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2024/01/20 (Sat) 07:52:07
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中国の23年GDPはドル建てでマイナス成長だった
2024.01.20
https://www.thutmosev.com/archives/32725.html
成長率から人民元の下落率を差し引くと23年はマイナスだった
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1292759 中国GDP5.2%増 23年 コロナ反動で達成 _ 沖縄タイムス+プラス
23年GDPはマイナス成長だった
メディア報道によれば中国のドル建てGDPは29年ぶりに減少し、自国通貨建てでは5.2%成長したが人民元がもっと下落したためにドル建てではマイナス成長になった
ドルに対する人民元レートは年半ば23年6月末に7.25だったが22年6月末は6.69だったのでマイナス7.8%、為替レートの基準日を12月31日にするとドル建てでも少しプラス成長だった
人民元はドル円と違って中国政府が管理していて、政府が目標レートになるようドル売り元買いや元買いドル売りを毎日しています
目標レートより市場の人民元が弱ければ政府はドルを売って人民を買い、人民元が目標より高すぎれば政府は人民元を売ってドルを買うという具合です
2005年までドル/人民元は約8.27で固定されていたが変動するようになり、2014年1月には1ドル6人民元の史上最高値をつけ、その後下落している
コロナ中の22年3月には1ドル6.3人民元まで回復したものの、2月に北京冬季五輪が開催されたので、政府が人民元高に誘導した可能性がある
最近では23年10月に7.3人民元をつけ、上下を繰り返しながら山の頂点(元安)はだんだん高くなり、最高値から14%人民元は下落した
元安は必ずしも中国に悪い事では無く、今中国は不況なのでもっと人民元を安くして輸出を促進したり外国からの投資を増やせるならそれで良い
だが世界的な不況や中国離れなどが原因で23年は輸出も輸入も減少し、中国への投資も減少し外資の撤退によって対中投資は逆に外国に資本流出した
資本が外国に流出するのは海外投資で、日本はバブル崩壊以降企業の「海外進出」が増えたため構造的なマイナス成長に陥った
稼いでも稼いでもお金が海外に流出するばかりで日本国内にお金が循環せず、給料も投資も増えず海外資産だけが増加していました
資本が流出して海外資産だけが増えると日本のようになり、今後中国と韓国も海外資産だけが増えるが国内は低成長に陥る可能性が高い
中国は成長し過ぎて賞味期限切れ
人民元に対する円は2012年8月までは12前後だったが日銀が「黒田バズーカ」で金融緩和を始めると円安人民元高になり、23年11月には1人民元21円まで円安が進行し、ドルに対しては1ドルは150円台になった
日銀=日本政府の円安は意図的なもので円を安くすれば輸出に有利で外国資本が集まりやすいので、最近の日本は輸出好調で株価は史上最高値を伺っています
株価が上昇してから労働者の給与が上昇するまではタイムラグがあるので、おそらく24年以降に日本の実質賃金などの数字も上昇する
人民元が固定だった2005年の中国の1人当たりGDPは約20万円だったが現在は180万円、2005年に日本で生産するには中国の21倍の人件費がかかったが現在は2.5倍になりました
これは日本の人件費が2005年と比較して1/10まで下がったのを意味し、日本企業の競争力が回復して業績や株価が急上昇しました
韓国との比較でも2005年の日本の1人当たりGDPは韓国の約2倍だったが現在はドル建てでほぼ同等、もう韓国は製造コストを武器に日本企業のシェアを奪えなくなったので韓国企業は不況になり日本企業は業績を伸ばした
為替レートやGDPは「多ければ嬉しい」ものではなくこのように産業の競争力に影響を与えるので、1人当たりGDPが高すぎる国はその後苦しむ事になります
産業革命のイギリスや大戦後のアメリカもそうで、彼らの収入が高くなりすぎて競争力を喪失し製造業が衰退するという道を辿りました
日本は1995年の超円高で1人当たりGDP4万4000ドルと主要国世界1位になったが、高すぎる収入は高コストになり90年代末に経済破綻を起こしホームレスが溢れました
中国で特に目立つ傾向は外国人や外資の撤退で、中国工場を閉鎖したり事業を縮小したりしていて、新たに中国に工場を建設する先進国企業はなくなりました
中国政府は外資の撤退を食い止めるために身柄を拘束したり出国できなくしたり、資産を凍結したり送金できなくしているがそうした事も撤退の新たな理由になっている
外国人が居なくなった外国人居住地区はがら空きで外資が支えていた株式市場は下落、外資による投資や消費がなくなったので労働者は解雇され失業者があふれています
こうした場合1998年の韓国がそうしたように「先進国気取り」をやめて元のように給料を安くすれば良いのだが、人は一度手に入れた物を手放そうとはしません
これは現在苦境に陥っている韓国と台湾についても同じ事が言えます
https://www.thutmosev.com/archives/32725.html
