-
1:777
:
2023/03/12 (Sun) 09:50:27
-
シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因と株式市場への影響
つばめ投資顧問
2023/03/12
https://www.youtube.com/watch?v=_xzz89x-KIE
米シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻しました。リーマン・ショックも彷彿とさせる金融機関の破綻ですが、その原因は何だったのでしょうか。今後の株式市場への影響を含めて解説します。
つばめ投資顧問 - YouTube
https://www.youtube.com/c/Tsubame1045/videos
-
2:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/12 (Sun) 09:54:27
-
ついに始まる世界金融恐慌
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009793
40年続いた米国株強気相場が崩壊する、米国株は30年上がらない
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14007513
株価は長期金利と企業利益で決まる。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14035593
アメリカの政策金利はこれから 5%以上に上がって世界恐慌を引き起こす
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009793
ドルが基軸通貨ではなくなる
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14087403
これから起きる超円高によるバブル崩壊と預金封鎖
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14091470
「賃金上がらず予想外」アベノミクス指南役・浜田宏一氏証言 トリクルダウン起こせず…
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14095196
アベノミクスのツケ「地銀含み損3兆円」…破綻シリコンバレー銀行とビジネスモデル酷似
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14095230
シリコンバレー銀行(SVB)破綻の原因と株式市場への影響
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14094256
-
3:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/14 (Tue) 05:16:58
-
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
2023年3月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34498
3月10日、アメリカでテック企業が集まるシリコンバレーで最大の預金シェアを誇っていたシリコンバレー銀行が破綻したことが金融業界で大きなニュースになっている。
金曜日には米国株も急落し、その影響で月曜日の日本株も下落した。市場では大騒ぎだが、筆者はまったく騒いでいない。解説記事をわざわざ書くべきなのかも迷ったくらいだ。
だが一応きちんと説明しておこうと思う。破綻の原因も、騒ぐようなニュースではない理由も、納得してもらえるだろう。
シリコンバレー銀行の破綻
シリコンバレー銀行はその名の通りシリコンバレーと関わりの深い銀行である。GoogleやAppleの本社のあるサンフランシスコ・ベイエリアでは、多くのスタートアップ(ベンチャー企業)がシリコンバレー銀行に預金口座を持っていた。
アメリカの歴史上2番目の規模の銀行破綻ということが強調されているが、それよりもシリコンバレー銀行はシリコンバレーの企業たちとのかかわりの中で考えた方が分かりやすいだろう。
シリコンバレー銀行が破綻した理由は何か。まず2022年末の決算書を見ると、シリコンバレー銀行のバランスシートの資産の欄には以下のものが計上されていた。
現金: 138億ドル
売却可能な証券: 260億ドル
そして負債の欄には以下のものが計上されていた。
預金: 1,731億ドル
投資家であれば知っておくべきだが、銀行の決算書の場合、預金は負債の欄に記載される。預金は、預金者が引き出そうとすれば銀行が返さなければならないお金だからである。
1,731億ドルの預金に対して現金が138億ドルしかないことに注目したい。預金者は預けたお金を銀行が持っていていつでも引き出せると考えがちだが、預金を又貸しして収入を得るのが銀行のビジネスなので、実は預金のほとんどは銀行には存在しない。
この数字を見れば、預金者が預金の1割でも引き出そうとすれば、シリコンバレー銀行はたちまち現金不足に陥るということが分かる。この件の一番の教訓は、預金者はまず自分の預金が必ずしも安全な状況にあるわけではないということを理解すべきだということだろう。
預金者のスタートアップたち
さて、では預金者側の動きはどうだったか。上で少し述べたように、シリコンバレー銀行の預金者の多くはシリコンバレーのスタートアップである。AppleやGoogleの本社が並ぶシリコンバレーでは、起業をするとまずシリコンバレー銀行に口座を作ることが多い。
アメリカのテック企業はアメリカの利上げでかなり厳しい状況にある。スタートアップのほとんどはアプリなどを作り、ユーザはいるが収益化はまだ出来ていないという企業が多く、日々のランニングコストを借金に頼っている。
だがアメリカでは物価高騰を止めるために利上げが行われている。政策金利はゼロから4.5%まで上げられた。ほとんどゼロコストで借金できていたものが、多額の金利を払わなければ借金できなくなる。
借金することが難しくなったスタートアップたちはどうするか? アメリカは物価高騰に見舞われている。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏は次のように言っていた。
ガンドラック氏: 景気後退入りは保証されている
2022年には食料品とガソリンのために消費者は借り入れ額を増やした。「人々はクレジットカードを大胆に使うことにためらいがない、これは将来にとって良い兆しだ」などというのは単純に馬鹿げている。人々は好んでそうしているわけではない。そうせざるを得ないだけだ。
そして物価高騰で苦しんでいるのは消費者だけでなく、家賃や給与を支払わなければならないスタートアップも同じである。そして元々借金に頼り切っているシリコンバレーのスタートアップの方が受ける影響が大きい。
彼らはどうするか? 当たり前だが預金を取り崩すだろう。シリコンバレー銀行には1,731億ドルの預金があった。上で「預金者が預金の1割でも引き出そうとすれば」と言ったが、その状況がまず実現した。
枯渇したキャッシュフロー
預金引き出しに対応するため、138億ドルの現金がまずすべて消えた。シリコンバレー銀行の資産は他にもあるが、ほとんどが債権(貸しているお金)なので、それが返ってくるまで現金にはならない。
そこでキャッシュを確保するために出来ることは、260億ドルの売却可能な債券を売って現金に替えることである。260億ドルのうち、161億ドルが国債、66億ドルが住宅ローン証券だったようだ。住宅ローン証券とは住宅ローンを証券化した、リーマンショックでジョン・ポールソン氏が空売りした例のアレである。
ジョン・ポールソン氏、サブプライムローンの空売りで大儲けした時のことを語る
だがこれらの資産も下落していた。ここ1年ほどの債券市場がどうだったか、ここの読者には言うまでもないだろうが、債券にとって金利上昇は価格下落を意味するので、アメリカ中の債券がここ1年で暴落している。
それで証券売却も結構な含み損を確定する形で行われたようだ。それでもう少しの現金を調達したようだが、それでも結局1,731億ドルの預金が崩れてゆく状況を止めることは出来なかった。
シリコンバレー銀行には他にも資産があった。だが現金が尽きた時、企業は倒産する。企業の決算を見る上でそれが重要な点である。
手持ちの債券を売れるだけ売っても結局現金は足りなかったので、シリコンバレー銀行は破綻した。
シリコンバレー銀行破綻はニュースではない
だがこの話で本当に窮地にあったのはシリコンバレー銀行だろうか。それともシリコンバレーの企業だろうか。
この記事で筆者が本当に言いたいのは、シリコンバレー銀行が破綻に向かったプロセスの説明ではない。アメリカ経済の状況をもっと広く見てもらいたいということである。
インフレを受けてアメリカは金融引き締めを行なっている。その目的は、コロナ後に現金給付によってばら撒かれた紙幣の量の増大を止めるためである。
少しでも経済が理解できる人間ならば誰でも知っていることだが、インフレはウクライナ情勢ではなくコロナ後の現金給付、つまり紙幣のばら撒きによって生じたのだから、インフレを止めるためにはそれを回収しなければならないのは当然のことだ。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
市中に存在する紙幣の量はマネーサプライと呼ばれる。マネーサプライとは大雑把には現金と銀行預金の金額の合計であり、1970年代の物価高騰では当時のポール・ボルカー議長がマネーサプライの量を制限することでインフレを止めたことが有名である。金をばら撒けばインフレになり、金の量を絞ればインフレが止まる。当たり前である。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
だがここで重要なのは、マネーサプライは借金で増えるということである。ある人が銀行に1万円を預け、それを銀行が他の人に又貸しすれば、最初の人の銀行口座に1万円、貸された人の銀行口座に1万円がそれぞれ出来るので、1万円がマネーサプライ上では2万円になる。
マネーサプライを制限するとは借金を制限するということであり、それはつまり預金を減らすということである。
だから銀行から預金がなくなることは当たり前ではないか。マネーサプライを減らすことと預金が減ることはほとんど同語反復である。
もっと言えば、金利を上げればこれまで借金で生きていたシリコンバレーの無収益スタートアップたちが危機に瀕することも当たり前ではないのか。とどめに言うべきなのは、債券が下落して債券の保有者が苦しんでいたことなど何のニュースでもない。それは去年から誰もが知っている。
結論
そもそも米国債は31兆ドル存在していて、その大半の価格が大きく下落したのだから、数千ドルや数兆ドルの損失がアメリカ経済には既に発生していたのである。シリコンバレー銀行の破綻はその一部に過ぎない。
債券の金利上昇は価格の下落を意味する。だがアメリカの長期金利が上がったことを知っている投資家は居ても、その裏でどれぐらいの損失が出ているのかを意識する投資家はほとんどいないようだ。アメリカの長期金利は次のように推移している。
長期金利が去年の半ばには3.5%まで上がっているのだから、今回のシリコンバレー銀行の破綻は、去年半ばに既に起こっており既に誰もが知っていたはずの損失の一部が「大銀行の破綻」というニュースに乗ってたまたま露呈したに過ぎない。だがそれは既にこの長期金利チャートに含まれている情報である。ニュースでも何でもない。
更に言えば、ハイテク企業の窮状についてもここでは何度も記事にしているではないか。
暴落した米国ハイテク株は割安と言えるか (2023/1/3)
ジョージ・ソロス氏は2021年末には利上げがハイテク企業に被害を与えることを予想してNasdaqを空売りしていた。
ジョージ・ソロス氏、株価急落前にNasdaqを空売り成功 (2022/2/13)
だからこのニュースとは呼べないニュースで騒いでいるすべての人に言いたい。今更何を言っているのか。
この件におけるニュースとは利上げである。そしてそれは2022年初頭から誰もが既に知っている。
金利が上がった後、こういう状況はアメリカ経済の中で既にいくらでも起こっており、金利が高い限りこれからも起こる。シリコンバレー銀行は規模が大きいので、その速報に人々が飛びついただけである。
だが株式市場はそういう人々で構成され、元々分かっていたようなニュースとも呼べないニュースに反応して下落してゆく。
リーマンショックの時もそうだった。何処かで何かが弾ける。それは元々分かっていたことなのだが、株式市場はそれまで下落しない。こういう分かりやすい形で言われなければ、株式投資家は状況を理解できないらしい。一方でより理性的な債券市場は既にそれを予想している。
債券市場はアメリカ経済のハードランディングを予想
だから株価はこういう形で落ちてゆく。下落相場とはそういうものである。何度も言っているが、2023年の金融市場は景気後退と株価暴落、そして金利低下である。筆者にとってはそのシナリオがそのまま進んでいるに過ぎない。
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
それは2022年にFedが利上げを始めた時から分かっていたし、もっと言えば2020年に馬鹿げた現金給付をやった時から分かっていたことである。今更ではないか。
ドラッケンミラー氏: プーチン氏が引き起こしたわけではないインフレの本当の理由
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34498
-
4:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/14 (Tue) 11:39:23
-
【Front Japan 桜】米国銀行破綻-意識高い系の悲鳴 [桜R5/3/14] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=w1iJ_R_6nFQ
キャスター:渡邉哲也・福島香織
-
5:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/14 (Tue) 15:53:29
-
シリコンバレー銀行破綻、米IT企業はリストラの嵐
2023.03.14
破綻したシリコンバレー銀行
画像引用:https://decrypt.co/123145/silicon-valley-bank-seeking-outside-acquisition-report
突然のシリコンバレー銀行破綻
23年3月10日、カリフォルニア州の銀行規制当局はSVBグループ傘下のシリコンバレー銀行を閉鎖し破綻したと発表した
2008年の世界経済危機リーマンショック以来最大規模の米銀行破綻で、一瞬にして巨額資金が吹き飛んだ
米規制当局は米連邦預金保険公社(FDIC)を管財人として指名し、管理下でシリコンバレー銀行の資産が処分される
シリコンバレー銀行は22年末の総資産が約2090億ドルと全米16位、米銀行の破綻では2008年ワシントン・ミューチュアルの破綻に次ぐ2番目の規模だった
1983年に設立されたシリコンバレーバンクはIT関連のスタートアップ企業への積極的な融資で知られていた
米連邦準備理事会(FRB)による利上げで価格が下落した債券の売却で損失が出て経営が悪化し、顧客からの預金の引き出しが相次いだ
シリコンバレー銀行は預金の多くを米国債で運用していたが金利が上がると国債価格が下落する関係があるので同銀行の財務が急速に悪化した
米財務省のイエレン長官はFRBと協議したが、銀行のシステムは現在も健全で規制当局は銀行の破綻に対処できると語った
サマーズ元米財務長官はシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻について、うまく解決しないとベンチャー企業に重大な影響が及ぶと指摘した
米連邦預金保険公社(FDIC)が預金保険で保護する上限は1口座当たり最大25万ドル(約3380万円)に過ぎず、預金の大半は保証されない
サマーズ氏は「来週の給与支払いにその資金を充てる予定だったスタートアップ企業が、数百と言わなくても数十社存在する」と指摘した
カリフォルニア州ベイエリアのスタートアップ企業の創業者は資金調達や従業員への支払いに奔走し、影響はカナダやインド、中国、英国にも波及した
SVBは中国やデンマーク、ドイツ、インド、イスラエル、スウェーデンにも支店があり、スタートアップ企業経営者らは政府による介入と救済を求めている
米IT企業はリストラ相次ぐ
シリコンバレー銀行の拠点シリコンバレー発祥の米巨大企業は22年後半から相次いでリストラを発表していて、来るべき不況に備えている
イーロンマスクが買収したツイッター、メタこと旧フェイスブック、アルファベットことグーグル、マイクロソフト、アマゾン、が1万人規模のリストラを発表しています
アップルは大規模リストラしていませんが代わりに中国の生産工場を縮小してコストが安いインドなど他の国に移転を進めると言われています
アップルはGAFAMの他の巨大IT企業よりゆっくりと技術者を増やしてきたので、余剰な技術者が少なくリストラを回避できていると言われている
GAFAMが軒並み1万人以上の解雇を迫られたのは彼らの高級取と手厚い福利厚生、一般労働者とかけ離れた好待遇などがあった
高度なプログラミング技術を持つ人材は希少であり企業間で奪い合いになったため、製造業やサービス業労働者の10倍もの高給を受け取った
その上IT技術者が離脱しないため社内に高級レストランのような社員食堂(言うまでもなく全て無料)やカフェテリア、託児所、レジャー施設などが用意された
22年末にツイッターを買収したイーロンマスクはそれらすべてを廃止し「自動車工場労働者のように働く」事を要求し、多くのITエンジニアは退社した
今もGAFAMのエンジニアの多くは出社すらせず自宅やリゾート地で一日数時間働いていますが、そうした我が世の春も終わるのかも知れません
(その後米財務省は「シリコンバレー銀行の預金を全額保護する」と発表したので内容は違っています)
https://www.thutmosev.com/archives/2358473.html
-
6:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/15 (Wed) 04:46:03
-
シリコンバレー銀行破綻は“超緩和バブル”の反動 日本の銀行に飛び火する可能性はあるのか
3/14
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee971be1720e3e0e76c56cc0f16d46b93630bba0
シリコンバレー銀行破綻が「リーマン・ショックの再来」につながる可能性はあるのか(Getty Images)
3月10日にシリコンバレーバンク(SVB)、12日にはシグネチャー・バンクと米国で相次いで銀行が経営破綻している。総資産約2090億ドルにも及ぶSVBの破綻は史上2番目の規模で、リーマン・ショック以降最大の経営破綻となり、シグネチャー・バンクの破綻は史上3番目の規模となることから、世界的な金融危機につながった2008年のリーマン・ショック再来を指摘する声も高まっている。
【写真】シリコンバレー銀行から資金を引き出すために待機している大勢の列
とりわけSVBのケースでは、運用していた米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの有価証券の価値が下落して多額の「含み損」を抱えていた。これに対し、SVBは含み損処理と資本増強策を3月8日に発表したが、むしろ信用不安の拡大につながり、預金が次々と流出する取り付け騒ぎに発展し、破綻に至った。
日本の地銀の多くも、運用先が限られるなか、米国債など有価証券の保有が増え、その含み損は昨年12月末時点で3兆円にのぼるとされる。そのビジネスモデルがSVBと似通っていることから、日本の地銀などにも飛び火するのではないかと“疑心暗鬼”が広がっている。はたして米国で相次ぐ銀行破綻は日本にも影響を及ぼすのか──。
グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が、SVB破綻の原因について解説する。
「SVBは米国のスタートアップ企業が顧客の中心になっていて、コロナバブルで大量の資金を調達したシリコンバレーの新興テック企業から預金を集めてきました。預金残高は2020年からの3年間で3倍超に膨らむほど。その急増した預金を米国債などの有価証券で運用するなか、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによって金利が上昇したことで債券価格は下落。また顧客であるスタートアップ企業の資金繰りが厳しくなったことも重なり預金の引き出しが増加。結局、大幅な含み損を出し、3月8日に債券の売却と大規模資金調達を発表しました。
ところが、この発表がかえって同行の信用不安を拡大し、スタートアップ企業を中心に預金が流出するという大規模な取り付け騒ぎが起こってしまったわけです。つまり、破綻の主な原因は、顧客が一定の業界に集中していたことと、米国の急激な長期金利の上昇にあります」
こうした局地的な「集中」による要因は、他のケースにも見て取れるという。
「SVBの前に清算を発表したシルバーゲート銀行やその後に続いたシグネチャー・バンクは暗号資産(仮想通貨)を中心に取り扱っていたので、このケースでも一定の業界に集中していたことがわかります」(戸松氏、以下同)
日米の金融政策の違い
そうした見方から、戸松氏は「今回の件が直ちに金融危機に発展するとは考えにくい」としつつ、「コロナ後の超緩和バブルの反動が、米国の一部銀行を襲ったということで、同様にバブルに踊った金融機関がいくつか後に続く恐れはあります」と指摘。
では、日本の銀行への影響はどうか。
「日本の地銀の場合、地域は限定されているかもしれませんが、融資先や預金者などのセクターは分散されていることが多いので、一極集中のリスクはそこまで高くない」
加えて、日米の金融政策の違いもある。
「そもそも金融緩和政策を続ける日本はそこまで長期金利が上昇していないし、今後、日銀総裁の交代後も、米国のような大幅な政策金利の上昇や長期金利の上昇は起こりにくいと考えます。財政投資を積極的にやってこなかったこともあって、米国と比べて景気はそれほどよくなく、インフレにしても内需に起因した“ディマンドプルインフレ”ではなく、外需に起因する“コストプッシュインフレ”なので、インフレ対策として政策金利を上げる意味があまりないからです」
10年にわたって続いてきた「異次元の金融緩和」は、国債の流動性低下をはじめさまざまな副作用を生み出してきた。だからといって、日銀の植田和男・新総裁が就任後すぐに金利を大幅に引き上げることは考えにくく、米銀行の破綻につながった要因は日本では想定しにくい現状もあるという。
「なによりリーマン・ショックの際は、サブプライムローンに関わる大きなレバレッジをかけたさまざまな金融商品がありましたが、今回はそうではない。また、すでに米財務省、FRB、米連邦預金保険公社(FDIC)は保護する預金の上限を撤廃して預金の全額保護に乗り出し、FRBは預金流出の恐れがある銀行に緊急融資も表明。金融危機へと波及しないように次々と対策を打ち出しています」
米銀行の破綻を受けて日本の銀行株も株価下落に見舞われているが、戸松氏は「今後の(小幅ではあるものの)日本の金利上昇による期待感からの上昇まで見据えれば、銀行株が急落することはあっても、それは一時的なもので終わるのではないでしょうか」と分析している。(了)
-
7:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/15 (Wed) 04:53:49
-
米シリコンバレーバンクが破綻、米財務省が緊急措置 急転直下の3日間
2023.3.13
島津 翔
シリコンバレー支局
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00511/031200013/
米連邦預金保険公社(FDIC)は米国時間3月10日、米銀シリコンバレーバンクが経営破綻したと発表した。スタートアップへの積極的な融資で知られる同行は即日、事業を停止。当局が上限付きの預金保護を発動した。週末にかけて米国では衝撃が広がり、リスク回避姿勢が強まっていたところ急転直下、米財務省などが預金の全額保護を表明。広がりつつあった信用不安を沈静化するための緊急措置だ。週末の騒動を解説する。
米国時間3月10日午前、米銀シリコンバレーバンク(SVB)のパロアルト支店前。15人ほどの預金者が小雨の中、落ち着かない様子で支店の前を行ったり来たりしていた。スタートアップの財務担当者だと話した男性は「9日夕方に依頼した送金が止まっている」として預金の行方を不安がる。預金額は明かさなかったが「少なくはない」と本誌に打ち明けた。
米カリフォルニア州サンタクララの本店でも、同様に預金者などが詰めかけた。
米カリフォルニア州サンタクララの米シリコンバレーバンク本店。米国の銀行破綻では史上2番目の規模となった。10日午前9時、パロアルト支店には15人ほどが詰めかけたが、事業を停止していて中に入れず、午前10時過ぎには預金者の姿も見えなくなった(写真:AP/アフロ)
