の買い入れ額は、2026年第1四半期までに半分の3兆円に減らされる。
金融引き締めの理由
こうした決定の理由は当然インフレ対策である。植田総裁は会合後の記者会見でまず実体経済について次のように発言している。
賃金と物価が連環を高めつつ緩やかに上昇してゆくと見込まれます。
そしてやはり言及しなければならないのが円安である。植田氏は次のように述べている。
これまでの為替円安もあって、輸入物価が再び上昇に転じていまして、物価の上振れリスクには注意する必要もあると考えています。
こうした状況を踏まえ、物価安定目標の持続的安定的な実現という観点から、今回政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整することが適切であると判断しました。
利上げは正しかったのか?
さて、植田氏はいつもの冷静な表情で淡々と述べているが、筆者はこれがかなりの苦渋の選択だったのではないかと考えている。
何故ならば、植田氏の発言は円安については正しく、実体経済については正しくないからである。
それは最新のCPI(消費者物価指数)統計を見れば分かる。日本のインフレ統計はアメリカのものとは逆になっており、食品とエネルギーを除くコア指数は減速しているが、エネルギーは加速している。
食品とエネルギーは海外のコモディティ市場に影響されるため、ドル円が高くなれば物価が上がる。
一方で内需の強さに依存しているコア指数(日銀が勝手にコアと呼んでいるものとは別である)のインフレ率は1.9%まで下がってきており、特に直近2ヶ月のデータが弱い。更に、GDPは消費の減速から最新のデータはマイナス成長となっている。
一方で日銀自身の金融緩和によってドル円は上昇しており、その結果特にエネルギーのインフレが加速していた。
弱い内需と上がるドル円のジレンマ
だから日銀は選択を迫られていた。緩和を止め、利上げでドル円の上昇を止めなければ、ドル円と輸入物価は上がってゆく。しかし利上げをしてしまうと既にかなり弱っている日本経済はますます弱ってゆくだろう。
このジレンマについてはかなり前から指摘しておいた。日銀はインフレか経済減速か、どちらかを選ぶしかないと。
そして中央銀行の役目は 物価の安定であり経済成長ではないから、植田氏は輸入物価の上昇を止めるため、黒田前総裁が開始した円安政策を徐々にもとに戻してゆくことを決定したのである。
結果、ドル円は下がった。経済成長より輸入物価抑制だという植田氏の決意が伝わったのか、ドル円は下落している。
しかし既にマイナス成長(2四半期続けば定義上景気後退である)に陥っている日本経済は、利上げを受けてどうなってしまうのか。
結論
植田氏は今後の経済見通しについて次のように言っている。
背景として賃金や物価が上昇しているという中での動きですので、経済・物価がこれを契機に減速するという風には必ずしも見ていないということと、より長期的な観点から申し上げますと、非常に低い水準にある金利を経済物価情勢に合わせて少しずつ調整しておいた方が、物凄い急激な調整を強いられるというリスクを減らすという意味で、全体としてはプラスになるという考え方もあり得るかなという風に思っております。
だが利上げは今回だけではないらしい。植田氏は同時に次のようにも言っている。
経済物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整してゆく方針です。
植田氏は確かに「引き続き」と言っている。つまりこれからも利上げするということである。
だが正直筆者は日本経済がそれに耐えられるとは思えない。何度も言うが、日本経済は既にマイナス成長なのである。
そして利上げは株価にとってもマイナスである。2022年、米国株はアメリカの利上げによって急落した。世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏は以下の記事で、日銀の利上げによって日本株も同じような急落を経験する可能性を指摘している。
レイ・ダリオ氏: 日本、金利上昇で経済崩壊の可能性
会合後の日経平均は、むしろ上がってる。だが筆者は日本経済の展望にかなり警戒している。本当に大丈夫だろうか。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51799
-
8:777
:
2024/08/03 (Sat) 05:49:44
-
2024年08月02日
【特集】何が起こっている? 歴史的暴落に遭遇した東京市場の着地点 <株探トップ特集>
https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202408021450
きょう(2日)の東京株式市場は日経平均が2000円を超える暴落に見舞われた。だが、大底を叩いた感触はまだない。果たして****乱相場の着地点はどこか。