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2024/01/20 (Sat) 07:56:10
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大西つねきがやろうとしていること(第49回衆議院選挙に向けて)
https://www.youtube.com/watch?v=Z0aesmYcl0U
大西つねきの世界
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/162.html
イギリスはどうやってインドの綿工業を壊滅させたのか
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/715.html
世界最大の対外純資産に惑わされるな!国が強くならないデフレ日本の経常収支サイクル
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/989.html
自由貿易と輸出・インバウンドが日本経済を滅ぼす
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14026948
英米を超大国にした近隣窮乏化政策とは
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/186.html
イギリスの手法は「まずブタを太らせて、後で食べる」
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/153.html
アメリカはソ連崩壊後に NO.2 になった日本をどうやって叩き潰したのか
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/573.html
日銀が平成バブルを潰して失われた30年を作った
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14037444
欧米は自由貿易ではない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16834363
株式投資は企業への投資ではない _ 外資が儲けたらそれと同額だけ日本が損する
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14008776
”輸出で食べている”幻想はやめろ
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14093223
自動車産業が儲かるほど日本は貧しくなる
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14118307
良いものを安く売る日本、粗悪品をより高く売る欧米
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/961.html
訪日観光客3000万人でGDPは1円も増えなかった
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14021350
時代錯誤の「比較優位の原理」を鵜呑みにしている自称経済学者 池田信夫
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14037511
平成バブル崩壊と ソロモン・ブラザース証券 相場師列伝3
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/258.html
1989年、CIA とソロモン・ブラザーズ証券は先物取引とデリバティブ売買を駆使して日本株式市場の「平成バブル崩壊作戦」を実行に移した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/205.html
平成バブルはアメリカの指示で小沢一郎が作り、日銀総裁が意図的に潰した
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/217.html
日銀が 2011年から500兆円も ばら撒いたので「超円安・輸入物価高の時代」に変わった
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14010201
日銀金融緩和が終わった、円安は日本人にとって何の得にもならなかった
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14074282
これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14091470
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2024/01/25 (Thu) 10:50:34
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日本は再びバブルへGO? 景気回復しても輸出立国はやめた方が良い
2024.01.24
https://www.thutmosev.com/archives/32801.html
日本より生活水準が高い国の多くは貿易赤字