米銀で史上2番目の経営破綻
10日早朝にFDICがSVBの経営破綻を発表し、米国の金融市場に衝撃が走った。米連邦準備理事会(FRB)によれば同社の総資産は2022年末時点で約2090億ドル(約28兆円)。全米16位の資産規模を持つ。銀行破綻では08年9月の金融危機で経営破綻したワシントン・ミューチュアルに次いで史上2番目の規模だ。FDICが監督する銀行では20年10月に破綻したアルメナ州立銀行以来、2年半ぶりの破綻となる。
FDICが破綻管財人となり、上限付きの預金保護を発動した。FDICによる保護上限は1つの口座当たり25万ドル。数年前までSVBと銀行取引があった起業家は「個人向けとしては十分な額かもしれないが、企業預金では“すずめの涙“の預金保護だ」と話す。預金者からのアクセスは3月13日に再開するとした。
週末にかけて米国では衝撃が広がり、リスク回避姿勢が強まった。米国の起業家の1人は「他の中小銀行でも同様の事態が発生する恐れがあったため、知人の起業家も含め、預金を全て比較的安全だと思われる金融機関に移動した」と打ち明ける。
週明け13日のSVBの営業再開を多くの預金者が不安を抱きながら待っていた12日午後、事態は急展開した。米財務省などが「預金の全額保護」の公式声明を発表。機能不全が金融システム全体に波及する「システミックリスク」を避けるための例外措置とした。
声明によれば、イエレン財務長官がバイデン大統領と協議の結果、預金保護を承認した。「3月13日から全ての資金にアクセスできるようになる」とし、「シリコンバレーバンクの破綻処理に伴う損失が納税者に負担されることはない」と明言した。
急転直下の3日間、なぜSVBは破綻し、米財務省は救済措置を取ったのか。これまでの経緯を振り返ろう。
SVBは米国内のスタートアップへの積極的な融資で知られる。ベンチャーキャピタル(VC)による投資ファンド向け、スタートアップ向けの“小回りが利く融資”を得意とし、特にスタートアップ向けでは大手銀行で与信を得られにくい企業への融資で知られた。シリコンバレーのスタートアップ・エコシステムを形成するキープレーヤーだったと言える。
同行の資料によれば、米国のスタートアップの約半数、22年に新規株式公開(IPO)したテック企業の44%と取引があった。シリコンバレーでは「ベンチャーなら何かしらの取引があるような存在の銀行だ」(Sozo Ventures創業者の中村幸一郎氏)。
シリコンバレーバンクのパロアルト支店に掲示されたFDICのプレスリリース。SVBが経営破綻したことを示している
シリコンバレーの“守護者”ともいえるSVB。FDICによる3月10日の破綻発表までの大まかな流れは以下の通りだ。
・スタートアップのバリュエーション増加でSVBの預金大幅増
・預金増で資産に占める融資の割合が相対的に低下
・増えた資産で住宅ローン担保証券(MBS)など購入し運用
・米国でインフレ、FRBが政策金利引き上げ
・運用利率と預金利率が逆ざやの状態に
・MBSなどの満期保有目的債券で含み損が発生
・スタートアップが預金引き出し
・210億ドル分の債券を売却すると発表。売却損は18億ドル
・さらに22億ドルの増資を発表
・信用不安でさらにスタートアップが預金引き出し
・経営破綻を発表
肥大したバランスシートをおそった「金利の逆ざや」
それぞれの項目を細かく見てみよう。19年ごろから、米国ではスタートアップのバリュエーション(企業価値評価)が大きくなった。低金利を背景としてVCによる投資が急増。その結果、スタートアップのメインバンクであるSVBの預金も増えた。
急激に膨らんだ預金額は預貸のバランスを崩した。銀行持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの貸借対照表(バランスシート、BS)を見ると、19年以降に預金に占める貸出比率が低下し、手元資金が増える傾向にあったことが分かる。預金者に金利を支払うため、手元資金を運用する必要に迫られた。
SVBは手元資金でMBSなどを買いあさった。SVBファイナンシャル・グループの財務諸表によれば、20年末で495億ドルだった有価証券残高は1年後には1285億ドルに急拡大した。この施策が今回の破綻の根幹をなしている。
一方、コロナ禍が落ち着きを見せ始めた22年、米国ではインフレーションが起こった。FRBが政策金利を段階的に引き上げ、SVBの預金金利も上昇した。
利率の変化によって「金利の逆ざや」が生じた。預金者に支払う預金金利が4%程度に上昇した一方、SVBが保有するMBSの運用利率は1.6%程度にとどまった。時間がたつにつれて資本が目減りする構造だ。1990年~2000年代に日本の生保業界を苦しめた逆ざやと同じ状況と言える。日本では中小生保が逆ざやに耐えきれず次々に破綻した。
次第にMBSの価値は減少。SVBファイナンシャル・グループの財務資料によれば、22年末時点でのMBSを含む満期保有目的有価証券(Held-to-maturity securities=HTM)の簿価は913億ドル。一方で実勢価格であるフェアバリューは761億ドルとなった。この時点で含み損を約152億ドル抱えていたわけだ。
HTMは満期保有すれば簿価通りの価値を持つ。しかし、売却すれば当然フェアバリューの価値しかない。つまり、売ったら152億ドルもの損失を計上しなければならないので、SVBとしては売るに売れない状況だった。
「流入した預金でバランスシートが巨大化した半面、SVBがそれまで得意ではなかった『市場での運用』というリスクを取らざるを得なくなった。通常、銀行では調達と運用の期間管理をするが、SVBがどの程度リスク管理をしていたのか不明だ」。外資系金融機関での経験が豊富なインサイトパートナーズ合同会社の芦澤公二代表は、こう解説する。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00511/031200013/?SS=imgview&FD=-1039926986
SVBファイナンシャルグループの監査済みバランスシート。マーカー部が満期保有目的有価証券の含み損を示す箇所。監査人はKPMG(SVBの資料に本誌がマーカーを加筆)
一方、金利上昇はスタートアップにも影響を与えた。投資が細りVCからの資金調達が減ったスタートアップの多くは、資金繰りを懸念して預金を引き出した。
預金流出の加速で手元資金が減ったSVBは、キャッシュ確保のために有価証券の売却を迫られた。HTMは売ろうにも売れないので、売却可能有価証券(Available-for-sale securities=ABS)をかき集め、3月8日に210億円ドル分のABSを売却したと発表。税引き後利益ベースで18億ドルの損失を計上している。
SVBファイナンシャル・グループはキャッシュショートのリスクがあると踏み、同日に普通株発行による22億5000万ドルの調達を発表。同社の資料では「金利上昇が続いており、顧客のキャッシュ消費が増えると予想される」とした。
しかし、この売却損と増資の発表は結果として信用不安につながった。米報道によれば、複数のVCが投資先スタートアップに預金の移動を指示。3月9日には株価が6割下落した。スタートアップによる防衛的な預金引き出しが殺到し、3月10日にFDICの管理下に入ることになった。同日、カリフォルニア州当局はSVBが債務超過状態だと認定した。
短期的な影響は軽微か
SVBの銀行としての価値は、スタートアップに対する理解力と小回りにあった。スタートアップに対しては、「ベンチャーデット」と呼ばれる借入資金調達サービスを提供していた。
例えば、スタートアップが半年後に新商品の発売を控えているとする。発売後の方がバリュエーションは上がる傾向にあるため、資金調達は半年後以降にしたい。ただ、資金繰りの観点からつなぎ融資がほしい。こうした状況下で大手銀行に融資をお願いしても、「長ければ数カ月かかってしまう」(米国スタートアップの幹部)。VCの幹部も「正直、スピード感で大手銀行は話にならない」と解説する。
SVBは普段からスタートアップコミュニティーで情報を収集していた。みずから有限責任組合員(LP)の一員となってスタートアップ投資をすることで、融資を求める企業の与信評価が迅速かつ適切に行える。スクラムベンチャーズの創業者でジェネラル・パートナーを務める宮田拓弥氏は「ファンドレイズまでの期間をブリッジするデットファイナンスに大きな価値があった」と語る。
SVBと取引がある米国スタートアップの経営者は「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)企業の場合、SVB側も月々のサブスクリプション売上高がある程度は見える。例えばその3倍の金額をラインオブクレジット(短期運転資金融資)として確保するなどのサービスを受けることができた。経営者にとっては大きな安心感となっていた」と打ち明ける。
SVB破綻の短期的な影響は、週明け3月13日以降のスタートアップの資金繰りだと考えられていた。少なくとも3月10日午前以降にSVBの全口座は凍結されており、預金の引き出しや移動はできなかった。米国では給与を月2回支払う企業が多く、13日の週に給与支払いのための出金が必要になる。SaaS企業などは利用するクラウドなどベンダーへの支払いもある。一時的に、これら支払いへの対応を迫られるからだ。
スクラムベンチャーズの場合、100社強の投資先企業のうち、SVBにしか口座を持っていなかったり、複数の銀行に口座を持つが一部をSVBに預金していたりする企業は10%以下だという。
宮田氏は米財務省による預金全額保護が決まる前、本誌に「(口座凍結で)単純に支払いに困っている企業には、売り上げの請求書を担保に短期的に融資してくれる金融機関を手当てしたいと考えている。可能性は低いと思うが、エクイティのニーズがあれば全面的にサポートする予定だ」と投資先に対する支援を説明していた。
ただし、預金全額保護の決定で週明け13日からのリスクは一旦は回避されたと言えるだろう。
これはシリコンバレーの終焉なのか?
中長期的な影響を見通すことは難しい。当局はSVBの引き受け手を探していると見られ、スポンサー企業がこれまで同様にスタートアップ特化の金融サービスを提供する可能性も否定できない。
その上で、SVB破綻の中長期的影響は2つに大別できる。
1つは、他の金融機関に対する影響だ。08年の金融危機のような連鎖破綻の恐れはないのか。スクラムベンチャーズの宮田氏は「今回の破綻は、米国経済の根本的な課題が引き起こしたわけではない」として「我々の理解としては、金融機関の連鎖破綻の可能性は低いと考えている」と分析する。
破綻の経緯で前述したように、SVB破綻の原因は膨らんだ預金の運用とそのリスク管理にあった。トレジャーデータ取締役会長の芳川裕誠氏は「重要なのは融資先スタートアップの“焦げ付き”が、SVB破綻の原因ではないという点だ」と指摘する。「確かに現在、テック企業の株価はスランプだが、この破綻がシリコンバレーやテックの終わりかと言えば、全くそんなことはない」(芳川氏)。
MBSの焦げ付きと信用不安はどの銀行にも起こり得る現象であり、シリコンバレー固有の問題ではないからだ。
裏を返せば、MBSを運用していた他の金融機関も同じ問題を抱えている恐れがある。報道では、米ファースト・リパブリック・バンクも簿価とフェアバリューの乖離を指摘されている。同行は3月10日、継続的な安全性と流動性を示す資料を公開した。「預金基盤は強固で非常に分散されている」とし、「テクノロジー関連の預金は預金総額の4%に過ぎない」と強調した。
しかし顧客の信用不安は広がっており、10日はカリフォルニア州の同行のATMに長蛇の列ができるなど、預金流出が進んでいると見られる。米財務省による預金全額保護は信用不安を解消する狙いがあるが、予断を許さない状況だ。
ファースト・リパブリック・バンクの米メンローパーク支店。米国時間3月12日昼時点ではATMに列ができるといった混乱は見られなかった
もう1つは、シリコンバレーのスタートアップ・エコシステムに対する影響だ。「非常に使い勝手の良い銀行」(米国西海岸のスタートアップ経営者)が消えた損失はいかほどか。
3月8日以降、このスタートアップ経営者のもとには、計6、7社の金融機関から借り換えを促す連絡が入ったという。SVBが得意としたベンチャーデットの代替となるサービスを提供しようと、既に米国金融機関が動き始めている予兆と言える。
SVBのシェアが高いとはいえ、米国でスタートアップにデットサービスを提供する銀行は存在する。コメリカバンクやファースト・リパブリック・バンクがその筆頭だ。
Sozo Venturesの中村氏は「現状でも、SVBだけに口座を持っているVCやスタートアップはほとんどない。多くが他の金融機関にも口座を保有し、使い分けている」と説明する。もしSVBのようなサービスがなくなっても「代替サービスが登場する可能性が高い」(スクラムベンチャーズの宮田氏)。
例えば、米スタートアップのBrexは3月10日、シリコンバレーバンクの顧客に対し緊急融資枠を提供すると発表している。「13日週の早々にも緊急資金を提供する」という。先のスタートアップ経営者は「ピンチはビジネスチャンスでもある。この機にビジネスを拡大しようと考えているフィンテックスタートアップは多いだろう」と見る。
史上2番目の規模の銀行破綻で米国には衝撃が走り、市場にも不安が広がった。急転直下の預金全額保護でスタートアップへの当面の悪影響は回避された。ただし、他行も含め状況は予断を許さず、行く先を注視する必要がある。
-
8:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/15 (Wed) 04:56:27
-
シリコンバレーバンク、SNS時代の「取り付け騒ぎ」の舞台裏
2023.3.14
武田 安恵
日経ビジネス記者
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00116/031400075/
2008年のリーマン・ショックで破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ規模の銀行破綻となった、米銀シリコンバレーバンク(SVB)。破綻までの詳しい経緯は
「米シリコンバレーバンクが破綻 米財務省が緊急措置 急転直下の3日間」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00511/031200013/
で詳しく報じた。
現在、SVBは預金保険制度を運営する米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下にある。預金保険対象外の預金支払いにSVBの売却資金を充てるための、スポンサー探しも始まった。現在、米大手投資銀行のJPモルガン・チェースなどの名前が取り沙汰されている。SVB英国部門については英金融大手HSBCホールディングスが1ポンドで買収する。
1983年の設立以来、SVはシリコンバレーのスタートアップやベンチャーキャピタル(VC)から預金を集め、彼らへの融資をなりわいとすることで成長してきた。破綻騒動の発端となったのは3月8日の発表だ。
(写真=China News Service / Getty Images)
このところの米テクノロジー産業の不振を受け、SVBでは新興企業が資金を引き出す動きが相次いでいた。SVBは資本増強策としてこの日、210億ドル(約2兆8300億円)の有価証券の売却と、エクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)による22億5000万ドルの資金調達を発表した。この際、有価証券の売却によって18億ドルの損失を計上したことも明らかにしている。
一見、他の企業でも見られそうなニュースだ。だがSVBの場合は、預金者を安心させるための情報開示がかえってパニックを助長してしまった。
SVBがカリフォルニアの規制当局に提出した文書によると、発表翌日の9日に、SVBの預金者が預金全体の24%に相当する420億ドル(約5兆6500億円)を引き出した。SVBの手元資金は不足し、9億5800万ドルの現金不足に陥った。SVBと規制当局は対応に乗り出したものの、十分な資金を調達できず同行は10日、破産を宣言した。
ここで、1つの疑問が浮かび上がる。預金者は8日の発表の何に反応して資金引き出しに走ったのか。
理由としてまず挙げられるのが、SVB固有の問題への懸念だ。SVBは総資産約2120億ドルのうち、半分以上の約1200億ドルを債券投資に充てていた。長期の国債やMBS(住宅ローン担保証券)を中心としたポートフォリオだ。債券は金利上昇局面では、価格が下落するため含み損が出る構図になる。こうした資産運用のリスクが顕在化し、資金流出が加速した。
SVBの顧客が大口の法人中心だった点も裏目に出た。約3万7000人いたとされる顧客の1口座当たりの規模は平均400万ドル(約5億4000万円)だった。1口座ごとの預金額が大きいと、流出スピードも速い。
コーポレートガバナンスの観点からも問題を抱えていたことが、指摘されている。同社の最高リスク責任者であるローラ・イズリエタ氏は、22年4月に約400万ドル(約5億4000万円)相当にのぼる株式を売却し、直後に辞任している。23年1月に後任が決まるまで、最高リスク責任者は1年近く空席のままだった。この間、米連邦準備理事会(FRB)は金利を急速に引き上げ、リスク資産の評価損も増えていった。
だが、銀行セクターに詳しいピクテ・ジャパンの大槻奈那・シニア・フェローは、「SVBの破綻は、財務内容の劣化というよりも、取り付け騒ぎなどにより流動性が枯渇するタイプの破綻だった」と話す。
マネックス証券の岡元兵八郎チーフ・外国株コンサルタントも、今回の件は「突発的な出来事でマーケットも予想できなかった」と語る。シリコンバレー銀行の親会社であるSVBフィナンシャル・グループ(SIVB)の分析を行っているアナリスト23人のうち売り推奨を行っていたのは1人しかいなかった。65%のアナリストはホールド、そして30%のアナリストは買い推奨だったことからも、流動性枯渇型の銀行破綻の側面が強いことがうかがえる。
取り付け騒ぎと聞くと、顧客が銀行前に行列をつくり、預金を引き出そうと、固く閉ざされた銀行の門をドンドンたたくシーンが思い浮かぶ。「ぼくのお金を返して」と、子どもが叫び、その声を聞いた人々が一斉に銀行窓口へ預金引き出しに走る。ディズニー映画「メリー・ポピンズ」の終盤のクライマックスがその典型例だろう。
だが、21世紀の取り付け騒ぎの舞台は、ツイッターやインスタグラムなどのソーシャルメディアだった。米ブルームバーグの報道によれば、米著名起業家のピーター・ティール氏が運営するファウンダーズ・ファンドが投資先企業に、SVBから資金を引き揚げるよう助言したという。ほかにも、大手VCが顧客にSVBから資金を引き揚げるよう提言していた。
こうした話が、ベンチャー経営者のツィッターなどで広まり、預金者の危機感が高まった。「スタートアップエコシステムを支えていた銀行を、自分たちで潰してしまうとは、シリコンバレーはつくづく怖いところだ」。2100万ドルの資金を失う可能性があると公表したフィンテック企業、米レンディングクラブの関係者はこう語る。
SVB破綻直前の8日には、暗号資産関連の投資を手がけていた米シルバーゲート・キャピタルが経営に行き詰まり自主清算を発表している。9日には同社傘下で、新興の暗号資産企業に銀行サービスを提供するシルバーケート銀行も業務縮小を発表した。このような出来事も、預金者の不安心理を増幅させた。
前出のレンディングクラブの関係者は「不必要なパニックを大手VCがあおったのには、何か理由があるはずだ」と見立てを話す。
同関係者は、同時期にSVBのグレッグ・ベッカー最高経営責任者(CEO)から預金者に連絡があった旨も明かしている。ベッカー氏は「SVBには十分な流動性があります。SVBが危機であると、みなさんが噂をしなければ」と語ったという。取り付け騒ぎを何とか鎮静化しようとしたのだろう。「市場には『催促相場』という言葉があるが、ベンチャーキャピタリストたちは、不安をあおって現在FRBが急速に進める利上げをけん制しようと動いたのかもしれない。実際、利上げで資金調達コストが上がり、困っているVCは多いからね」(関係者)
大統領が「銀行は安全」と呼びかけ
典型的な「取り付け騒ぎ」から始まったSVBの「突然死」。その後、米銀29位でニューヨーク州に基盤を持つシグネチャーバンクが閉鎖されるなど、影響が広がり始めた。シルバーゲート銀行同様、同銀も暗号資産関連企業との取引が多い銀行として知られていた。
他の金融機関への波及を避けるため、米国財務省とFRBは、シリコンバレーバンクの預金者すべての預金を保護する計画を発表した。預金全額を保護するのは極めて例外的な措置といえる。
バイデン大統領も動いた。「銀行システムは安全だと米国民は自信を持っていい。銀行に預金しているすべての人々は安心すべきだ。預金は保護され、いつでもアクセスできる」と米国時間13日朝に演説を行い、国民に平静を呼びかけた。
大統領自身が株式市場や銀行取引が開始する週明け朝に呼びかけることで、混乱を回避しようとする狙いがあったとみられる。13日の米国市場は、ダウ30種工業株平均、S&P500株価指数は前営業日に続いて続落したが、長期金利の低下を受け、ハイテク株で構成されるナスダック総合株価指数は上昇している。
ひとまず「止血」
破綻に伴う市場の混乱。だがSVBに資産の5%を預けていたあるベンチャー起業家は「リーマン・ショックで多くの銀行が資本を増強したにもかかわらず、SVBの破綻は避けられなかった。『高速破綻』に備える仕組み、つまり流動性枯渇を防ぐ新たな規制が必要なのではないか」と語る。混乱の火種は、まだくすぶり続けている。
-
9:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/16 (Thu) 08:10:22
-
森永康平 (経済アナリスト) 「世界金融崩壊突入か⁉︎」「#クレディスイス 銀行 や #ブラックロック に破綻連鎖の影響 は?」おはよう寺ちゃん”残業中!”3月15日(水)
https://www.youtube.com/watch?v=xtIKvgK_EBM
-
10:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/16 (Thu) 22:24:40
-
【緊急公開】クレディ・スイスは次のリーマン・ブラザーズ?危機が囁かれる理由を解説
つばめ投資顧問 2023/03/16
https://www.youtube.com/watch?v=Gv5C0_DPyk8
クレディ・スイスの経営危機が囁かれています。その本質はどこにあるのでしょうか?過去のアルケゴス・キャピタルの例も参照しながら、今後の動向について解説します。
-
11:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/17 (Fri) 06:48:25
-
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
2023年3月16日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34648
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏が、自身のブログにおいてシリコンバレー銀行の破綻について不吉なことを語っているので紹介したい。
シリコンバレー銀行の破綻
主にアメリカのシリコンバレーで営業していたシリコンバレー銀行が破綻した。アメリカの歴史上第2位の規模の銀行破綻ということで話題になっている。
この銀行が何故、どのように破綻したのかについては、筆者が説明した記事を参照してほしい。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
ダリオ氏は主にこの破綻の意味とその後の経済全体への影響について語っている。
まず、ダリオ氏は筆者と同じくこのイベントを起こって当然のものと見なしているようだ。彼は次のように述べている。
これは通常7年(プラスマイナス3年程度)続く短期の債務サイクルにおける非常に典型的なバブル崩壊時に起こる非常に典型的なイベントだ。
彼の言う7年ほどの短期の債務サイクルとは何か。中央銀行や政府が緩和を行ない、最初にはそれで経済が活性化されたように見えるが、それで調子に乗った政府と有権者はますます緩和に入れ込み、そして経済が過熱し始める。そして政府と中央銀行は過熱を冷却するために引き締めを強いられ、バブルは崩壊する。
それまでに大体7年ほどかかる。2000年のドットコムバブル崩壊のあとに始まった低金利政策は、アメリカの不動産バブルを経て2008年のリーマンショックで崩壊した。その後に始まった量的緩和バブルは2018年の金融引き締めによる世界同時株安で終了した。
世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
そして2020年に始まったコロナ緩和は、緩和の規模がこれまでのものより大きい分、派手に崩壊することになるだろう。
ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
繰り返されるバブル崩壊
そもそも緩和を止めておけば良いのに、政府と有権者は馬鹿げたバブルの生成と崩壊を繰り返し、その度に不必要に資産を失ってゆく。