―日銀ショックによる円高の破壊力、そしてリスクオフの正体は半導体過剰人気の剥落―
週末2日の東京株式市場は歴史的暴落といっても過言ではない下げに見舞われた。日経平均株価の下げ幅は2000円を超え、結局2216円63銭安の3万5909円70銭とこの日の安値圏で取引を終えた。下落幅の大きさはバブル崩壊初動の1990年4月2日に記録した1978円38銭を上回り歴代2位の記録である。値下がり銘柄数は1600を上回り、プライム市場全体の99%の銘柄が下落した。
前日に日経平均は終値ベースで975円安と1000円近い下げをみせていたのだが、そこから更に下げ足を加速させる展開にマーケットにも強い緊張が走っている。果たしてこの苛烈な下げは続くのか、それとも過度な不安心理のなせる業で、ここは強気に買い向かうべきなのか。売買代金も増勢顕著となるなか、良くも悪くも夏枯れ相場返上の鉄火場と化している。思惑が錯綜する真夏の東京市場の行き先はどこか。
●最高値から3週間で6300円超の下落
きょうは朝方取引開始前から異様な雰囲気に包まれていた。前日の日経平均急落の余韻冷めやらぬなか、欧州時間に入っても買い手控えムードは拭えず、ドイツやフランス、英国など主要国の株価指数は軒並み軟調で、リスクオフの高波は米国株市場にも及んだ。ハイテク株への売りが目立ち、ナスダック総合株価指数は400ポイントを超える下げで大陰線を引いた。特に半導体関連はエヌビディア<NVDA>をはじめ大幅安のオンパレードとなり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は7%を超える暴落となった。
東京市場では7月11日に4万2224円の史上最高値をつけた。今からわずか3週間前のことである。テクニカル的にはこの日のローソク足が「アイランドリバーサル」という天井圏のシグナルを示現したが、まさかそこから断崖絶壁並みの下り坂が待っているとは誰も想定し得なかったはずである。下げ足の速さはまさに異常で、踊り場を形成しながらも下げ止まらず、マドを複数回開けて売り叩かれる動きが続いた。きょうまでの下げ幅は実に6300円を超え、率にして15%に及んでいる。
●日銀ショックの前に生成AIショック!?
今回の暴落は直接的には「日銀ショック」とされ、植田和男日銀総裁の想定外の“タカ派変貌”が悪役視されてはいるが、基本的に7月中旬以降の一連の下げはそれとは別の背景がある。7月11日以降、日経平均とSOX指数、つまり米国株市場における半導体銘柄で構成された指数は非常に似通ったトレンドを形成している。ザラ場ベースではSOX指数も同じく7月11日に史上最高値をつけたが、その日のうちに急落モードに転じ、これが海を渡って12日以降の東京市場のリスクオフ相場を先導する格好となっていた。
これは、「生成AIバブル崩壊ショック」といえば現時点では言い過ぎとなるが、 生成AIで囃(はや)された半導体特需(設備投資特需)が足もとでそれほど期待できないという見方が米国で広がってきたことは確かで、半導体セクターへの利益確定売りを誘導している。当然ながら東京市場にも伝播し、東京エレクトロン <8035> [東証P]を筆頭に半導体関連の主力株が一様に軟化、これらはこれまでの上昇相場の牽引役であるとともに、日経平均の構成比率上位に組み込まれていることもあって、指数押し下げ効果は大きなものとなった。
●「サプライズ利上げ」以前に円高の洗礼
もう一つは外国為替市場での円高進行である。7月11日を頂点に日経平均が崩れる過程で、ドル・円相場は急速にドル売り・円買いの動きが強まった。日米の中央銀行の政策スタンスが真逆の方向を向いていることから、日米金利差の縮小が改めて意識されたものだ。政府・日銀がいかに円安に対し警戒感を強めていたにせよ、株式市場にとっては「円安=株高」が不文律であり、そのセオリーが崩れたことが地合いを軟化させた。
こうなると、7月末に発表が予定されていた日銀の金融政策決定会合の結果におのずとマーケットの視線が集中することになる。7月の決定会合では、既に国債の買い入れ減額、いわゆる量的引き締め政策が既に決まっていたが、追加利上げについて市場関係者は見送るであろうという見方が大勢であった。前述のように直近は懸案の円安進行に歯止めがかかっているほか、「住宅ローン金利の上昇などにつながる利上げを急ぐことで消費者マインドを冷やすことの方が懸念される」(中堅証券アナリスト)というのがその理由だ。
●記者会見での植田総裁の変節に仰天
ところが、日銀は予想を覆し、量的引き締めと0.15%の利上げ(政策金利水準は0.25%)を同時に決定した。極めてハト派寄りのイメージが強かった植田日銀総裁の“英断”は驚きを持って受け止められたが、「なぜここで利上げを急いだのか」について首をかしげる市場関係者は今現在も多い。アベノミクス体制下で確立されたアコード(政府と日銀の政策協定)の流れで、円安是正に対する政治的な圧力がかかったのではないかという穿(うが)った見方もあるが、その真相は明らかではない。ひとつ確かなことは、日銀決定会合の結果を経て円高が一気に加速したことである。
