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鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」

1:777 :

2022/07/03 (Sun) 05:29:38

日本人が忘れ去った能力 _ 昔のおばちゃんは、米俵60kg x 5つを持ち上げてた
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60歳を過ぎてアレ食べてる人は、確実に病気になって寝たきりの人生を送ります
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甘い物を食べると脳の毛細血管が炎症を起こしブドウ糖を摂取できなくなる
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砂糖依存症 _ ドラッグの乱用と同じように、摂取するたびに毎回ドーパミンが放出される
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果糖ブドウ糖液糖は危険! 炭酸飲料やスポーツドリンクは飲んではいけない
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吉野敏明 _ 日本人が病気になる原因は小麦・砂糖・牛乳と植物油
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吉野敏明 _ その食用油の選び方、間違っています。 体にいい油と悪い油とは?
https://www.youtube.com/watch?v=G77i1fKsOMQ
https://www.youtube.com/watch?v=G8SI4oiUvQ8

吉野敏明 _ 慢性鼻炎・花粉症・アトピーの原因は小麦のグルテン
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852903

吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16850855

吉野敏明 _ 夜間頻尿、高血圧と むくみ は水分の摂り過ぎが原因
1日に飲料から摂取すべき水分量は1.2L、この1.2Lを1日7~8回に分けてこまめに補給するのが良い。
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852464

吉野敏明 _ シャワーではなく浴槽に入らなければいけない理由
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852411



牛乳・乳製品は女性ホルモンのエストロゲンを沢山含んでいて危険
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852453

輸入肉は女性ホルモンのエストロゲンを沢山含んでいて危険
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852463

大豆・豆腐・豆乳・大豆ミートは女性ホルモンのイソフラボンを沢山含んでいて危険
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852297

プラスチック容器と缶詰は女性ホルモンのビスフェノールA を沢山含んでいて危険
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16852458


OK食材・NG食材リスト | レクチンフリーについて | ゆるレクチンフリー生活
本ページでは、「レクチンフリーかどうか」という観点から、OK食材・NG食材のリストを記載しています。
https://plus-minus.casa/lectin-free/ok-ng-list


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万一、日本がアメリカから独立しようとすれば、アメリカに有る資産は凍結され、食糧も供給されなくなる。 
こうした恫喝で世界を震え上がらせ、屈服させようとしている。
支配できない国は破壊して「石器時代」にするというのがアメリカ支配層の基本スタンスだ。


農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」 [三橋TV第470回]鈴木宣弘・三橋貴明・高家望愛 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=vFf1sdl4F7w

遺伝子組み換え・ゲノム編集という脅威から「我々の食」を護るために [三橋TV第471回]鈴木宣弘・三橋貴明・高家望愛 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tW-4y4RiQyw

株式会社アメリカの食糧戦略…第二の占領政策の実態と売国奴たちの正体(鈴木宣弘X三橋貴明) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=k29dQD73OJQ


【Part1】経産省VS農水省 経済成長のために農業を生贄にするという詭弁(藤井聡×鈴木宣弘) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LryCcOKVOYY

【Part2】保守思想と農業 カネ儲け主義が滅ぼす日本の食料安全保障(藤井聡×鈴木宣弘) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=G-sqdu53UmY

【Part3】TPP論争にみる偏向報道の闇 今取り戻すべき「農は国の本なり」という認識(藤井聡×鈴木宣弘) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2oly-5aPteo


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鈴木宣弘 - YouTube動画
https://www.youtube.com/results?search_query=%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%AE%A3%E5%BC%98

『表現者クライテリオン』公式チャンネル - YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCE8qPb4i2vMjLlnRHJXmL1w/videos
2:777 :

2022/07/03 (Sun) 05:37:00

アメリカの食料戦略
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/433.html

今後 10年程度で日本の農業は消滅し農村人口はゼロになる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/678.html

深刻な漁業の衰退 なぜ漁師が20年で6割も減少したのか
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1194.html

21世紀は昆虫食の時代になる
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/670.html

猿人間のジャップには毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

輸入レモンを使ってはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/971.html

アメリカ産のジャガイモは食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1045.html

輸入小麦は食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/318.html

輸入肉は食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/319.html

米国産乳を使った加工乳・低脂肪乳を飲むとガンになる
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/726.html  

食と健康を脅かす遺伝子組み換えと農薬の弊害
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/932.html

遺伝子組み換え作物 予測のつかない危険性
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/338.html

モンサント社員が食べない遺伝子組み換え食品
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/840.html

オーガニック食品と一般食品、どちらを買うべき? 米研究『モンサント社の恐怖』
http://www.asyura2.com/09/health15/msg/564.html

モンサントに約2200億円の賠償命令、除草剤の発がん性めぐり3度目の敗訴 米加
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/490.html

トランプ大統領の圧力に屈し、安全が脅かされる日本の食卓
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/970.html

瑞穂の国の農業を壊滅させる種苗法改正
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/924.html

甘いバナナの苦い現実 _ フィリピンでは農業労働者が農薬の空中散布を浴び失明したうえに解雇された
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1186.html

コロナで各国が食糧輸出規制、日本は農政のつけで生産困難
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/773.html

国売り飛ばすTPP参加表明
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/679.html

亡国最終兵器 TPP の真実
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/429.html

中野剛志 TPP黒い条約
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/843.html

TPP賛歌 _ TPPに加入するとこんな甘美な世界が待っている。
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/204.html

日本の食料自給率は本当に世界最低なのか
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/677.html

補助金なしの価格では日本の農作物はアメリカや欧州より安く、日本の農業は欧米より効率的
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/528.html

農業補助金が収入の5割 アメリカ農業は競争社会ではない
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/793.html

地方から死んでいく日本。豪雨・台風・大地震…さらに少子高齢化が重なり土地ごと見捨てられていく
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1016.html

村が廃村になるのは地理的条件や自然条件ではなく、行政の違い
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1061.html

価値観の変換点 清里の廃墟から学ぼう
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1112.html

北海道は観光に行く所であって、人間が暮らせる所ではない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/429.html

住んだら終わり...村八分にされる"昭和の集落"
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/744.html

現代の姥捨て山
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/434.html

これが地獄の世界。過酷なスラム街5選
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/759.html

日本に存在するカルト村を知っていますか?(ヤマギシ会)
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/746.html

ここにだけは住んではいけない
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/427.html
3:777 :

2022/09/09 (Fri) 17:13:34

誰もいわない「不都合な真実」。 気を付けて、その“肉”を食べたら癌になる!
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14043651
4:777 :

2022/10/18 (Tue) 16:12:36


「資本主義的食料システム」 とその歴史
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14055807
5:777 :

2022/11/09 (Wed) 20:45:48

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14062214
6:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/08 (Sun) 06:17:00

食料危機が突きつける農業再生の課題――正念場迎えた日本の食料生産 東京大学大学院教授・鈴木宣弘
2023年1月6日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25439

 現在、世界的な食料危機の要因となっている 「クワトロショック」(コロナ禍、中国など新興国による大量の食料輸入、異常気象、ウクライナ紛争)は、「食料は金を出して買えばよい」といって食料生産をないがしろにし、農産物の輸入自由化を進めてきた戦後日本の政策が、国民の命を守ることができないまでに国の土台を崩壊させてきた冷酷な現実を突きつけた。



 コロナ禍で起きた物流停止が回復せず、中国の食料輸入の激増による食料価格の高騰と日本の「買い負け」懸念が高まっていた矢先、昨年二月からウクライナ紛争が勃発し、日本がほぼ100%海外に依存する小麦をはじめとする穀物価格、原油価格、化学肥料の原料価格などの高騰が日ごとに増幅され、食料やその生産資材の調達が困難の度合いを強めている。



 突きつけられているのは、高くて買えないどころかものが入ってこないという現実だ。「自国で作るよりコストが安い」といって輸入に頼る短絡的な発想は、その前提が崩れたときに打つ手がない。そもそも飢餓が発生して命を失ってしまうこと以上のコストはないはずである。それが分かっているからこそ先進各国は、公費を投じて国内生産を守り、高い食料自給率を維持し続けている。自国での生産を放棄し、買うことを前提にした「経済安保」など無意味なのだ。



 日本の食料自給率は38%と先進国で最も低く、こんな状況で食料危機に耐えられるのかという議論が始まっているが、実質の自給率はもっと低いということを認識しなければならない。国産80%といわれる野菜も、その種の九割は外国の圃(ほ)場で種取したものであることを鑑みれば10%。リンやカリウムなどの化学肥料原料の自給率はほぼ0%だ。畜産に着目しても、鶏卵は国産率97%だが、飼料(トウモロコシは100%輸入)が止まれば自給率は12%、ヒナも100%近く輸入だ。これら生産資材の自給率の低さを考慮すると、実際の食料自給率は38%どころか10%あるかないかという惨状である。



 このままだと2035年までには、飼料の海外依存度まで含めて考慮すると牛肉、豚肉、鶏肉の自給率はそれぞれ2%、1%、2%。種の海外依存度を考慮すると野菜の自給率は四%と、信じがたい低水準に陥る可能性があり、命綱ともいえる国産97%のコメも野菜と同様になってしまう可能性も否定できない。



 このような状態を放置して、もし海外からの物流が止まれば、国民の生命を守ることはできない。いつ餓死者が出てもおかしくないような薄氷の上に生きていることが、今こそ認識されなければいけない。



 昨年8月、私たちの命がどれほど脆弱な「砂上の楼閣」に置かれているかを裏付ける衝撃的な試算を、米ラトガース大などの研究チームが科学誌『ネイチャー・フード』で発表した。米露戦争の核戦争が起きた場合、直接的な被爆による死者は世界で2700万人。さらに深刻なのは「核の冬」による食料生産の減少と物流停止によって、2年後には世界で2億5500万人の餓死者が出て、そのうち日本が3割を占め、人口の6割におよぶ7200万人が餓死するというものだ。非常にショッキングな試算だが、前述した日本の食料自給率の現状から考えれば当然の帰結と考えるべきだろう。



危機にやるべきことは減産ではなく増産




搾乳する酪農家(熊本県菊池市)

 その日本において今何が起こっているか。国内農業の生産コストは、一昨年に比べて肥料は2倍、飼料も2倍、燃料は3割高という暴騰に悩まされる一方、農産物価格はほとんど上がっていない。農家は赤字に苦しみ、酪農家はこの半年で9割が廃業してしまうかもしれないというほどの苦境にあり、米価暴落で赤字を膨らませているコメ農家も含めて廃業が激増し、物凄い勢いで国内農業が壊滅しかねない状況に追い込まれている。



 食料危機のリスクが高まっているときに国がやるべきことは、国内の農家を守り、国内生産を増強することであるにもかかわらず、この危機的状況下でも政治の動きは鈍く、むしろコロナ禍でコメや牛乳や砂糖が余っているから「減産しろ」と要請している始末だ。農家の意欲を減退させている場合ではない。政府が積極的に増産を促して買取り、コロナ禍で弱った国内の消費者を助け、飢餓人口が八億人に達する世界に向けて日本の生産力で作った食料を人道支援として届け、積極的に需要を作っていく――そのような「前向きな財政出動」こそ求められる。



 ところが「今だけ、カネだけ、自分だけ」(三だけ主義)で目先の自己利益を追求する巨大な日米のオトモダチ企業が政治を取り込み、彼らの利益のために農家や国民から収奪する政策ばかりが実行され、農家を支える政策が出てこない。



 「コメを作るな」「牛乳を搾るな、牛殺せ」と国内農家に減産を要請し、生産費も賄えないほどの低所得を押しつけておきながら、「ミニマム・アクセス」のコメ77万㌧、乳製品13・7万㌧の膨大な輸入だけは義務として履行する。ウルグアイラウンド(UR)合意で定められたミニマム・アクセスは「低関税適用」の枠にすぎず、輸入量を義務づけるものではない。それを日本だけが「最低輸入義務」といって入れ続けるのは、米国との密約を忠実に遵守しているからにほかならない。



 しかも、「安い」はずの輸入食料は、国際的な需給ひっ迫と円安効果によって国内の農産物より高くなっている。毎年33万㌧押しつけられている米国産のコメ価格は国内産の2倍であり、高くて使いものにならないからといってさらに税金を使って餌などに回すという信じがたい有様だ。



 日米2国間のサイドレターによる合意により、米国企業が日本にやってもらいたいことは規制改革推進会議を通じて実行する約束になっているため、この法的位置づけもない諮問機関から「これをやりなさい」といって流れてきたことには、政治も行政も関連組織もまったく反対できず、審議会すら機能していない。「与党の国会議員になるよりも規制改革推進会議メンバーに選んでもらった方が政策が決められる」と与党議員が嘆いているほどである。



 そのため世界的な食料危機や国内農家の苦しい状況があるにもかかわらず、現場から上がってくる要求を実現させるための政策決定プロセスが崩され、人々の命、環境、地域、国土を守る根幹である食料生産を支える政策がまったく出てこない。米国の経済界と密接に繋がった、利害が一致する仲間内だけで国を切り売りする――その一部の利益のために、日本の食と農、関連組織、所管官庁までもなし崩し的に息の根をとめられてしまうという方向性は、まさに「終わりの始まり」である。



農業守ることこそ国防の要



 このような時こそ、地方自治体を含めて、協同組合や市民組織などの共同体的な地域の力が奮起し、自分たちの地域、暮らし、そして命を自分たちの力で守る動きを強める必要がある。この状態を放置すれば、いざ物流が止まったときに国民の食べるものはなくなる。地域の農業が崩壊すれば、関連産業も農協も自治体行政も存続できない。