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
インフレの人為的な醸成は、インフレを抑える段階において本来必要ではなかったはずのコストを経済にもたらす。以下の記事を熟読してみると良い。
ハイエク: インフレ減速後の失業増加は避けられない
だがバブルは繰り返す。人間の知性は7年では変わらないからである。しかしサイクルは毎回まったく同じわけではない。ダリオ氏は次のように説明している。
毎回のサイクルでバブルになるセクターは異なっている。例えば2008年のリーマンショックではバブルは住宅用不動産に偏っていた。
そして今はキャッシュフローがマイナスになっているようなベンチャー企業や非上場企業、そして商用不動産会社などの、高金利と金融引き締めが受け入れられないような企業だ。しかし自己強化的な債務縮小トレンドは同じである。
以下の記事で説明したように、シリコンバレー銀行の破綻は顧客であるシリコンバレーのスタートアップたちが金融引き締めで金欠になったことが原因である。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
シリコンバレーにはユーザはいるが収益は上がっていない自転車操業的な企業が大量にある。中央銀行が経済から資金を吸い上げるとき、そういう企業が真っ先に資金難に陥る。
そしてその窮状はその企業の取引先に波及する。シリコンバレー銀行はそうしたスタートアップが金に困り預金を引き出したことで潰れた。
ダリオ氏は次のように述べている。
この事態へのわたしの理解と、これまでの出来事に基づけば、今回のシリコンバレー銀行の破綻は炭鉱のカナリアであり、この初期のイベントはドミノ倒しになってベンチャー業界とその外にまで波紋を広げるだろう。
波及する金融引き締め
このように金融引き締めは波及してゆく。潰れた企業の取引先がまた潰れる。
そしてそれは何処まで続くのか? ダリオ氏は次のように予想する。
金融引き締めが信用の伸びを抑え、インフレは自己強化的な負債と信用の縮小に移行し、それはドミノ倒しのように伝染していって中央銀行が緩和に転じるまで続く。
それは去年から筆者が予想していたシナリオである。
アメリカは2年以内に利下げする、2年物国債の買い開始 (2022/12/17)
そして今回のシリコンバレー銀行の破綻によって市場はそれを織り込み始めた。
シリコンバレー銀行破綻で年内の利下げを予想し始めた金利先物市場
すべて予想通りである。そしてまだ何も終わっていない。まだ始まってさえいない。
ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
結論
もう何年も言い続けているが、金融引き締めを舐めてはならない。パウエル議長が前回金融引き締めを行なった2018年にも筆者は同じことを言ったのだが、今回も誰も学んでいないようだ。
世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)
今回の金融引き締めは2018年の2倍なのである。
米国の量的引き締め、今月から2018年世界同時株安の時の2倍の規模に拡大 (2022/9/2)
そもそも張本人のパウエル議長自身が金融引き締めの威力を再び舐めているのだから、もうどうしようもない。政府や中央銀行は紙幣印刷が経済に何を及ぼすのかも理解していなければ、引き締めを行う時にも結果がどうなるのかを理解していない。
現金給付も金融引き締めも同じである。子供に核兵器のボタンを預けてはならない。政治家に経済を任せているとはそういうことなのだが、いまだに誰も理解しないようだ。
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
世界最大のヘッジファンド : 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34648
-
12:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/17 (Fri) 08:15:44
-
ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
2022年9月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426
ジョージ・ソロス氏のクォンタムファンドを率いたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏が、Palantirによるインタビューでインフレと株価について語っている。
金融緩和のない世界
長らく低金利と紙幣印刷によって押し上げられてきた株式市場が窮地に立たされている。アメリカで行われたコロナ後の莫大な現金給付が遂に2021年からインフレを引き起こし、金融緩和が出来なくなったからである。
マイナード氏: 株価が暴落しても中央銀行はもう助けに来られない
だがこの金融緩和がいつから始まったか、知っている投資家が(もしそれを知らずに投資家と呼べるのであればだが)どれだけ居るだろうか。
ドラッケンミラー氏は次のように述べる。
1982年から始まった金融市場の上げ相場は、特に直近の10年においてブーストされたが、それを生み出したすべての要因は、無くなっただけではなく、逆流している。
2021年まで続いていた金融緩和の時代は、1982年に始まった。それから約40年間、緩和はアメリカの金利を下げ続け、米国株の上げ相場を支えてきた。アメリカの長期金利のチャートは次のようになっている。
リーマンショック以降は政策金利がゼロになってしまったので、紙幣印刷に移行して株価は更に押し上げられた。そしてコロナ後の現金給付がとどめとなり、物価が高騰し始めたのである。
世界最大のヘッジファンド: インフレになって驚いているリフレ派は馬鹿じゃないのか
ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
リーマンショック後の低インフレに対応するために行われたゼロ金利と大量の紙幣印刷、つまり量的緩和政策は、ほとんどすべての資産価格をバブルにした。
インフレと金融引き締め
だがインフレが起これば40年間株価を支えてきた金融緩和はもはや出来なくなる。緩和を続ければインフレが更に酷くなるからである。
それどころか、中央銀行は今や利下げと量的緩和の逆をやっている。利上げと量的引き締めである。
米国の量的引き締め、今月から2018年世界同時株安の時の2倍の規模に拡大
中央銀行は緩和を止めただけではない。これまで下げてきた金利を上げ、ばら撒いてきた紙幣を吸収しているのである。
ドラッケンミラー氏は次のように言っている。
今や中央銀行は禁煙した喫煙者のようだ。ポルシェを時速300キロで運転していて、アクセルから足を離すだけではなく急ブレーキを踏んだらどうなるか。
わたしの意見では、1966年から82年のように、最高でも10年間横ばいになる可能性が高い。
「最高でも横ばい」というのは上がる見込みがまったく無いと言いたいのである。彼は今年、株価の下落に賭けて利益を得ている。
ドラッケンミラー氏、株式と債券を大量空売りに成功 株安は続く
1966年から82年の米国株がどうなったかと言えば、次のようになっている。
数字の上では米国株が長らくほぼ横ばいとなった16年間である。その中には株価がほぼ半値落ちとなった1974年の暴落を含んでいる。
横ばいと言うにはジェットコースターな株価の推移だが、実際にはこの期間、米国株は長期で見ても横ばいであったわけではない。
何故ならば、1970年代は物価高騰の時代であり、ドルの実質的価値が暴落した期間だからである。
途中で株価が半分になるような暴落に耐えた結果、最終的には投資した当初と同じ量のドルを何とか確保したとしても、1966年のドルと1982年のドルではまったく価値が違う。紙幣の価値が下がるのがインフレだからである。100ドルで買えたものが100ドルでは買えなくなっている。
では、ドルの価値はこの期間どうなったのか? CPI(消費者物価指数)を使って1966年1月のドルの価値を1とすると、その後のドルの価値は以下のように変化している。
1982年12月までにドルの価値は67%減価している。つまり、株価が横ばいでも実質的にはその価値は1/3になったということである。
現在のインフレは当時よりも酷い
だがアメリカ経済は1970年代の物価高騰からその後復活したではないかという主張もあるかもしれない。しかしドラッケンミラー氏によれば、当時のような幸運はもはやないかもしれない。彼は次のように言う。
当時幸運だったのは、そのような環境でも成功できた会社があったということだ。Apple Computerなども当時創業された。
1970年代のインフレの時代に続く1980年代と言えば、AppleやMicrosoftなどが新商品を出していったIT革命の初期であり、その後もアメリカはIT分野において革新を行ない続けた。
だが今はどうか。Appleを含むスマートフォンメーカーは、毎年バージョン番号だけは変わったが中身は大して変わっていない新商品を出し続けている。
そもそも何故アメリカ経済は紙幣印刷に頼らなければならなくなっているのか。少なくとも当時と同じような産業革命は起こりそうにない。
脱グローバル化による物価上昇
更に、ドラッケンミラー氏は物価を抑えてきたもう1つの要因を語る。
当時はグローバル化の初期段階だった。グローバル化はその後世界を1つにし、生産性を向上させ低インフレをもたらした。
Appleなどが栄えた1980年代は、グローバル化社会の黎明期でもあった。Appleなどは中国や台湾の工場で生産することで安価なスマートフォンを提供している。
経済学者ならば誰もが同意するだろうが、グローバル化は物価を押し下げた。先進国の高給な労働者が作っていた商品は途上国の安価な労働力で作られるようになり、パソコンや自動車など多くの製品の価格が下がった。
それは貿易が自由に出来たからだ。だが今や、ヨーロッパやアメリカや日本は無意味にロシアからの輸入を止めている。
制裁で安くなったロシア産原油、欧米に転売される
ロシア、西側の制裁でルーブルが上がりすぎて困り始める
それはグローバル化がもたらしてきた物価下落の逆回しを意味する。特にロシア産のエネルギー資源や食品に依存していたヨーロッパは日本人には想像できないようなエネルギー・食糧危機に見舞われている。
ドイツの政治家、カーボンニュートラルのために風呂に入らないことを推奨
EU、食料価格高騰の最中、代替食品としてトノサマバッタを推奨
「だがそれはロシアだけではないか」と人は言うかもしれない。だがレイ・ダリオ氏によれば、ウクライナ問題は東西対立の序章に過ぎないようだ。
世界最大のヘッジファンド: ウクライナは世界秩序をめぐる戦争の始まりに過ぎない
彼の見方が正しければ、 脱グローバル化によるインフレはこれから加速することになる。そうなれば当然、インフレ率は上昇し、株価を押し下げている金融引き締めも更に強くなってゆく。これは40年前のインフレにはなかったことである。
結論
要するにこういうことである。1970年代と同じ規模の景気後退と株価暴落は不可避であり、他の条件を考慮すれば、恐らくそれよりも酷い状況がこれから長く続く。
資産運用を仕事にしたことさえない金融庁の話はよく聞くにもかかわらず、ドラッケンミラー氏のような資産運用業界で最高の頭脳の話は聞かない人々は、きっと素晴らしいリターンを市場から得るだろう。金融市場とは本当に素晴らしい場所であると筆者は心から考えている。
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ドラッケンミラー氏、個人投資家の投資スタイルを酷評
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/28426
-
13:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/18 (Sat) 06:32:47
-
ガンドラック氏: シリコンバレー銀行破綻でアメリカの景気後退が近づいた
2023年3月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34713
筆者の他に金利低下を予想し続け、シリコンバレー銀行の破綻に伴う金利急落で利益を得た人物がいる。DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏である。
CNBCのインタビューからシリコンバレー銀行破綻に対する彼の反応を紹介しよう。
シリコンバレー銀行破綻
以下の記事で説明した通りだが、シリコンバレー銀行は顧客であったシリコンバレーのスタートアップたちがFed(連邦準備制度)の金融引き締めで窮地に追い込まれたことによって破綻した。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
それで少し前までソフトランディング期待まで出ていたアメリカ経済に途端に暗雲が立ち込めている。筆者やガンドラック氏は市場がどうなろうが景気後退に賭けてきたが、市場の方は喜んだり悲しんだり忙しそうである。
ガンドラック氏: 景気後退入りは保証されている
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
誰かが言っていたが、市場で勝つためには誰もが酔っ払っている時にしらふでいることである。
長短金利逆転が示唆する景気後退
さて、では実際アメリカ経済はどうなるのだろうか。シリコンバレー銀行破綻を経て見通しは何か変わっただろうか。
解説記事に書いたように、シリコンバレー銀行の破綻自体は、Fedによる未曾有の金融引き締めで既に経済に起こっていた大規模な損失の一部分に過ぎない。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがこのイベントを受けて金融市場では様々な動きがあった。そしてガンドラック氏はその中で長短金利差に注目している。
長短金利差とは、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものである。
通常は期間が長いほど金利が高いので長短金利差はプラスだが、2年物国債は今後2年の政策金利を織り込む一方、10年物国債は金利とより長期の経済動向に左右されるので、中央銀行が無理に利上げをしてそれが景気後退をもたらすと市場が予想する場合、2年物国債の金利が上がる一方で10年物国債の金利はそれほど上がらず、長短金利が逆転することがある。
そして長短金利が逆転するとき、つまり市場が利上げのやり過ぎを警告するとき、ここ数十年ではほぼ間違いなくアメリカ経済は景気後退に陥ってきた。
以下は長短金利差のチャートである。グレーの部分が景気後退であり、長短金利差がマイナスになってからグレーの部分が現れていることに注目したい。
2022年には筆者は物価高騰がこの状態を引き起こすことを予想し、長短金利の逆転に賭けるトレードを行なって利益を上げたことは読者も知っての通りである。
長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について (2022/4/4)
シリコンバレー銀行破綻で長短金利差に異変
その長短金利差はその後もマイナス幅の拡大を続けたが、シリコンバレー銀行の破綻を受けてこの動きが少し変わっている。
ガンドラック氏は次のように説明している。
長期国債は今、2年物国債よりも価格上昇が小さい。だからイールドカーブは大きく急勾配になったというか、逆イールドの度合いが大きく減った。これはまさに景気後退の最後の兆しで、景気後退が比較的早く来ることを意味している。
過去何十年にわたるすべての景気後退では、長短金利差の逆転が縮小してから数ヶ月で経済は景気後退に陥っている。
長短金利の逆転は、利上げが行き過ぎているというサインである。だが2年物国債の金利が高い水準にある限り、市場はその高い短期金利が持続可能だと考えているということになる。
それはいずれ景気後退をもたらすが、当面は金利は高くなることを意味している。
だが長短金利差のチャートの最近の部分を見ると次のようになっている。
シリコンバレー銀行の破綻を受けて長短金利逆転が急激に戻している。
長短金利逆転が解消するとき
これは何を意味するのだろうか。長短金利が大きく逆転していたときは、2年物国債の金利は政策金利が当面高く保たれることを意味していた。だがシリコンバレー銀行の破綻で2年物国債の金利が大きく下がり、長短金利の逆転は緩和された。
つまり、長短金利差のチャートは元々「政策金利がこれから高くなり過ぎるので長期的には経済が沈む」ことを予想していたが、今や「政策金利を高く保てないほど景気後退が差し迫っている」ことを予想していることになる。
したがってガンドラック氏はシリコンバレー銀行の破綻によって景気後退がいよいよ近くなったと言いたいのである。彼は次のように述べている。
長短金利逆転がピークに達していた先週には、4ヶ月から6ヶ月以内に景気後退が起こる可能性は低かった。
だが逆転が解消され始めている今、 4ヶ月から6ヶ月以内の景気後退が妥当に思えてくる。
インフレ政策の結末もいよいよ大詰めである。少し前までソフトランディング期待が囁かれていたことを考えると急展開ではないか。だが経済危機における相場とはそういうものである。短期的な市場の動きに惑わされないよう頑張ってもらいたい。
ガンドラック氏の景気後退予想: 現金給付のツケを払うことになる
ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34713
-
14:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/18 (Sat) 17:32:57
-
教えて!ワタナベさん アメリカで意識の高い系が悲鳴を上げている#シリコンバレー銀行破綻[R5/3/18]
https://www.youtube.com/watch?v=wWlV4YdZkAg
-
15:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/19 (Sun) 04:05:21
-
ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
2023年3月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34751#more-34751
引き続きDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回はFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている部分を紹介したい。
中央銀行によるシリコンバレー銀行救済
シリコンバレー銀行の破綻はアメリカの歴史上2番目の規模の銀行破綻となった。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
上記の記事で説明したように、シリコンバレー銀行は端的に言えば預金者に預金を返せなくなったわけだが、バイデン大統領はほとんど躊躇なく預金者を救済すると決定した。
失くなった金はもうないのだが、中央銀行がどうにかするということである。
だがここで矛盾が生じる。これまでに何度も説明した通り、アメリカ経済はウクライナ情勢ではなくコロナ後の現金給付のお陰で物価が高騰している。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
だから今度はFedはばら撒かれた紙幣を回収するために去年から金融引き締め政策を行なってきた。それが去年からの株安を引き起こしている。
米国の量的引き締め、今月から2018年世界同時株安の時の2倍の規模に拡大 (2022/9/2)
しかし市場から資金を回収していたはずのFedが、シリコンバレー銀行の破綻でいつの間にか金を出す羽目になっているではないか。ガンドラック氏は次のように言っている。
インフレ政策が戻ってきている。Fedは資金の貸出制度を通じて銀行システムに資金を注入している。去年の8月か9月からのパウエル議長のインフレ打倒の決意はもう何処かへ行ってしまったようだ。
ちなみにFedは1週間で3,000億ドルを貸し出したようだ。その内1,430億ドルはシリコンバレー銀行とその後続いて破綻したシグニチャー銀行に行ったようだが、残りが何処に行ったのかFedは公開していない。だが他にも資金を必要とした銀行があった(しかも破綻した2行が必要とした金額より多い)ことは確からしい。
ちなみにアメリカのGDPは26兆ドルなので、3,000億ドルは1%強にあたる。GDPの1%以上の資金が1週間で注ぎ込まれたわけである。
ガンドラック氏はバイデン政権のこの対応について次のように述べている。
これはインフレ政策だ。そしてそれはもしかすると短期的にリスク資産にプラスかもしれない。リスク資産はインフレ政策と中央銀行のバランスシート拡大が大好きだからだ。後者はもう長い間選択肢になかったものだ。
インフレ政策がもう帰ってきた
バイデン氏が預金者を保護すると躊躇なく言った時、嫌な予感がしたのは筆者だけではないはずだ。
何故ならば、政治家と中央銀行家が本当にインフレ退治をやるのかということがずっと筆者や著名投資家の疑問として残っていたからだ。経済学者ラリー・サマーズ氏や投資家のスタンレー・ドラッケンミラー氏はそれを疑っていた。
ドラッケンミラー氏: 経済が強い時に引き締めを続けるのは簡単だが
サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
インフレ退治は対価を伴う。1970年代の物価高騰では、当時のボルカー議長がインフレ退治のために高金利を徹底して継続した結果、経済は落ち込み巷には失業者が溢れた。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
それこそがインフレを引き起こしてはならない理由である。紙幣ばら撒きで一時的に利益を得たような気分になることに対して後で払う代償が大きすぎる。その代償とは物価高騰と大量失業である。
パウエル議長は言葉の上では「どんな代償を払ってもインフレ退治をやる」と繰り返してきた。だが銀行が1つ潰れただけでFedの行動は既に彼の言葉の反対に行っている。
しかし以下の記事で解説したように、シリコンバレー銀行は氷山の一角に過ぎない。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
これから同じようなことがいくらでも起きるが、パウエル氏はどうするのか。
Fedは緩和に転じるのか
この状況は、あわよくば利上げをしてもソフトランディングになるのではないかと希望的観測をしてきたパウエル議長に打撃となっているはずだ。ガンドラック氏は次のように言う。
この状況はパウエル議長の計画をかなり狂わせている。インフレ打倒は一時停止となっている。
何度も言うように、金融引き締めを舐めてはならない。インフレを退治して経済を殺すか、退治せずに物価が青天井を突き抜けるか、どちらかである。
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
だからシリコンバレー銀行の破綻くらいで一々救済しなければならないようでは、完全に先が思いやられる。以下の記事で説明した通り、2023年の倒産の連鎖は始まったばかりだからである。
ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
結論
少し前まで投資家は、経済が弱まってもパウエル氏がインフレ退治をやり切るのか疑問に思っていた。だが今回の件で半ば答えは出たのではないか。ガンドラック氏は次のように言っている。
景気後退に逆らって緩和をしたいが金がない場合、インフレ政策を行うしかない。
何も倒産させないインフレ政策は政治的に一番簡単な解決策だ。
だがリーマンショック以降、経済救済のために必要な金はどんどん増えており、しかも紙幣印刷の副作用は増え続けている。遂にインフレが起こった。次はどうなるのか。
ガンドラック氏は次のように続ける。
これまで景気後退の度にあらゆる救済を行なってきた。2008年には銀行システム全体を救済する必要があった。今回は中央銀行を救済する必要があるかもしれない。
2023年のアメリカ経済は景気後退に陥る。そうして政府と中央銀行はまた金をばら撒くのだろうか。だが金をばら撒いたから今のインフレ危機が起きているのではないのか。
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
こうして問題は経済危機を経る度に雪だるま式に肥大化し、人々は最初から分かりきっているインフレの地獄に自分から入ってゆく。
よほど居心地が良いのだろう。 入りたい人は入って行けば良い。インフレを願う人にはインフレが降ってくるのである。良かったではないか。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34751#more-34751
-
16:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/19 (Sun) 13:46:13
-
シリコンバレー銀行は意図的に破綻されられたか?