会合後の記者会見で植田日銀総裁は、経済データ次第で引き続き政策金利を引き上げることに前向きなコメントを示した。「今回追加利上げを決定したこともサプライズだが、それ以上にこの記者会見の受け答えに仰天した」(ネット証券アナリスト)という声も聞かれる。完全なるタカ派マインドへの変化がみられたからにほかならない。
●にわかに浮上してきた米リセッション懸念
一方、日銀に半日遅れで結果が判明した米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置いたが、パウエルFRB議長は9月の利下げについて珍しくその可能性を示唆した。米経済の減速が鮮明となりつつあることが背景にあるという見方も市場には根強い。そうした折、前日の米国株市場ではNYダウやナスダック総合株価指数など軒並み大きく値を下げたが、これは7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場コンセンサスを下回ったことや、週間の新規失業保険申請件数が事前予想を上回り1年ぶりの高水準に膨らんだことなどが嫌気された。
これまで「バッドニュースはグッドニュース」というのが米国株市場を取り巻くコンセンサスだった。弱い経済指標が明らかになれば、金融緩和的な動きが期待できる、つまり金融相場の観点からポジティブ視されるというものだ。だが、ここに来て風向きは変わった。バッドニュースは、足腰の強い経済を謳歌してきた米国にリセッションの足音を想起させるものとして、マーケットは純粋に怯えている。ともすれば、パウエルFRB議長による慌て気味の“利下げゴーサイン”は証文の出し遅れということにもなりかねない。
●米株高でも円高が 止まらなければ買いは尚早
もっとも米国株市場は、利下げというカードをたくさん懐に忍ばせているFRBが株安ストッパーになってくれるという安心感があるが、東京市場にそれは期待できない。それどころか、植田日銀総裁の記者会見を受け「データ次第とはいえ、12月にもう1回利上げを行うことを青写真に描いているフシがある」(生保系エコノミスト)という指摘もあり、これは、いうまでもなく更なる円高を誘発する構図である。ドル・円相場は足もと1ドル=149円近辺でもみ合うが、これについては「昨年末の円安に反転する直前の水準、141円前後まで円高が進む余地がある」(同)とする。
米株高でも東京市場は円高という重荷を背負ってそれに追随できないとすれば、前方にはまだ嵐をはらんだ黒雲が漂う。何よりも頼みの綱の企業業績見通しに大幅な修正圧力が働いてしまう。結論としてまだ株価が底値圏に来た感触はなく、ここで安易に買い向かわないことであろう。「日経平均は今年1月中旬から2月上旬のもみ合い水準である3万6000円近辺を下抜けると、年初の3万3000円台前半まで下値を試す可能性がある」(国内投資顧問系ストラテジスト)という見方もある。買うにしても、今はまだ短期リバウンド狙いで打診買いにとどめておくのが賢明といえそうだ。
https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202408021450
-
9:777
:
2024/08/04 (Sun) 05:56:13
-
今のドル円下落は円相場崩壊前の最後の円高サイクル
2024年8月3日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51917
株式市場、特に日本株の下落が話題になっているが、 その理由については既に解説しておいた。
日経平均急落の原因は日銀植田総裁の利上げではない
だから次は同時に起こっているドル円の急落について原因や今後の予想を書いてゆく。
急落したドル円
まずはチャートから掲載しよう。ドル円のチャートは次のようになっている。
162円から146円まで10%程度の下落である。
円高ドル安の理由
この急激な円高ドル安は、2022年からの大幅なドル円上昇のあとに起きた。ドル円はアメリカの利上げと、インフレにもかかわらず金融緩和で火に油を注いでいた日銀の金融政策の合わせ技によってどんどん上昇していた。
だがここに来てその両方が逆流しつつある。アメリカでは景気が減速し始め、Fed(連邦準備制度)は利下げを開始しようとしている。
7月FOMC会合結果: 9月の利下げ示唆などパウエル議長の発言まとめ
一方で日銀は利上げを行い、ついに長年のゼロ金利から脱出した。
日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ
ドル円下落とアメリカ経済
ドル円はどうなるのだろうか。ドル円の下落はこれからも続くのか?