 消費者の皆さんも「安い、安い」と輸入品に飛びついてしまったら、自分の命も守れなくなる。必要不可欠な食料を狭い視野の経済効率だけで市場競争に任せることは、人の命や健康にかかわる安全性のためのコストが切り詰められてしまうという重大な危険をもたらす。



 安さには必ず理由がある。日本のように米国農産物に量的に依存する状態が続くと、たとえそれらの食料に健康上の危険性(禁止農薬や防カビ剤、成長促進剤、ホルモン剤使用による健康リスク)があったとしても文句もいえず、「もっと安全基準を緩めろ」といわれたら従わざるを得ない。量だけでなく質の面でも食の安全は崩され、食料自給率が一%台になればもう選ぶことすらできない。それを考えれば、少々高いように思えても地域で作られる「ホンモノ」の農産物をみんなで支えることこそ、自分の命を守ることでもある。



 多国籍企業の要請を受けて国は種子法を廃止し、公共のものとして守ってきた主要作物の種子まで民間企業に委ねる方向を決めてしまった。優良な種子を多国籍種子企業に握られてしまい、有事に物理的に種子が入ってこなくなれば飢餓が起きかねず、「種を止めるぞ」と脅されたら従わざるを得なくなる。それはもはや独立国とはいえない。



 私たちは生産者、消費者、業者も自治体も「運命共同体」であることを認識し、地域の伝統的な在来品種のタネをみんなで守り、農家を支え、生産されたものをみんなで消費して支えなければならない。そのうえでひとつの核になるのは学校給食であり、自治体が主導権を握って公共調達にし、地元の安心・安全な食材を届け、食料を作る農家の「出口」として支えるなど、地域循環型のネットワーク作りが今こそ必要だ。



 「お金を出せば食料が買える」という時代は終わろうとしている。不測の事態(有事)に国民の命を守るのが国防であるなら、国内の農業、地域の農業を守ることこそ国防の要である。現在、安全保障をめぐって、増税してでも防衛費を5年で43兆円にする、「敵基地攻撃能力」を持つなどの勇ましい議論がおこなわれているが、足元を見てよく考えるべきである。日本は世界で唯一、エネルギーも食料もほとんど自給できていない。そのうえ現在のように農業を消滅させるような政策を継続するなら、敵を攻撃しようにも逆に食料を止められ、戦う前に餓死である。



 このような情けない現実を直視し、私たちは今こそ国として食料にこそ数兆円規模の予算を投入し、地域で頑張っている食料生産を支えなければならない。全国の小中学校給食のベース部分を国が負担しても年間5000億円。コメ農家を支えるためにコメ1俵9000円の販売価格と生産コスト1万2000円との差額を主食米700万㌧すべてに補填しても3500億円。全酪農家に生乳1㌔当り10円補填しても750億円だ。



 「国防のため」と称して、F35戦闘機(147機)に6・6兆円、オスプレイ1機100億円、防衛費として兵器購入に5年で43兆円を注ぐというのならば、それは微々たる金額だ。武器は人を殺すものだが、食料は命を救うものであり、国民が飢えたとき戦闘機やミサイルをかじるわけにはいかないのだ。何度もくり返すが、食料こそ安全保障の要である。



 財務省はこの国難といえる事態において、大局的見地でどこにお金を使えばいいかが判断できなくなっている。「農水予算など2・3兆円以上増やせるわけがない」と一蹴するような従来の思考停止議論を突破し、数兆円規模の予算をまず食料を守るために使わなければ日本は持たない。



 そのためにも「食料安全保障推進法」を超党派の議員立法として成立させ、財務省の縛りをこえて数兆円規模の予算を食料生産に投じることができるようにすべきであり、同時に地域の在来品種の種を守り、循環型食料自給を進める「ローカルフード法」を早急に成立させなければならないと考えている。



 今日本はたいへんな岐路に立っている。「三だけ」市場原理主義に決別し、種から消費までの地域住民ネットワークを強化し、地域循環型の経済を確立するため、それぞれの立場から行動を起こすべき時がきている。皆さんの地域での粘り強いとりくみが、その流れを変える非常に重要なとりくみとなる。それを誇りにして、私もともに頑張りたい。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/25439
7:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/01/08 (Sun) 06:21:56

酪農家の窮地を国は救え! 放置すれば4割廃業の危機 血の通った財政出動を
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14066863

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14062214

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14018404
8:保守や右翼には馬鹿しかいない :

2023/03/01 (Wed) 12:34:47

この国から酪農の灯を消すな! 政治が放置すれば国産牛乳消滅も 院内集会での生産者や鈴木宣弘・東京大学教授の発言から
2023年2月28日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25931

酪農家や消費者団体による院内集会(2月14日、参議院会館)

 飼料などの生産資材の価格高騰と、海外からの輸入維持政策のため需給バランスがひっ迫している酪農業界では、生産費を賄えない安い乳価で農家の9割が赤字経営を強いられているといわれ、全国で急速に離農が進んでいる。北海道では乳価のわずかな値上げと引きかえに生産抑制(減産)がおこなわれ、農家は搾った牛乳を毎日廃棄せざるを得ない事態にもなっている。東京永田町の参議院会館で2月14日、全国各地の酪農家や消費者など200人が集まり、「酪農・畜産の危機は、国民の“食”の危機――日本から畜産の灯を消すな!」と題して院内集会がおこなわれた(主催/食料安全保障推進財団、安心安全な国産牛乳を生産する会、農民連、食健連)。集会では、酪農・畜産の存亡の危機に対して、国に血の通った財政出動を求めるとともに、国内農業の苦境について消費者にも理解を求め、この窮地を乗り越えるために協力を呼びかけた。



食料を守るために政治は動け



 はじめに主催団体を代表して農民連の長谷川敏郎会長が挨拶した。
 「酪農をめぐる事態は日々刻々と深刻さを増している。国産牛乳が飲めなくなるかもしれない。まさに日本から畜産・酪農の灯が消えるかどうかという瀬戸際だ。とりわけ昨年8月以降、急激に事態が悪化し、この3月に大量の離農が生まれかねない。この危機を打開するために、酪農家や生産者だけでなく、消費者、生活協同組合、国会議員も参加し、国民の大運動として超党派でこの運動を広げなければいけない」とのべ、全国の酪農家からの要望を野村農水大臣に提出したさいの面談内容を報告した。



 「野村大臣はカレント・アクセス(毎年生乳換算13・7万㌧の低関税輸入枠)は“義務ではない”と認めたが、“それなら輸入をするな”というと“国家として約束を守らなければならない”といい逃れる。そして“そうしないと食料自給率の低い日本に外国は食料を輸出してくれなくなる”などと、食料自給率が低いことまで理由に挙げた。食料自給率を引き上げるためには、国内消費の6割にも及ぶ食料輸入を減らすべきであることを指摘したが、“議論する”というだけだった。今国会でも酪農や畜産にかかわる救済法案は一本もなく、酪農を見殺しにしようとしている。酪農・畜産を守るために国政の役割を果たさせなければいけない」と訴えた。



 続けて、食料安全保障推進財団理事長の鈴木宣弘氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)、北海道や関東の酪農家たちが現場の生々しい実態を報告し、消費者団体の代表らも連帯のスピーチをおこなった。集会のなかから、鈴木教授の発言と生産者の主な声を紹介する。



■農家の危機は国民の食の危機。命を守るための運動を


東京大学教授 鈴木宣弘  



 今、酪農家は7重苦といえる苦境にある。生産資材が暴騰(一昨年に比べ肥料2倍、飼料2倍、燃料3割高)しているのに価格転嫁できずに農家の赤字がどんどん膨らんでいる。しかも子牛が売れず、副産物収入まで激減している。この危機において、“これ以上搾っても受け付けない”という強制的な減産要請で、4万頭もの乳牛の処分が求められ、北海道を中心に生乳廃棄に追い込まれ、さらに収入が減る状況になっている。



 しかも“脱脂粉乳の在庫が多いのだから、在庫処分の出口対策は農家が負担しなさい”ということで生乳1㌔当り2円以上、去年は北海道だけで100億円規模の負担金を酪農家に負わせている始末だ。



 なぜ乳製品在庫が多いのかといえば、本来は国際協定上の「低関税枠」でしかないものを、国が「最低輸入義務」といい張って莫大な乳製品(生乳換算13・7万㌧)の輸入を毎年続ける異常事態があるからだ。しかも他国のようにコストが高くなって国内農家が赤字になったときにおこなわれる最低限の補填制度もない。



 他の先進国ではどんどん農家に生産を促し、それを政府が受け付けてフードバンクや子ども食堂に届けたり、海外の飢餓救済のための人道援助に回すのだが、政府が需給の最終調整弁を果たすという仕組みを唯一やめてしまった国が日本だ。



 すでに98%の酪農家が赤字というデータが出ている。このまま放置すれば、子どもたちの成長に不可欠な牛乳を供給する産業が持続できなくなる。酪農家の収支データを見ると、この半年で急激に赤字が増え、昨年1~3月に牛乳1㌔当り15円程度だった赤字が、いまはもう30円をこえている。この状況では、10円程度値上げしたところで焼け石に水だ。



 政府は、「飼料価格高騰への補填などを合計すると生乳1㌔当り五円程度の補填に相当する」といい、これで十分であるかのようにいい張っているが、そもそも参考にしているデータが古い。1、2年前のデータを揃えて「もう十分だ。何が悪いのか」といっている。このような現場に寄りそわない政治・行政は失格といわざるを得ない。



 しかも3月からは、牛を殺せば1頭につき15万円支給するという。そもそもバターが足りないといって大騒ぎし、これまで農家に「増産せよ」といって、大規模化を促してきたのは政府自身だ。現在、世界の乳製品の需給はひっ迫しはじめており、もうすぐ乳製品が足りなくなるのは目に見えているのに、強化・増産しなければいけない生産力をみずから削いでいく「セルフ兵糧攻め」をやっているに等しい。



 近い将来、今度は牛乳が足りなくなるが、牛が生まれてから牛乳が搾れるようになるまで育てるには3年はかかるため、増産しようにも絶対に間に合わない。場当たり的な政策で過剰と不足をくり返し、そのしわ寄せを農家に被せる連鎖はもうやめなければならない。


 今やるべきは前向きな財政出動だ。農家にどんどん増産してもらい、国の責任で備蓄も増やし、生産物を国内外の食料援助に回すことだ。アメリカからの要求(密約)を丸呑みにして、保身のために農家と国民を見捨てるのなら、この国の食料危機は深刻化せざるを得ない。



 減産するのなら他の国のように輸入を止めればよく、国内の在庫を消費することが先決だ。なのに北海道だけで14万㌧もの減産を要請し、「牛を殺せ、牛乳を捨てろ」といいながら、同じく14万㌧近くの輸入乳製品を海外から無理矢理入れているのだ。今や乳製品もコメも海外産の方が4割も高い。国産に比べて粗悪な生産物を高く買い、それを誰も買わないから家畜のエサに回し、そこでまた税金を使っている。乳製品も国際価格の方が高くなり、落札されずに余っている状態だ。



 先日、NHK『クローズアップ現代+』で酪農危機が報道され、衝撃が大きかったため、政府は次の様に釈明している。


 ①なぜ乳製品を人道援助に使わないのか?――「要請がないから援助はできない」
 ②乳牛淘汰事業は後ろ向きではないか?――「乳牛淘汰は農家が選択したものだ」
 ③なぜ義務でない輸入を続けるのか?――「業界(メーカー)が求めるから輸入している」


 人道援助はみずからおこなうものだ。嘘がばれるとまた次々と違う理由を出してきていい訳しているが、農家が価格転嫁ができなくて困っているときに、国が責任転嫁をしている場合ではない。



 外国の顔色をうかがって農家や国民に負担を負わせる政治は限界が来ている。現場に寄りそう気持ちを忘れず、保身のためでなく日本のためにわが身を犠牲にする覚悟を持ったリーダーが必要だ。この事態を放置すれば、消費者も国民全体も自分の命さえも守れないことに気がつかなければならない。



 酪農が壊滅すれば、国民が飲む牛乳が消滅し、農協もメーカーも関連産業もみな消滅する。みんなが「運命共同体」であることを認識し、一人一人が今できることを一緒に行動しなければいけない。政治家はもとより、それなりの年齢になった方は、わが身を犠牲にしてアメリカとたたかってでも、国民を守った、農業を守ったという有終の美を飾る覚悟を決め、残りの人生を自分が盾になるくらいの気持ちで頑張らなければいけない時に来ている。




酪農家の搾乳作業(熊本県)

■98%の酪農家が赤字。国は早急な財政支援を


安心安全な国産牛乳を生産する会 加藤博昭 



 今の酪農の情勢は、酪農の歴史始まって以来のとても厳しい状況だ。日本全体の酪農家がすべて赤字といってもいい。安全安心な国産牛乳を生産する会が昨年12月におこなったアンケート調査では、98%の酪農家が赤字と答えた。



 昨年7、8月ごろから急激に赤字が増え12月段階で「乳代(牛乳の売上)でエサ代が払えない」という人が98%。「もう辞める」という人が11%だ。3月までこの状態が続けば辞めるという人が16%。あわせて27%が3月をメドにもう酪農は無理だといっている。とてつもない危機だ。



 この現場の状況に対して、政府も農水省も危機感がなく、報道にも流れず、消費者にも伝わらない。なぜこれほど温度差があるのか? 彼らが集めているデータは古く、昨年8月からの状況を調べていないのだ。酪農のエサ代は経費全体の5割を占めるが、それが乳代で払えないということは、残りの経費もすべて払えない。そんな産業は間違いなくつぶれる。