2023.03.19
SVB破綻で利益を得る人間はツイッターを舞台に危機を煽った
ツイッターで繰り広げられた策謀
2023年3月10日に経営破綻したシリコンバレーバンクは潜在的な資金不足に陥っていたがすぐに経営破綻するほど困窮しておらず、むしろ破綻を煽る人々が扇動したのが分かってきた
この顛末は2022年10月29日にソウルで発生した雑踏事故に少し似ていて、当時坂の上から事故を起こそうとして「押せ押せ!」と騒いでおしくらまんじゅうのように押した集団が居た
坂の下では数百人が転倒した後も大音量で流れる音楽に合わせて踊る人々が居て、倒れた人達と記念撮影で”自撮り”したり財布を抜き取る連中まで存在した
当日混雑し混乱していたのは事実だが、無数の煽る連中が居なければ集団転倒事故には至らなかったと想像できる
加えて行政と警察と企業の不作為があり、ソウルでは自分の土地からはみ出して道路を狭くするのが常習化していて、行政は見逃し警察は職務怠慢だった
シリコンバレー銀行の場合も坂の上から押したグループのようにSVBの破綻を望み煽った連中が居て、ライバル企業が危機を宣伝したのが判明している
2022年12月にニューヨークの大手銀行へ、スタートアップ企業創業者から口座を開設したいという申し込みが増え、彼らは皆SVB銀行からの乗り換えだった
銀行が事情を利くと創業者らはベンチャーキャピタル(投資ファンド)から「シリコンバレー銀行が経営破綻し預金を引き出せなくなる」という警告を受けていた
大手のVCや競合他社はツイッターを舞台にシリコンバレー銀行を潰そうとし、噂を広める事で取り付け騒ぎを起こして実際に経営破綻させた
アップフロント・ベンチャーズのマーク・サスターは次のような言葉で騒動を煽った連中が居たのを非難している
「映画館で火がついていないのに”火事だ”と騒いで自分が真っ先に脱出し、家で祝杯を挙げている」そういう連中が居ると指摘した
やはりVCプライマリーのブラッド・シュルガは「過去48時間にわたってSVBの取り付け騒ぎを起こし金融機関を転覆させた」「この惨事はVCがSNS上でヒステリックに喚いた事で引き起こされた」と発言した
シリコンバレー銀行の破綻を望んだVCの中には破綻すれば利益を得られる手法で投資していた者が居て、最も熱心に破綻するよう仕向けたと想像できる
シリコンバレー銀行は確かに投資環境悪化や米金利上昇で打撃を受けては居たが、経営破綻するほとの緊急事態ではなかった
SVBは山一證券や長銀ではなくゴルフ会員券担保の乱脈融資やバブル投資していた訳では無かった
破綻を望み煽った連中が居た
シリコンバレー銀行は日本の銀行のように単に融資するだけはなく起業家のスポンサーで教師で支援者も兼ねた『親のような存在』と言われていた
例えば個人で起業する時大きな負担になるビジネスやIT系ソフトウェアは1本数万円以上するが、SVBは自社で契約して無償で提供してくれた
創業者はもうWindowsもオフィスもアドビもCADも何もかも無料で使い放題になり、企業が成長すればお金の心配なく活動できた
日本の銀行は審査に数週間かけて結局ノーと言うがSVBは担保なしで即決融資、こうした文化が米巨大IT企業を次々に生み出した
SVBは40年前資金繰りに苦労していた学生起業家の為に教授が創設した銀行で、学生や創業者を「王様のように持てなした」と言われてきた
大手銀行に相手にされないような貧乏学生をSVBは一人前の起業家のように扱い融資や指導し、無料の旅行にも招待して成功するまで導いた
SVBはそうしたスタートアップ企業の新規上場株(IPO) で儲けていたが2017年頃からIPOは下火になり替わりに米国債に投資した
だがインフレ対策でFRBは急激な利上げを行い、利上げすると国債が値下がりするのでSVBは損失を被った
破綻するほどではなかったがSVBの破綻に賭けた連中はツイッターで「明日破綻してお前の預金はなくなるぞ!」と触れ回り回収騒ぎを起こした
そして実際に経営破綻してしまったというのが真相でした
https://www.thutmosev.com/archives/2537169.html
-
17:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/20 (Mon) 02:10:20
-
利上げをすることはインフレを抑えると同時に銀行危機を悪化させることであり、利下げをすることはインフレを悪化させると同時に銀行問題を和らげることである。
インフレ退治を断行し、かつ銀行問題を解決するような選択肢は存在しない。
サマーズ氏、シリコンバレー銀行破綻後も利上げ継続を訴える
2023年3月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34785
アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、シリコンバレー銀行の破綻とアメリカの金融政策について語っている。
シリコンバレー銀行破綻と利上げ
長らく続く物価高騰を抑制するため、Fed(連邦準備制度)による金融引き締めが続いており、それがシリコンバレー銀行破綻の原因になったことを以下の記事で説明した。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
米国時間22日にはFedは次の利上げに関する決定を下すが、シリコンバレー銀行破綻の後、今後の利上げ動向についての市場の見解は大きく揺れている。
市場は元々前回の倍の利上げ幅となる0.5%利上げの可能性も織り込んでいたのだが、シリコンバレー銀行破綻後にはまずその可能性が消えて利上げなしの可能性まで織り込まれ始めた。
しかしその後ECB(欧州中央銀行)のクリスティーヌ・ラガルド総裁がクレディスイス問題など欧州内の銀行危機にもかかわらず0.5%利上げを決定すると、アメリカでも利上げなしの織り込みが少なくなり、現在では62%の確率で0.25%の利上げ、38%の確率で利上げなしとの織り込みになっている。
サマーズ氏はまずラガルド氏の利上げ断行について次のように述べている。
ラガルド女史は素晴らしかった。
彼女は金融システムに問題がある時にでも必要なインフレ抑制政策を遂行できることを示した。
また、インフレと金融システムの安定という2つの問題に対しては別々の方法で対応でき、インフレの問題を犠牲にしなくて済むということを示した。
そしてサマーズ氏のこの見解は当然ながらアメリカの利上げについても同じである。サマーズ氏は次のように続ける。
多くの意味でこれがFedの手本になることを願う。
次の会合ではFedが0.25%利上げを出来れば良いと思う。
利上げは銀行問題を加速しないのか?
だが考えてほしい。そもそもこの銀行問題を引き起こしたのはインフレ退治のための利上げであり、もっと詳しく言えば以下の記事で説明したようにマネーサプライの減少という金融引き締めの目的自体が銀行の預金を干上がらせている。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だから利上げをすることはインフレを抑えると同時に銀行危機を悪化させることであり、利下げをすることはインフレを悪化させると同時に銀行問題を和らげることである。
しかしそれでもサマーズ氏は利上げを推奨する。そして利上げをしなければ物価と銀行システム両方にとって悪い結果になると主張する。彼は次のように述べている。
もしFedが怖気づけば、人々も怖気づくことになるだろう。だから利上げをしなければインフレ期待を悪化させ、かつ経済を弱体化させる可能性がある。
だがこの理屈は厳しいだろう。この理屈では経済がどんな悪い状況にあっても「利上げを止めればFedが怖気づいたことになるから利上げを止めるべきではない」ということになる。
インフレか銀行問題か、どちらかは犠牲になる
結局のところ、インフレ退治を断行し、かつ銀行問題を解決するような選択肢は存在しないのだ。
だがサマーズ氏はそれでも利上げすべきだと言う。それはサマーズ氏の過去の発言と一貫している。彼は去年次のように述べていた。
サマーズ氏: 金融危機が起こっても利上げを継続せよ (2022/10/11)
金融市場の安定に関する懸念を口実に、インフレが長期化することを避けるために必要な金融政策を止めるよう主張するのは間違っている。
サマーズ氏は去年から利上げが経済に大きな問題を引き起こす可能性に言及していた。そしてまさにその状況が起こったわけだ。
だが実際に起こってしまった今、銀行危機など無視して利上げすべきだと言うと過激になる。だから言い方を変えているだけだ。サマーズ氏は銀行問題よりインフレ退治を取るべきだと言っているのだ。
何故ならば、インフレを悪化させると後で更に酷い問題になって帰ってくるからだ。1970年代の物価高騰時代には、インフレ退治を10年も後回しにし続けたために最終的には金利を20%まで上げる羽目になった。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
インフレは今退治して酷い目に遭うか、後で退治してもっと酷い目に遭うか、どちらかである。
もう何度も言っているが、アメリカ経済は詰んでいる。インフレ政策でインフレになった時点で詰んでいるのである。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
銀行を助けて物価高騰かインフレを退治して株価暴落か、どちらかしかないだろう。
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34785
-
18:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/20 (Mon) 17:47:51
-
「裸で泳ぐ」地銀 SVB破綻が鳴らす日本への警鐘
William Pesek
https://forbesjapan.com/articles/detail/61745
日本銀行がこの20年間、利上げに踏み出せなかった理由を知りたい人は、
シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻
https://forbesjapan.com/articles/detail/61567
に手がかりを見つけられるだろう。
カリフォルニア州サンタクララで起きた破綻劇は、8200キロメートルほど離れた日銀本店から見れば対岸の火事なのではないかと思うかもしれない。だが2008年以降最悪となった米銀破綻は、日銀がまさに避けてきたことに端を発している。米連邦準備制度理事会(FRB)が進める「金融政策の正常化」である。
もちろん、SVBの破滅を導いた「犯人」はほかにもいろいろ挙げられるだろう。たとえばドナルド・トランプ前米大統領。トランプの署名で2018年に成立した規制緩和法によって、SVBはより厳しいストレステスト(健全性審査)を免れていた。またSVBの経営陣は、バランスシートをきちんと管理しなければどうなるかの反面教師として、ハーバード大学のMBA(経営学修士)コースで取り上げられるかもしれない。「皆さん、リスクヘッジはしておきましょう」と。
とはいえSVBを窮地に追い込んだ最大の原因は、FRBによる1990年代半ば以降で最も積極的な金融引き締めにある。ジェローム・パウエル議長率いるFRBが2022年から2023年初めにかけて利上げを進めてきた結果、SVBのお粗末なガバナンスは隠しきれなくなったのだ。
「潮が引いて初めて誰が裸で泳いでいたのかわかる」──。ウォーレン・バフェットの格言がこれほど見事にあてはまる事態もそうないだろう。グレッグ・ベッカー最高経営責任者(CEO)のチームは、顧客の資産を預かる受託者としてあまりに無防備だったと言われても仕方あるまい。
そして、こうした「潮が引く」シナリオこそ、過去20年、日銀が恐れてきたものである。植田和男次期総裁は旧来のしがらみにとらわれない「一匹オオカミ」的な金融政策に乗り出すと見込んでいる人もいるかもしれないが、ことはそう単純ではない。
1999年、日銀は世界で初めて政策金利をゼロに引き下げた。2001年には、当時未踏の領域だった量的緩和(QE)に足を踏み入れた。以来、日銀はそこから抜け出せていない。2006年から2007年につかの間、ごくわずかな利上げをしたものの、その後は「量的緩和」沼にますます深くはまり込んでいる。
やがて日本は、ただ同然で借りられるフリーマネーに依存するようになった。銀行や企業、保険や年金などの基金、大学、巨大な郵政グループ、そして政府は、フリーマネーを当たり前のもののように考えるようになった。代償は大きかった。20年におよぶ量的緩和によって、日本のアニマルスピリットはすっかり弱くなった。
日銀の巨大なATMがあるおかげで、この間の日本の歴代政権は、非効率な行政手続きの改善や労働市場の規制緩和、起業の促進、生産性の向上、女性のエンパワーメント、外国からの人材誘致拡大といった課題に向き合わずにすんだ。
2012年、日本の有権者は、脱デフレに向けた思い切った改革を公約に掲げた安倍晋三率いる自民党を政権に復帰させた。これは前年、日本の国内総生産(GDP)が中国に抜かれたこととも無縁ではないだろう。
だがその安倍元首相は、みずから改革に汗を流すのではなく、日銀にもっと大胆なQEをさせようと2013年3月、新総裁に黒田東彦を据えた。黒田はそれをやり、世界は円であふれかえった。日銀のバランスシートは2018年までに、約550兆円規模の日本GDPを超える規模に膨れあがった。
この政策は日本経済をあちこちで下支えし、円安効果で企業に歴史的な高収益をもたらした。しかし10年たった現在、黒田日銀は機会喪失と厄介な副作用という負の遺産を残している。
黒田が市場にお金をジャブジャブ流しても、日本経済は成長しなかった。それどころか、企業の経営者たちから、イノベーションやリストラ、ガバナンス改革、リスクテークへの意欲をそぐことになった。しかも最悪なことに、中国は同じ時期、経済力を高める政策を強化していた。
これに関しては黒田よりも、彼を失敗へと追いやった政治家たちに大きな責任がある。もし自民党がなにがしかサプライサイドの大きな改革を打ち出していたら「ユニコーン」の創出レースでインドやインドネシアに遅れをとることはなかったのではないか。
日本の人口約1億2600万人の半分を占める女性は、これ以上ないほど低い待遇を受けている。また、今年ようやく、そこそこの賃上げを認めてもらえそうな日本の労働者は、深刻な物価高に悩まされている。賃上げは生産性の向上を伴わなければ、日本のインフレ問題を悪化させるだろう。
日本のデフレを終わらせたのは、日銀ではなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻だった。しかもこのインフレは、世界的なエネルギー価格や食料価格の上昇が波及した「悪い」たぐいのものだ。
来月就任する植田新総裁は、こうした経済的な地雷原に足を踏み入れなくてはならない。そして今回のSVB破綻は、日銀にとって、みずからも銀行業界の大混乱を引き起こしかねないという恐怖をいや増す出来事になったに違いない。
日本には「大きすぎてつぶせない」巨大銀行がいくつもある。だが日本政府はかねて、本当の弱点は全国におよそ100行ある地方銀行にあるとみてきた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が始まった当初の時点で、日本の全預金の半分近くは地銀が保有していた。
何年も前から、日本の地銀の利益はゼロ金利や少子高齢化の影響で細ってきている。政府は破綻回避のために地銀の経営統合を促し、地銀側にはコスト削減やバランスシートの強化を求める一方、合併の見返りに日銀への預金に追加の利息を支払うといったインセンティブも提供している。
だが、こうした地銀再編はなかなか進んでいない。世界の投資家のなかには日銀が量的緩和政策のUターンに踏み切ることに賭けている機関もあるだけに、これは日銀にとっても悩ましい問題だ。「裸で泳いでいる」地銀はないか、それを見極めるのが植田にとって大きな課題になるだろう。
脆弱な地銀はシステミックリスクを招きかねないのに加え、日銀の流動性も枯渇するおそれがある。逆に、より大きく、強固で、自信つけた地銀は貸し出しを増やし、日銀の火力を高めてくれるかもしれない。
もし岸田文雄首相に日本の金融システムを安定化させ、日本のエンジンをあらためて最適化する計画があるのなら、いまこそ世界の投資家に知らせる絶好の機会だと思われる。現状に甘んじれば、より合理的な金融政策を策定しようという植田新総裁の意欲を損なうことになるだろう。
海を隔てた米国で起きたSVBの破綻は、自民党と日銀に、日本経済を正常化させる時が来たと告げる警鐘になった。裸の真実とは痛いものだ。
(forbes.com 原文)
https://forbesjapan.com/articles/detail/61745/page3
2023.03.13
米シリコンバレー銀行の破綻について知っておくべきこと
Conor Murray | Forbes Staff
https://forbesjapan.com/articles/detail/61567
米連邦預金保険公社(FDIC)は3月10日、カリフォルニア州を拠点に主にスタートアップ企業向け融資を行う銀行のシリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻し、すべての預金を管理下に置いたと発表した。
2022年12月末時点の総資産は約2090億ドル(約28兆円)、総預金が1754億ドルのSVBは米国で16番目に大きい銀行に位置づけられていた。同社の破綻は、銀行の破綻としては2008年の金融危機時に破綻したワシントン・ミューチュアル以来の規模となった。
SVBの持ち株会社のSVBフィナンシャルグループは8日に210億ドル相当の有価証券を売却して18億ドルの損失を出し、経営危機を回避するために22億5000万ドルの増資計画を発表した。しかし、取り付け騒ぎに見舞われたSVBを救済する金融機関は現れず、10日にFDICが管理下に置いた。
ピーター・ティールが運営するファウンダーズファンドを含む複数のベンチャーキャピタルは9日、投資先企業にSVBから資金を引き上げるよう助言していた。Yコンビネータのプレジデントのゲイリー・タンも、SVBへのエクスポージャーの抑制を検討するよう呼びかけ「どんな理由であれ、資金がなくなればあなたのスタートアップは死んでしまう」と述べていた。
一方、SVBフィナンシャルのグレッグ・ベッカーCEOはその日の電話会議で、顧客に「落ち着く」よう呼びかけたが、CNBCは10日朝、SVBフィナンシャルの資本調達の試みが失敗に終わり、身売りの交渉が頓挫したと報じた。FDICは、SVBの預金を新たに設立した銀行のDeposit Insurance National Bank of Santa Claraに移管し「保険対象の預金者は13日朝までに資金にアクセスできるようになる」と説明した。
SVBはパンデミック時の低金利を追い風に、VCやスタートアップから預金を集め、2020年初頭に600億ドルだった預かり残高は、2年後に2000億ドルを超えていた。米国の銀行は多額の資金を米国債や他の債券に投じているが、米連邦準備制度(FRB)がインフレ抑制のために急ピッチで金利を引き上げる中で、債券価格は下落し、SVBも含み損を抱えていた。
想定を超える預金の引き出し
一方で、金利の引き上げによってSVBの顧客であるスタートアップは新たな資金調達に苦戦し、SVBの口座から資金の引き上げが相次いだ。想定を超える預金の引き出しに直面したSVBは、やむなく価値が下がった資産を売却し、18億ドルの損失を発生させた。
8日には、暗号資産に特化したシルバーゲート銀行が破綻し、それに続くSVBの破綻は、2008年の金融危機とも比較されている。しかし、バンク・オブ・アメリカのアナリストのエブラヒム・プーナワラは、SVBとシルバーゲートは、特に金利上昇に弱い業界である暗号資産やスタートアップ業界を事業基盤としており「特定の銀行に固有の状況から生まれた危機」が市場全体に広がると予測するのは、行き過ぎだと指摘している。
一方、J.P.モルガンやウェルズ・ファーゴ、 シティグループなど全米最大級の銀行の株価は、9日に下落した後、10日に上昇した。
(forbes.com 原文)
https://forbesjapan.com/articles/detail/61567
-
19:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/21 (Tue) 02:51:47
-
世界最大のヘッジファンド、銀行危機の株価暴落と金融緩和への発展を予想
2023年3月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34804
シリコンバレー銀行の破綻が世界的な銀行危機へと発展しているが、今日は世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏のブログから、株価と金融政策の予想を書いた部分を紹介したい。
世界的な銀行危機に
シリコンバレー銀行とシグニチャー銀行の破綻に続き、アメリカではファーストリパブリック銀行、ヨーロッパではクレディスイスの危機が話題になっている。
一気に金融危機の様相である。何故こうなったのか? 以下の記事でも説明したが、まず第一の理由は、インフレ対策の金融引き締めの目的そのものが世界に存在する預金の量を減らすことにあるからである。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
もう何度も説明したことだが、現在の物価高騰の本当の原因はコロナ後の現金給付であり、ウクライナ情勢ではない。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
お金をばら撒いてインフレになったのだから、それを解決するにはばら撒いたお金を金融引き締めで回収するしかない。だがそうすれば経済全体に存在する預金の総量(より正確にはマネーサプライ)が減ってゆく。そして銀行は資金不足に陥る。
債券暴落が銀行株暴落に繋がっている
だが銀行の問題はそれだけではない。彼らは預かった預金で債券などの資産を買っている。そして去年には金融引き締めで債券価格は大きく下がった。
ダリオ氏は次のように説明している。
銀行のような金融の仲介者たちは崩壊しつつある資産バブルに対してもっとも大きく信用買いしているので、現在の状況に特に影響されやすい。
信用買い、つまり人から借りたお金で資産を買っていることが問題となる。そしてそれは銀行のビジネスそのものである。
金融引き締めは資金の借り手に大きな影響を及ぼす。買っている資産が暴落する一方で、借りている借金には大きな金利が付いてしまうからである。こう書けば今銀行が危機に瀕している理由が分かるだろう。
だから筆者もずっと言い続けているように、アメリカの歴史上2番目の規模の銀行破綻となったシリコンバレー銀行の破綻は氷山の一角に過ぎない。ダリオ氏も次のように言っている。
現在はまだ経済縮小トレンドの序盤なので、世界中で信用買いされている資産の量を考えると、シリコンバレー銀行の破綻の後に多くの問題が続く可能性が高い。
まだ序盤なのである。問題は始まったばかりであり、何も終わっていないし、何もほとんど始まってすらいない。にもかかわらず巷では大騒ぎになっている。
暴落相場の始まり
これからどうなるか。財政不安に陥ったシリコンバレー銀行のような企業はどういう行動を強いられるか。彼らは保有資産を売って現金を確保することになる。実際、シリコンバレー銀行はそうしたが、現金は結局足りなかった。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがここで考えなければならないのは、こうした瀕死の企業が資産をどんどん売れば、資産価格は更に下落するということである。
この問題がどういう結末を迎えるについて、ダリオ氏はいくつか箇条書きにしている。彼は次のように続ける。
多くの経済主体が資産を非常に低い価格で売ることを強いられ、多くの損失が報告され、資金の貸し出しの更なる縮小に繋がる。
この意味で、この暴落トレンドは「自己強化的」なのである。資産価格が下落するほど銀行や企業が窮地に陥り、銀行や企業が窮地に陥るほど資産は更に売られてゆく。
そして株式投資家に重要なのは次の部分だろうか。
株価の価値低下。例えば株価が将来のキャッシュフローの現在価値を保守的に評価した価格よりもかなり低い値段で売られる。
米国株の動向
現在、米国株は次のように推移している。
筆者の計算では、この株価にはまだ現在の高金利どころかこれまでの低金利による底上げ分が乗ったままである。
リーマンショックから10年以上続いた低金利相場では、株価は「保守的な評価」からかなり底上げされた形で取引されてきた。だがダリオ氏は株価が今度は保守的な評価よりもかなり低い値段で売られると言っている。
他のファンドマネージャーの従来からの見方と同じである。
ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
中央銀行はどう動くか
こうした状況に対してFed(連邦準備制度)はどう動くだろうか。インフレ打倒のためにこれまで続けてきた金融引き締めはどうなるのか?