それが投資家にとっての問題だろう。そしてそれはアメリカにおける金利低下と日銀の利上げがどれだけ続くのかという問題に言い換えられる。
だからまずはアメリカ側の事情について検証するが、ここでは何度も言っている通り、アメリカ経済は減速トレンドに入っている。また後で記事を書くが、最新の雇用統計で失業率は更に上昇した。最近の米国株の下落もそれが原因であることは、以下の記事で説明している。
世界的な株価下落の理由と今後の動向予想
5%台まで上げた政策金利がようやく実体経済に効いてきているのである。アメリカ経済は、このまま何事もなければ景気後退へのカウントダウンへ入ってゆく。
だが今年のアメリカは何事もなくないのである。何故ならば、11月にアメリカ大統領選挙が控えているからである。
大統領選挙ではドナルド・トランプ前大統領が優勢となっている。もしこのままトランプ氏が再選となれば、トランプ氏は弱ったアメリカ経済をバイデン大統領から引き継ぐことになる。
トランプ氏、大統領に再選なら15%への法人減税を示唆、実現すれば米国株にプラス
それははっきり言って2016年の相場に似ている。2016年には筆者や著名投資家はアメリカが景気後退に向かってゆくことに賭けていたが、トランプ氏の勝利によってそれがすべてひっくり返った。
ドラッケンミラー氏が金売却、世界経済に「非常に、非常に強気」 (2016/11/12)
このまま行けば、金融市場は同じような展開になりそうである。2016年には11月に当選したトランプ氏の経済対策によって市場は経済成長を織り込み、ドルの金利は上昇してドル円は上昇に急転換していった。以下が当時のドル円のチャートである。
このままアメリカ経済が減速し、トランプ氏がそれを引き継ぐなら、彼が経済対策を行わないはずがない。もしトランプ氏が過度なインフレを引き起こさない経済成長を実現できるのであれば、ドル円は2016年のシナリオをなぞるだろう。つまり、ドル円は下落してから上昇することになる。
ドル円下落と日銀の利上げ
では日本側の状況はどうか。日銀の利上げだが、日銀については日本の実質経済成長率がマイナスとなっている中で続けて利上げすることは出来ないだろうということを以下の記事で書いておいた。
日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ
それでも植田総裁が利上げしなければならなかったのは、ドル円の上昇によってインフレ統計の中で輸入物価だけが過熱を続けていたからである。インフレが発生してしまえば、経済が沈んでいてもインフレを止めるために金利を上げなければならなくなる。
それがインフレの怖さであり、インフレを意図的に引き起こしてはならない理由である。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
だが日本人は円安政策を支持し、円安によってインフレを引き起こしてしまった。
日銀はこれからどうするか。幸か不幸か、アメリカ側の事情もあってドル円は下落した。そもそも日銀は日本経済の弱さから言って引き続きの利上げは出来ないのだが、ドル円がこの水準にある限り利上げの必要もないだろう。以下の記事でも言ったが日本経済は既にかなり弱いのである。
日銀、利上げとテーパリング決定、記者会見での植田総裁の発言まとめ
日本の政府債務
また、長期的な話をすればそもそも日銀は金利を上昇させられないのである。
何故ならば、もし利上げをすればGDP比252%の日本国債の山に金利が付いてしまうからである。それは既にアメリカでは起きている。アメリカは国債の金利が4%程度となっているので、それはつまり政府債務にそれだけの金利が付くということである。
それで米国政府の債務の利払い(GDP比)は次のように急増している。
アメリカは借金の利払いのために借金を増やさなければならない状況にある。
それでアメリカの著名投資家はアメリカの財政はもう5年保たないと見積もっている。
ガンドラック氏: 米国の年金はインフレ高金利であと4年で破綻する
レイ・ダリオ氏: 日本経済は最悪だ、米国の政府債務は5年以内に破綻する
だがアメリカの政府債務はGDP比122%と日本の半分なので、日本に同じことが起きれば利払いの衝撃はアメリカの倍になる。
つまり、日本では金利を2%まで上げるだけで今のアメリカと同じ状況に陥り、4%や5%まで上げなければならなくなれば、最終的にはGDPの10%以上が国債の利払いだけで消えることになる。
結論
植田総裁は黒田総裁が引き起こした円安とインフレの後始末を任せられた。彼は頑張っているが、前提として日本はそもそも金利を上げられない状況にある。