 酪農は経営母体を作り上げるまでにとんでもない経費がかかる。だから多くの酪農家がかなり大きな負債を抱えている。それが返すに返せず、辞めるに辞められない状況だ。前にも進めず、後ろにも行けない。農家は牛乳を売って生活しており、経費高騰分が乳代に反映されなければならないのだ。現場でどれだけの乳代が必要かといえば、私たちの調査では生乳1㌔当り30~35円上がらなければ酪農経営は不可能だ。



 だから「乳代に反映してほしい」と地元の関東生乳販連にくり返し要望した。だが今回、酪農組織の上部団体である関東生乳販連(関東生乳販売農業協同組合連合会)がメーカーにあげた値上げ要望は1㌔当り15円。15円の要望をあげて15円が返ってくるとは思えないが、そもそも15円でなんとかなるわけがない。同じことのくり返しが起きる。



 農水大臣は「酪農は乳価を自由に上げられる産業なんだから頑張ればいい」というが、やってもやっても乳価交渉ができない構図がある。力関係があまりに違う。とてもではないが自分たちの希望は通らない。それが今の現状だ。だから農家は貯金を全部崩し、返せるあてのない負債をまた借りている。借り入れもできなくなったら、廃業、倒産、下手をしたら命にかかわる状況が起きてもおかしくない。



 だから国に助けてもらわなければどうにもならない。先ほど、私たちは国に要望書を出してきた。
 一番目には、とにかく現金をどんな格好でもいいから農家に早く落としてほしい。時間がない。国の飼料価格高騰緊急特別対策事業では、前回は配合飼料1㌧当り6750円が出ているが、こんな金額ではとてもではないが足りない。1㌧当り2万円を継続的に出してもらいたい。それでも赤字だが、配合飼料の値上がり分だけでも補填できる。先が見える何かがあれば、次の対策がくるまで頑張れる。大臣は「お金なら国が出しますよ」といわれたが、早急に出していただきたい。消費者の皆さんにも、どうかご理解いただきたい。



■需要あるのになぜ乳価が上がらないのか


千葉県・酪農家 石橋祐行   



 今、日本の酪農が窮地に追い込まれている。そのうえで見直さなければならないのは、今の組織構造だ。酪農組織のなかには、各単協あるいはJA農協、それらを統括する県酪連、そして上部団体として生乳販連がある。この生乳販連がメーカーと乳価交渉をして適正な価格に持っていく立場にあるが、そこが機能していない。



 先日も関東乳販連の役員にも直接確認をとったが、彼らに私たちの収支データなどの現状報告を提出しても、受けとりはしたが見ようともしない。彼らが参考にするのは、2年前の農水の統計データのみだ。この古いデータをもとに“このくらいだろう”という予想を立てて乳価交渉に当たっているのが現実だ。彼らは、私たちが出した「最低1㌔当り30円不足している」という要望に対して「それはあり得ない」と否定する。その交渉はしないという。これが組織の現状だが、私たちは黙っているわけにはいかない。



 私たちは今は皆さんと一緒に訴えるしかない。一生産者の立場で訴えられることはこの程度だ。でも、この声が集まればもっと大きくなり、交渉にも反映され、消費者の皆さんにも届くことを願っている。



 そして乳価が上がらない理由の一つに「脱脂粉乳がだぶついている(在庫過剰)」というのが付いてくるが、本当にそうだろうか? 私はそうは思わない。現状、海外からの乳製品は毎年同程度の量が輸入されている。表に出てくるカレント・アクセス(13・7万㌧)だけではなく、その裏にある毎年460万㌧の乳製品輸入は減ることもなく、むしろ年々徐々に増え続けている。つまり需要はある。それでメーカーはもうけている。



 そもそも、私たちが搾った牛乳が余っているといわれるが、この在庫は生産者の手から離れ、買いとったメーカーの持ち物になっている。にもかかわらず、これを盾にして乳価が上げられない構造を作っている。「これだけのものが余っているんだから乳価は上げられない」という理屈だ。この不条理を理解してほしい。



 国が今回出しているリタイア奨励金(3月から乳牛1頭を処分すれば15万円支給)は、本来は継続する生産者に出すべきものではない。本当にリタイアした生産者がもらうべきものだと思う。継続農家がもらうことによって、継続生産者は(生産量が制限され)収入が落ち、さらに苦しむ。殺されもせず、生かされもしない。これが今の現実だ。
(安全安心の国産牛乳を生産する会)




生産抑制のため排水溝に廃棄される牛乳(2月、北海道)

■酪農大国・北海道を襲う未曾有の危機


北海道・十勝酪農法人会会長 小椋幸男  



 北海道と本州の酪農家では少し立場が異なるが、そもそも今の酪農・畜産の構造は、われわれ生産者が作った構造ではない。国が作り上げたものだ。そして今、「乳製品が余っている、余っている」といわれ続け、ホクレン(ホクレン農業協同組合連合会)は乳製品在庫の出口対策として農家に「カネを出せ」といい、3年間続けて生産者は出口対策負担金を拠出している。北海道の酪農家だけで200億円だ。新年度はさらに上乗せで生乳1㌔当り3円50銭を出さなければいけない。すると来年度だけで140億円になる。あわせて340億円もの拠出金を、われわれ北海道の酪農家が拠出している。



 かたや国は、海外から生乳換算で450万㌧の乳製品を輸入し、カレント・アクセス(13・7万㌧)も海外から入れる。こんな不合理をずっと続けている。



 先ほど農水大臣と面談させていただいたが、そのなかで大臣は「水田農家さんも同じようにたいへんだ。苦しいんですよ」ということをいわれる。国会でも同じ答弁だ。このたいへんな状況を作っているのは誰か? 国であり農政だ。それを他人事のように「水田農家もたいへんですよ」という。このような答弁をする大臣にはさっさと辞めてもらわなければいけない。冗談ではない。



 北海道で生産する牛乳は「加工向け乳価」ということで、飲用向けに比べるとかなり安い。昨年11月、メーカーとの交渉で飲用向け乳価は1㌔当り10円上がった。だが、関東生乳販連にはもっと頑張ってもらいたい。関東乳販連で飲用の価格が決まれば、全国一律その金額で決まるからだ。北海道の牛乳は、飲用向けが2割、加工向けが8割なので、プールにすれば2円の値上げにしかならない。期中改定はされないままだ。なぜか? 北海道にある大手3社は期中改定に合意しているにもかかわらず、最大手の乳業メーカーが「今の状況でなぜその要求に応じなければならないのか」ということで交渉のテーブルにも着かないからだ。



 昨年12月8日、ホクレン会長の発表で、新年度は加工向け乳価も10円上がることになったが、それは減産を条件に受け入れてもらったという。今年度5万㌧、来年度9万㌧、北海道だけで合計14万㌧の減産だ。



 消費者の皆さんにも考えてもらいたいのだが、加工向け乳価は4月にならなければ上がらない。にもかかわらず、すでに2月から大手の乳製品の店頭価格は上がっている。これはどういうことか? 要するにメーカーは思う存分にやっている。乳価交渉をすれば彼らは「価格を上げれば消費が落ち込むから上げられない」といって値上げを拒むが、そういいながらメーカーは再値上げ、再々値上げをくり返している。この状況をご理解いただき、どうか消費者の皆さんにも酪農現場の下支えをお願いしたい。(北海道農業法人協会副会長、同協会酪農部会会長、農業生産法人・有限会社ドリームヒル代表)



■奈落に落ちていく仲間を助けられない地獄


 千葉県・酪農家 金谷雅史    



 千葉県内で30頭の搾乳牛で酪農をしている。昨年11月30日に農水省前で声を上げさせてもらったが、依然として酪農の窮状に変化はない。あのとき言ったことが現実になる。スーパーの棚から牛乳がなくなってしまう未来はそう遠くないと感じている。



 今日伝えたいことは、酪農家の心のことだ。私は農家の窮状を訴えることと牛乳の消費拡大を求めて活動しているが、そのなかでいろいろな酪農家の方から声をいただく。「(農水省前での訴えを)見たよ。頑張ってな」とか「応援してるぞ」など、こちらも大変勇気づけられ、また頑張ろうと思う。だが、そうした声とは別に、少なくない酪農家が今思っていることは、「酪農家は減っていい」ということだ。



 現在、生産抑制している需給状況において、さらに生乳生産量を減らそうと酪農業界と農水省が力を合わせて、3月から早期淘汰(牛の処分)に補助金を出す。そんな状況だから、手っ取り早く減産するためには酪農家が離農し、乳牛の数が減ればいいという考えは確かに間違いない。「辞める奴は早く辞めればいい」と酪農家は思ってしまう。離農が加速していることがメディアで報じられているが、いまだに需給ギャップなるものは埋まらず、生産抑制の状況は変わっていない。そしてまた思ってしまう――「酪農家は減っていい」と。



 自分の足場もままならない状況のなかで、仲間がゆっくりと奈落の底へ落ちていく様を見ていて助けられない。それどころか自分はまだ酪農を続けられることに安堵する――この地獄はなんなのだろう? こんなに悲しいことがあるだろうか。



 同業者を蹴落として生き残ることに何の意味があるか。おそらく大きい牧場も小さい牧場もすべての酪農家が同じ気持ちかと思う。そして借入金を増やし、何としても生き残るために、また苦しい状況を作っている。ここにいる酪農家の皆さんが生乳を廃棄していることも知っているが、生産抑制による減産よりも離農による減産の方が多いのではないかと思う。そんな地獄のような状況で辞めていった方々のことを無視して、「抑制による効果で脱脂粉乳の在庫が減ってきた」などと報じられることもあるので、とても心苦しく思っている。



 酪農家は減っていいのだろうか? 酪農家は減ってはいけない。「食料安全保障強化政策大綱」などといって国がこれからの食料確保のために自給率を高めていく指針を決めたのは昨年末だった。その指針で「酪農家は減っていい」となっているのだろうか? そんなわけがない。食料自給率を高めるのなら、一軒でも多くの農家を残さなければいけないのは自明の理だ。そのなかで抜本的な対策を打たない国に対して、すでに信用というものは失墜しているといっても過言ではない。国に対しては引き続き緊急的な対策を求める。



 この地獄を終わらせたいと思っても、毎日大きな変化がないので、声を上げることが虚しくなるときがあるが、まだ頑張っている仲間、多くの酪農家が声を寄せてくださることに感謝し、これからも窮状を伝えること、消費拡大のために邁進していきたい。




酪農家の牛舎(山口県)

■毎日牛乳を棄てる酪農家の苦悩を知ってほしい


北海道士幌町・酪農家  川口太一  



 数年前のNHK朝ドラ「なつぞら」のロケ地になった場所から来た。その北海道で、今どんなことがおこなわれているのかを伝えたい。



 私の牧場では250頭ほど搾乳しているが、これまでの減産(生産抑制)に続き、10月からはさらに5万㌧減産ということで、減産の勢いがさらに強くなった。ある新聞の取材に応じて、私の牧場での生乳廃棄のシーンが報じられると、「お前は何をやっているのか」「なぜそんなことをするのか」とさんざんに叩かれた。でも私は「違うよ。この窮状は訴えないといけないよ」と答えている。消費者の皆さんにも訴えなければいけない。現場では、毎日1㌧ほどの牛乳を捨てている。約10万円分だ。それが今月、来月と続くわけだ。



 さらに子牛の値段がゴミのような価格になり、一時は缶コーヒーと同じ値段にまでなった。十勝は明日もマイナス20度。こんなに寒いなかでも、子牛が生まれると牛舎には湯気が濛々と立ち上がるなか、親牛が子牛をなめてやる。まさに命が誕生する瞬間だ。



 だが今現場では、その生まれてきた子牛を薬殺している。市場に出荷しても1頭500円、手数料を引けばマイナスだ。持って帰って少し大きくなるのを待てば、毎日エサ代が数千円かかり、調子が悪くなれば治療費が1万円。とても農家は持たない。だから薬殺がおこなわれている。生まれたばかりの子牛が1回も母牛のミルクを飲まされないで、親牛の前で、生産者の前で、たった5CCの消毒液(注射)によって安らかに眠る。これが今現実におこなわれているのが北海道だ。



 店頭では乳価が上がった。消費者の皆さんには高い負担で牛乳1本買っていただかなければならなくなった。35円、50円上がり、月にして1000円上がったかもしれない。だが今や“物価の優等生”になったのは牛乳だ。ご存じの通り、卵も納豆もすべて信じられないくらい値段が上がった。これだけはお伝えしたい。今日と同じように明日も一杯の牛乳を飲んでほしい。そうやって買い支えていただくことが酪農家を救う唯一の道かと思う。国は助けてくれない。



 本来、私はこんなところでしゃべる人間ではない。今日も来るのを迷ったが、なんとしても北海道の窮状、生産者の苦しみを訴えなければいけない。廃棄は罪だ。やってはいけない。農家はただ生産目標(減産)のためにやっているに過ぎないのだ。そして明日も、おそらく集荷もされずに現場で薬殺される子牛が後を絶たないだろうと思う。



 新年度はさらに減産だ。おそらくもっと厳しいと思う。すべてよくなる方向は見えない。どうか消費者の皆さんにご理解をいただき、今、灯が消えようとしている酪農家をなんとか支えていただきたい。(十勝酪農法人会)



■酪農地帯は町そのものが存亡の危機に


北海道別海町・酪農家  岩崎和雄  



 別海町は、酪農が基幹産業で畑作はほとんどない。酪農がダメになれば町自体が消滅していくことになる。それでなくても今次々に離農が続いているため、人口がどんどん減り始めている。たいへんな状況だ。



 別海町は町村単位では全国で一番大きな酪農地帯だと思うが、この酪農地帯でも後継者が少しずつ減り、だんだん酪農家が減る傾向にあったが、それに加えて今回の畜産危機では、エサ代が上がり、他の資材も本当に上がっている。それが酪農家を苦しめており、昨年度末はかなりの農家がセーフティネット資金を借りざるを得なくなった。農協もそれを推進した。