ダリオ氏は次のように結論している。
問題がシステム全体を脅かし、Fedは緩和、銀行規制当局は資金と信用と保証を余儀なくされる。
これまでは金融緩和よりも金融引き締めが適切のように見えた。だがこれから問題が持ち上がり、Fedと銀行規制当局が救済に動かなければならなくなるまでそれほどかからない可能性がある。
ダリオ氏の結論は緩和である。シリコンバレー銀行の預金者の預金を保護したことが既に緩和になっているというジェフリー・ガンドラック氏の議論もある。
ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
Fedはこの件でGDP1%分の貸付を行なっており、それだけでも結構な額なのだが、それはまだ局所的な緩和である。
それは利下げと量的緩和という本格的な金融緩和に発展し、 例えばジョン・ポールソン氏の言うような金価格高騰へと繋がってゆくのだろうか。
ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
ダリオ氏は次のように纏めている。
経済縮小の今の段階ではFedが緩和するには早いが、システム全体への脅威と救済の副作用のトレードオフが難しくなるにつれて彼らがどうするかを注視しよう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34804
-
20:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/21 (Tue) 12:50:36
-
【Front Japan 桜】クレディスイス破綻 これからどうなる国際金融[桜R5/3/21]
https://www.youtube.com/watch?v=gOFu_HH7oxQ
キャスター:渡邉哲也・福島香織
-
21:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/22 (Wed) 01:13:28
-
ガンドラック氏、無価値になったクレディスイス債券の保有者におむつ卒業を薦める
2023年3月21日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34835
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がPension & Investmentsのインタビューで、シリコンバレー銀行やクレディスイスなどの銀行危機について語っている。
事前に分かったはずのシリコンバレー銀行破綻
まずシリコンバレー銀行についてだが、破綻した経緯を決算書を見ながら解説した記事で、破綻前には次のような状態だったことを説明した。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
この数字を見れば、預金者が預金の1割でも引き出そうとすれば、シリコンバレー銀行はたちまち現金不足に陥るということが分かる。
更に、シリコンバレー銀行破綻のもう1つの原因は保有していた債券がアメリカの金融引き締めで下落したことだが、ガンドラック氏は次のようにコメントしている。
シリコンバレー銀行は米国債やモーゲージ債を買っていた。国債は、テレビを付けて国債金利がどうなっているかを見れば何かを推測する必要もなく価格が分かる。単純なことだ。モーゲージ債も同じだ。価格がどうなっているかを知ることは非常に簡単だ。
だからシリコンバレー銀行のこうしたポートフォリオに何故誰も注意を払っていなかったのかまったく分からない。
これも決算書を読んで多少の計算をすればすぐに分かる話だ。だがシリコンバレー銀行の株式や債券を持っていた人々はそれをやらなかった。シリコンバレー銀行内部の人間さえそれをやらなかった。ガンドラック氏は皮肉まじりに次のようにそれを批判している。
シリコンバレー銀行でリスク管理とやらを担当していた人間は希望的観測と呼ばれるリスク管理の手法を使っていたようだ。
希望的観測によれば預金の取り付け騒ぎは起こらず、下落している債券の価格は希望的観測によればもうすぐ再上昇する。
誰もエクセルを持っていなかったようだ。
愉快な話だが、エクセルを持っている投資家がどれだけいるだろうか。自分の保有している株式や債券について必要な計算をしている投資家がどれだけ居るだろうか。
それをしていない人は、知らずの内にシリコンバレー銀行の株式を抱えているかもしれない。
ガンドラック氏はこう続ける。
それぐらいやるべきだ。金などかからないだろうに。
クレディスイスの破綻と買収
さて、最近危機に陥ったもう1つの銀行がある。スイスの銀行大手のクレディスイスである。
こちらは破綻の前にライバルであるUBSに買収された。スイス当局が関わった上でのディールである。
ガンドラック氏はこちらについては次のようにコメントしている。
クレディスイスは別の銀行危機の前触れではない。クレディスイスは元々まぬけな銀行だった。リーマンショックからほとんど立ち直ったことさえなかった。ドイツ銀行の株価がクレディスイスのように推移すればもっと心配するだろうが。
クレディスイスがこれまでUBSに吸収合併されていなかったことの方がむしろ驚きだ。
クレディスイスは潰れて当然との見方である。筆者も同意する。
クレディスイスの債券無価値化
だがこのクレディスイス救済には特異な点が1つある。こうした救済劇では誰かが損失の責任を負って犠牲とならなければならないが、通常その責任を負うのは株主である。通常は株式が無価値になってから買収が行われる。
しかし今回のクレディスイス救済では債券が無価値になった。クレディスイスに貸していたお金が返ってこなくなったということである。
普通は株価が無価値になるのに、今回は何故債券だったのか? 理由は単純だ。無価値となったクレディスイスの債券には、クレディスイスが危機に陥った時にはスイス当局が減損できるという条項が含まれていたからだ。
それで他の銀行の債券も暴落している。大多数の銀行の債券にはこうした条項はないのだが。
スイス当局としてはこの条項発動はやりたくなかっただろうが、それをやって借金がチャラになったクレディスイスでなければUBSは買収しないと言ったのだろう。
だが条項が存在する以上、その条項は使われる可能性がある。しかし市場には減損できる債券が減損されて怒っている投資家がたくさんいる。ガンドラック氏はそれについて次のように述べている。
Bloombergによれば、減損条項付きのクレディスイスの債券を愚かにも持ち続けていたトレーダーたちが、減損されたと言って怒っているようだ。
マジで? おむつを卒業してから鏡の前に立ってみろよ。罵るべき相手はそこにいるだろう。リスク管理を勉強することだ。
すべての投資家は是非ともエクセルを確保すべきだろう。 そうすればおむつを卒業することができる。ポートフォリオを確認してみるべきだ。他人のふり見てわがふり直せである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34835
-
22:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/22 (Wed) 13:59:11
-
クレディ・スイスショック回避へUBSが買収
2023.03.22
有名なセリフも変わるのかも知れない
画像引用:https://dukupartner.com/bank/ ゴルゴ13の金を預かるスイス銀行も大変だ・決めセリフはこれ! _ デュークPRESS
クレディ・スイスショック
2023年3月10日にアメリカのシリコンバレー銀行が経営破綻したのを皮切りに影響が波及し、クレディ・スイスが事実上経営破綻し買収先が決まった
買収するのは同じスイスのUBS銀行だが、クレディスイスの損失に対してスイス政府が60億ドルの保障を求め、スイス政府は巨額の資金供給を約束した
クレディ・スイスは先週急に経営危機に陥ったのではなく数年に渡って不祥事や失敗を積み重ね、シリコンバレー銀行破綻がトドメの一撃になった
クレディ・スイスは富裕層向けに特別サービスを提供する銀行として150年の歴史を持ち絶大な信用を得ていたが、その地位を揺るがす事件が起きていた
2022年6月にはブルガリアの非合法組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を阻止できなかったとして、スイスの大手銀行として初の有罪が言い渡された
今までスイスの銀行は顧客の情報を守る事で知られていたが2001年の911テロをきっかけにマネーロンダリングへの批判が強まっていた
武装組織や非合法組織はスイスの金融機関にお金を預ければ秘密を保護されたが、今では通用しにくい考え方になり修正を余儀なくされている
ゴルゴ13は仕事を受ける時スイスの銀行に300万ドルを前払いさせていたが、これからはビットコインで受け取るようになるかも知れない
スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)は23年2月に、破綻した英金融ベンチャーのグリーンシル・キャピタルに絡む投資で深刻な違反があったと認定した
クレディ・スイスのリスク管理手法に落ち度があり、投資先の利害関係者に業務を担当させるなどしたため多額の損失を被った
21年7月には投資銀行部門で最高リスク責任者(CRO)を務めたラルフ・ハフナー氏がアルケゴス・キャピタル・マネジメント問題で退社した
21年に破綻した米投資会社アルケゴスに絡みクレディ・スイスは業界最大44億スイス・フラン(約5200億円)の損失を被っていた
それまで秘密のベールに隠されていた部分が明るみに出てみると、クレディ・スイスは投資のプロとは言い難い事を色々しでかしているのが分かってきた
戦々恐々とする金融界
情報開示によってスイスの銀行もアメリカやイギリスの銀行と同じ基準で比較されるようになり、投資家や監査機関の評価によって株価や経営状態が左右された
クレディ・スイスは23年3月19日、UBSによる買収の一環としてスイス当局の指示の下、160億スイスフラン(172億4000万ドル)相当のAT1債を無価値化すると発表した
買収するUBSは債務を「買う」気はさらさらないので、当局は負担を軽減する為に投資家が持っている債権の一部を払わなくて良い事にした
同債券を保有している投資家や投資機関からは怒りの声が出ているが、スイス当局は「クレディ・スイスの資本増強につながる」と意に介していない
UBSはクレディ・スイスを買収する条件としてスイス政府に60億ドルの保証を要求していたが、スイス財務省は90億スイスフラン(約1兆2000億円)の政府保証を約束した
UBSのケレハー会長は会見で「クレディ・スイスの投資銀行業務を縮小しわれわれの保守的なリスク管理に合わせていく」と発言した
リーマンショックの再来と懸念されたクレディ・スイスショックを回避できたのに欧米の金融関係者は安堵しているが、スイスとUBSはクレディスイスというゾンビ銀行を抱え込むかも知れません
わずか10日で米シリコンバレー銀行、クレディスイスという2つの世界的の地位を持っていた金融機関が破綻した事で、影響の拡大が懸念されている
来週にはどこか別の有名金融機関の問題が表面化しているかも知れず、 各国の担当者や金融機関責任者は戦々恐々としている
https://www.thutmosev.com/archives/2550045.html
-
23:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/03/23 (Thu) 18:47:15
-
737回シリコンバレー銀行破綻【中・上級編】
髙橋洋一 チャンネル
2023/03/23
https://www.youtube.com/watch?v=NkMQcVUtzSg
-
24:保守保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/02 (Sun) 19:41:24
-
サマーズ氏: ソフトランディングは非常に難しい
2023年4月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35302
アメリカの元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏が、Bloombergのインタビューで銀行危機とFed(連邦準備制度)の金融政策について語っている。
インフレと銀行危機
市場では今2つのことが注目されている。1つはシリコンバレー銀行の破綻に始まる世界的な銀行危機で、もう1つは短期的には弱まりつつあるものの長期的には懸念されているインフレだ。
インフレは複雑な状況になっている。最新の状況については以下の記事を参考にしてもらいたい。
2月の米インフレ率はサービスの加速示す、利上げで抑えればハードランディングへ
Fedは難しい状況に置かれている。インフレを懸念するならば高金利継続、銀行危機を懸念するならば金利を下げなければならない。
この状況についてサマーズ氏は次のように述べている。
経済はいま分岐点にある。1つの可能性は、銀行危機が波及せず信用に大きな影響を与えずに過ぎ去り、インフレが深刻化してFedが市場の織り込みよりも大きく引き締めをすることになること、もう1つの可能性は経済の減速が深刻になることだ。
どちらも起こり得る可能性に見える。
これはなかなか珍しい議論のように見える。何故ならば、筆者や著名投資家たちは全員が景気悪化を予想しているからだ。
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
ガンドラック氏: アメリカは数ヶ月で景気後退、利上げ撤回へ
銀行危機がこれだけでは終わらないというのは筆者には予想というよりは事実のように思える。
銀行危機における議論で多くの人が間違っているのは、シリコンバレー銀行が今後経済にどういう結果をもたらすかを考えていることだ。シリコンバレー銀行の破綻は危機の原因ではない。結果である。
そして危機の原因は高金利である。高金利がシリコンバレー銀行の顧客であったシリコンバレーのスタートアップを苦しめ、預金を引き出したことが危機の発端となった。以下の記事で解説した通りである。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だからシリコンバレー銀行の破綻が経済に何をもたらすかではなく、高金利がどういう結果をもたらすかを考えなければならない。
そして高金利がシリコンバレー銀行とその顧客を破綻させたのならば、高金利が続く限り他の銀行も破綻してゆくはずだ。当たり前ではないか。
サマーズ氏は天才的な経済学者だが、投資家ではないので市場の力学を軽視する傾向にある。高金利が市場経済にとってどういうものかは経済指標には出にくい。だが投資家は経済の裏で動いているそういう力学を重視する。GDPや失業率にそれが表れる時には危機はすべて終わっているからである。
逆に市場の動向を追求し、債券市場が景気後退を示唆し続けていたことを根拠に今の状況を当て続けているのが債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏である。
ガンドラック氏: アメリカは数ヶ月で景気後退、利上げ撤回へ
2022年序盤にはサマーズ氏はインフレ予想について誰よりも正確だった。だがここからは投資家のターンかもしれない。経済動向の予想というよりは金融危機の予想が必要となるからである。
1度では終わらない経済危機
だがサマーズ氏は銀行危機がこのまま終わる可能性を考えながらも、実際にはそうではない可能性を懸念しているらしい。ただの経済学者ではないところが彼の凄いところである。彼は次のように述べている。
過去の金融危機を深く研究すれば、逆風は大きなものが一度だけ起こるわけではないことが分かる。
ベアスターンズの破綻からリーマンブラザーズの破綻まで6ヶ月あった。
リーマンが破綻した週でさえ株式市場は上昇に向かっており、Fedは利下げをしなかった。その週のFedの声明文ではインフレが大きく懸念されていた。
スコット・マイナード氏の次の言葉が思い出される。
エビデンスに基づけば、Fedの予想は常に間違っている。
リーマンショックの時は、もっと厳密に言えばリーマンブラザーズの破綻の1年半前に危機の兆候は表れていた。住宅価格がピークを迎えたからだ。以下の記事で詳しく説明している。
リーマンショック時における米国株、政策金利、住宅価格の推移
それが既にアメリカ経済にとってのチェックメイトとなっていた。だが誰もがそれを無視した。ジョージ・ソロス氏は当時の著書『ソロスは警告する』の中で次のように述べている。
2007年春、ついに終わりのはじまりがやって来る。住宅ローン大手のニュー・センチュリー・ファイナンシャル社が、サブプライム問題が原因で倒産したのだ。そこから先は、私のバブルのモデルでいう「黄昏の期間」である。住宅価格が下がりはじめているにもかかわらず、ゲームの終了が読み取れない参加者が、まだ大勢残っている段階だ。
リーマンブラザーズの破綻は2008年の秋である。
アメリカ経済の行方
銀行危機とインフレという二重苦に迫られたアメリカ経済について、サマーズ氏は次のように纏める。
ソフトランディングは最良の状況下でも非常に難しいだろう。
筆者は2022年の始めからずっと言っているが、アメリカ経済は既に詰んでいる。現金給付などのインフレ政策が見事にインフレを引き起こした時点ですべて終わりなのである。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
それが銀行の破綻などの個々の問題に表れているに過ぎない。だが株式市場はここ数日上昇している。以下はS&P 500のチャートである。
銀行危機前の水準を上回って推移している。
だがこの状況についても筆者は事前に次のように書いて予想しておいた。
世界最大のヘッジファンド: 経済クラッシュで量的緩和再開まであと1年以内 (2023/3/22)
投資家は馬鹿なのでシリコンバレー銀行の破綻ももう少しすれば忘れるだろうが、2008年にベアスターンズの次にリーマンブラザーズが破綻したように、また次の事故が起こることで頭をもう一度叩かれるのである。
まさにその通りになっている。
だがいつ頭を叩かれるか、その日付を厳密に予想することは不可能である。だから短期的な動きは無視して粛々と長期トレンドに賭けることだ。
今の状況は『ソロスは警告する』におけるソロス氏の言葉をもじって次のように言えるかもしれない。
シリコンバレー銀行の破綻がアメリカ経済に対する高金利の影響を明らかに物語っているにもかかわらず、ゲームの終了を読み取れない参加者がまだ大勢残っている。
そろそろリーマンショック前の状況を 復習しておいた方が良いだろう。
ソロスは警告する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35302
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35302
-
25:保守保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/03 (Mon) 04:34:44
-
04-01 中国の金融機関は資金流出を怖れて預金引き出し妨害中
妙佛 DEEP MAX
2023/04/01
https://www.youtube.com/watch?v=PjDNGR4PI3E
-
26:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/12 (Wed) 21:33:20
-
ガンドラック氏: 銀行危機後に中小企業はお金が借りられなくなっている
2023年4月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35667
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、シリコンバレー銀行の破綻後のアメリカの銀行の融資の状況についてTwitterで語っている。
金利が高止まりしている中、アメリカの中小企業はそもそもお金が借りられなくなってしまうのだろうか。
シリコンバレー銀行破綻の影響
以下の記事で説明した通り、インフレを抑制するためのFed(連邦準備制度)の利上げによって、シリコンバレー銀行は破綻した。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
現金をかき集めようとしたものの、売却可能な債券をすべて売っても現金を確保できなかったシリコンバレー銀行の前例を見て、アメリカの地方銀行がどうするのかということが金融市場で注目されている。何故ならば、現金が不足している状況で銀行が一番やりそうなことは、貸し渋りだからである。
当然ながらお金を貸さなければ銀行は現金を確保することができる。シリコンバレー銀行の破綻後、銀行としては当然の選択肢である。
だがシリコンバレー銀行が破綻したそもそもの理由が、シリコンバレーのスタートアップたちが金融引き締めで資金調達に困っていたということである。それでお金を引き出さざるを得なくなり、シリコンバレー銀行から現金が流出した。
その状況で銀行がお金を更に貸さなくなればどうなるか? 銀行の預金者である中小企業には更にお金がなくなり、彼らは更に預金を引き出さなければならなくなるだろう。
銀行危機の負のスパイラル
だがこれらは単に理論上の話である。理論はデータで裏付けされなければならない。
ではシリコンバレー銀行の破綻後、アメリカの中小企業に対する融資の状況は実際どうなっているのか? ガンドラック氏は次のようにツイートしている。
NFIB中小企業向け信用状況指数が急落している(最近の銀行破綻を考えれば当然だ)。指数は今や2007年後半から2008年前半の水準まで落ちている。
NFIBの中小企業向け信用状況指数とは、利用可能な中小企業向けのローンがどれだけあるかを示したもので、NFIBのレポートからそのグラフを引用すると次のようになっている。
出典: NFIB
アメリカの中小企業は着実に融資にありつけなくなっている。
それがシリコンバレー銀行の破綻を引き起こしたのだから当然である。融資の減少と預金の減少はほとんど同義である。預金とマネーサプライがほぼ同義だからである。インフレを抑制するために市中の資金量(マネーサプライ)を抑制するというのは、銀行から預金がなくなるということである。
上のチャートを見れば、ガンドラック氏の指摘通りリーマンショック直前の2007年後半から2008年前半の水準まで落ち込んでいることが分かる。
2008年の大底まで落ち込んでいないのは、2023年版リーマンショックがまだ起きていないからである。銀行は危機が明らかになってから融資を止める。
だから投資家にとって「底値までまだ行っていないから大丈夫だ」という議論は成り立たない。「どこまで状況が悪くなれば売るか」と聞かれた時のジム・ロジャーズ氏の回答をもう一度載せておこう。
ジム・ロジャーズ氏への質問: どれほど状況が悪くなれば自分のポジションを売るか
質問は「状況がどれだけ良ければ」の間違いだろう。状況が本当に酷ければ、底値で売りたくない。
だからリーマンショック直前の水準まで信用状況が悪化していて、しかも株価がまだそれほど落ちていない今の状況は、投資家にとって最悪だと言える。本当に状況が最悪になればそれは買い場だからである。だが今状況は「買い場」に向かおうとしている。
何の根拠もない市場と政府関係者の楽観
あらゆる証拠がアメリカ経済が景気後退に向かっていることを示唆している。株価は下落トレンドを続けており、債券市場の債券利回りはかなり厳しい景気後退を示唆している。住宅価格は下落を続けている。
経済学者のラリー・サマーズ氏が次のように述べていたことを思い出したい。
サマーズ氏: アメリカの雇用は弱く景気後退は近づいている
PMIのような将来に関する今週の数字を見れば、非常に弱い数字となっている。新しい季節調整の適用された失業保険申請者数を見れば、以前より大幅に弱くなっていることが分かる。求人の数は下がってきている。
論理とデータの両方が銀行危機の継続を示唆している。例えばFedの前議長でマクロ経済学者である財務長官のジャネット・イエレン氏であれば、こうした状況について深い洞察を持っているのではないか。彼女は昨日次のように述べている。
信用縮小は可能性の1つではあるが、それが起きているという証拠はまだ見ていない。アメリカの銀行システムは強いままだ。
アメリカ経済は明らかに極めて良いパフォーマンスとなっている。
景気の減速は予想していない。勿論リスクはあるが。
政府関係者は本当にもう駄目なのだと言わざるを得ない。彼らこそ本当に経済予想に関して「明らかに極めて良いパフォーマンス」を叩き出している。
サマーズ氏: 経済予想を間違い続けている中央銀行は自分探しの旅に出るべき
ちなみに株式市場もイエレン氏と同じ意見のようである。3月のシリコンバレー銀行破綻からの値動きを見てもらいたい。
まあ好きに考えれば良いのではないか。彼らが何を考えようが筆者にはどうでも良いことである。頑張ってもらいたい。
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35667
-
27:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/18 (Tue) 05:28:36
-
世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
2023年4月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35881
世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がImpact Theoryのインタビューでシリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機について語っている。
銀行危機は予想できたか
3月のシリコンバレー銀行の破綻は金融業界全体を驚かせた。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だがこの一件はまったく予想できなかったのだろうか? 何の兆候も無かっただろうか。インタビューでそう聞かれてダリオ氏は次のように答えている。
そうなることは明らかだった。
シリコンバレー銀行に起こったことは銀行に限らず世界中のあらゆる組織や人に起こったことだ。
何故そう言えるのか。筆者も解説したが、まずはダリオ氏にシリコンバレー銀行の破綻について解説してもらおう。