だから今回の円高が日本にとって最後の円高となるだろう。長期的には円安は避けられない。その転換のタイミングは、アメリカの情勢が上記のシナリオの通りに進めば、11月の大統領選挙の前後ということになる。(トランプ氏がどれだけ優勢かによって左右されるだろう。)
その後のシナリオは日本人にとって選択の問題である。現在の円高サイクルが終わったとき、日本は金利を上げて政府債務の利払い急増を受け入れるのか、あるいは円安とインフレを受け入れるのかの選択に迫られる。
歴史上、国家は借金を増やしてインフレを発生させ没落していった。沈みゆく国家がこの選択に迫られたときどちらを選ぶのかについては、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で説明してくれている。
日本経済の終了が近づいている。筆者は日本の読者に、この最後の円高サイクルのいずれかのタイミングで日本円を出来る限り売り払ってしまうことをお勧めする。ドルは円よりマシかもしれないが、ドルにはドルのリスクがある。
サマーズ氏: 米国に株安・ドル安・金利高騰が一気に来る可能性
だから一番良いのは貴金属だろう。 考えなければ資産を守ることが出来ない時代が本当にやってくる。
フォン・グライアーツ氏: ゴールドとシルバーの本当の上げ相場はこれから
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/51917
-
10:777
:
2024/09/22 (Sun) 06:57:00
-
ガンドラック氏: 米国経済の景気後退は確実、猶予はあと4ヶ月だ
2024年9月21日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/53792
コロナ後の物価高騰とその後のインフレ率下落を予想したDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、自社配信動画でアメリカ経済と景気後退について語っている。
インフレ率下落と利下げ開始
コロナ後の現金給付で高騰したアメリカのインフレ率はようやく2%台まで下落し、今週Fed(連邦準備制度)はようやく利下げを開始した。
FOMC会合でソフトランディングを楽観するパウエル議長「超低金利はもう戻って来ない」
FOMC会合ではパウエル議長は金利を5.25%まで上げてもアメリカの景気が悪くなっていないことを誇り、ソフトランディングの達成に自信を持っていた。
だが一方で、パウエル議長とはまったく違った経済見通しを持っている人物がいる。パウエル氏が2021年に「インフレは一時的」と主張していた時に物価が高騰すると予想し的中させたガンドラック氏である。
ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
その後、ガンドラック氏はインフレの減速を予想していた。そこまではパウエル議長と同じである。
だがガンドラック氏がパウエル氏と違うのは、パウエル氏はインフレ率だけが下落して経済成長率は犠牲にならないと予想している一方で、ガンドラック氏はそんな都合の良いことは起こらないと予想しているところである。
景気後退を示唆する長短金利差
ガンドラック氏は強力な根拠を2つ挙げている。1つ目は長短金利差である。
10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差は、金融関係者の間では景気後退を示す指標として有名である。
通常、債券の金利は期間が長いほど高いため、長短金利差はプラスになるが、市場が景気後退を予想すると景気に左右されやすい長期の金利が大きく下がり、長短金利差がマイナスに転換する。
だから長短金利の逆転は景気後退の前触れとして知られているのだが、過去の相場を調べると、より厳密には景気後退が来るのは長短金利差がマイナスになった時ではなく、一度マイナスになってからプラスに転換した直後である。
ガンドラック氏は次のように述べている。
長短金利差は景気後退の前に上昇する。
1984年まで遡っても、長短金利差はすべての景気後退の前にプラスに転換している。
長短金利差の長期チャートは次のようになっている。灰色の部分が景気後退の期間である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/09/2024-9-21-us-10-year-treasury-yield-minus-2-year-treasury-yield-chart.png