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2108/02/news001_4.html 日本は本当に「貿易立国」なのか、ファクトに見える真実:「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(6)(4_4 ページ) – MONOist
バブルへGO
書いている時点で日経平均株価は3万6000円台半ばで、1989年12月29日史上最高値3万8915円まで秒読みカウントダウンに入っています
99%以上の確率でバブル最高値を更新すると考えますが、さてバブルの株価を回復後に日本はどこに行くのか誰も確信をもって語っていません
1989年に常識として言われていたのは日本の技術力は世界最高、経済力も勤勉さも世界最強なので輸出国家として成長するというような事でした
実際にはそうならなかったのですが例えバブル経済が崩壊しなくても当時日本の人件費は世界一高く、従ってあらゆる生産コストも世界一高くなっていた
今で言えばニューヨークのマンハッタンに自動車工場を建てて世界に輸出していたようなもので、コスト競争で後進国に勝てる筈がありませんでした
ドイツを除く欧米先進国は80年代から貿易赤字なので日本のような悩みは無く、人件費が世界一高くなっても購買力が上がるだけで輸出で不利になったりはしない
世界を輸出国家と輸入国家に分けると先進主要国で貿易黒字の輸出国家はドイツと日本だけで、他の国々は輸入国家なので自国の国内経済で成長します
80年代日本のような極端な輸出主導国家は貿易黒字によって通貨高になり、経済成長したので自国通貨建てで給料もあがりあっという間に10年前の2倍になったりします
10年でドル建て給料が2倍になると他国に比べて製造コストが2倍になってしまうので、輸出国家が成功すると輸出できなくなってバブル崩壊を起こします
輸入国家にもバブルはあり地価や物価が上昇しすぎるが、彼らは輸出でメシを食っていないのでドイツよりフランスの給料が高くなってもフランスは困らない
日本、ドイツ、韓国、中国、ベトナムのような輸出主導国家でライバル国より給料が高くなるとライバルより不利になるので、輸出立国には持続性がないのです
日本経済が立ち直ったとしても貿易収支はトントンで良く、経常黒字があるので時々貿易赤字になるくらいが丁度良いのです
日本の輸出は負けた方が良い
経常収支は貿易以外のモノが動かない外国との取引で、海外投資や海外工場やアニメ・ゲームコンテンツなど輸出以外はすべて経常黒字になります
日独以外のほとんどの先進国はずっと経常赤字だが、経常赤字と同じ程度の投資黒字があるので経済破綻しません
例えばアメリカは日本に対しずっと貿易赤字で経常赤字ですが、日本企業はアメリカに投資するので「経常赤字でアメリカが倒産」したりはしないのです
日本のマスコミや財務省や評論家は「貿易収支や経常収支が赤字になると日本が破産する」と言いますが、そんな事は起きません
日経平均がバブル越えした後で日本が数十年成長するためには、輸出を増やさず輸入を増やして経常黒字をため込まないほうが長続きします
マスコミはまた「貿易赤字だ日本が破産するぞ!」と大騒ぎするでしょうが、迷惑なのでテレビ局が破産して放送を辞めた方が良いです
貿易や貿易外収支が赤字だと経済成長しないのではと思うでしょうが、輸出でも輸入でも貿易や海外取引は経済を成長させます
200万円で車を製造して300万円で輸出すれば100万円のドルを受け取れますが、ドイツ車を300万円で輸入して400万円で国内販売しても日本のGDPは同じように100万円増えます
輸出で100万円貿易黒字を得ると100万円分円高になるが、輸入して国内販売すれば逆に円安に作用するのでかえって輸出を助ける事になります
牛丼という商品は牛肉を100円以下で輸入して国内で付加価値をつけて500円程度で販売しているので、輸入肉の牛丼を売れば売るほど日本のGDPは増えます
アメリカはほとんどの日用品や工業製品を外国から輸入しているが、輸入原価の2倍ほどで売るので貿易赤字額以上にGDPが増えています
国内で経済を発展させるとはこういう事で、もしアメリカが安いおもちゃや衣類をすべて国内生産したら低賃金労働に労働力を取られて経済が発展しない筈です
何から何まで国内で生産して輸出するような国は競争力を維持する為に低賃金を維持せざるを得ないので、早晩経済破綻します
日本の輸出産業が世界を制したようなニュースは気分が良いが、日本の輸出企業が世界上位を独占すると数年でそ製造コスト上昇が限界に達しバブルが崩壊します
https://www.thutmosev.com/archives/32801.html
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2024/02/02 (Fri) 10:58:36
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中国の生産過剰が世界中で貿易摩擦を引き起こしている
2024.02.02
https://www.thutmosev.com/archives/32996.html
80年代アメリカの 日米自動車摩擦
https://www.80s.ne.jp/1988/aug-23rd-1988.html 1988年8月23日 │ 80年代へようこそ!