ダリオ氏は次のように述べている。
銀行はどういう商売をするか? 銀行は預金を預かる。借金をすることもあるかもしれない。そのお金で負債を買う。
負債の購入はローンの貸し出しという形で行われるかもしれないし、国債などの債券を買うことで行われるかもしれない。
銀行の仕事は基本的に預かったお金を他の人に貸してローン金利を取ることである。
だから銀行には借りたお金と貸しているお金がある。そして中央銀行による金融引き締めによって金利が上がり、資産価格が下落した時、その両面に問題が生じた。
ダリオ氏は次のように説明している。
だが金利が上がった時、銀行が持つ債券の価値が下がった。
預金者の要求も高まった。市場の金利や他の金利を見て銀行から預金を引き出し、別の投資先を見つけようとした。
預金者はお金を引き出し、持っている債券の価値は下がった。それで彼らは破産した。
金融引き締めが資産と負債に影響を及ぼす
しかし考えてもらいたいのだが、これは銀行だけの問題ではない。何故ならば、世界中の多くの企業が投資をするためにお金を借りているからである。
ダリオ氏はこう続ける。
この銀行危機はシリコンバレー銀行だけの問題ではない。銀行だけの問題ですらない。これは世界規模の問題だ。
何故ならば、年金基金や保険会社など世界中のあらゆる組織や人が国債を持っていて、それらの価格は下がっている。そして借金のためのコストは上がっている。
多くの組織が借金をしてまで投資をしている。どうしてそうなったか。1980年から始まる過去40年の低金利政策の成果である。アメリカの金利はコロナ後にインフレになるまで40年間下がり続けていた。
ダリオ氏は言う。
これまで金融政策が緩和的だった。短期金利が非常に低かった。資金はばら撒かれていた。
インフレを引き起こす目的で行われたゼロ金利政策とは、お金を借りるコストがゼロだということである。その結果多くの金融機関がお金を無制限に借りてそれを少しでも金利の付く長期債や値上がりの期待できる株式などに投資するようになった。
これまではそれでも資産価格が上がり続けてきたから何の問題も生じないように見えた。だがコロナ後にインフレ政策が限界に来たとき、ついにインフレが起こった。
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
サマーズ氏: インフレは有権者が紙幣印刷を支持したせい
低金利バブルの崩壊
インフレが起こってしまったならば、もう低金利政策は出来なくなる。金融引き締めが始まり、資産価格が下落を始める。
資産価格の下落も、普通の状況ならば相応のダメージだったかもしれない。別に金融市場が適切に上下することは悪いことではない。だが、40年もの低金利政策の結果、世の中には資金がばら撒かれ過ぎてしまった。
ダリオ氏はこう続ける。
世界中の人々が多くの資産を保有しており、その資産を買うためにお金を借りている。そして資産価格は下がっている。
借金のためのコストは上がり、借金をして買った資産は下落している。低金利に依存した人々には最悪の状況である。その一端がシリコンバレー銀行の破綻だったに過ぎない。破綻のニュースのあとすぐに筆者がこう書いたことを思い出してほしい。
シリコンバレー銀行破綻で年内の利下げを予想し始めた金利先物市場
全部で31兆ドル存在する米国債の価格が利上げによって大きく下落しているのだから、数千億ドルや数兆ドル規模の損失はアメリカ経済に去年からずっと存在しているのであって、数百億ドルのキャッシュフローが尽きて死んだシリコンバレー銀行など氷山の一角に過ぎないし、今更そんなことはニュースでも何でもない。
いつものことだが、ここでは世界最高のファンドマネージャーの言うことを事前に先取りして読者に伝えている。
債務の量と貨幣の量
さて、今回一番考えてほしいのは、債務の量と貨幣の量である。
長年の緩和政策によって大量の借金が積み上がった。中には国債もあれば社債もある。
問題は、それを持っている人(お金を貸している人)は後でお金が返ってくることを前提にそれを持っているということだ。
だが、金融引き締め政策とは市中の貨幣量(マネーサプライ)を減らす政策である。お金をばら撒いてインフレになったのだから、インフレを抑制するためにはばら撒かれた貨幣を回収する必要がある。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
だが債務自体については人々が貨幣が全額返ってくることを想定しているのに、その貨幣の全体量が減ってしまえば、返ってくる貨幣を誰かが諦めなければならないということになる。
当たり前の話ではないか。そしてそれをデフォルト(債務不履行)と呼ぶ。
ダリオ氏はこう続けている。
債券を持っているということは、後でお金を受け取る権利があるということだ。だがその権利が世界中で多過ぎる。
だから債券保有者には2つの可能性がある。お金を満額受け取ることが出来なくなるか、紙幣印刷で価値の薄まったお金を満額受け取るかだ。
どう考えても避けられない二者択一
だから貨幣量を減らす政策(金融引き締め)を続けるのであればデフォルトや倒産は増え続けなければならず、貨幣量を維持するのであれば物価はこのまま高騰を続ける。
貨幣の量と債務の量がどうなるかということを考えればほとんど算数の問題に近い当たり前の結論である。だがシリコンバレー銀行の破綻後も余裕をかましている政府や中央銀行の役人たちにはそれが理解できない。基本的に彼らには経済のことは何も理解できない。
サマーズ氏: 経済予想を間違い続けている中央銀行は自分探しの旅に出るべき
経済不況かインフレ継続か、どちらかしかない。まともな異論があれば聞いてみたいのだが、残念ながら存在しないだろう。
ポールソン氏の2023年株価予想 : 倒産が急増し株価は下落する
アイカーン氏 : 株価はここから30%暴落する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35881
-
28:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/19 (Wed) 09:37:25
-
忍び寄る世界金融危機 米銀発危機の連鎖 焦点は「信用収縮」
4/18
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf456cab7e0660da729ce2e1f2471f2d33ebd19e
米国商業銀行の商工業向け融資基準
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf456cab7e0660da729ce2e1f2471f2d33ebd19e/images/000
「週末、ニューヨークと電話会議に追われた。彼らが注視しているのは、ゆうちょ銀行と農林中央金庫だ」
東京都心のオフィスでそう語るのは米金融業界の関係者だ。3月10日、米シリコンバレー銀行(SVB)が経営破綻した直後から、ニューヨークの本部は邦銀への影響に関心を強めているという。
同じ頃、『ウォール・ストリート・ジャーナル』やブルームバーグなど英語圏メディアも「SVBと邦銀」を結びつける記事を相次いで載せた。例えばロイターは「SVB事態で邦銀の債券保有が焦点、株価上昇は急停止」というタイトルの15日付記事で、「邦銀は債券を大量に保有する点でSVBと共通する。債券利回りが上がると価格は低下することから支払い能力のリスクを抱える」と伝えた。ブルームバーグは16日、「貸し出しより証券投資に重点を置く農林中央金庫、ゆうちょ銀行、信金中央金庫のような銀行にとって、金利感応度は非常に高い」と、米格付け会社の分析結果を報じた。
ゆうちょの決算説明資料によれば、2022年末現在、運用資産の34.9%に当たる77兆円を外国債券と投資信託に投資しており、後者については「投資対象は主として外国債券。プライベートエクイティファンド等を含む」と脚注に記す。つまり、77兆円の多くは米国債を含む外国債券だ。農林中金の外国債券も同年9月末現在、24兆円に上る。
SVBは米国債の多くを満期まで保有するつもりだったが、売却損が膨らんだ。3月上旬、ソーシャルメディアで信用不安が拡散し、顧客の「バンクラン」(取り付け騒ぎ)が破綻の引き金となった。
ゆうちょは「当行は、SVBと異なり個人預金が大宗であり、一般的には(SVBのような)法人預金や市場性調達に比べて流動性の面で安定的」とした上で、流動性が高い日銀当座預金を中心とした預け金を60兆円超保有していることなどから、SVBとは状況が異なるとする。農林中金も「貯金者の多くは農漁協の組合員(出資者)でもあることから、金庫の預金の属性は(テック企業が多い)SVBと大きく異なり、粘着性も非常に高い」と説明。
米投資信託評価会社モーニングスターのシニア・エクイティ・アナリスト、マイケル・マクダッド氏は「日本でバンクランが起きるリスクは非常に低い」としつつ、こう話す。
「ゆうちょと農林中金は米国債の投資額が大きいため、投資活動に変化があれば、巨大な米国債市場にさえ影響を及ぼし得る。仮に新規投資をやめるようなことがあれば、債券利回りが上がりかねない。だから米当局も米メディアも関心を持たざるを得ない」
◇米銀は融資厳格化
SVBの破綻後、米地銀のシグネチャー銀行が破綻し、クレディ・スイスが経営危機に陥ってライバル行に救済買収された。信用不安の連鎖は米欧を駆け巡っている。
三菱UFJ国際投信の荒武秀至チーフエコノミストは「米経済は今までインフレが焦点だったが、信用収縮がきっかけになって潮目が変わろうとしている」とみる。荒武氏が根拠とするのは、米連邦準備制度理事会(FRB)が調べた商業銀行の融資基準だ。最新の今年1月調査分では、大・中堅企業向け融資を「厳格化した」という回答は44.8%、中小企業向けでは43.8%に達した(図)。FRBが金融引き締めを始めてから銀行が融資基準を厳格化するまで1年ほどのタイムラグが見受けられる。次回調査はSVBなどの米銀が破綻した後の4月だ。翌5月発表の次回調査結果で、「融資基準のさらなる厳格化が明らかになるだろう」と荒武氏は見通す。
FRBは5月、政策金利の上限を現行の5%から0.25%引き上げるという見方が多い。荒武氏は「政策金利を5%までに引き上げたことで名目成長率を超えたとみられる。 過去の経験上、利上げ水準がオーバーキル(行き過ぎて景気に悪影響があること)となることが分かっている」と指摘する。
FRBの利上げから1年。米国債価格の下落が銀行の破綻を誘発し、実体経済を冷やし込もうとしている。世界は再び金融危機に直面するのか。その火種が見え始めたことは確かだろう。
-
29:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/19 (Wed) 11:28:14
-
世界最大のヘッジファンド、銀行危機がどのように他の業界に波及するかを語る
2023年4月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35927
引き続き、Impact Theoryによる世界最大のヘッジファンドBridgewaterのレイ・ダリオ氏のインタビューである。
銀行危機と米国債の下落
前回の記事では、ダリオ氏はシリコンバレー銀行の破綻から始まる銀行危機が単に銀行だけの問題ではないということを説明していた。彼は次のように述べていた。
世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
シリコンバレー銀行に起こったことは銀行に限らず世界中のあらゆる組織や人に起こったことだ。
問題の根源はFed(連邦準備制度)がインフレ対策で金融引き締めを行なっていることであり、その結果の1つとして、債券価格が世界的に下落している。
シリコンバレー銀行の破綻の一因は、シリコンバレー銀行が保有していた米国債の価格が下落したことだった。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だが米国債を保有しているのは銀行だけではない。世界中の人々が下落した米国債を持っている。だから世界中で同じ問題が生じているはずである。ダリオ氏はこのことについて以下のように述べている。
彼らが保有している債券は大きく下落している。しかもそれらの資産は借金をして買われており、その資産に酷い損失が生じている。
その損失はどうなるか? ほとんどの場合、それらの資産価値は時価で計算されていない。損失は会計上考慮されず、認識されない。いわば損失は隠されている。
そして彼らは損失はいつか元に戻るだろうという希望的観測を持っているわけだが、それは結局問題を生む。
そして破綻のニュースがまた世界の何処かから聞こえてくるわけである。
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
銀行危機は何処に波及するか
では具体的にどのような場所に影響が出るのか? ダリオ氏は次の破綻の舞台となる業界についていくつかあたりをつけている。
例えば商用不動産である。彼は次のように述べている。
債券価格の下落でダメージを受けている銀行は、更なるローンの組成を避けるだろう。だがこういうローンは例えば不動産、特に商用不動産向けのものだ。
コロナ後に商用不動産が使われなくなったことなど様々な要因もあり、商用不動産には問題が生じるだろう。
2008年のリーマンショックは住宅不動産の問題だったが、ダリオ氏によれば今回はオフィスや商業施設などの商用不動産に問題が生じるそうだ。
更に、ダリオ氏はスタートアップや非上場企業に投資するファンドにも次のように言及している。
更にこうした融資はベンチャーキャピタルやプライベートエクイティ(訳注:非上場企業に投資するファンド)などにも行っていたが、彼らもキャッシュフローの問題に直面するだろう。
こうした資金の流れはもはや以前と同じようには行かない。
資金の枯渇は労働市場に影響する
このように、銀行危機が様々な方面に波及すれば、それでダメージを受けた企業と関係している人々が更にダメージを受けることになる。まさにドミノ倒しである。
ダリオ氏は次のように続けている。
そうなれば彼らは様々な方法でコストカットを行うことになる。
だから労働市場には変化が起きている。ハイテク企業など資金の流れが細っている業界では雇用削減が行われている。そしておおよそ同じことが世界中で起こっている。
企業にお金がなくなれば、起こることは人員削減である。
だがそれも一度にすべての企業が行うわけではない。先に影響を受ける企業が先に雇用削減を行う。だからハイテク企業のリストラがニュースに大きく出る一方で、経済全体の状況を反映した雇用統計にはそれほど影響が表れていない。アメリカ失業率はまだ低い水準にある。
3月のアメリカ失業率低下はアメリカ経済終了のサイン
だがコストカットにしても人員削減は最後の手段である。一度切った人は戻って来ないから、企業はまず出来るだけ他の方法でコストを減らそうとする。それでもどうにもならなくなったら最後に人員削減を実行するのである。
結論
だから、ハイテク企業など高金利の影響を受けやすい企業だけが人員削減を行なっている間はまだ問題が表面化していないのである。
多くの企業が人員削減に取り組み始め、 それが失業率に反映され、失業率が実際に上がってきた時にはアメリカ経済は既に手遅れの状況になっているだろう。
ちなみに商用不動産の債券については債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏が下落していて安いとして買い推奨をしていた。
債券王ガンドラック氏が奨める2023年の債券投資戦略 (2023/1/26)
ダリオ氏とどちらが正しいだろうか。楽しみに結果を待ちたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35927
-
30:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/21 (Fri) 13:39:36
-
2025年にかけ商業用不動産ローンが危険 、金融市場が悲観的な理由とは
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/04/20
https://www.youtube.com/watch?v=hrzM7l8sl-Q
次の金融市場の不安要素として、 商業用不動産ローンが挙げられます。2025年にかけて1.5兆ドルの借り換えがある中で、オフィスの空室率は過去最高を記録しています。一方の融資を行う中小銀行は、シリコンバレー銀行の破綻に恐れをなし、手元資金を残そうとしています。金利の逆イールドが示すように、景気後退が訪れるのは時間の問題とも見られ、好調な株式市場もどこまで続くかわかりません。
-
31:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/23 (Sun) 04:20:51
-
銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
2023年4月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36067
シリコンバレー銀行が取り付け騒ぎの後に破綻したとき、そもそも銀行という仕組みについて筆者が考えていたことがあるのでそれについて書いてみたい。よく考えてみれば、銀行という仕組みそのものがおかしいか、あるいは少なくとも不要なのである。
シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎ
シリコンバレー銀行は取り付け騒ぎの後に破綻した。主な顧客だったシリコンバレーのスタートアップがアメリカの金融引き締めで資金調達に苦労し、そもそも貯金をすり減らしていたことに加え、シリコンバレー銀行自身も投資していた米国債の価値の下落により損失を出していた。
詳細は以下の記事で説明している。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
だが今回焦点を当てたいのは、預金者の大半が単に銀行に預けていると思っていた預金の大半が実際には別の場所に投資されており、しかも預金者の預かり知らぬところで損失を出しているということである。
銀行のビジネス
実際、預金者が銀行に預けた現金は9割方銀行には存在しない。銀行は預金者から預かった資金を貸し出して金利収入を得るビジネスなので、あなたの預けた預金の大半は別の個人や企業に貸し出されているか、国債などを購入するために使われており、銀行内には存在しない。
だが銀行が第3者に貸した金は返って来なかったり、購入した国債の価格は下落したりする。その時に預金者に金を返せと言われれば、銀行は金を全額持っていないので、破綻してしまうわけである。
大雑把に言えばこれがシリコンバレー銀行が破綻した理由である。特にコロナ以後のインフレを抑制するためにアメリカでは金融引き締めが行われ、債券価格が大幅に下落したので、損を出している銀行は多いはずだ。以前以下のように書いたことを思い出したい。
シリコンバレー銀行破綻で年内の利下げを予想し始めた金利先物市場
全部で31兆ドル存在する米国債の価格が利上げによって大きく下落しているのだから、数千億ドルや数兆ドル規模の損失はアメリカ経済に去年からずっと存在しているのであって、数百億ドルのキャッシュフローが尽きて死んだシリコンバレー銀行など氷山の一角に過ぎないし、今更そんなことはニュースでも何でもない。
本質的な問題点
ここで一番の問題が何かを考えてほしい。一部の素人からは債券価格下落をヘッジしておくべきだったという意見が出ているが、ヘッジのコストを考えればそれはそもそも不可能であり、ヘッジとは何かを理解していない上に本質からも外れた意見ということになる。
又貸ししていること自体も問題ではない。銀行とは元々そういうビジネスである。だがここで問題なのは、預金者が又貸しされていることを認識していないことである。
そもそも預金が預金と呼ばれているのだから、金融業について何も知らない預金者がそう考えるのは当然だろう。預金者はただ銀行に現金を預けただけである。それを勝手に別のところに又貸しして良いという同意を明示的に与えている預金者がどれだけ居るだろうか。
実際には預金者は債権者なのである。銀行が貸した金を失えば、そのお金が戻って来ないこともある。銀行にお金を「貸す」のではなく「預ける」という表現にしていることは、又貸しの事実を意図的に隠して人々が何も考えずにお金を「預け」に来るように仕向けており、あからさまに言えば詐欺的であり、控え目に言っても虚偽表示である。
だから銀行が自分の借金を「預金」と呼び続ける限り、人々が何も知らずに現金を預けに来て、それがいつの間にか消えているということが起き続ける。それが銀行危機の本質的問題である。銀行が「預かって」いるはずの現金は実際には9割方存在しないのだから。
本質的問題を解決するために
話をもう一度整理しよう。実質的に言えば、人々が銀行にあずけているお金は実際には国債などに投資されている。
これは実際には預金者が国債に投資をしていることに等しい。だが銀行の虚偽の表示により、預金者はそれを意識していない。
この状況により預金者は2つの不利益を被っている。1つは自分のお金がどうなっているかを十分に知らされていないこと、もう1つは入ってくるはずの国債の金利を銀行に中抜きされていることである。
アメリカでは政策金利は4.75%まで上がっているので、本来預金者は普通預金に対しても4%以上の金利をもらって良いのだが、アメリカの多くの銀行では預金者に十分な金利を支払っておらず、ゼロ金利に慣れてしまった預金者の多くはその中抜きに気づいていない。
この状況を解決する方法は簡単である。銀行という仕組みを廃止して、預金者が直接国債やMMF(マネー・マーケット・ファンド)に投資すれば良いのである。
この議論において、証券会社と銀行の違いは1つである。顧客が自分で投資をしているのか、顧客は自分の知らない間に自分の資金を勝手に投資されているのかである。そして証券会社においては(売買手数料は払うものの)国債の金利を中抜きされることもない。
本質的に考えれば銀行など要らないではないか。彼らが中抜きに対して証券会社以上にどういう価値を提供しているというのか。
結論
世間で金融のリテラシーが云々と言うからには、少なくとも国民は1ヶ月物国債などを自分で理解して買うぐらいの知識を持っても良いはずだ。だが日本政府の言うような金融教育は、そういう本当に必要な教育ではなく、プロは絶対に買わないような、銀行や証券会社が手数料で儲けるために設計された投資信託のようなものを盲目的に買わせるという教育である。
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
更に言えば、日本は政府だけではなく証券業界もどうしようもないので、個人投資家が債券を自由に売買できるような証券口座がほとんど存在していない。
こういう状況を誰も疑問に思わないのだから、日本では金融庁にも金融業界にもまともな見識を持った人間がいないのである。それでつみたてNISAのようなものが流行ることになる。
ちなみにつみたてNISAは既に詰んでいる。 まさにつみたてである。
株式投資ブームに乗った時点で個人投資家の損失はほぼ確定している
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36067
-
32:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/27 (Thu) 20:17:42
-
ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
2023年4月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36234
シリコンバレー銀行に続いてまた銀行の破綻危機である。
ファーストリパブリック銀行の株価が急落している。シリコンバレー銀行の取り付け騒ぎに続き、やはり預金が急速に流出しているらしい。
ファーストリパブリック銀行の株価暴落
銀行危機はやはり続いている。まずは株価を見てもらおう。ファーストリパブリック銀行の株価は次のように推移している。
そもそも3月のシリコンバレー銀行の危機の時に既にかなり落ちているので見づらいが、直近の2日で16.0ドルから5.69ドルまで64%下落しているのが分かるだろうか。
3月の暴落では不十分だったということだが、今週に何があったのかと言えば、決算発表である。
決算発表で株価暴落
4月24日に発表された決算の何が悪かったのか。例えば売上高と純利益は2023年1-3月と2022年1-3月で次のように変化している。
売上高: 10億ドル -> 16億ドル
純利益: 4億ドル -> 3億ドル
それほど悪くないではないか。売上高は急増しており、金利上昇による借り入れコストの増加などで純利益は下がっているが、別に赤字になっているわけでもない。
何故この決算で株価チャートが上記のようにならなければならないのか? それは資産と負債の部分を見れば分かる。特に預金の部分である。貸借対照表には以下の表な変化が書かれている。今度は年末から3月末までの変化を見てみよう。
預金: 1,764億ドル -> 1,045億ドル
短期借入金: 67億ドル -> 804億ドル
預金が3ヶ月で700億ドル減っている。ちなみに預金は大手銀行に緊急で預けてもらった300億ドルを含めても700億ドル減っているので、実際には1,000億ドル減っていることになる。
それをFed(連邦準備制度)から短期借入金として借りてカバーしたわけである。だから短期借入金が700億ドル増えている。
ほとんどなくなった預金
ちなみにファーストリパブリック銀行の総負債はこれらの緊急融資の結果大幅に膨らんでおり、しかも預金は急激に減ったので、他行からの預金を除く通常の顧客からの預金は、総負債2,150億ドルに対して446億ドルしかない。
つまり、普通は銀行業とは顧客から預かった預金を他に貸し出す商売であるはずであるのに対して、ファーストリパブリック銀行の資産・負債構成はその75%以上が大手銀行や中央銀行に借りたお金で出来上がっているということになる。
銀行は政府や他行にお金を貸してもらう商売ではない。もはや銀行としての体裁を保てていないのである。それで株価がこうなった。
銀行危機は何も終わっていない
以前のFOMC会合でFedは次のように言っていた。
3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
アメリカの銀行システムは健全で強靭だ。
リーマンショックやインフレの脅威を何の根拠もなく無視した政府や中央銀行の予想のでたらめさがまた明らかになったというだけのことである。