そして最近、この長短金利差がゼロを大きく上に飛び抜け、現在の数字では0.18%になっているのである。
プラスへの転換が景気後退のタイミングである理由は、景気後退の直前にはFedが流石に何かマズいことに気付いて利下げを始め、長短金利差が拡大するからである。ガンドラック氏はそれがまさに今の状況だと主張している。
FOMC会合でソフトランディングを楽観するパウエル議長「超低金利はもう戻って来ない」
ガンドラック氏は次のように述べている。
歴史的には、一度プラスに転換した長短金利差はそのまま大きく上昇している。
止まらない失業率上昇
更に、ガンドラック氏は景気後退を示唆するもう1つの指標を指摘している。失業率である。
失業率は筆者も長らく指摘している重要指標であり、他の経済指標が好調な間も徐々に上がり続けていた。
そして失業率は結局上がり続け、今や景気後退が避けられない水準まで高くなっている。労働市場は金利の影響をあまり受けないため、利下げが効きにくく、一度上がり始めるとどんどん上がり続け、景気後退に繋がるのである。
失業率のチャートをやや長めで見ると次のようになっている。灰色の部分が景気後退の期間である。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2024/09/2024-aug-us-unemployment-rate-middle-term-chart.png
ガンドラック氏は次のように述べている。
過去3回の景気後退を見るといい。失業率の上昇はほとんど完璧な景気後退のサインだ。
そして今も同じようになっている。拡大する必要もない。明らかだ。
失業率は底から0.5%上がっただけではない。36ヶ月移動平均線からも0.5%の上昇となりつつある。実質的に景気後退を保証するサインだ。
また、ガンドラック氏は失業率の上がり方と景気後退のタイミングを比べたデータを見ながら次のように予想している。
このデータに基づけば、アメリカ経済は景気後退まであと4ヶ月だ。
結論
ということで、失業率と長短金利差という2つの指標に着目し続けているガンドラック氏が、その両方が景気後退が間近であることを示す水準に突入していると警告している。
そして経済が景気後退に陥るとき、株価がどうなるのかについては既に説明しておいた。
景気後退になれば株価は必ず下落するのか?
それはソフトランディングを楽観視するパウエル議長とは真逆の意見である。ガンドラック氏は次のように述べている。
これは労働市場の需給が今のままで落ち着いてほしいFedにとってはまったく好ましくない状況だ。
ちなみにFedはリーマンショックの直前にも、サブプライムローン問題は不動産市場の局所的な問題であり、アメリカ経済に大きな影響を与えることはないと言い続けていたのである。(何かがマズいとは察していたので利下げをし続けていたが、バブル崩壊は止まらなかった。)
ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
それはコロナ後の現金給付とその後の物価高騰の総決算である。大体、20世紀最大の経済学者であるフリードリヒ・フォン・ハイエク氏の著書『貨幣論集』にインフレ政策の弊害について次のように書いてあるではないか。
失業はインフレが加速をやめたときに、過去の誤った政策の帰結として、非常に残念だが不可避の結果として出現せざるをえない。
これはもう何十年も前に書かれたインフレとその後の景気後退についての本である。当然だが誰でも買えるし誰でも読める。
価値 のあるものがその辺に転がっているのに、何故誰も読まないのか。それでいてNISAのようなものには誰もが飛びつくのである。
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/53792
-
11:777
:
2024/11/03 (Sun) 08:22:41
-
ネイピア氏: 日本の政府債務は円安で解決される、円を空売りして日本株を買え
2024年11月2日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55871
引き続き、The Solid Ground Newsletterのラッセル・ネイピア氏のSkagen Funds主催の講演である。今回は日本の政府債務と金融市場について語っている部分を取り上げたい。
日本の債務問題
