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ヴィスコンティ _ 夏の嵐(SENSO)1954年
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777
:
2022/08/22 (Mon) 15:34:25
Visconti Senso 1954 動画
https://www.bing.com/videos/search?q=Visconti++++Senso++1954&go=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&qs=n&form=QBVR&sp=-1&pq=visconti+senso+1954&sc=0-19&sk=&cvid=97285FD3ED7F400F9BF9503A180BBC2D&ghsh=0&ghacc=0&ghpl=
「映画の中のクラシック音楽」
配信日 04年1月13日
取り上げた映画作品 夏の嵐 (原題SENSO)
制作 54年 イタリア
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
使われた音楽 G.ヴェルディ作曲のオペラ「イル・トロヴァトーレ」
使われた意図 女性のセンス
https://geolog.mydns.jp/movie.geocities.jp/capelladelcardinale/old/04-01/04-01-13.html
「鏡よ、鏡よ、鏡さん。世界で一番の美人はだ~れ?」
そのように女性に言われたら、鏡はどう答えるのでしょうか?
「世界で一番美しい女性・・・それはあなた!」
そう答えるのが、「出来のいい」鏡ですよね?
「世界で一番美しい女性は、○○に住む△△さん。あなたは2番目!」と鏡が答えたら?
世界で2番目だったら、本来は喜ぶべきことなんですが、実際はそうはいかない。
「世界で2番目!」と答えた鏡を「この鏡は壊れているわ!」とポイッと捨ててしまうのが女性。
「世界で1番目と言われた○○に住む△△さんを殺して、自分が一番になろう!」
と言った建設的な?発想は、一般的な女性はしないんですね。
「鏡の方が壊れている!」
そう思ってしまうんです。違います?
自分に対する賛辞を常に言って欲しい。
これは女性の業みたいなものですね。勿論、男性にもありますが、業と言えるほどではないでしょ?
別に男女差別とかを主張しているわけではありませんが、男として生まれて何十年も経った方は、「女って怖いなぁ・・」と思ったことは一度や二度ではないでしょう?
まあ、そのように賛辞を言い続けることが男性の義務なんでしょう。
うっかり本音を言ったりすると、とんでもない目にあいますよね?
ということで、またもやヴィスコンティ。
まあ、大体ゲイの人は、女性のそのような「業」を共感を持って見るようなことはしません。ちょっと醒めた感覚で女性を見ています。この「夏の嵐」という作品では、監督のヴィスコンティだけでなく、「欲望と言う名の電車」のテネシー・ウィリアムスや、「シェルタリング・スカイ」の原作者ポール・ボウルズも脚本参加しています。
ポール・ボウルズはどっちだったかは忘れましたが、テネシー・ウィリアムスはヴィスコンティと一緒で「あっち側?」の人。まあ、女性の「業」に対して共感なんて持ちようもない人ですよね?大体「欲望と言う名の電車」だって、女性には冷たい作品だし。
さて、この『夏の嵐』ではブルックナーの第7番が使われています。
しかし、そもそもブルックナーの音楽は引用として使うのは効果的な音楽ではありません。
ブルックナーの音楽には、その音楽の背景となるドラマやセリフなんてものは特にありませんものね。
この「夏の嵐」においては、このブルックナーの音楽は「今の、この主人公の女性の感情をよく考えてくださいな!」といった監督ヴィスコンティから聴衆への合図として使われています。
一種のチェックマークというか・・・付箋が貼ってあるというか・・・ですので、なくても大丈夫な音楽です。
むしろ注意しなくてはならないのは、最初に出てくるヴェルディ作曲のオペラ「トロヴァトーレ」です。トロヴァトーレとはトゥルヴァトール・・・つまり吟遊詩人のことです。
映画「夏の嵐」は、19世紀のイタリアのヴェニスを舞台しています。そして、最初のシーンはヴェニスのオペラハウスでの「トロヴァトーレ」の上演シーンになっています。映画においてはオペラ「トロヴァトーレ」は映画の舞台当時のリソルジメント(オーストリアに対するイタリアの独立運動)と絡めて出てきます。オペラの「武器を取れ!」という歌に、観客から呼応する。そんなシーンが実際にあったりします。
しかし、リソルジメントを表現するのだったら、同じヴェルディ作曲のオペラ「ナブッコ」でもよかったはずですよね?
「行け!我が思いよ!金色の翼に乗って!」のコーラスを、歌劇場で舞台の歌手と観客が一緒に合唱したら、映画においてもそれはすばらしく効果的だったでしょう。映画史に残るくらいの効果が期待できるでしょ?
歴史的背景としてのリソルジメントを印象付けるためだけだったら、そのような音楽を使うはずです。
しかし、なぜに「トロヴァトーレ」なの?
では、オペラ「トロヴァトーレ」はどのような作品なの?