何故こうなるのかということについては、以下の記事で既に説明しておいたのでそちらを参考にしてほしい。銀行業という時代遅れの商売がそもそも間違っているのである。それがインフレ危機で露呈したに過ぎない。
銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
だがもっと重要なのはこの状況がアメリカ経済全体について示唆することである。
銀行危機は何も終わっていない。シリコンバレー銀行はFedの利上げで破綻したのだから、金利が高止まりする限り同じような破綻は銀行に限らず何度でも起き続ける。これについては以下の記事などで既に何度も説明しておいた。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
その状況がそのまま起こり続けている。
アメリカ経済は既に詰んでいる
その原因が金利高なのだから、金利が下がらない限り危機はこのまま悪化してゆくだろう。
そして金利がどうなるかと言えば、不動産価格が上昇し、高騰している家賃も下がらないということになれば、Fedは金利を高く保たなければならないだろう。それが前回の記事の意味である。
下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
不動産など一部の市場が過熱したままインフレに寄与し続ける一方で、銀行業や中小企業などの破綻は止まらない。過熱と不況が同時に来るのがインフレの後始末である。1970年代もそうだったではないか。
ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
そしてインフレが収まるまで株式市場も何度でも頭を叩かれ続ける。米国株は以下のように推移している。
長期見通しは年始に語った通りである。インフレの後始末をする限り、そうならざるを得ないのである。株価の見通しについては以下の記事を参考にしてもらいたい。
アイカーン氏: 株価はここから30%暴落する
ポールソン氏の2023年株価予想 : 倒産が急増し株価は下落する
2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36234
-
33:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/04/30 (Sun) 05:12:24
-
「銀行が潰れる理由」大西つねきのパイレーツラジオ2.0 (Live配信2023/03/20)
https://www.youtube.com/watch?v=9r5yYTN9yoY
-
34:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/05/06 (Sat) 09:54:33
-
ガンドラック氏: 5月の利上げは間違い、銀行はこれからも破綻し続ける
2023年5月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36492
DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで、5月のFOMC会合におけるFed(連邦準備制度)の利上げとアメリカで続いている銀行破綻について語っている。
5月のアメリカ利上げ
5月のFOMC会合ではFedは市場の予想通り0.25%の利上げを行なった。アメリカの政策金利はついに5%となった。
5月FOMC会合結果、金利低下で株価下落となった理由
だがパウエル議長は次回6月の会合で利上げを継続するのかについてはデータ次第だとした。
ガンドラック氏はこの会合について次のように語っている。
態度をはっきりさせない会合だった。市場もそれを想定していた。次の会合でやることについて決定も予想も何もしないという態度は、国債市場のこれまでの入り込みと一致している。
2021年に既に上がっていたインフレ率をパウエル議長が何の根拠もなく無視したように、中央銀行の経済予想はどうせ当たらないのだから、予想しないのが正しいというわけだ。
ガンドラック氏: パウエル議長はただインフレが続かないように祈っているだけ (2021/7/18)
会合後のパウエル議長の記者会見については次のようにコメントしている。
多少タカ派であったか、それを匂わせる態度であったとも思う。パウエル議長はインフレ退治を固く決心しているように聞こえたし、2%のインフレ目標を堅持しているようだった。
インフレ率はこれまでに大きく下落した一方で、これからは同じ速度では下がらないと彼が言ったのも正しい。
アメリカのインフレ率は去年の秋以降大きく下がっている。それを一番正しく予想したのもガンドラック氏である。
アメリカのインフレ率は次のようになっている。
3月米インフレ率はサービスのインフレが減速、経済急降下確定へ
インフレ率の見通し
だがここ半年のインフレ率の下落は大きく原油価格の下落に依存している。以下は原油価格のチャートである。
だが原油価格の下落も徐々に緩やかになってきているので、CPI(消費者物価指数)への影響も緩やかになってくる。
去年にはインフレ率の急落を予想したガンドラック氏は、今後のインフレ率について次のように予想している。
われわれの予想ではCPI(消費者物価指数)のインフレ率は今年、前年同月比で4%までしか落ちないだろう。それはFedが経済に何かが生じない限り金利を今の水準に保つことを意味する。
だが銀行破綻が続く中、経済に何かが生じる可能性が低くないことは間違いない。
「何かが生じなければ」インフレ率はそれほど下がらない。だが「何か」は起きないのだろうか。
銀行危機の今後
何故そう言うのかといえば、アメリカではそこそこの規模の銀行が立て続けに破綻しているからである。最初はシリコンバレー銀行だった。最近ではファーストリパブリック銀行である。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
そして今ではパックウェスト・バンコープが危うくなっている。株価は次のようになっている。
絶体絶命ではないか。
これらの銀行は顧客が預金を引き出していることで破綻している。ガンドラック氏は次のように解説している。
人々は預金を引き出している。何故ならば、銀行にお金を預けておく理由がまったく存在しないからだ。
アメリカでは政策金利が5%まで払っているにもかかわらず、当座預金(日本の普通預金に相当)に対して十分な金利を払っていない銀行がある。
そういう銀行の預金者は、本来ならば5%近い金利が得られるにもかかわらず、預金に対して十分な金利を得ていない。銀行が中抜きしているのである。以下の記事で解説している。
銀行危機を引き起こした銀行という詐欺同然の仕組みを廃止すべき
ガンドラック氏は次のように続ける。
Fedが5%利上げしたお陰で、預金者はもっと大きな金利がいくらでも手に入る。数ヶ月物の国債の金利は5.2%だ。
2年物国債の金利は銀行危機を経て1%以上下がったが、それでも預金は流出を続けているようだ。今が銀行危機の最終章ということにはならないだろう。
以下の記事でシリコンバレー銀行の決算書を見ながら説明したように、これらの銀行が破綻しているのはFedの利上げが原因に他ならない。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
利上げをしなければならなくなったのはインフレのせいだから、すべてはインフレのせいなのだが、いずれにしても原因である高金利がなくならない限り、銀行破綻はなくならないだろう。
ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
銀行危機の結末
ちなみに銀行破綻の何が悪いかと言えば、銀行が破綻することの他に、破綻していない他の銀行も破綻しないように手元に現金を置いておこうとすることである。
つまりは銀行が中小企業への融資を渋るようになる。実際そうなっているというデータをガンドラック氏が以下の記事で指摘している。
ガンドラック氏: 銀行危機後に中小企業はお金が借りられなくなっている
だが中小企業が融資を受けられないと資金繰りが厳しくなって預金を引き出すことになるので、結局は銀行が苦しむことになるという悪循環である。
ガンドラック氏は今回の会合で利上げはしない方が良かったとした上で、次のように述べる。
Fedが利下げをするのでなければ、この危機を止められるものが一体何かあるだろうか。だが次の会合で利下げはないとFedは言っている。
インフレが起こった時点で筆者は既に言っていたことだが、アメリカ経済は既に完全に詰んでいる。インフレとはそういうものなのである。
ちなみに日本政府はいまだにインフレを目指して紙幣印刷や全国旅行支援などのインフレ政策を行なっている。それが既に利上げを終えようとしているアメリカ人にとってどう見えるかは、経済学者ラリー・サマーズ氏が以下の記事で語っている。
サマーズ氏: 日銀の植田総裁はイールドカーブコントロールからの離脱プロセスを開始した
誰もが脱出を試みている泥舟に乗り続けることにかけて日本人より優れた国民はない。世界大戦時、植民地政策に遅れてやってきてすべての罪を被せられた日本人の優れた先見性は今も健在らしい。彼らは天才だと思う。
ちなみに3月の会合でFedは次のように言っていた。
3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
アメリカの銀行システムは健全で強靭だ。
政府の金融関係者は基本的に何も分かっていないので全員解雇すべきだろう。何故彼らが必要なのか。一体何の役に立つのか。犬の餌にでもなるのか。誰かに教えてもらいたいものである。
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36492
-
35:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/05/06 (Sat) 20:13:53
-
【教えて!ワタナベさん】アメリカで相次ぐ銀行破綻 その理由は? [R5/5/6]
https://www.youtube.com/watch?v=zmeOULkXQDo
-
36:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/05/07 (Sun) 05:08:11
-
4月雇用統計はインフレ継続、 銀行危機とのコラボでスタグフレーションへ
2023年5月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36530
インフレ相場における最重要指標の1つ、アメリカの雇用統計が発表された。4月分である。結論から言えばあまり良いデータとは言えない。
過熱の続く労働市場
つまりはインフレ的だったということだ。
まず失業率だが、3.4%となり3月の3.5%から低下した。グラフは次のようになっている。
本来ならば失業率低下は良いことだが、雇用の手が弱まらなければ賃金が上がり、賃金が上がるとサービス価格が上がる。
去年の秋から3.5%や3.4%を底として推移しているので、辛うじて底打ちしているようには見えるが、それでも労働市場の過熱はなかなか収まらず、よってサービスのインフレも根強く長く続くと考えなければならないだろう。
急上昇した時給
では平均時給の方はどうかと言えば、前月比年率(前月からの変化率が1年続けばどうなるかを示したもの)で5.9%の上昇となり、3月の3.3%から急上昇した。
どう見ても良くない数字である。違う年の同じ月同士を比べる前年同月比とは違い、前月比年率の数字は月の違いを打ち消すのを恣意的な季節調整に頼っているので、単月の数字が異常値になることはあるが、住宅価格の上昇と重ねて考えると、やはり利上げが足りていないのではないかと思う。
下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
板挟みになる中央銀行
さて、労働市場が堅調な一方で、アメリカでは銀行の方は着々と潰れていっている。
シリコンバレー銀行から始まり、最近ではファーストリパブリック銀行が潰れたが、今ではそれから1週間も経たないうちにパックウェスト・バンコープの破綻が懸念されている。レイ・ダリオ氏の予想した通りである。
世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
シリコンバレー銀行の破綻は高金利が原因なので、高金利が続く限り銀行は潰れ続ける。筆者も当時から言い続けているが当たり前である。
現在、アメリカの政策金利は5%である。この5%の金利は銀行にとっては致死量であるらしい。
一方で、労働市場や住宅市場は5%では死なないと言っている。
結論
さて、中央銀行は金利をどうするのか? インフレを抑制するために金利を更に上げるのか? それとも銀行や中小企業を救うために金利を下げるのか?
金利を上げれば、現在の金利水準で既に死んでいる銀行などのセクターは地獄絵図となるだろう。一方で金利を下げれば、恐らくアメリカのインフレ率は住宅価格やサービス価格を中心として再び上昇してゆく。
だからインフレを引き起こしてはならないと言ったではないか。何度も言うがインフレには物価上昇以外の意味はない。辞書を引いてほしい。それ以外のどんな妄想をこの片仮名4文字に見ていたのか。インフレとは物価上昇である。そして物価が上昇して喜ぶのは多額の借金が実質的にチャラになる政府とゾンビ企業だけである。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
ハイエク: 緩やかなインフレが有益であるという幻想
国民は何故そんなものを支持したのか。インフレを引き起こすと宣言し、インフレを引き起こした黒田氏は颯爽と逃げて行ったではないか。20世紀の大経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏は『貨幣論集』においてインフレ政策について次のように言っていた。
短期において支持を獲得することができれば、長期的な効果について気にかける政治家が果たしているだろうか。
だがはっきり言っておく。 インフレの意味も知らずにインフレ政策を支持した国民が馬鹿なのである。そして日本にはいまだに状況を理解できない馬鹿が大量にいる。日本は終わりである。日本円で積み上げられた自分の預金が10年後に無事だとは思わない方が良いだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36530
-
37:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/05/14 (Sun) 12:16:47
-
世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
2023年5月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793
世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏がModern Wisdomのインタビューでアメリカ経済の先行きについて語っている。
積み上がった債務とシリコンバレー銀行破綻
アメリカ経済はGDPで言えば減速はしているもののプラス成長を維持してはいる。
ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがアメリカ経済に不安があるのは何故か。シリコンバレー銀行などの地方銀行が次々に破綻しているからである。
アメリカ経済はいま非常にいびつである。全体としてはまだ減速してない一方で、地方銀行や中小企業などは悲鳴を上げている。
ダリオ氏はこの状況をどう見るだろうか。彼は次のように述べている。
大きな問題は大量の政府債務、そして企業の債務、それよりは少ないが家計の債務が積み上げられたことだ。
シリコンバレー銀行の問題は特定の銀行の問題ではなく世界規模の問題だ。
何故か? ダリオ氏がよく言っているように、誰かの負債は誰かの資産だからである。借金があるということは、誰かがお金を貸しているということである。お金を貸した人は貸したお金の代わりに債券を受け取る。政府にお金を貸せば国債を受け取る。そして貸し手は債券を当然ながら自分の資産だと思っている。
債券は金融市場で売買できるので、債券の保有者はそれを忘れがちだが、それは誰かの借金なのである。
膨大な借金が積み上げられたということは、世の中には大量の債券があり、それを多くの人が持っているということを意味する。そして問題は、それらの債券の価格が何十年もの低金利政策で人為的に押し上げられてきたということである。
特に2008年のリーマンショック以来、世界中の中央銀行が紙幣を印刷して買い入れ、債券価格を直接買い支えてきた。
それを買い支えられる間は良かったかもしれないが、インフレが起こると緩和政策はインフレを悪化させる。それでアメリカやヨーロッパは長年続いた緩和政策を撤回し、債券価格の人工的な買い支えを止めなければならなくなった。
インフレ退治と債券価格
それは債券価格の下落を意味する。債務が少なければその影響も少ないかもしれないが、残念ながら債務は世界中に大量に積み上がっている。
そしてそれは債券として誰かが保有している。それは世界中で資産価格が大きく下落していることを意味する。
破綻したシリコンバレー銀行も下落した米国債を持っていた。それが破綻の一因となった。だが米国債を持っているのはシリコンバレー銀行だけではない。アメリカの政府債務は31兆ドル積み上がっており、それは誰かの資産であり、しかもその大半は価格が大きく下落している。それが今の問題である。
ダリオ氏は次のように述べている。
同じことが何処でも起こっている。銀行だけではない。保険会社もそうだ。世界中で同じことが起こっている。ヨーロッパでも、そして日本でもドル建ての債券を持っている人は多い。
だがアメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)次のように主張していた。
3月FOMC会合結果、パウエル議長に2018年世界同時株安の影が見え始める
シリコンバレー銀行の破綻は例外的な事例だ。銀行システム全体に広く存在する脆弱性ではない。
彼らはアメリカの中央銀行でありながら米国債の発行残高と価格推移を知らないらしい。日本の黒田なにがしを含め、中央銀行に期待できることは高々そのくらいである。
ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
銀行危機は波及する
さて、銀行危機の問題はそれだけではない。シリコンバレー銀行が破綻したということは、それで損をした人がいるということである。シリコンバレー銀行の株主や債券保有者は当然だがシリコンバレー銀行破綻で大損した。それらの人々のうち何人かは、まだ表沙汰になっていない何処かで苦境に陥っているだろう。それが次のシリコンバレー銀行となり、その破綻が更に次のシリコンバレー銀行を作ってゆく。
ダリオ氏は次のように述べている。
金融引き締めがドミノを倒そうとしている。これから更に問題が生じることになる。
増えすぎた債務の帰結
結局のところ、債務の量が多すぎることが問題なのである。債券が多すぎるが、これまで買い支えていたFedはもう債券を買っていない。
ダリオ氏はこの問題の帰結についてこう述べている。
金利が上がるか中央銀行がまた紙幣印刷して買い支えるしかない。この問題は欧州中央銀行でも日本銀行でも同じだ。
一部のファンドマネージャーは後者を予想してゴールドを買っている。
ドラッケンミラー氏、ドルを空売りしてゴールドを買い
ポールソン氏: ドルからの離脱が今のトレンド、資金逃避で金価格上昇へ
だが問題は、どちらでも酷い問題が生じるということだ。ダリオ氏はこう続ける。
シナリオは2つある。1つは価値の落ちていない通貨で普通に債務が支払われること、もう1つは紙幣印刷で簡単に返すことだが、その場合には通貨の価値は落ちているだろう。
借金を真面目に返せば これまでの借金漬けの優雅な生活はできなくなる。借金で優雅な生活をしていたのは国民ではなく政治家とその票田なのだが、彼らは増税とインフレを通して国民に支払いを依頼するそうだ。日本人は投票を通してそれにイエスと言っている。
いずれにせよ不況かインフレ、あるいはその両方しかない。ダリオ氏はこう纏めている。
多分スタグフレーションになると思う。
日本ではいまだに国の借金が増えただの、政府の借金は国民の借金ではないから大丈夫だのという話をしている。本当に馬鹿ではないのだろうかと思う。この状況をどう読み取ればそういうお花畑な結論になるのだろうか。
世界最大のヘッジファンド: 日本は金利高騰か通貨暴落かを選ぶことになる
マイナード氏: 日銀の持続不可能な緩和政策の破綻は他国の教訓的前例になる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36793
-
38:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/05/14 (Sun) 12:53:15
-
ドラッケンミラー氏: あと半年でハードランディング、米国経済に死体が積み上がる
2023年5月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802
ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを運用していたことで有名なスタンレー・ドラッケンミラー氏がFed(連邦準備制度)の金融引き締めでハードランディングが起こるタイミングについて語っている。
史上最大の資産バブル
バブルが崩壊しようとしている。2008年のリーマンショック後に始まったゼロ金利と量的緩和という名の紙幣印刷政策は、中央銀行の緩和がある状態が当たり前だという意識をアメリカ経済に植え付けた。
更にはコロナ後に世界中で現金給付が行われ、特にアメリカ経済には未曾有の規模の資金が流れ込み、そして世界的な物価高騰が起こった。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
ポールソン氏: 量的緩和がインフレを引き起こした
インフレによって金融市場の状況は一変した。Fedはインフレ抑制のために大規模な緩和政策から一転して大規模な引き締め政策を強いられ、もはや緩和政策は出来なくなった。アメリカのインフレ率は2022年からの引き締めで下がってきてはいるが、緩和をするとインフレが再発するからである。
ドラッケンミラー氏はこの状況について次のように述べている。
今の状況はわたしが見た中、あるいは研究した中で最大かつもっとも広範囲な資産バブルで、それは10年か11年続き、フィナーレとしてコロナ後にアメリカ政府は5兆ドルを支出し、Fedはその60%を融通した。
そして今や大幅な利上げが行われている。これらの要素と、1950年以来数えるほどしかソフトランディングは起こっていないこと、そしてそれらはすべてFedが事前に対処した結果であったことを考えると、ソフトランディングがあり得ると考えることは困難だ。
Fedはもはや事前に対処できない。もしかすると事後にも対処できないかもしれない。金融引き締めでアメリカ経済が壊滅状態に陥ったとしても、そのときにインフレ率が下がっているとは限らない。もしインフレ率が下がっていなければ、Fedはインフレ抑制のために引き締めを続けて既に壊滅状態のアメリカ経済を更に壊滅的にするのか、あるいは経済成長率を救うために緩和をして既に起こっているインフレの火に油を注ぐのかの選択を強いられることになる。
それがインフレ政策を煽った政治家たちの口からは語られなかったインフレの本当の意味である。つみたてNISAもそうだが、詐欺師が事前にリスクを説明することはない。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
「株式投資は長期的にはほぼ儲かる」という主張が完全に間違っている理由
ハードランディングのタイミング
だからドラッケンミラー氏はハードランディングは不可避だと考えている。だがそれ自体は筆者が2021年にインフレが起こったときからずっと予想していることだ。筆者が不況前に起きるアメリカ国債の長短金利逆転を予想し、それを的中させたのはもう1年も前の話である。
長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
だが巨大なバブルは徐々にしか崩壊しない。リーマンショックも住宅価格の下落という終わりの始まりから完全な崩壊まで2年かかった。経済危機の歴史を振り返ると、ショックと言っても一瞬で起こるわけではないのである。
ドラッケンミラー氏はハードランディングのタイミングについてどう考えているのだろうか? 彼は次のように述べている。
タイミングについては、それがハードランディングかソフトランディングかということよりも不確実になる。
すべての状況を考慮すると、タイミングは今年の第4四半期から来年の第1四半期だろう。
これから半年ほどといったところだろうか。
現在のアメリカ経済と今後の見通し
まだ時間がかかる理由は、金融引き締めの影響はアメリカ経済の一部には既に深刻な状態となっているが、影響を受けるまでにまだ時間がかかるセクターもあり、経済がいびつな状態になっていることである。
ドラッケンミラー氏は次のように説明している。
データは強弱入り混じっている。住宅市場は歴史的には経済全体の先行指標だが、それは十分に強い。レストランや旅行も十分に強い。だが例えばトラック輸送は6ヶ月から8ヶ月ほど早い先行指標としてわたしの会社の創業以来経済予想に役立ってきたが、それは極めて弱い。小売からは非常に悪いニュースが聞こえてくる。
そして銀行の問題だ。
一番悲鳴を上げているのは地方銀行だろう。シリコンバレー銀行の破綻に始まり、もういくつもの銀行が破綻している。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
最初がシリコンバレー銀行だったことには恐らく意味がある。シリコンバレーにはゼロ金利にあぐらをかいて利益を永遠に出す気がなかった赤字企業が大量にいて、借金で延命されていたが、金融引き締めで借金が出来なくなって死んだのである。そうした企業が預金を引き出したのでシリコンバレー銀行も死んだ。
それはリーマンショック以来積み上げられたゾンビ企業を大掃除する過程なのである。ドラッケンミラー氏は次のように述べている。
資金があふれかえると人々は馬鹿げたことをする。資金が11年もあふれかえると人々は本当に馬鹿げたことをする。