ネイピア氏はこれまでの記事で、コロナ後の金利上昇は長期のトレンドで、莫大な政府債務に多額の利払いが生じている多くの先進国ではツケを払う瞬間がついに来ると予想していた。
ネイピア氏: 米国債はあと27年下落し続け、金利は上がり続ける
ネイピア氏: インフレと債務問題で最大の危機はヨーロッパ、共通通貨ユーロは破綻する
アメリカとヨーロッパの話はもうしている。では日本はどうか? ネイピア氏は日本の話もしている。
ネイピア氏が注目しているのは、単に政府債務だけではなくその国の経済に存在するすべての負債の合計金額である。それを踏まえてネイピア氏は次のように言っている。
日本の債務はGDPの414%だ。
今のところは日本は逃げ切れているが、この問題を解決するには最終的にはインフレで債務を帳消しにするしかない。
借金と金利上昇
それはポール・チューダー・ジョーンズ氏も言っていたことである。
ポール・チューダー・ジョーンズ氏: 日本もアメリカも政府債務はインフレで解決されるしかない
政府債務の問題は、金利がゼロである間は大した問題にはならない。どれだけ借金があっても利払いがないからである。
だがインフレ政策が本当にインフレを引き起こし、国債に利払いが発生すると、大国は急激に没落してゆく。レイ・ダリオ氏が『世界秩序の変化に対処するための原則』で予想していたシナリオである。
特に日本の債務の額は莫大であり、アメリカのように金利を5%に上げることさえ許されないだろう。債務がGDPの414%ならば、それらの債務に5%の金利が付けば利払いだけでGDPの20%以上になってしまうからである。
日本は低金利政策から逃れられない
だからネイピア氏は日本が低金利政策から逃れられないと予想している。実際、日銀の植田総裁も既にかなり苦労しているが、まだ何も始まってさえいない。
日銀の植田総裁が円安を止められない理由
だからネイピア氏は次のように言う。
今後20年、日本の年金ファンドが金利を低く維持するために日本国債を買い支えなければならなくなったらどうする?
低金利を維持すること自体は可能である。日銀にでも年金ファンドにでも日本国債を買わせれば良い。だがその代わりに犠牲になるのがインフレ率と為替レートである。
つまり、ネイピア氏は円の下落が不可避だと考えているのである。
では投資家はどうすれば良いのか? ネイピア氏は次のように言っている。
ウォーレン・バフェット氏は頭が良い人物だ。彼は数年前に大量の日本円を借り入れ、日本企業の株式を買った。
国家が債務をインフレで帳消しにしなければならないときにはその国の通貨で借り入れをしてその国の株式を買え。これはマクロな投資戦略だ。それは現状とても上手く行っている。
バフェット氏はコロナ後に日本円を借り入れて三菱商事など日本の商社の株式を大量購入した。
「日本円を借り入れた」というところがポイントである。何故ならばアメリカの投資家にとって、借り入れた日本円を売って株式市場で株式を買うことは、日本円の空売りと株式の買いを同時に行なっていることと同じだからである。
そうすれば円建てで株価が上がる限り、日本円がどれだけ下落してもバフェット氏はダメージを受けない。
インフレと株式市場
だからバフェット氏もネイピア氏も円建てで見れば日本株は上がると考えているのである。
それは興味深い観点である。何故ならば、インフレで金利が上昇するとき、株式市場には2つのシナリオがある。
インフレを抑えられるほど急激に金利が上がれば、(インフレ調整後の実質の)株価にとってはマイナスになる。それは1970年代のアメリカの物価高騰時代における米国株の値動きであり、2022年に米国株が下落した理由でもある。
だが一方で、インフレで株価が上がった事例もある。例えばトルコである。何十パーセントものインフレを引き起こし、しかも十分に金利を上げなかったトルコでは、実質でも名目でも株価は上昇した。
つまり、ネイピア氏はこう予想しているのである。日本の政府債務はインフレで帳消しにされなければならないが、日本はインフレと通貨安をまともに抑えられるほどの利上げが出来ないので、日本株は上がる。
こう考えるとネイピア氏の以下の結論がなかなか恐ろしく聞こえるのである。
日本経済全体のインフレを引き起こすことは日本株にとってプラスになる。
ちなみにネイピア氏は S&P 500については買うなと言っている。理由は以下の記事を参考にしてもらいたい。
ネイピア氏: 金利上昇の新時代では投資家はS&P 500と米国債を避けよ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55871