輸出が増えるのは良くない兆候
世界には限りがあり無限に輸出を増やすことはできないが、往々にして輸出大国を自負する国は「世界は自分の財布だ」のように思い込んだりそれを口にして傲慢になる
1980年から90年代の日本がそうで1人当たりgdpでアメリカに追いついてしまい高コストになったが、もっと欧米に輸出しようとしてジャパンバッシングを招いた
各国政府は当然外国企業より自国産業を守ろうとするので貿易摩擦が起き、遅かれ早かれ成功し過ぎた輸出大国は排除され没落します
世界最初の輸出大国だった大英帝国、T型フォードで自動車産業を別次元にしたアメリカ、高度成長後の日本も同じ道を辿り最後に退場する羽目になった
輸出大国は最初安くて良い物や今までになかった社会で必要な物を輸出し歓迎されるが、成功するとコスト高になり高度な製品に移行し金額も高くなります
輸出大国が「技術の高さ」を自慢したりハイテク製品を輸出し始めるのは没落のサインで、高価で高性能な製品を大量に輸出すれば相手国の貿易赤字も高額になります
すると相手政府は貿易赤字解消に動き、相手国の企業は政府に「不公正貿易だ」と不満を訴え、消費者は輸出国から搾取されていると感じるようになります
日本は80年代後半にこういう状態になって主要市場の欧米で日本製品排斥運動があって、その結果輸出ではなくアメリカで自動車の現地生産へ移行する事になりました
欧州ではもっと拒否されて例えドイツ国内に工場を作っても日本車は輸入車扱いになり関税を取られるので、欧州で日本車のシェアはほぼゼロになっています
日本メーカーが欧州の有名レースに出場するにも欧州メーカーと比べて様々な不利益を課せられ、多額の投資をしたうえで1回勝ったらルール改正でその技術が無効化されて勝てなくするのを繰り返しています
日本のコンビニは訪日観光客から好評ですが世界のほとんどの国では自国資本以外のスーパーやコンビニ出店に制限があり自由に出店はできません
もしセブンやローソンが「全世界のコンビニを制圧する」と決めたとしても、自国資本の商店を優遇する法律があるのでそれは不可能なのです
輸出立国の努力は徒労で終わる
一見すると自由貿易の世界はこんな風に「ちょっとだけ自由貿易」だが規模が大きくなると輸入国側が拒否反応を示して排除される仕組みになっています
23年に中国の自動車輸出台数が日本を抜いて世界一になりましたが、これは日本にとって「良い事」だという風に考えています
思い出してほしいのはトヨタやホンダの世界販売が急増し始めたのはバブル崩壊後で、彼らの輸出や世界販売が伸びても日本はマイナス成長でした
それどころかトヨタホンダ日産が成長すればするほど日本はデフレ不況に陥り、自動車産業や輸出が日本に貢献したのか非常に疑問です
自動車や家電を輸出するとGDPは増えるのだが貿易黒字が増えると仕組み上円高が進むので、95年の1ドル79円や2011年んの1ドル75円は輸出産業が自分で自分の首を絞めたと言えます
輸出で儲けると輸出で円高になって輸出企業が苦しみ日本が不況になってホームレスが増えるのを繰り返し、徒労という言葉を連想させました
2分すると世界には輸出立国と輸入立国があり欧州で大きな輸出立国はドイツだけで英仏伊を初めほとんどの国は貿易赤字になっています
ではドイツが大儲けして赤字国が貧困になったかと言うと、世界の先進国や大国のほとんどは貿易赤字国で黒字国はむしろ中進国以下が多いです
先進国の人は自分より人件費が安い国で生産した商品を買う事で、自国で生産するより生活水準が良くなるので購入しています
もしアメリカ人が全ての工業製品を国産したら、結局時給1000円以下でiPhoneを作ったりして生活水準が低下してしまうからです
アメリカはアジアからスマホや自動車や服などを輸入するが、多くの商品は輸入時の何倍もの値段で売られるのでその分は「アメリカのGDP」になります
良くある勘違いは輸入するとGDPが下がり輸出するとGDPが上がるというものですが、実際は500万円の自動車を輸出してもGDP増加分はその半額にもならないし、輸入品にかなり上乗せして販売するので輸入でもGDPは増えます
だからアメリカは世界最大の経常赤字国なのに世界最大の大国でいられるので、もし輸入がGDPを下げて貧困化するならアメリカはもう破産しています
輸出立国は成功したら排除されるし失敗したら競争に負けるし、どのみち輸出で先進国にまで上り詰めるのは不可能です
英米がそうだったように 自国の国内で経済を発展させて、安い商品はアジアから輸入して国内で使う事でGDPを上げれば先進国になれます
日本もいい加減輸出主導経済を辞めるべきで、貿易は赤字かせいぜいトントンで良く国内経済を発展させれば自動車の輸出なんかなくなっても良いです
https://www.thutmosev.com/archives/32996.html
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2024/04/27 (Sat) 02:18:41
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円安進行で日銀方針転換!量 的 緩和終了!?【一般ライブ】4/26 (金) 17:00~17:30【渡邉哲也show】渡邉哲也×西村幸祐×小野寺まさる
https://www.youtube.com/watch?v=YmI8pwhIu0o
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2024/04/28 (Sun) 18:36:57