 この状態で推移すれば、今年度は酪農家の状況はもっと悪くなる。良くなる見通しがないということになれば、廃業があいつぐことになる。



 バター、脱脂粉乳、クリームなどは、北海道の生産量が多い。飲用乳の出荷はそれほどないが、どこのコンビニでも売っているスイーツなどで使われているクリームはなかなか輸入はできず、そういうものもどんどん減っていくだろう。



 豊かな食生活のためには、 酪農が日本に残り、農業で豊かな生活ができることが大切だと思う。消費者の皆さんにとっても、本当は乳価が上がっても買えるくらいの所得が保障されなければいけない。満足に買えないような所得で、乳価だけが上がって済む問題ではない。みんなで力を合わせて国産牛乳を守っていきたい。(北海道農民連釧根地区協議会議長)
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/25931
9:777 :

2023/06/26 (Mon) 14:23:15

大東亜戦争敗北後、日本はアメリカの余剰穀物(当初は小麦)の「市場」とされました。


 小麦を食べる習慣がなかった日本を市場化するために、様々なマーケティングが「国家的」に推進された。


 子供たちの給食に、小麦と脱脂粉乳が「援助」され、小麦料理を教えるキッチンカーが全国を走り回り、慶応大学の林髞教授が、
「コメを食べるとバカになる」
 と主張する「頭脳―才能をひきだす処方箋 (1958年)」 を書き、30万部も売れるベストセラーになった。


 結果的に、日本の食料自給率はひたすら低下していくことになりますが、国民は真剣に「危機」としてとらえようとしなかった。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12809499324.html
10:777 :

2023/08/18 (Fri) 23:04:53

吉野敏明 _ 病気になる原因は小麦・植物油・ 牛乳
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14141482



サラダ油を使うと認知症になる
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/725.html

認知症と糖尿病の原因はサラダ油とパーム油だった
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/329.html

オリーブ油とゴマ油以外の油は使ってはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/320.html

ラーメンは絶対に食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/523.html

長生きしたけりゃパンは食べるな
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/327.html

パンは食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/524.html

輸入小麦は食べてはいけない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/318.html

いつもの朝食が死亡原因?! 99%の人が知らないパンと牛乳の闇
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1313.html

鼻炎と蓄膿症を悪化させる食べ物 : 乳製品、砂糖、油
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1003.html

鼻炎と蓄膿症を治す方法
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14012554

終戦後、アメリカは わざと日本人を飢えさせた
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14139458

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14036563

今では考えられない!大正時代の日常生活!!
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14035362

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

猿人間のジャップ には毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

米国ではNGなのに、なぜ日本輸出はOKなのか…「遺伝子組み換えジャガイモ」の流通危険性
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14068812

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14018404

アメリカに逆らうと暗殺される? 農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14091466

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14062214
11:777 :

2024/01/13 (Sat) 19:32:49

食料危機の深刻化に私たちはどう立ち向かうか――「お金出せば買える」が通用しない時代へ 東京大学大学院教授・鈴木宣弘
2024年1月13日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/28766

 今、世界の食料情勢は「クワトロ(4つの)・ショック」と筆者が呼ぶ危機的状況にある。


 コロナ禍で物流途絶が現実味を帯び、中国の「爆買い」が勢いを増し、飼料穀物をはじめ多くの農畜産物が、日本などが買い付けに行っても残っていない。中国のトウモロコシ輸入量は2016年に246万4000㌧だったものが、22年には1800万㌧へと7・3倍になった。大豆の輸入量は年間1億㌧にのぼり、大豆消費量の94%を輸入に頼る日本の輸入量(年間300万㌧)はその端数にもならない。「買い負け」というよりも勝負になっていない。



 さらに「異常気象」が通常気象になり、干ばつや洪水の頻発による農作物の不作が続いている。2020に年2月からはロシアとウクライナの戦争が勃発し、小麦をはじめとする穀物、原油、化学肥料の価格が高騰した。その収束の目途も立たない中、今度はパレスチナでイスラエルのガザ侵攻が勃発し、これも泥沼化しそうな気配である。



 ロシアとウクライナは、世界の小麦輸出の3割を占め、トウモロコシの輸出シェアも大きい。ウクライナからの輸出に依存していたアフリカ諸国を中心に深刻な食料不足となり、中国も穀物の輸入先をウクライナから米国に切り替えたため、日本をも含む食料争奪戦が激化した。



 こうした状況下で最も危惧されるのは、インドのように世界1、2位のコメや小麦の生産・輸出国が「外に売っている場合ではない」と自国民の食料確保のために防衛的に輸出規制をする動きだ。そのような国は今や30カ国に広がった。世界のコメ輸出の4割を占めるインドは、2023年7月にコメの大部分を禁輸した。このため穀物の国際価格は下がる見込みが立たない。





 この食料争奪戦のなかで「お金を出せば食料を輸入できる」という考えは通用しなくなっているが、国内では、肥料、飼料、燃料などの暴騰にもかかわらず農産物の販売価格は上がらず、農家は赤字にあえぎ、廃業が激増している。



 日本の農家の平均年齢は、すでに68・4歳(2022年)。この状態を放置して5年後、10年後に果たしてどれだけの農家・農村が存続しているか。その崩壊のスピードが加速している。それは、いざというときに国民が必要とする食料が確保できなくなるということであり、農業の危機は、農家の問題をはるかにこえて国民全体の「命」の問題である。



 この状況下で、国内の食料生産を増強する抜本的な対策をとらず、コメを作るな、牛乳を搾るな、牛を処分しろ、さらには生乳廃棄までさせて、「セルフ兵糧攻め」のようなことをやっていては「農業消滅」は急速に進み、不測の事態に国民は餓死しかねない。不測の事態に命を守るのが「国防」なら、食料こそ、国防、安全保障の一丁目一番地である。



自給率の低下と米国の対日政策



 これまでも指摘してきたように、日本の食料自給率は38%というが、実質はもっと低い。たとえば野菜の自給率は80%でも、その種の9割は海外の畑で種採りされているので、種が止まれば自給率は8%である。さらに化学肥料原料もほぼすべてを輸入に頼っているので、肥料が止まれば収量は半減し、実質自給率は4%になる。同じくコメ・麦・大豆の種も海外から9割が輸入されるような最悪の事態を想定すると、食料の実質自給率は9・2%と計算される。





 日本の食料自給率がこのように劇的に低くなった背景には米国の政策がある。我が国は、米国の占領・洗脳政策のもと、米国からの市場開放要請をGATT(WTO)、FTAなどを通じて受け入れ続けてきた。



 米国は、国内では手厚い農業支援を温存しながら、相手国には徹底した規制緩和を要求する。米国は、自由貿易とか、level the playing field(対等な競争)としばしば言うが、米国が求める「自由貿易」とは「米国(発の企業)が自由に利益を得られる仕組み」であり、「関税を撤廃させた国の農業を補助金漬けの米国農産物で駆逐する仕組み」である。



 ヘレナ・ノーバーグ=ホッジさん(スウェーデン出身の女性言語学者)は、『いよいよローカルの時代~ヘレナさんの「幸せの経済学」』(ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、辻信一、大月書店、2009年)の中で概略次のように述べている。
 「多国籍企業はすべての障害物を取り除いてビジネスを巨大化させていくために、それぞれの国の政府に向かって、ああしろ、こうしろと命令する。選挙の投票によって私たちが物事を決めているかのように見えるけれども、実際にはその選ばれた代表たちが大きなお金と利権によって動かされ、コントロールされている。しかも多国籍企業という大帝国は、新聞やテレビなどのメディアと科学や学問といった知の大元を握って私たちを洗脳している。」
 やや極端な言い回しではあるが、これはグローバル化や規制改革の「正体」をよく表している。



 米国発のグローバル企業の利益を追求する米国の戦略の凄さは、日本や途上国の若者をどんどん米国に呼び寄せ、「規制撤廃、貿易自由化を徹底すれば、皆が幸せになれる」と説く市場原理主義を徹底的に教え込んで帰国させ、彼らによって放っておいても米国(発の企業)が儲かるように自発的に動く社会を他国に作り出そうとする。



 その洗脳教育の結果、日本では、畳みかけるような農産物関税削減・撤廃と国内農業保護の削減が進行し、食生活は「改善」の名目で「改変」させられ、米国の余剰農産物の処分場として、グローバル穀物メジャーなどが利益を得るレールの上に乗せられ、食料自給率を低下させてきた。



 米国の利害にしっかり応えるように農産物の関税撤廃を「いけにえ」として米国に差し出し、その代わりに自動車などの輸出で利益を得る。そうすれば経産省は自分たちの天下り先も得られるからだ。さらに財務省は、米国の要請に呼応して信じられないほどに農水予算を減らし、「食料など金を出せば買えるのだ。それが食料安全保障だ」という流れを日本の経済政策の主流にしてしまった。この戦後政策の誤りが、今日の食料危機の根幹にある。



「貧困緩和」を名目にした途上国収奪のメカニズム



 食料危機を引き起こす多くの要因は、米国政府などの背後で「今だけ、金だけ、自分だけ」の飽くなき利益追求に邁進してきたグローバル企業などが作り出してきたと言っていい。



 「緑の革命」(1960~70年代にかけて途上国でおこなわれた大規模な農業技術革新)は、化学肥料・農薬の大量投入と、それに対応した品種(タネ)のセットで世界の穀物生産を増大させ、人類を飢餓と食料危機から救うかに思われた。



 しかし、化学肥料の多投で作物の根と土壌菌との共生が弱まり、微生物が豊かでCO2貯留にも役立っていた土壌の劣化による表土の流出、それに伴う水使用の増加による水の枯渇などを招いた。作物が本来持つ力の弱まりがさらなる農薬の多投にもつながった。



 また、単一品種の大規模生産が進み、それを米国などが担い、穀物生産の少数国への集中が進んだ。今や世界の食料輸出の約8割を約20カ国が占め、トウモロコシでは輸出の75%が5カ国(米国、ブラジル、アルゼンチン、ロシア、ウクライナ)に集中している。



 米国が牛耳るIMFや世界銀行は、「貧困削減」の名目で途上国への援助や融資を主導するが、その見返りに貿易自由化の徹底を求める。それによって米国などの穀物に依存させ、途上国の農民を家族経営的な穀物生産から追い出し、グローバル企業が運営するコーヒーやバナナなど商品作物の大規模プランテーションで収奪的に働かせるため、農地を追われた農民の伐採による森林破壊も進行した。土壌劣化や森林破壊は、地球温暖化に「貢献」した。



 それがもっとも徹底されたのが、サブサハラ(サハラ以南)のアフリカだ。「緑の革命」後、この地域の食料自給率は向上するどころか、劇的に低下した。世界の飢餓・貧困人口はこの地域に圧倒的に集中し、今回も飢餓に陥りやすくなっている。



 ハイチでは、IMF(国際通貨基金)の融資条件として、1995年に米国からコメ関税の3%までの引き下げを約束させられ、コメ生産が大幅に減少し、輸入に頼る構造になったところにコメ輸出規制(2008年)が襲い、死者まで出た。フィリピンでも死者が出た。米国の勝手な都合で、世界の人々の命が振り回されたのである。



 米国は「安く売ってあげるから非効率な農業はやめたほうがよい」と言って世界の農産物貿易自由化を進める。だが、それによって基礎食料の生産国が減り、米国等の少数国に依存する市場構造になったため、需給にショックが生じると価格が上がりやすくなる。それを見て高値期待から投機マネーが入りやすくなり、不安心理から輸出規制が起きやすくなる。そのように価格高騰が増幅されやすくなったことが、2008年や今回の食料危機を増幅し、高くて買えないどころか、「お金を出しても買えない」リスクを高めている。



 「規制撤廃こそが、食料自給率低下、食料危機、貧困増幅の原因だ」と指摘すると、IMFや世銀は「まだ規制撤廃が足りないのだ」と反論する。まさに「ショック・ドクトリン」だ。



 さらに、米国には、トウモロコシなどの穀物農家の手取りを確保しつつ世界に安く輸出するための手厚い差額補てん制度がある。それによって穀物の米国への依存を進め、価格高騰が増幅されやすい市場構造を作り出しておきながら、財政負担が苦しくなってきたので、何か他に穀物価格高騰につなげられるキッカケはないかと材料を探していた。



 そうしたなか、国際的なテロ事件や原油高騰が相次いだのを受けて、「原油の中東依存を低めてエネルギー自給率を向上させる」、「環境に優しいエネルギーが重要である」との大義名分を掲げ、トウモロコシをはじめとするバイオ燃料の推進政策を開始した。その結果、見事に穀物価格の吊り上げへとつなげた。



 トウモロコシ価格の高騰で、日本の畜産も非常に苦しい状況に追い込まれたが、トウモロコシを主食とするメキシコなどでは暴動が起こる非常事態になった。メキシコでは、NAFTA(北米自由貿易協定)によってトウモロコシ関税を撤廃したので、米国からの輸入が増大し、国内生産が激減してしまっていたところに、価格暴騰が起きて買うこともできなくなってしまった。まさに米国戦略による「人災」だ。



 貧困緩和を名目にして途上国農村からの収奪を正当化するのは、この歪んだ屁理屈なのである。そもそも貧困緩和ではなく、大企業の利益を最大化することが目的であり、「援助」の対象となった国々の危機は当然の帰結である。



食料・農業危機の解決策が武器とコオロギなのか




人参を収穫する農家(山口県)

 米国農産物輸入の増大と食生活誘導により、日本人は米国の食料への「依存症」になった。このように量的な安全保障を握られると、たとえ米国農産物の安全性に懸念があったとしても、それを拒否できないという形で、質的な安全保障さえも握られることになる。