「トロヴァトーレ」の粗筋は以下のようなもの。
ジプシー女のアズチェーナの母親がルーナ伯爵家によって火やぶりにされる。その復讐のために、アズチェーナはルーナ伯爵家の次男を誘拐し、自分の息子のマンリーコとして育てる。自分の出生を知らないマンリーコは、吟遊詩人になって、やがてルーナ伯爵家に対立していく。そしてルーナ伯爵家の長男と、マンリーコは恋敵の間柄にもなってしまう。
結局、ルーナ伯爵家の長男は敵であるマンリーコを処刑してしまう。それを確認したアズチェーナは「オマエが今殺したのは、オマエの弟なんだよ!」と勝ち誇った笑い。
この様な壮絶な復讐のドラマなんですね。
オペラを見終わった聴衆は、「アズチェーナって怖いなぁ・・・」と思うことになる。
まざに「女の執念にはかなわないなぁ・・・」と言ったところですね?
ここで映画「夏の嵐」に戻りましょう。
この「夏の嵐」では、占領軍であるオーストリアの士官に、ヴェネチアの伯爵夫人がよろめいて?しまうわけ。その青年士官に散々貢いだあげく、その伯爵夫人は捨てられてしまうわけです。
そこで伯爵夫人は、その青年士官をオーストリア占領軍に裏切り者として告発し、青年士官は処刑されてしまうわけ。
まあ、伯爵夫人も怖い女性と言えるんですね。
しかし、伯爵夫人ともあろう立場の女性が、なぜにそうも簡単に青年士官によろめいてしまうんでしょうか?
この「夏の嵐」という作品について、美貌の青年士官の甘い言葉に伯爵夫人が恋に落ちてしまう・・・と、映画の作品解説では書いてあるようですが、全然違うんですね。
伯爵夫人は決して恋に落ちているわけではない。彼女は自分を賛美してくれる言葉を聞きたかっただけなんです。青年士官の甘いセリフに対して、伯爵夫人はマトモな返答をしていない。ただうっとりしているだけ。会話になっていないわけです。映画では、実際にそうなっているでしょ?
自らへの賛美の言葉をひたすら要求する。彼女はそのような女性なんですね。
本当の青年士官など全然見ていない。
この「夏の嵐」の冒頭の方で、青年士官が鏡に写った自分の姿にうっとりするシーンがあります。まあ、青年士官はナルシストという設定となっている。しかし、ヴィスコンティの狙いは、もう一つある。鏡を見てうっとりする青年士官の姿そのものが、伯爵夫人の姿と言えるわけです。鏡に写った伯爵夫人の姿なんですね。
結局は、青年士官も伯爵夫人も自分自身しか見ていないわけ。
伯爵夫人が求めるのは、出来のいい鏡にすぎない。本当の男性など不必要なんです。
ということで、鏡の宿命として、「アナタは世界で一番美しい女性です!!」と言っているうちは大切にしてもらえたんですが、本当のことを言ったりして、あっさり捨てられちゃったわけです。
青年士官が酒びたりで落ちぶれても、「自分に対する賛美の言葉」を聞けさえすれば、伯爵夫人はその士官を大切にするつもりだったのでしょうが、誰だって「もういい加減にしてよ!」と思ってしまう。だからその青年士官も本当のこと、つまり「アンタなんてその他大勢のうちの一人なんだよ!」と言ってしまうことになりますよね?
そうなると「この鏡は壊れているわ!」ということで女性から捨てられてしまうわけです。
女性というのは、そのような「センス」がありますよね?
オペラ「トロヴァトーレ」におけるアズチェーナの執念深い復讐も、「夏の嵐」の伯爵夫人の自分に対する賛美への渇望も、女性の「センス」・・・
わかって付き合わないと大変なことになってしまいます。
まあ、その伯爵夫人の亭主の伯爵さんが、ちゃんと奥さんをメンテナンスしておけばよかったわけです。タイミングよく賛辞を言ってあげる。
そのようなメンテナンスを怠ったから、レベルの低い占領軍の士官にすがってしまうわけです。
ちなみに、映画「夏の嵐」(原題は「SENSO」(官能と訳すそうですが、そのまま「センス」と訳してもいいのでは?)について書いているだけですよ。
私個人の見解ではありませんので、念のため。
ということで、こわ~い女の復讐のオペラで始まった映画「夏の嵐」。
やっぱり、女性のこわ~い復讐で終わるわけです。
昔の淀川長治さんだったら、「怖かったですねぇ~、この映画は1954年の作品です。」と締めるところですね。
(終了)
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発信後記
今回の内容はくれぐれも私の個人的見解ではありませんので、念のため?
ちなみに、次回はかなり長い文章です。
ただ気軽に読めるギャグ調の内容になっています。
R.10/5/13
https://geolog.mydns.jp/movie.geocities.jp/capelladelcardinale/old/04-01/04-01-13.html
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