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日銀の植田総裁が円安を止められない理由
2024年4月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47910
コロナ以後、円安が止まらない。日本でもインフレ率が上がっているが、金利の方はインフレ率ほどの上昇を見せていないからである。
円安と日銀緩和
円安は明らかに日本の家計を蝕んでいる。エネルギーや食料品、プラスチック製品など日本国民が消費するものの多くは輸入依存であり、ドル円の上昇分はそのまま輸入物価の上昇に直結している。
コロナ後にドル円が40%以上も上がったということは、基本的に輸入物価がそれだけ上がったということである。ドル円はそのまま元に戻っていないので、輸入物価もそのままだ。また、円はドルだけでなくほとんどの通貨に対して下落している。
円安の原因は黒田元総裁の時代から行われ続けてきた日銀の緩和政策であり、植田現総裁はそれを終わらせようとしている。実際、3月にはマイナス金利と、安倍元首相の支持率対策でしかなかった株式の買い入れ政策を終了した。
日銀、マイナス金利とETF買い入れを終了、量的引き締めを視野に (2024/3/20)
植田氏の取り組みにより、日本の長期金利は少しずつ上昇しつつある。それ自体は筆者やスタンレー・ドラッケンミラー氏の予想通りである。
日本国債の空売りを開始、植田新総裁で長期金利上昇を予想 (2023/3/2)
ドラッケンミラー氏、日本のインフレで日本国債を空売り (2023/5/2)
ドル円上昇を止められない植田日銀
だがドル円の上昇は止まっていない。植田氏は黒田氏の緩和政策をいくつか終わらせたものの、政策金利自体は0.2%しか動かしておらず、金利上昇が十分ではないのである。
4月26日の日銀決定会合では、植田総裁は金融政策の維持を決定した。記者会見ではドル円に関する質問が噴出したが、植田氏は質問をかわすばかりだった。
何故植田総裁は金利を上げてドル円上昇を止めることができないのか? 植田氏は4月の会合で金利を上げるべきではなかったのか?
だが筆者は実は植田氏の政策がそれほど間違っているとは思っていない。何故かと言えば、日本のインフレ率はそれほど差し迫った状況にはないからである。
日本のインフレ動向
現在、日本のインフレ率は前年同月比(以下同じ)で2.7%であり、食品とエネルギーを除くコアインフレ率を半年分ほど並べると次のようになる。
2023年10月: 2.80%
2023年11月: 2.80%
2023年12月: 2.80%
2024年1月: 2.59%
2024年2月: 2.49%
2024年3月: 2.18%
おおむね2%台で落ち着いていると言える。
インフレ率が落ち着いているのは、残念ながら日本経済にとって喜ばしいことではない。何故ならば、それは日本経済の減速の結果だからである。
日本の実質GDP成長率は前年同期比で見れば1.3%(2023年第4四半期)だが、直近半年の減速が大きく、個人消費は既にマイナス成長となっている。日本に関しては年内の景気後退も有り得る状況である。
所得税と社会保険料と消費税で所得の半分を持っていかれる経済において物価がこれほど上がってしまったのだから、消費が振るわないのは当たり前である。
だがインフレ率が落ち着いている以上、日銀は早足に利上げをすることが出来ない。むしろここから利上げすればインフレ率がどんどん沈んでゆくシナリオも有り得る。
そしてインフレ率よりも早々と減速しているGDPの方は、利上げが更なる追い打ちになるだろう。
インフレ率と物価水準
問題は、インフレ率の落ち着きと物価の高騰が別物だということである。これはアメリカでもそうだが、インフレ率が元に戻ったからと言って物価が元に戻ったわけではない。
インフレ率とは物価上昇率であり、落ち着いたとはいえ上昇率はまだプラスなのだから、過去に上がった分の物価は下がることもなく高いままなのである。
輸入物価を戻すには日銀が更に金利を上げるしかない。黒田日銀が行なった過去の緩和の分だけ引き締めを行なうしかないのである。
だがそのような引き締めを行えば、ただでさえ景気後退寸前の日本経済は本当に死んでしまうだろう。
結論
ということで、日本経済はまさにアベノミクス以来の金融緩和のツケを払うべき状況にある。物価は上がってしまったが、それを元に戻すための金融引き締めを行えば実体経済が死んでしまう。
緩和を始めた時には既に分かっていたはずの当たり前の帰結を、今日本人は目の当たりにしている。自分の支持率のために日銀にETFを買わせた安倍晋三氏を何故誰も止めなかったのか。
20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏はもう何十年も前に著書『貨幣論集』で次のように述べていた。
ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
将来の失業について責められる政治家は、 インフレーションを誘導した人びとではなくそれを止めようとしている人びとである。
何故誰も止めなかったのか。誰もハイエク氏の著書を読んでいなかったのか。誰も読んでいなかったのだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47910