 昨今の食料危機の深刻化のなかで、ついに日本政府は24年ぶりに農政の憲法にあたる「食料・農業・農村基本法」の見直しに着手した。その目的は当然にも、世界的な食料需給情勢の悪化を踏まえ、不測の事態にも国民の命を守れるように国内生産への支援を早急に強化し、食料自給率を高める抜本的政策を打ち出すためだと思われた。



 しかし、新基本法では食料自給率という言葉は消え、「指標の一つ」と位置づけを後退させた。背景に「食料安全保障を自給率という一つの指標で議論するのは、守るべき国益に対して十分な目配りがますますできなくなる可能性がある」という意見もある。



 さらに、「平時」と「有事」の食料安全保障という分け方を強調し、平時はこれまで通り輸入に頼るが、有事になれば大変だから、有事立法を制定し、「有事には花農家も命令に従って一斉にサツマイモ栽培に切り替えて食料を供出しなさい」といった強制的な増産命令法をつくるという。



 しかし、不測の事態でも国民の食料が確保できるように、普段から食料自給率を維持することが食料安全保障の基本である。今苦しんでいる生産者を支える政策が見えないままで、いざというときだけ命令に従って増産しろ、という制度にどんな意味があるのか、まったく理解できない。



 また、「自給率向上を目標に掲げると非効率な経営まで残ってしまう」というピントのずれた視点もある。そのため2020年「基本計画」では示されていた「半農半X」(半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方)を含む「多様な農業経営体」の重視が今回の基本法の答申では消え、「経営所得安定対策」の対象になるのは「効率的かつ安定的な農業経営」のみとするニュアンスへと逆戻りしている。



 コロナ禍は、この方向性=「地域での暮らしを非効率として放棄し、東京や拠点都市に人口を集中させる」のが効率的な社会のあり方として推進することが間違っていたことを改めて認識させたはずだった。コロナ禍が一段落したかに見える今、2020年基本計画でも一度反省され、コロナ禍でも反省したはずの教訓を投げ捨て、再び「目先の効率性があるものだけが残れば農村コミュニティは崩壊してもよい」と判断するかのような議論が復活している。今必要なことは、それとは逆に「多様な農業者」で地域農業を盛り上げていくことである。



 一方、国政では、増税してでも防衛費を5年で43兆円に増やし、経済制裁の強化とともに、敵基地攻撃能力を強化して敵国に攻めていくかのような議論が勇ましくおこなわれている。欧米諸国と違って食料自給率が極端に低い日本が「経済制裁強化だ」と叫んだ途端に、みずからを兵糧攻めにさらすことになり、戦う前に飢え死にさせられてしまうことは目に見えている。戦ってはならないが、戦うことすらできないのである。



 さらには SDGsを「悪用」して、水田のメタンや牛のゲップが地球温暖化の「主犯」とされ、食料生産現場の苦境は放置したまま、昆虫食(コオロギ)や培養肉、人工卵の機運までもが醸成されつつある。まともな食料生産振興の支援予算は長年減らされ、コメを減産し、乳牛を処分し、牛乳を廃棄しながら、トマホークの大量購入と昆虫食を推進することが何の「安全保障」だろうか? 不測の事態に、ミサイルとコオロギをかじって生き延びることができるのか。私たちは、真剣に考えなくてはならない。



グローバル企業の次なる企てと「フードテック」



 グローバル種子農薬企業やIT大手企業が目論むもう一つの農業モデルは、今いる農家を追い出して、ドローンとセンサーを張り巡らせた自動制御による「儲かる農業」である。新たなビジネスモデルをつくって投資家に売るのだという見方もある。



 実際、ビル・ゲイツ氏は米国の農場を買い占め、米国一の農場主になっている。2022年の世界食料サミットを、このような農業を広めていくためのキックオフの場にしようとしたという事実もあり、絵空事ではない。



 そのために日本が国策として推進しようとしている「フードテック」というものの中身を見ると愕然とする。その論理は、温室効果ガスの排出を減らす必要があるカーボンニュートラル(脱炭素)の目標達成に向けて、今の農業・食料産業が最大の排出源(全体の31%)なので、遺伝子操作技術なども駆使した代替的食料生産が必要というもので、それは人工肉、培養肉、昆虫食、陸上養殖、植物工場、無人農場(AIが搭載された機械で無人でできる農場経営)などと例示されている。



 温室効果ガス排出の量から各たんぱく質を評価すると、最も多い牛に比べて豚は3分の1、鶏は約5分の1、昆虫食では鶏よりもさらに少量だとの解説もある。



 今の農業・畜産の経営方式が温室効果ガスを排出しやすいというのであれば、まず、環境に優しく、自然の摂理に従った生産方法を取り入れていくことを目標とするというならわかるが、それをすっ飛ばして、さらに問題を悪化させるようなコオロギや無人農場に話をつなげている誤謬に気づく必要がある。



 日本ではフードテック投資が世界に大幅な遅れをとっているので、国を挙げた取り組みの必要性が力説されている。「今だけ、金だけ、自分だけ」の企業の次のビジネスの視点だけで、地域コミュニティも伝統文化も崩壊し、食の安全性も食料安全保障もないがしろになる。陰謀論だと言う人がいるが、フードテックの解説には、その通りに書いてある。陰謀論でなく、陰謀そのものなのだ。



 こんなことを続けて、IT大手企業らが構想しているような無人の巨大な「デジタル農業」がポツリと残ったとしても、日本も世界も、多くの農漁村地域が原野に戻り、地域社会と文化も消え、食料自給率はさらに低下し、不測の事態には、超過密化した東京などの拠点都市で、餓死者が出て、疫病が蔓延するような歪(いびつ)な国になることは必定である。



 命や環境を顧みないグローバル企業の目先の自己利益追求が、世界の食料・農業危機につながったが、その解決策として提示されているフードテックが、環境への配慮を隠れ蓑に、さらに命や環境を蝕んで、次の企業利益追求に邁進していないか。これで日本と世界の農と食と市民の命は守れるのか。早急な検証が必要である。



地域から始める農業再興と広がる成功事例




野菜の産直朝市(下関市)

 以上にみてきたように、食料・農業危機の背景には、米国発のグローバル企業などの「今だけ、金だけ、自分だけ」の自己利益追求がある。人間は自然を操作し、変えようとしてきた。その「しっぺ返し」が来ているときに、さらに不自然な技術の追求が解決策になるだろうか。それとは逆に、水と土と空気、環境が健全であれば、植物や動物の能力が最大限に発揮され、すべてが健康に持続できるはずである。



 化学肥料が発揮してきた効果を否定するわけではないが、化学肥料の多投などで短期的に儲けを増やそうとすれば、土壌微生物との共生が破壊され、人間にとっての栄養も足りなくなる。土壌に暮らす微生物が、食べ物とともに腸内に移住したものが腸内細菌の起源である。土壌微生物のおかげで、人間の健康も保たれる。植物工場に根本的な無理があるのも、土との関係が絶たれるから、人間に必要なミネラルなどの微量栄養素が野菜に含まれなくなることが大きい。



 新技術開発を否定するわけではないが、自然の摂理を大切にし、生態系の力を最大限に発揮できるように、基本に帰ることが、今こそ求められているのではないだろうか。本当に持続できるのは、人にも生き物にも環境にも優しい、無理しない農業、自然の摂理に最大限に従い、生態系の力を最大限に活用する農業(アグロエコロジー)ではないだろうか。経営効率が低いかのようにいわれるのは間違いである。最大の能力は、酷使でなく、優しさが引き出す。人、生きもの、環境・生態系に優しい農業は、長期的・社会的・総合的に経営効率が最も高いのである。



 今こそ、地域からの取り組みが重要になっている。「今だけ、金だけ、自分だけ」(三だけ主義)の日米のオトモダチ企業がこの国の政治を取り込み、農家や国民を収奪しようとするのを放置すれば、物流が止まった途端に国民の食料はなくなる。農業が崩壊すれば、関連産業も農協・生協も、地域の行政、社会、経済も存続することはできない。今こそ協同組合、市民組織など共同体的な力が、自治体の政治・行政と連携して地域で奮起し、地域のうねりを国政が受け止めて国全体のうねりにする必要がある。



 そのうえでは、地域の種を守り、生産から消費まで「運命共同体」として地域循環的に農と食を支える「ローカル自給圏」のようなネットワーク、システムづくりが有効である。一つの核は、学校給食での地場産農産物の公共調達である。すでに全国で取り組みが始まっている。先日、筆者が話をさせていただいたセミナーでは、市長さんが有機米給食のため「(地域で生産される有機米を)1俵4万8000円で買い取ります」と宣言し、会場から歓声が上がった。こうした取り組みが広がれば、流れは加速され、地域に好循環が生まれる。



 農家と住民が一体となり、耕作放棄地を皆で分担して耕す仕組みも重要である。母親グループが中心となって親子連れを募集して、楽しく種蒔き、草取りして耕作放棄地で有機・自然栽培で小麦づくりをし、学校給食を輸入小麦から地元産小麦に置き換えていった実践事例もある。「生産者」と「消費者」の区別のない「一体化」で共に作り、共に食べる仕組みづくりが各地で拡大している。



 直売所やマルシェも全国的に増加し、地元農家が作る安全・安心な自慢の農産物が適正な価格で評価される役割を果たしている。大手流通規格の制約を受けないので、見栄えをよくするために使っていた無駄な農薬を減らした農産物生産にもつながる。直売所間の転送システムを充実することによって直売所販売による農家収入の飛躍的増加に成功した事例もある。

 今、農家は、コストに見合う価格が形成できずに、経営を継続し、次世代に引き継ぐことが難しい状態が続いている。買い叩きビジネスをやめることは不可欠だ。流通・小売り業界は、買い叩いて一時的にもうかっても、農家が激減したらビジネスができなくなることを認識すべきである。自分で価格設定できる販売ルート確立のためにも直売所販売の拡大にも期待したい。

 現下の農業危機に早急に対処すると同時に、世界的な土壌の劣化、水や資源の枯渇、環境の破壊に加え、輸入途絶リスクの高まりと、消費者の減化学肥料・減化学農薬を求める世界的潮流からも有機・自然栽培の方向性を視野に入れた国内資源循環的な農業の展開に向けた取り組みを急ぐことが求められている。

 耕地の99・4%を占める慣行農家と、0・6%の有機・自然栽培農家は、対立構造ではない。安全でおいしい食料生産への想いはみな同じである。生産資材の暴騰下でも踏ん張ってくれている農家全体を支援し、かつ国内資源を最大限に活用し、自然の摂理に従った循環農業の方向性を取り入れた安全保障政策の再構築が今こそ求められている。
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/28766
12:777 :

2024/04/30 (Tue) 08:07:46

ゴールデンウィーク特番『待ったなし!日本の食の危機とは? ~日本の食料自給率はホントは10%!?~』ゲスト:東京大学農学部教授 鈴木宣弘氏
2024/04/29
https://www.youtube.com/watch?v=gbhdquVN_s8
13:777 :

2024/05/04 (Sat) 15:49:03

ダボス会議で進む日本の食の危機【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏①】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/07
https://www.youtube.com/watch?v=saLZz5Ds1N0

戦後から失われた?日本の食問題【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏②】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/11
https://www.youtube.com/watch?v=TjRNK1-rjwM

戦後仕組まれた?日本の食料自給率の低下【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏③】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/13
https://www.youtube.com/watch?v=5HgunY1Sv-4

国際基準の食の安全とは?日本の食はおかしい【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏④】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/14
https://www.youtube.com/watch?v=FkopkPjowYs


政府が進める昆虫食の危険性|吉野敏明
2023/05/26
https://www.youtube.com/watch?v=2j7xTMcCpPg
14:777 :

2024/05/04 (Sat) 15:49:58

ダボス会議で進む日本の食の危機【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏①】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/07
https://www.youtube.com/watch?v=saLZz5Ds1N0

戦後から失われた?日本の食問題【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏②】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/11
https://www.youtube.com/watch?v=TjRNK1-rjwM

戦後仕組まれた?日本の食料自給率の低下【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏③】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/13
https://www.youtube.com/watch?v=5HgunY1Sv-4

国際基準の食の安全とは?日本の食はおかしい【東京大学大学院 農学生命科学研究科教授 鈴木宣弘氏④】
【公式】吉野敏明の政経医チャンネル〜日本の病を治す〜 2024/04/14
https://www.youtube.com/watch?v=FkopkPjowYs


政府が進める 昆虫食の危険性|吉野敏明
2023/05/26
https://www.youtube.com/watch?v=2j7xTMcCpPg
15:777 :

2024/05/07 (Tue) 06:57:45

吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16850855

吉野敏明 _ 日本人が病気になる原因は小麦・砂糖・牛乳と植物油
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14141482
16:777 :

2024/07/03 (Wed) 15:55:00

鈴木宣弘×森永卓郎 日本を直撃<物価高>。食料を外国に売っている場合じゃないと各国が輸出規制に走り…鈴木「万が一核戦争が起きれば日本に餓死者が」
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https://news.yahoo.co.jp/articles/12528b471ada2bfcca367fff83341fb40b7f7061

農林水産省の発表によると、2022年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は38%だったそう。そのようななか、「いざ食料危機が起きたとき、大都市の住民は真っ先に飢えることになる」と訴えるのは、経済アナリストの森永卓郎さん。そこで今回は、東京大学特任教授・鈴木宣弘先生と森永さんの著書『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』から一部を、お二人の対談形式でお送りします。