だから水面下ではそれが始まっている。地方銀行が良い例だ。
一部の人は銀行危機がもう終わったと嘯いている。だがドラッケンミラー氏は不吉な予想を口にしている。彼は次のように言っている。
だが死体はもっと積み上がるだろう。
それは以前から分かっていた。 だがそろそろタイミングを予想する時期が近づいている。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36802
-
39:保守や右翼には馬鹿しかいない
:
2023/05/16 (Tue) 11:49:32
-
【 Front Japan 桜】米債務上限問題と一連の銀行破綻 [桜R5/5/16]
キャスター:渡邉哲也
https://www.youtube.com/watch?v=1UAcSof_wMI
-
40:777
:
2023/06/02 (Fri) 07:03:56
-
金融引き締めはどのように株価を下げるのか
2023年5月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機で金融市場は悲観的になってみたり、銀行の破綻が一定期間起こらなければ楽観的になってみたり、市場は忙しいものである。
現在は相場の踊り場のような状況だと思うので、ここで一度金融引き締めと株価という基本的なことを再確認してみよう。
株価と金融引き締めの関係
コロナ後の紙幣印刷と現金給付が世界的なインフレをもたらし、アメリカはそれを抑制するために金融引き締めを行っている。
世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
株価は次のように計算される。
株価 = 1株当たり純利益 x 株価収益率
だから、金融引き締めが株価に影響を与えるとすれば、企業利益と株価収益率のどちらか(あるいは両方)に影響を与えることによって行われることになる。
実際には金融引き締めはその両方に影響を与える。株価収益率に関しては簡単である。株価収益率は株式の実際の価値(つまり将来の純利益)に対してどれだけ高く(あるいは低く)評価されているかを示している。
金利が高くなれば、株式を保有するリスクを取らなくても金利収入が多くなるので貯金や国債の保有などに資金が流れる。逆に金利が低くなればお金を預けていても金利が得られないので株式にお金が流れる。
だから株価収益率は第一に(実質)金利に影響される。金利が高ければ株価収益率が低くなるので、株価も低くなる。アメリカの実質金利の推移を見れば、2022年に株価が下がった理由も、2023年に株価が横ばいになっている理由も分かるだろう。
株価収益率は他にも市場のセンチメントなどにも影響されるが、金利が基本になるので、予想がしやすい。ドル円に関する記事で書いたように、筆者はアメリカの実質金利がこの辺りで天井だと思っているので、今後の推移に関して言えば、実質金利は株価に不利な方向へは動かないと筆者は予想していることになる。
最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
企業利益はどうなるか
あとは企業利益の問題である。こちらは予想が難しいのだが、企業利益に影響を与える要素はいくつかある。例えばGDPで言えば消費は企業利益には直接的には無関係であり、投資は企業利益に影響を与える。
このことについては以下の記事で説明しているので詳しくはそちらを参照してほしいが、重要なのは投資がどうなっているかである。
ドラッケンミラー氏、2023年の株式市場見通しを語る
アメリカのGDPの構成要素のうち投資は次のように推移している。
コロナ後の現金給付の影響で急上昇した後、その上昇分をすべて消しそうな勢いで急降下している。
その理由はアメリカの金融引き締めである。金利が上昇すれば企業は投資がしにくくなる。もっとマクロ的に言えば、借金がしにくくなって市中に存在する現金と預金の総量(マネーサプライ)が減少し、それが投資を行う金銭的余裕を失わせているのである。
だから投資がこのまま下降を続けるのかを予想するためには、マネーサプライがどうなるのかを考える必要がある。そしてマネーサプライは次のように推移している。
銀行危機を受けての銀行の貸し渋りなどもマネーサプライの減少に拍車をかけている。銀行危機も金融引き締めによって起こったことである。
世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
そしてマネーサプライは、アメリカが政策金利を5%程度の水準に維持し続ける限り減少を続けるだろう。
結論
もちろん企業利益に影響を与えるのは投資だけではなく、米国株を考えるならば海外要因も考慮しなければならないわけだが、投資がこのような勢いで急降下を続けるのであれば、ここのところ既に下がっている1株当たり利益もやはり下落を継続すると見るべきだろう。
また、現在の米国株の水準は企業利益の減少と金利の上昇という要因を十分に織り込んでおらず、これらの要素を考えるとかなり割高な状態に位置している。米国株は以下のように推移している。
これら2つは米国株にとってマイナスの要因である。
だが一方で、実質金利の低下による株価の上昇の可能性は排除できない。だから株価の下落に賭ける投資家は、実質金利の低下をヘッジする必要がある。
筆者は基本的に金利低下に賭けているので、2年物米国債の買いと ドル円の空売りが両方ともアメリカの金利低下に賭けた大きなポジションである。
最近のドル高の理由とドル円の今後1年の推移予想
ただ、1つだけ言えるのは、金利上昇と株価上昇が両方来るシナリオはないということである。それは以上の理屈を読めば理解できるだろう。それが起こっている限り、市場は本当の方向へは向かっていない。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37164
-
41:777
:
2023/06/02 (Fri) 22:10:06
-
ポジャール氏: ファーストリパブリック銀行の破綻は自業自得
2023年6月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37187
クレディスイスの短期金利戦略グローバル責任者だったゾルタン・ポジャール氏が、Bitcoin 2023においてアメリカの破綻した銀行であるシリコンバレー銀行とファーストリパブリック銀行の違いについて語っている。
ポジャール氏のクレディスイス離脱
ポジャール氏の話に入る前に、まず何故彼の経歴が過去形になっているのかについて話そう。
ポジャール氏は去年8月の時点で、現在のアメリカの金利水準を的確に当てていた、筆者が推している天才アナリストである。
ポジャール氏: 政策金利は5%以上に上がって景気後退ではなく恐慌を引き起こす (2022/8/8)
だが筆者は彼の所属がクレディスイスであることをあまりに勿体ないと日頃から思っていた。そしてクレディスイスは潰れて同じスイスの同業であるUBSに買収された。クレディスイスの破綻については以下の記事に少し書いてある。
ガンドラック氏、無価値になったクレディスイス債券の保有者におむつ卒業を薦める
そしてポジャール氏はどうやらこのごたごたでクレディスイスから抜けたようなのだ。公式発表はないが、所属を「未定」と書いたネームタグを付けて会議に参加しているところを目撃されている。
それでポジャール氏がどうなるか(彼ならばすぐに良い職場が見つかるだろうが)気になっていたのだが、恐らく今回のインタビューはその後初めてのものだろう。
アメリカの銀行危機
さて、今回のインタビューは最近の銀行危機の話題から始まる。ポジャール氏にうってつけの話題だったのだが、上記のごたごたで彼はまだ銀行危機についてコメントしていなかったからである。
アメリカの銀行危機において一番最初に潰れたのが、シリコンバレー銀行である。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
その後に続いてファーストリパブリック銀行などの他の銀行が破綻した。
だが、ポジャール氏によれば、これらの銀行が潰れた理由は必ずしも同じではないという。
彼はまずシリコンバレー銀行について次のように語っている。
シリコンバレー銀行は、不幸な債務の構成を持ち合わせてしまった例だ。シリコンバレー銀行はベンチャーキャピタルやハイテク投資家を多く顧客に持っていた。
金利が上がり始めた結果爆発したセクターといえばグロース株で、その筆頭がハイテク株だ。だから主要な顧客がまず資金を銀行から引き上げ始めたわけだ。
アメリカはインフレ対策で金利を上げた。そして金利が上がって真っ先に死んだのが、これまでゼロ金利で延命されていた利益を上げられないゾンビ企業であり、アメリカのシリコンバレーにはそういうスタートアップが大量に存在していた。
だから銀行危機の最初がシリコンバレー銀行だったのは必然だったのである。
しかもシリコンバレー銀行の不幸はそれだけではなかった。ポジャール氏は次のように続ける。
一方で、シリコンバレー銀行はベンチャーキャピタル向け融資や長期の債券を抱えていて、それらをリスクヘッジすることもできずに価格は下がっていった。
だから資産と負債の両方の面で状況が悪化した。
金利上昇で特に価格が下がったのが、シリコンバレー銀行の抱えていた長期の債券である。
預金は引き出され、持っていた債券の価格が下落した。ハイテク企業と取引していたことも、元々低金利が続いていた状況で比較的金利の高い長期債を保有していたことも、どちらもそれほど愚かな行ないではない。シリコンバレー銀行はインフレと金利高騰の犠牲者である。
ファーストリパブリック銀行
だがポジャール氏によれば、その後に破綻したファーストリパブリック銀行は事情が違うという。彼は次のように述べている。
ファーストリパブリック銀行は別の話だ。金利オンリーローンについては聞いたことがあるだろう。
金利オンリーローンとは、少なくとも一定期間元本を返済せずに金利だけ支払っていれば良いローンのことであり、ファーストリパブリック銀行は富裕層を顧客に取り込むためにそうしたローンを提供していた。
一定期間元本が返ってこないわけだから、ファーストリパブリック銀行に現金が無くなったのは当然である。普通に営業していたらインフレと金利高騰が直撃したシリコンバレー銀行とは違うというわけである。
ポジャール氏にはファーストリパブリック銀行から不動産ローンを借りた友人がいたらしく、早速次のようにアドバイスしたらしい。
今度うますぎる不動産ローンを受けた時にはその不動産ローンをくれた銀行の株を空売りしよう。
結論
ということで、アメリカの銀行危機のちょっとした詳細について今回はお伝えした。ちなみに言っておくが、銀行危機は終わっていない。次に破綻するものが銀行か別のものかは分からないが、危機を引き起こした前提はそのまま存在しているからである。
世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は悪化しインフレは止まらずスタグフレーションになる
一方でポジャール氏はこのインタビューで他の様々な話題について語っているので、次回以降それもお伝えするつもりである。楽しみにしていてもらいたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/37187
-
42:777
:
2023/08/21 (Mon) 19:13:20
-
バフェットも警鐘!米銀格下げの株式への影響と長期投資家へのアドバイス
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/08 /21
https://www.youtube.com/watch?v=07-GUk0bMuc
-
43:777
:
2023/09/06 (Wed) 22:38:35
-
アメリカ銀行危機の次の危機が株価を下落させる
2023年9月6日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39630
2023年3月のシリコンバレー銀行破綻からほぼ半年が過ぎ、市場は平静を取り戻した。だが市場が平静を取り戻したことは必ずしも良いことばかりではない。
米国のマネタリーベース
筆者がそう思ったのは、アメリカのマネタリーベースのチャートを眺めた時である。アメリカのマネタリーベースのチャートは次のようになっている。
リーマンショック以後、そして近年ではコロナショック以後の量的緩和によって膨らんだアメリカのマネタリーベースは、2021年以降のインフレを受けて縮小されていた。
だがマネタリーベースは2023年3月に再び上昇に転じているのが分かる。シリコンバレー銀行などの破綻を受け、Fed(連邦準備制度)が紙幣印刷によって破綻した銀行の債務を買い取ったからである。だがそれが最新7月のデータでは再び下落に転じているのがお分かりだろうか。
マネタリーベースの下落再開
債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏などは、銀行危機後の一時的な紙幣印刷によってインフレ再発を懸念していた。銀行危機に対するFedの措置は事実上の量的緩和だからである。ガンドラック氏はこう述べていた。
ガンドラック氏、シリコンバレー銀行破綻でインフレ悪化予想
インフレ政策が戻ってきている。Fedは資金の貸出制度を通じて銀行システムに資金を注入している。去年の8月か9月からのパウエル議長のインフレ打倒の決意はもう何処かへ行ってしまったようだ。
実際、それはアメリカの金利を一定期間押さえつけていたのかもしれない。最近の長期金利の上昇は、3月以降の金利下落が元に戻っただけだと言うことも出来るからである。
銀行危機は落ち着いたかのように見える。そして金利は元に戻り、インフレ抑制のために行われている量的引き締め(つまりマネタリーベースの減少政策)が再開され、マネタリーベースも下落を再開し始めた。
銀行危機の原因
ここでそもそも何故シリコンバレー銀行などの銀行が破綻したのか、その原因をもう一度思い出してほしい。
銀行危機の原因は利上げと量的引き締めによる金利高騰である。金利高騰によってシリコンバレー銀行の主な顧客であったシリコンバレーの赤字企業はお金が借りられなくなり、シリコンバレー銀行の保有していた長期国債の価格が下落した。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
そして今や銀行危機は解決されたと誰もが思っている。もう一度長期金利のチャートを見てみよう。
一体何が解決したのだろうか。原因はまだそのまま残っている。
結論
市場の楽観は債券市場の状況を引き締める。金利は上がり、中央銀行の支援策は終わる。マネタリーベースと長期金利のチャートはそれを示している。
危機を通り抜けた結果、長期金利は変わっていないが、変わったものが1つある。人々の楽観である。
元々高金利に怯えていた人々が、実際には何も解決していないにもかかわらず、もう問題がないと思い始める。そしてより高い金利、より強い引き締めを受け入れるようになる。
そしていずれはマネタリーベースの減少が引き起こした2018年の世界同時株安の天井のような状況が訪れる。
バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
危機は徐々に大きくなってゆく。2008年のリーマンショックでは、ベアスターンズが破綻した後、リーマンブラザーズが破綻した。
何故危機は大きくなるのか。何故ベアスターンズが破綻した時に問題を根本的に解決できなかったのか。その原因は、危機の原因が継続しているにもかかわらず、危機を通り抜けるたびに人々の楽観が強くなるからである。何故か原因の継続には誰も注意を払わない。
米国株はなかなか天井を超えられない。それも当たり前である。米国株の長期上昇トレンドは終わったのだ。
米国株の長期上昇トレンドは1980年から2020年までの40年にわたる金利低下トレンドに支えられていた。だからそれはインフレで金利を上げなければならなくなった2022年に終わったのである。だが人々はそれを無視している。誰も原因と結果を考えない。
ドラッケンミラー氏: 今後10年の株式市場はバイアンドホールドでは勝てない
稀代のファンドマネージャー、ジョージ・ソロス氏は著書『ソロスの錬金術』で次のように言っていた。
強気相場は小爆発にときおり見舞われながら続いていく。そうしているうちに、だれも小爆発を恐れなくなる。このときこそ、大暴落の条件が整ったときなのである。
銀行危機を引き起こした高金利が帰ってきている。誰もそれを気にしていない。だがすぐに気にせざるを得なくなるだろう。原因が存在し続ける限り、危機も起こり続けるからである。
この楽観は誰もが本当に悲観しなければならないような状況が起こるまで止まらないだろう。歴史上いつもそうなのである。
金利高騰による株価下落で米国経済ハードランディングの確率高まる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39630
-
44:777
:
2023/10/01 (Sun) 11:08:03
-
世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性
2023年9月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262
引き続き、世界最大のヘッジファンドBridgewater創業者のレイ・ダリオ氏の自社の動画配信におけるインタビューである。今回はインフレと中央銀行について語っている部分を紹介する。
インフレと銀行と中央銀行
インフレで銀行が破綻した。シリコンバレー銀行などのアメリカの銀行は、インフレによる金利高騰で倒産に追い込まれた。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
金利高騰で銀行が潰れた1つの理由は、保有する国債価格の下落である。金利上昇は債券にとって価格下落を意味するため、金利が上がれば債券は下落する。
銀行は預金者からお金を預かってその金で国債を買う。その国債の価格が下落し銀行が損失を被ったわけだが、ここで読者は気付くはずである。国債を大量に保有しているのは、普通の銀行だけではない。
ダリオ氏は次のように語っている。
中央銀行は皆、保有債券に大きな損失を抱えている。そしてそれがどのように処理されるかによって、財政上の問題が発生する。
中央銀行は、日本などの多くの先進国では国債の最大の保有者となっている。そして金利上昇によりその国債価格が下落するときに含み損が発生する。
中央銀行の損失は通常政府によって補填されなければならない。含み損を損失とみなすかどうかは財政というよりは法律の問題だが、例えば国債を売ることになれば含み損が確定損になり、また金利高騰で中央銀行が被る損失は債券価格下落だけではない。
金利上昇のもう1つの問題
アメリカで銀行危機が起こった原因はもう1つあった。銀行は預金者から預金を預かって国債を買っている。金利上昇で国債価格が下落した一方で、預金者には高い金利を払わなければならなかった。
つまり、金利上昇が銀行にとって2つの意味で打撃となったのである。
そして中央銀行といえどもお金を預かる業務を行なっている。預金者は市中銀行である。
だから金利、特に短期金利が上がれば、中央銀行は銀行に高い金利を払わなければならなくなる。銀行が苦しんでいる二重の問題が中央銀行にもそのまま襲いかかるわけである。
しかも、金利の支払いは、含み損のように会計上の問題ではない。金利を支払うためにはお金を何処からか持って来なければならない。そして実際にその問題に陥っている国が既に存在する。ダリオ氏はこう述べている。
例えばイギリスでは、イングランド銀行がGDPの2%に相当する損失を補填しなければならなかったので政府に補填を頼んだが、政府はお金を借りなければ補填できない。
だが政府の財政は中央銀行の紙幣印刷でもっているのではなかったか。中央銀行が政府の足を支え、その政府が中央銀行の足を支えることで空中浮遊をする世界が実現しつつある。オウム****か。
そしてドイツも同じ問題に直面していることは、以下の記事で報じておいた。ドイツでは中央銀行の財政問題で実際に利払いが停止されている。
ドイツの中央銀行、資金不足で政府の口座への利払い停止を決定
ダリオ氏は次のように纏めている。
だから、この状況における古典的な結末は、歴史上いつでも起こってきたように、中央銀行自身が財政上の困難に陥るということである。
だが読者はこう思うだろう。中央銀行には紙幣を印刷して利払いを行なうという選択肢もあるのではないか。
その通りである。だが紙幣印刷は要するに量的緩和である。そして今、中央銀行はインフレが起こったことによって量的緩和の撤回と、その逆回しである量的引き締めを強いられている。そうしなければ、インフレが収まらないからである。
その状況下で利払いのために中央銀行が紙幣印刷を強いられるようなことになればどうなるか? 物価上昇はもはや止まらなくなるだろう。
結論
インフレを良いものだと何の根拠もなく主張したアベノミクス以来のリフレ論者は、まだ絶滅していないのかどうかは知らないが、それでも中央銀行が破綻することなど有り得ないと考えている。
ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
しかしもはやそれさえも間違っている。ダリオ氏はこう述べている。
われわれは中央銀行の財政が問題になるわけがないと思っているが、それは間違いだ。損失が発生すれば何処からか補填しなければならない。そして中央銀行は更にお金を印刷する必要に迫られるが、それが更に問題を悪化させる。
そしてダリオ氏によれば、インフレと現金給付の時代となった現代、歴史上何度も起こってきた中央銀行の破綻という問題が近づきつつある。
ダリオ氏はこう説明している。
注意して見なければならないのは、中央銀行が再び量的緩和を再開する時だろう。 それはレッドフラグだ。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40262
-
45:777
:
2024/01/29 (Mon) 13:34:41
-
米国の景気後退が遅れている原因のマネーサプライ、2ヶ月連続で上昇
2024年1月28日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43784
アメリカではインフレ打倒のために利上げが行われたが、インフレ率は3%台まで下がったあと下落が止まっており、アメリカ経済もさほど停滞していない。
利上げとインフレ率
インフレ率を9%から3%まで下げるような高金利がアメリカ経済に大きなダメージをもたらさないことは考えづらく、2023年には多くの識者がアメリカの景気後退を予想していたが、そうはならなかった。正しく予想していたのはSoros Fund ManagementのCEOであるドーン・フィッツパトリック氏くらいだろう。
2022年のフィッツパトリック氏の経済予想が完全に当たっている
では何故景気後退にならなかったのか。ここではその原因として、アメリカでコロナ後に日本の何倍もの規模で行われた現金給付による資金がまだ実体経済の中に残っていることを何度も挙げてきた。
その度に掲載してきたのが、市中の現金と預金の総量を示すマネーサプライである。実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。
マネーサプライは2020年から急騰している。コロナ後の現金給付によるものであり、この猛烈な紙幣のばら撒きで世界的なインフレが起きたのだが、インフレになって慌てた政治家たちは金融引き締めによってばら撒かれた紙幣を回収しようとした。
だからマネーサプライは下落していた。下落していたのだが、グラフをよく見れば2023年の春あたりから下落スピードが緩んでいるのが分かるだろう。
何故緩んでいるかと言えば、2023年春にシリコンバレー銀行を筆頭とするアメリカの銀行が高金利に耐えられずいくつも潰れたからである。
シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する (2023/3/13)
これに慌てたFed(連邦準備制度)は預金者救済の措置を講じたが、その救済措置がマネーサプライの減少を鈍化させたのである。
マネーサプライ減少と景気後退
その一件がなければ、マネーサプライは当初の減少スピードを維持し、恐らくアメリカ経済は2023年に景気後退に入っていただろう。もはや皆が忘れている去年の銀行危機だが、マネーサプライへの影響という形で今もアメリカ経済に影響を与え続けているのである。
そして今回何故マネーサプライをもう一度取り上げたかと言えば、今週発表された最新12月の実質マネーサプライが、前月11月から2ヶ月続いて上昇しているからである。
実質マネーサプライのグラフをもう一度載せよう。
分かりにくいかもしれないのだが2回連続で上昇しているのである。
結論
これは投資家にとって非常に重要な経済統計である。もちろん2回の上昇がこのまま上昇トレンドの継続を意味するわけでもないのだが、銀行危機以前には急激な速度で下落していたマネーサプライが、今では下落なのか上昇なのかを議論するようなトレンドに陥っている。
これは2つのことを意味する。まず、このままマネーサプライが明確な下落トレンドに戻らないならば、アメリカの景気後退が2024年にさえ来ない可能性があるということ、そしてもう1つは、3%台で横ばいとなっているインフレ率が上がるか下がるかという論争があるが、このグラフはインフレ加速側を支持するデータだということである。
インフレ率低下を予想しているのは債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏、上昇リスクを指摘しているのは経済学者のラリー・サマーズ氏である。
ガンドラック氏: アメリカのインフレ率は2.5%まで更に下落する
サマーズ氏: 米国経済リスクは景気後退よりもインフレ再加速
筆者はどちらかと言えばサマーズ氏寄りの意見を持っている。
インフレは果たして本当に収まったのか。来月発表される雇用統計とインフレ統計に注目したい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/43784
-
46:777
:
2024/06/22 (Sat) 18:43:27
-
農林中金 5000億円巨額損失の原因からこれからの経済を読み 解く
つばめ投資顧問の長期投資大学 2024/05/30
https://www.youtube.com/watch?v=kfFvML-FV10