【写真】鈴木宣弘さん「日本のように食料自給率が低い国は、食料が買えなくなる危険がある。一番怖いのはそこだと思うんですよ」

* * * * * * *

◆アメリカより物価が上がる日本

森永 ウクライナ戦争で、「食料なんて海外から輸入すりゃいいんだ」じゃダメだってよくわかったはずです。

2023年6月の日本の消費者物価指数は、アメリカを上回りました。あれだけインフレだと騒がれているアメリカより、日本の物価上昇率のほうが高かったんですよ。

なぜそうなったかと言えば、食品価格の上昇が日本を直撃しているからです。

これまでは食料をガンガン輸出していた国でも、戦争の不安や、気候変動による干ばつの影響などに直面すると、まず自分の国で必要な分を確保しようとする。いまや世界中がそうした行動に出ています。

『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(著:鈴木宣弘・森永卓郎/講談社)

◆輸入ばかりしている日本

森永 そうなると当然輸出に回す食料が減り、値段が上がるので、輸入ばかりしている日本が一番被害を受ける。

いまさかんに危機感が煽(あお)られている「有事」には、これと同じことが、より極端なかたちで起きるのです。

鈴木 森永先生のおっしゃる通りです。

世界中の国が、食料を外国に売っている場合じゃないと、輸出規制に走っています。その結果、食料価格が上昇し、簡単に買えなくなりつつある。

値段が上がるだけでは済まず、いずれは輸出してくれなくなることも考えられます。

◆食料が買えなくなる

鈴木 インドは世界2位の小麦生産国ですが、ウクライナ戦争の影響で、小麦価格が上昇したことで、国内の安定供給のため小麦の輸出を禁止しました。

それに加えて、2023年7月、インドは米の輸出も禁止してしまいました。

小麦の輸出が減り、価格が高騰すると、代わりに米を食べようということで、代替需要が発生します。その影響で今度は米の価格にも上昇圧力がかかってくる。いま世界の食料価格はそんなふうに連動して上昇している。

インドの動きを見て、これは危ないということで、同調する国が増えています。いま世界で食料の輸出規制を行う国は30ヵ国を超えています。

この動きが広がると、日本のように食料自給率が低い国は、食料が買えなくなる危険がある。一番怖いのはそこだと思うんですよ。


◆世界のどこかで核戦争が起きれば日本人は飢え死に

森永 もっと極端な状況だって考えられるんです。

いまロシアが暴走してウクライナ戦争において核兵器を使用することが懸念されていますが、プーチン大統領が核兵器を一発でも使えば、世界の食料事情は一変してしまう。

核戦争が始まれば、どの国も自分たちの食料確保が最優先になる。もうだれも食料を輸出しようとしなくなります。

鈴木 『世界で最初に飢えるのは日本』でも紹介しましたが、核戦争が起これば、世界の物流が止まってしまいます。核爆発による破壊と被爆の影響を抜きにしても、それだけで日本は飢えてしまうのです。

アメリカのラトガース大学が核戦争による餓死者数を試算していますが、それによれば、核戦争で世界貿易が止まった場合、日本の餓死者は0.72億人~1.25億人となっています。

※本稿は、『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社)の一部を再編集したものです。
17:777 :

2024/07/05 (Fri) 18:55:28

鈴木宣弘×森永卓郎 我慢して都心に住む時代が終わり、労働者になる以外に稼ぐ手段がないと危険に…森永「暮らしを維持したいなら働く時間をより増やさなければならなくなる」
7/5
https://news.yahoo.co.jp/articles/3816c700e23f3a951502196f820e63aa37d66ed0

農林水産省の発表によると、2022年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は38%だったそう。そのようななか、「いざ食料危機が起きたとき、大都市の住民は真っ先に飢えることになる」と訴えるのは、経済アナリストの森永卓郎さん。そこで今回は、東京大学特任教授・鈴木宣弘先生と森永さんの著書『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』から一部を、お二人の対談形式でお送りします。

【写真】鈴木宣弘さん「すべての人が農業に関わりを持って、楽しく暮らせるような社会になれば、多くの問題が解決すると思う」

* * * * * * *

◆「助け合いができない人」は次の時代に詰む

森永 うちは野菜をほとんど買わないのですが、冬場は収穫できないので、自分で作った分では足りないんです。でも、隣の人から交換してもらったり、分けてもらえるのでなんとかやっていけるんです。

隣の人はもう80歳を超えているんですけど、農業マニアのような人で、自然薯も作っているんです。

自然薯って土の中深くまで伸びるから、収穫が難しくて、普通は土の中に雨樋のようなものを斜めに這わせて、自然薯が深くまで伸びないようにする。でも隣の人は、そのやり方は自然の摂理に反すると言って、下へ伸ばすんですよ。

当然、収穫時は160センチほども掘らなきゃいけないので大変(笑)。

ほとんど土木作業なんですけど、それでも自然な方法にこだわっている。そんなやり方でもお互い助け合っているからやっていける。

鈴木 なるほど。まさに「連携」ですね。

森永 私はずっと東京で仕事をしてきたので、これまであまり地域社会と関係をもたずに生きてきた。でも、畑をやるようになって、近所の人たちとも付き合うようになったんです。

「自立」し、人と「連携」しながら、クリエイティブな仕事をする。農業はアートだと言っているんですが、まさに自分の創造性を自由に発揮できる舞台なんですよ。

『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(著:鈴木宣弘・森永卓郎/講談社)

◆好きなことをやって人生を楽しむ時代

森永 ちょっと脱線しますが、私は大学でも教えていますし、ラジオやテレビの仕事もしている。

実は童話作家や小説家でもあるし、落語家もやっているんです。最近はミュージシャンの仕事も始めて、「目指せ紅白」と言っています。ぜんぜんお金にならないんですけどね。

でもこのあいだ、ついに東京国際フォーラムのホールAで、4000人の観客の前で歌いました。ラジオのイベントだったんですが、もうすっごく気持ち良くて。

鈴木 すごいですね。あらゆる分野を網羅しつつありますね。

森永 次は東京ドームだと言って、ラジオ局には嫌がられているんですけどね。

私の話はさておき、いずれ皆がそんなふうに生きる時代がやってくると思うんですよ。

我慢して都心に住み、資本家に労働力を売り渡す生活はいずれ終わり、皆が好きなことをやって人生を楽しむ時代がくる。

逆に、労働者になる以外に稼ぐ手段がない人は今後危険だと思う。税金と社会保険料がどんどん上がっていますから。そうなると、これまでの暮らしを維持するために、働く時間を余計に増やさなければならなくなる。

いまの政府は滅茶苦茶です。日本の年金制度は危ない。

5年に1度、財政検証と言って年金制度が持続できるかを調査するんですが、いまのままだと2040年には男性の半数は年金では暮らせず、75歳まで働くことになるんです。

でもいま、男性の健康寿命って72歳台(2019年)なんですよ。介護施設から仕事に行けというのか。

問題は、そんな社会で生きるのが幸せなんですか、ということ。私は畑をやっていれば幸せ。自由だから楽しいんですよ。

◆「トカイナカ」の魅力

森永 この前、猛暑で爆発したスイカを見ると、クワガタが食らいついていたのでびっくりしました。「カブトムシやクワガタにスイカを与えてはいけません」ってよく言われますが、カブトムシも食らいついてましたよ。

鈴木 自分の畑でカブトムシやクワガタが見られるなんて楽しいことですよね。ワクワクしますよね。

森永 うちは「トカイナカ」なので、子どもたちが小さいころから、カブトムシはいくらでも捕えられました。

でも、子どもを東京のデパートに連れていって、昆虫売り場を見に行ったことがあって。

「あのクワガタを買ってほしい」と言うので、「近所でいくらでも捕れるじゃねえかよ」って言った。

そしたら「お父さん、これ、所沢のと色が違う」と。子どもたちはこんなことが楽しいんです。

鈴木 親もそうだけど、子どもにとっても幸せな世界ですよね。

目の前に畑があり、田んぼもある。クワガタだ、メダカだ、ザリガニだと、いろんな生き物がいてね。それだけでも郊外に住みたいなって思いますよね。

◆現代人は農業と隔離された生活を送っている

森永 この間、ニッポン放送のアナウンサーが取材に来たんです。それでうちの畑を見せて「何の野菜かわかる?」と聞いてみたら、もうびっくりするほどわからなかった。ニンジンもアスパラもわからない。

わかった野菜は一つもないんじゃないかな。たとえばイチゴなんかだったら、実を見ればわかるけど、葉っぱだけ見ても何なのかわからないんです。それぐらい、多くの人が農業と隔離された暮らしを送っていますね。

鈴木 食べ物がどうやって作られているのか、農家さんがどういう仕事をしているのか、そういうこともわからなくなっていますよね。

森永 農業体験だけでもいいから、一人ひとりが農業をやってみる必要があるかもしれない。

鈴木 それを仕組みとして実現する必要があるかもしれませんね。

ビル・ゲイツ氏がやろうとしている「デジタル農業」とか、一部の人だけが儲かる仕組みにばかり予算を使っていないで、そういうことにもお金を使ったほうがいい。

すべての人が農業に関わりを持って、楽しく暮らせるような社会になれば、多くの問題が解決すると思う。

地域での連携もあって、生きがいもある。子どもたちも自然にも触れて健やかに育つ。子どもの情操教育的な面でもメリットが非常に大きい。

※本稿は、『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』(講談社)の一部を再編集したものです。
18:777 :

2024/08/07 (Wed) 14:40:11

「世界で最初に飢えるのは日本――食の安全保障をどう守るか」 東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授・鈴木宣弘氏が下関市で講演
2024年8月7日
https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/31383

『世界で最初に飢えるのは日本--食の安全保障をどう守るか』をテーマにした鈴木宣弘教授の講演会(7月27日、山口県下関市)

 下関市の社会福祉センターで7月27日、『世界で最初に飢えるのは日本~食の安全保障をどう守るか~』をテーマに東京大学大学院農学生命科学研究科特任教授の鈴木宣弘氏の講演会が開かれた。市民団体「高齢社会をよくする下関女性の会(ホーモイ)」が主催する市民福祉講座「地域の持続可能性に貢献する農業~安心安全な地産地消を目指すために~」の第二弾としておこなわれ、下関市内や北九州市から約250人が参加した。鈴木氏の講演要旨を紹介する(文責・編集部)。



◇◇       ◇◇




鈴木宣弘氏

 今日は「食料安全保障崩壊の本質」から入りたい。日本の食料自給率はなぜこれほど低いのか。一番大きい要因は米国の占領政策だ。戦後、米国の余剰農産物の最終処分場にされているのが日本だ。とくに麦や大豆やトウモロコシの関税が撤廃されて、一気に米国の農産物が押し寄せ、国内生産は壊滅した。そして御用学者が「コメを食うとバカになる」といい、日本人に米国産小麦を食べさせるために「食生活改善」がうたわれ、米国企業の利益のために日本人がみずから動くようにする洗脳政策がおこなわれた。一方、日本側も米国の要求を経済政策として利用した。経産省は自動車産業の利益のために食料、農業を差し出す「生け贄」政策で農産物の関税を撤廃した。



 もう一つは財務省(大蔵省)の財政政策だ。予算の推移を見ると、1970年段階で農水省の一般会計予算は1兆円近くあった。だが50年以上たった昨年度は2・3倍の2兆円ちょっとで実質の減額だ。一方、防衛予算は農水予算の半分だったものが、今や10兆円規模で18倍にまで膨らんでいる【①参照】。ちなみに再生可能エネルギー(太陽光発電)からの電力買いとりで事業者に払われている金額だけで4・2兆円。それだけで農水予算の2倍だ。





 軍事・食料・エネルギーが国家存立の三本柱というが、そのなかでも命を守るのは食料だ。その食料の予算が歪に減らされてきたのが日本の特徴だ。生産者は苦しくなり、輸入はさらに増えて自給率低下の流れが止まらない。



 今の世界的な食料危機をクワトロ(4つの)ショックと呼んでいる。コロナ禍、中国の爆買い(小麦、大豆、トウモロコシ、牧草、魚粉、肉、魚などを中国が大量に買い付けて日本に入ってこない)。また異常気象が通常気象になり、日本でも世界でも不作が頻発する。間違いなく食料需給が世界的にひっ迫している。そこに紛争のリスクが高まり、ウクライナや中東で勃発した。



 こういうなかで、まず経済制裁を受けたロシアやベラルーシが「日本が敵だからモノは売らない」といいはじめた。米国がそうしてきたように、食料はまさに武器なのだ。またウクライナのような世界の穀倉が破壊されている。そのなかで一番深刻なのが食料の囲い込みだ。インドは世界で1位、2位のコメ、麦の生産・輸出国だが、自国民を守るために防衛的に輸出を止めている。そういう動きが今や30カ国に及んでいる。日本は小麦を米国、カナダ、オーストラリアから買っているが、これらの代替国に需要が集中して食料争奪戦が激化している。



 日本の農業も大変な事態になってきた。まず穀物が十分手に入らず酪農、畜産のエサの価格が2倍に上がって全国で廃業する流れが止まらない。さらに、日本は化学肥料の原料であるリン、カリウム、尿素をほぼ100%輸入に頼っている。中国の輸出抑制で入手困難になりつつあった矢先、カリウムを依存していたロシアとベラルーシも輸出を抑制した。高くて買えないどころか、原料が手に入らず製造中止となる配合肥料も出てきている。これでお手上げだ。日本の農業は、化学肥料を使った慣行農業が99・4%を占めている。肥料価格も一昨年の2倍ぐらいに上がり、日本の農業が続けられるかという大変な状況になっている。化学肥料に頼らない有機農業というのも考えていかないといけない事態になっている。



 さらに注目すべきは中国の動きだ。中国がアメリカとの関係悪化に備えて14億人の人口を1年半まかなえるほどの食糧備蓄をしている。しかし国産だけでは足りず世界中の穀物を買い占め始めた。今、世界の穀物在庫の大半が中国に集まっている。異常な事態だ。かたや日本の備蓄はコメを中心に1・5カ月分。今日本の農業はコスト高で苦しんでいるが、モノが入らなくなったときにそんな食糧備蓄で私たちは子どもたちの命を守れるのか。



 実は日本の農業も、潜在生産力はある。減反によってコメは全国で700万㌧しかつくっていないが、地域の田んぼをフル活用すれば1400万㌧はできる。コメを中心に他の作物も増産して、1年分ぐらい備蓄してみなの命を守れるようにすることこそが一番の安全保障ではないか。



 これをいうと財務省が「その金はどこにあるか?」といって議論にならない。米国からまともに飛びもしないようなミサイルを買うのに43兆円を使う金があるのなら、どうしてみなの命を守る食料、農業、農村を守らないのかだ。突きつけられているのは、食料、種、肥料、飼料などを海外に過度に依存していては国民の命を守れないという現実なのに、いまだに「米国に要求された貿易自由化をすればみんなが幸せになれる」「それが安全保障」のような議論をしている。



 現実に農業の衰退や所得低下の一方で、もうけているのは日米のグローバル企業だけだ。みんなを守るルールを破壊すれば、一部の企業だけがもうかるに決まっている。そして輸入が滞るリスクが高まるなかで、このまま放置していたら「台湾有事」などで本当に中国がシーレーンを封鎖するようになったら、みな飢え死にしてしまう。それを考えたら、目先コストが高くても地元の食料を守ることが一番の安全保障といえる。



日本の実質自給率9% 種の9割は輸入



 もう一つ大変なことがある。種(たね)だ。野菜の自給率は80%といっているが、その種の九割は輸入だ。それを考慮すると物流が停止すると野菜も8%しか自給率がない。種採りしようにも、ほとんどがF1種(交雑種)なので一代限りで同じものはできない。地元の在来種をしっかりと守り、循環させる仕組みを強化しないといけない。食料は命の源だが、その源は種だ。





 鶏卵の国産率は97%というが、エサが止まれば自給率は12%。ヒナが止まれば今でもほぼ0%だ。それも含めて日本の食料自給率を計算し直す必要がある。現在の食料自給率は38%ぐらいといっているが、肥料や種の話は入っていない。さらに化学肥料原料の調達ができなければ収量が半分になる。実質自給率はそれだけで22%だ。さらに野菜の種の9割が輸入であることを考慮すれば実質自給率は9・2%だ。おそるべき数字だ。



 野菜はともかく「コメの種は国内で調達しているのでは?」と思われるかも知れない。だが「日本の種を守るんだ、シャインマスカットの種が中国や韓国にとられてはいけない」といって大変な法律を決めてしまった。今、グローバル種子農薬企業が「種を制するものは世界を制する」といって世界中の種を自分のものにしようとしている。しかしそれに対して世界中で農家や市民が猛反発している。



 そのなかで、なんでもいうことを聞く日本に対して「まず公共の種子事業は邪魔だからやめろ」と要求した。そこで日本は、各自治体が公共の試験場でコメの品種をつくってみんなで安く共有するために定めていた種子法を廃止した。やめただけではない。各地域の良質な種はグローバル企業に渡さなければいけないという法律までつくった(農業競争力強化支援法8条4項)。さらに農家が自家採種することを制限した。種苗法の改定だ。そう考えると、「日本の種を守るんだ」といいながら、実態は逆に日本の大事な種をどんどんグローバル企業に渡していく流れをつくっている。本当に9・2%という自給率に近づいている。



 その流れのなかで、福岡のイチゴ「あまおう」の種の知見をよこせといってきたという事例がある。福岡県は抵抗したが、法律で決まっているという理由でとられた。そういう事例が全国で1400品種ぐらい出ており、懸念される事態が進んでいる。



 さらに追い打ちをかけるような計算を米ラトガース大学が出した。局地的な核戦争が起こっただけで、被爆による死者よりも物流が止まることによる死者、餓死者が世界で2・55億人出ること、うち世界の餓死者の3割(7200万人)が日本に集中するというものだ。「食料を自給できない人たちは奴隷である」(キューバの著作家ホセ・マルティ)、「食うものだけは自給したい。個人でも、国家でも、これなくして真の独立はない」(高村光太郎)といわれるが、自給率38%でも低すぎるのに、実質1割を切るような状況が近づいている。不測の事態において国民を守れない国は独立国といえるのだろうか。



 主食のコメは、今になって足りないといって値段が上がっているが、余っているといわれて1俵(60㌔)9000円ぐらいまでに下がったときもある。でもコストは1万5000円かかるから大赤字だ。肥料も2倍になっており、農家の赤字はどんどん膨らんでいる。買いたたかれて価格転嫁が進まないし、それを支援することもない。コメづくりを続けられない人が増えてきて、今急にコメが足りないといっている。その政府の失敗をいわずして、「去年の猛暑でコメ生産が減ったからしょうがない」というのは違う。どうしてこうなったか考えないといけない。



 国内農業生産を強化し、危機に対して国民を守る体制づくりが急務のはずだ。ところがコメも牛乳も過剰だから「コメをつくるな、搾るな(牛乳捨てろ)、牛を4万頭殺せ」と「セルフ兵糧攻め」のように国内生産基盤をそぎ落とした。こんなことをしているのは日本だけだ。他の国はコロナ・ショックで在庫が増えたときに、国が買いとって子ども食堂やフードバンクを通じて困っている人に届けるということもやった。そうやって財政出動で国が農家を助けて歓迎された。日本はそれを一切やっていない。



 日本が国内在庫を援助物資に使わないのはなぜか? かつての中川昭一農水大臣が周囲の反対を押し切って脱脂粉乳の在庫を途上国の援助物資として出したが、彼はもうこの世にいない。つまり、日本が援助物資をやるとアメリカの逆鱗に触れることがわかっているから、政治行政の側は恐れ、国民の心配よりも自分の地位や保身の心配ばかりしている状況がある。アメリカの市場を奪うことになるからだ。



 今、酪農はとくに大変だ。コロナ禍で牛乳が余るから牛を1頭殺したら15万円払う、4万頭殺せといってきた。そもそも2014年にバターが足りないと大騒ぎになり、酪農家は借金してでも増産するよういわれ、みな頑張ってきた。ところが軌道に乗ってきたところにコロナ禍に見舞われ、今度は牛乳が余ってきたから搾るな、捨てろという。酪農家は借金だけ残って、廃業するどころか、北海道や熊本などで自殺者も出ている。このようなところまで追い込んでしまっている。生産者を振り回す「作れ」「作るな」をいつまでくり返すのか。



 需給がひっ迫するのがわかっていながら、牛を殺したために今度は本当に牛乳が足りないといい始めた。でも子牛から牛乳を搾れるようになるまで3年以上かかる。足りなくなってから焦っても間に合うわけがない。だからバターを緊急輸入するという。それがさらに国内生産の芽を摘む。他の国のように政府が需要をつくって生産を維持するための調整をすればいいのに、しわ寄せがすべて農家にいっているのだ。



手厚い米国の農家補填 食料を武器にする戦略



 米国は日本に対してあれやれこれやれと要求するが、自国の農業予算は圧巻で、非常に戦略的にやっている。米国ではコメ1俵を4000円で売ってもその差額の1万2000円は100%政府から補てんされる。食料こそ一番安い武器だという考え方に基づいている。だから徹底的に食料にお金をかけて、日本をコントロールするんだという戦略だ。



 なんと農家への補てん額が、穀物の輸出向け分だけで1兆円規模になる年もあるほど農家への所得補てんも驚くほど充実している。米国は徹底的な補助金をつけて安くして、日本の農業をつぶしてくるわけだ。つまり米国が自由にもうけられるのが「自由貿易だ」という理屈だ。自分の悪いところを棚にあげて人を叩きまくるのが米国の得意技だ。



 さらに米国は、消費者支援策をしっかりやっている。農業予算の64%が消費者の食料購入支援に使われている。日本はこういう政策もない。



 世界のなかで日本と米国は先進国で最貧国になっている。一番貧困率が高いのはアメリカだったが、ついに日本がそれを抜いた。抜いたばかりか、国連の飢餓地図では日本はいまやアフリカなどと同じグループで、世界でもっとも栄養不足人口が多い国になった。これほど日本の国民消費者は追い込まれている。それを助ける政策が必要なのだ。



 私が農水省にいたころは、農水、財務、経産省は官邸でバチバチケンカをしながらも頑張っていた。それがいまや農水省の権限がどんどん縮小され、財務省は食料、農業予算が切りやすいからといって、とにかく一番大事な予算を集中的に減らしてきている。例えばコメを作るなというだけではなく、コメの替わりに小麦、大豆、野菜、そば、飼料米、牧草などを作る支援として支出していた交付金をカットすると決めた。もう一つ驚くのは、田んぼを潰せという。信じられるだろうか? 田んぼでコメをつくるのが、一番の命の源だ。地域コミュニティも伝統文化も守り、洪水も止めてくれるのが日本の田んぼであり、それが日本の社会だ。それをまったく考えず、「余っているのだから潰せ」「潰すならば補正予算で750億円つけますよ」という。どこに政策を向けているのか、ほんとうに大局的見地、国家観というものがあるのか問われるのが今の状況だ。



農業は国民の命に直結 最初に飢えるのは東京




搾乳する酪農家(熊本県)

 先ほどのべたように農家の赤字は膨らんでいる。でも歯を食いしばって頑張っているが、農産物の価格は上がらない。これを地域みんなが支え合って生産が持続できるようにすることが必要だし、この状況を放置したら、本当に海外からものが入らなくなってきたときに、私たちは子どもたちの命を守れるかだ。農業問題は生産者の問題をはるかにこえて、消費者一人一人、国民の命の問題だということを今こそ考えないといけない。



 それをさらに思わされたのは昨年の猛暑による減産だ。北海道の自給率は223%、山口県は31%、東京は0・4%。私が出した『世界で最初に飢えるのは日本』という本が衝撃を与えたというが、その日本で最初に飢えるのはどこかといえば東京に決まっている。去年のように猛暑で北海道で大幅に生産が減るようなことになれば、まずはじめに食料が届かなくなるのが東京だ。だれのおかげで私たちの命がつながっているのかを考えないといけない。人口が少なくても農村部で、第一次産業で頑張っている人がいるからこそだ。



 佐賀県が「国会議員の定数を各都道府県の食料自給率に基づいて再配分すればどうなるか」ということで試算したところ、東京の国会議員の定数は1。自給率から見ればゼロだ。自給率の高い北海道は196人だ。極端な計算ではあるが、人口だけみて優劣を付けるのではなく、こういう数字の意味をわれわれは考えないといけない。生産地が疲弊すれば都市には食料が供給されないのだ。



 こういうなかで25年ぶりに農業の憲法といわれる農業基本法が改定された。だれが考えても、今この時期に農業の憲法を改定するということは、世界情勢の悪化と国内農業の疲弊を放置せず、抜本的に農業・農村を支える政策を強化して食料自給率を引き上げてみなの命を守れるようにするためだ。ところが、ふたをあけてみると新基本法には、食料自給率という言葉がなく、「基本計画」の項目で「指標の一つ」に位置付けを後退させ、食料自給率向上の抜本的な対策の強化などには言及されていない。逆のことをいっている。これまで農業、農村を支えるためにいろんな政策をやってきたのだからそれで潰れる方が悪い、もうかっている経営体だけ守ればいいという基調だ。



 そして大多数の農家が潰れることを前提に、輸出、スマート農業、海外農業投資、農外資本比率を増やすことを挙げているが、それだけで食料・農業・農村を守ることができるわけがない。いざというときにどうやって食料を供給できるのか。それへの答えが、今回の農業基本法改定の目玉である有事立法だ。普段苦しんでいる農家への支援は一切やらず、有事になったら増産を命令する。花き農家にも畜産農家にもイモを強制的に増産させて、それを供出させる。従わない農家は処罰する。「支援するから頑張ってくれ」ではなく、支援はしないが罰則で脅してそのときだけ作らせればなんとかなるという荒唐無稽な法律が通ってしまった。そうではなく、今頑張っている農家を支援して自給率を上げればいいだけの話だ。



 ある有名な経済学者が四国の中山間地にいって「なぜこんなところに人が住むのか。こんなところに無理して人が住んで農業をやるから、税金を使って行政もやらなければいけない。これを無駄という。早く原野に戻せ」といった。これがいかに間違っていたかはコロナショックで明らかになったはずなのに、今また農業の憲法まで変えてそのような方向性を進め、農業・農村の疲弊を放置し、結局一部の企業だけがもうかればいいという議論にしてしまっている。これでいいのか? ということが厳しく問われている。



農業悪玉論に怒り爆発 欧州で広がる農民の抗議




トラクターデモをおこなうオランダの農家(1月31日、ブラバント州)

 今世界中で農家の怒りが爆発している。欧州では、コスト高への怒りだけではなく、SDGsを悪用した環境規制強化で農業潰しが始まったことに農家は怒り、高速道路を封鎖し、中心部から食料を消して抗議している。都市部のスーパーの棚からは一斉に食品が消えた。農家は「農家なくして食料なしだ(No Farmers,No Foods)」と訴え、それに共鳴した国民運動にもなっている。日本は世界でもっとも厳しい状況に置かれているのに、みんなとても我慢強い。もうちょっと怒っていい。



 この環境規制の絡みで、まともな食料生産振興を差し置いて、突如、地球温暖化の主犯は水田のメタンガスと牛のゲップだといって農業を悪者にし、コオロギや人工肉の普及が始まっている。水田は何千年も前からあったし、牛も昔からゲップしている。温暖化は工業化が原因であるのに、それを農業、酪農畜産、漁業のせいにして新しいビジネスでもうけようとしている者たちがいるのだ。



 今年1月の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも耳を疑う発言が飛び出した。プライベートジェットで温室効果ガスをまき散らしながら集まるこれらの人たちは、「アジアのほとんどの地域ではいまだに水田に水を張る稲作がおこなわれている。水田稲作は温室効果ガス、メタンの発生源だ。メタンはCO2の何倍も有害だ」(バイエル社CEO)、「農業や漁業はジェノサイドならぬ“エコサイド(生態系や環境を破壊する重大犯罪)”とみなすべきだ」と主張した。



 この荒唐無稽な議論は「工業化した農漁業や畜産を見直して環境に優しい農漁業に立ち返るべきだ」という主張ではなく、農漁業や畜産の営み自体を否定して、その代替食料としてみずからが推進する昆虫や人工肉などを普及してもうけるためのビジネス本意の主張といわざるを得ない。



「三食イモ」でしのぐ? 食料安保の実態



 今、農業の実態は非常に厳しい。データ【②③参照】を見ても、酪農や肉用牛の経営では、規模拡大して借金して頑張ってきた大規模層が平均2000万~3000万円の赤字だ。このまま放置すれば産業崩壊だ。稲作でも、全国平均で1年やって手元に残るのはわずか1万円。時給換算では10円だ。それでもおいしいコメを作るために頑張ってくれている農家がいるのは奇跡といえる。







 だが日本の方向性は、食料やエネルギー自給率向上の抜本的な論議よりも、経済制裁の強化、敵基地攻撃能力の強化など勇ましいものばかりだ。増税して43兆円に防衛費を増額して攻めていく論議が盛んだが、その前に食べるものをどうするのか? これだけ食料をないがしろにしてきた日本が、米国に金魚の糞のようについて行った途端、中国が海上封鎖でもすれば、戦う前に飢え死にして終わるだけだ。武器をいくら備えても命を奪うだけだが、食料自給率を高めて平和外交をすることがみんなの命を守ることに繋がる。



 米国から買わされる食料も在庫処分なら、兵器も在庫処分。オスプレイなどは危ないから世界中が敬遠しているのに、日本が1機200億円で買い、買い増しまでして沖縄で大事故を起こし、米国も生産を2026年で中止する。それなのに佐賀空港の隣では40㌶の優良な田畑を潰してオスプレイ基地を増設している。こんなことをいくらやっても、輸出規制が強化されてモノが入らなくなったら、私たちはトマホークとオスプレイとコオロギをかじって何日生き延びられるのかということだ。



 「だからこそ食料自給率が大事なのだ」というと「自給率はゼロでもいい。自給力さえあればいい」といい始めた。自給力の中身とはサツマイモだ。有事になったら農家だけでなく、国民みんなでサツマイモを植える。校庭やゴルフ場、道路に盛り土してイモを植えて三食イモで数年しのげばなんとかなるという。まさに戦時中だ。これが日本の食料安全保障だというのだから呆れるほかない。



 日本の食料自給率が低いのは輸入が多いからだ。日本は国の責任で米の77万㌧、乳製品13・7万㌧という莫大な量を「最低輸入義務」だといって輸入し続けている。だが私の調べでは、そんな約束はどこにもなく、「低関税を適応する」というだけの約束だ。だから他国で全量入れている国はない。日本は国内在庫が増えても全量輸入して国内農家を苦しめている。本当の理由は、米国から「コメは36万㌧必ず買え」と密約で命令されているからだ。



 その米国から買っているミニマムアクセス(MA)米の値段たるや、今や1俵3万~4万円近くになっている。国産米の2~3倍の値段【④参照】だ。そんな米国産米を大量に買い、入札にかけても誰も買わない。しょうがないから飼料に回すが、そこで差損を埋めるために毎年税金700億円を投入している。





 酪農については、コロナ禍の在庫過剰で北海道だけで14万㌧余るから、「(牛乳を)搾るな、捨てろ」「牛殺せ」という話になったが、国は脱脂粉乳・乳製品を13・7万㌧(生乳換算)輸入している。それへの批判が高まると、野村農水大臣(当時)は「乳牛淘汰は農家が選択したことであって国はそれを助けただけ」といい、義務でもない大量輸入については「輸入に頼る日本が輸入を止めると信頼をなくし、今後輸入できなくなると困るから」といった。これだけ現場が価格転嫁できずに歯を食いしばって頑張っているときに、他人事のように責任転嫁だけしていいのかということだ。



 「外に媚び、内を脅かす者は、天下の賊である」(吉田松陰)という言葉があるが、政治家に限らず、一定の年齢に達して、自分がリーダーであると思う人は、子どもたちを守るために自分が盾になるくらいの覚悟をもって行動すべきときに来ているのではないか。



政策で自給率増は可能 農漁業保護は当たり前



 農漁業が消滅すれば国民は食べ物を失う一大事となるが、地域経済においても一次産業のおかげでどれだけの関連産業や組織が成り立っているか考えてほしい。みんな運命共同体であり、私たちが支え合わなければ、一緒に泥船に乗って沈んでいきかねない。



 第一次産業は小さな産業だという人がいる。たしかに生産高は全国で10兆円規模だ。だが、それを基礎にして成り立っている食料関連産業の規模は110兆円になる【⑤参照】。すべての経済社会は一次産業を基礎にして成り立っているといっても過言ではない。これを忘れてはいけない。





 とくに地方の中山間地域では、一次産業があることで土砂崩れや川の洪水を防ぎ、地下水をつくり、水田が暑さを和らげ、生物多様性も育まれる。その営みを基礎にして地域コミュニティが形成され、教育や文化伝承ができる。東京のように都市部が農村から分離されて肥大化すれば人間は住めなくなる。地方では、都市と農村がしっかり繋がりながら地域の循環圏を作り上げる力を強化しなければいけない。



 「日本の食生活が変わり、もう日本の農地だけでは足りないのだから自給率など上げられない」という言葉をよく聞く。誰がそうしたかといえば米国の政策だ。裏返せば、政策で自給率は変えられるということだ。



 たとえば江戸時代は鎖国政策で海外からモノは入ってこなかったが、私たちは負けずに徹底的に地域の資源を循環させ、循環農業、循環経済の社会を作り上げた。これは世界中を驚かせた。江戸時代に戻ることはできなくても、われわれの実績を思い起こさなければいけない。それをぶち壊したのは米国の占領政策と戦後政策だ。



 まず著名な学者を「回し者」にして、日本人が欧米人に劣るのは主食のコメが原因であるとする「コメ食低脳論」(慶應大学医学部教授・林髞著『頭脳』)を氾濫させた。きわめつけは、子どもたちをターゲットにして学校給食でパン食と腐った脱脂粉乳を与え、米国の小麦連合会が厚生省(当時)に資金供与して「食生活改善運動」を推進し、米国の過剰な小麦を売り込む戦略のもとで「洋食推進運動」まで実施した。これほど短い期間に伝統的な食文化を一変させた民族は世界に例がない。



 農水省は2006年に日本食をとり入れることによって自給率が向上するというレポートを出したが、圧力を受けて今では入手不能になった。それを助長したのが経産省主導の経済政策だ。政府の計量モデルで私たちが試算すると、RCEPやTPP11などの大きな貿易自由化交渉がまとまるたびに、自動車が約3兆円もうかり、農業が大赤字になる。これをくり返している。農業を生け贄にしてもうけてきた産業界も、その犠牲にしてきた農業・農村の再興についてもっと責任をもつべきだ。



 農業を生け贄にしやすくするために「日本の農業は過保護だ」という誤解をメディアを通じて国民に刷り込んだ。「欧米は競争によって発展した」というのも大嘘で、欧米こそ国家戦略で農業を大々的に国が下支えしている。「日本の農業は補助金漬けだ」というが、実際に調べると農業所得における補助金の割合はせいぜい3割。スイスやフランスはほぼ100%だ。命を守り、環境を守り、国土・国境を守る産業(農漁業)を国民みんなで支えることは世界の常識であり、農業は公共・公益事業だ。そう見なさない日本の常識は世界では非常識だ。



 手厚い農業政策があるフランスでは農家の平均年齢は51・4歳だが、日本はいまや68・7歳。各地で「10年後にどれだけの農業・農村が残っているか」という話をすると、「10年どころか5年でもたない」「もうやる人がいない」という地域が増えている。赤字が膨み廃業のスピードが加速しており、われわれに残された時間は非常に少ないということを認識しなければならない。



「輸入品が安い」は本当か 安さには必ずワケがある



 これまで話してきたように、日本の農業が苦しくなったのは輸入に押されてきたからだ。関税を下げて安い輸入品を受け入れ、それに消費者が飛びつくから国産が売れなくなって自給率が下がった。今では関税を引き上げて輸入を減らすことは実質的にできない。



 それでもやれることはある。食生活を変えればいい。安いものには必ず訳がある。輸入品が安いのはリスクがある成分が入っているからだ。それを食べて病気になれば治療費がかかるわけで、実はこれほど高いものはない。だからこそ地元のものを買って支える。そして自分も一緒に作るくらいのことをすれば流れを変えられる。



 自分にとって何が安全なものかを選ぶためにも正しい情報の共有が必要だ。しかし現在、それを選べないようにする流れがある。





 たとえば原材料で「遺伝子組み換えでない」という表示が昨年4月から消えた。こういう表示をして、ごく微量でも輸入大豆の混入が見つかったらその業者が摘発されることになったから業者は怖くて表示できない。日本では輸入大豆が全体の94%を占めているのだから、流通過程で微量の混入は避けられないのだ。これを要求したのも米国側だ。私が農水省にいたTPP交渉時から「日本で“遺伝子組み換えでない”の表示をされると消費者が、安全な遺伝子組み換えに不安を持つ。誤認表示だからやめろ」といわれていた。これは陰謀論ではなく陰謀そのものだ。



 また日本でも流通している除草剤「ラウンドアップ」は、主成分グリホサートの発がん性が世界的に問題になり、世界で基準が厳しくなった。世界で基準が厳しくなると日本では緩められる。グリホサートの残留基準値を極端に緩和し、従来よりも小麦は6倍、そばは150倍にした。これを開発した種子農薬企業のモンサントは製薬大手のバイエルと合併しているので「これで日本人の病気が増えれば治療薬でもうかる。一度で二度おいしい新しいビジネスモデル」といったという噂もある。本当ならいい加減にしろということだ。



 日本ではグリホサート系除草剤を雑草にかけるが、米国では小麦やトウモロコシに直接散布するから次元が違う。それを世界で一番輸入して、食べているのが日本人の悲劇だ。米国では大豆、トウモロコシはグリホサートをかけても枯れないように遺伝子組み換えをしている。小麦は遺伝子組み換えにしていないが、収穫期に乾燥させるためにかけるからそれが残留しているのだ。日本のメディアが米国穀物協会の幹部にインタビューをして「なぜ小麦を遺伝子組み換えにしないのか?」と問うと「決まってるだろ。小麦は人間(米国人)の主食だ。大豆、トウモロコシは家畜のエサだ」とのべた。それを食べている日本人は家畜相当なのかということだ。



 またゲノム編集技術についても、予期せぬ遺伝子損傷が世界の学会誌に報告されているのに、「遺伝子を切りとるだけ(組み換えていない)だから」という妙な理由で審査も表示もするなと日本だけ率先して野放しにした。さすがに販売業者も心配するので、「やはり子どもからだ」ということでGABA含有量を高めたゲノム編集トマトの苗を全国の小学校に無償配布した。これを子どもを実験台にした新しいビジネスモデルであるかのように国際会議で発表している。100歩譲ってもゲノム食品を食べ続けて何が起こるのか誰もわからない。それを子ども(学校給食)から広めて、結局利益は特許を持つ米国のグローバル種子農薬企業に入るという構図になっている。



 ゲノム編集を動物に実用化したのは日本が最初であり、すでに肉厚真鯛とかが一部の寿司屋にも流通し始めたことは海外では有名な話だ。日本ではあまり知られていないが、米国の消費者団体は「世界で最初のゲノム寿司」「日本の寿司は食えない」というポスターまで作っている。



 米穀物メジャーが主導する占領政策が、今も形を変えておこなわれていると考えてもおかしくない。私たちは総力を挙げて子どもたちを守らなければいけない。ここから逆に示唆されるのは、米国の思惑から子どもたちを守り国民の未来を守る鍵は「学校給食」にあるということであり、地元の安全・安心な農産物を学校給食を通じてしっかり提供する活動を強化することが必要だということだ。こういう活動が女性陣を中心に全国で広がりつつある。



 よく例に出るのが千葉県いすみ市。市長が化学肥料や農薬を原則使わない有機米を1俵2万4000円で買いとると宣言し、農家の有機米生産を奨励。いざやってみると最初は草が生えてきてどうにもならなかったが、有機農業の技術を持った方に研修に来てもらって軌道に乗り、4年くらいで市内の学校給食がすべて有機米になった。野菜もかなり有機になっている。それに触発された京都の亀岡市の市長さんは、私の話が終わった後、「いすみ市が2万4000円なら亀岡市はその倍(4万8000円)で買いとる」と宣言し、会場から拍手喝采を受けた。



 まず一番身近な地元で給食という「出口(需要)」をしっかり作り、高い価格で買いとり、なによりも子どもたちの健康を守れる。それはみんなを幸せにする地域循環の仕組みをつくるうえでも大きな鍵になる。いすみ市は現在、「子どもが元気になる」ということで「移住したい田舎」の首都圏1位だ。



 東京でも世田谷区(90万人)も有機給食に動き始めた。世田谷区内での田畑では全然足りないが、全国から有機米を買いとる。都市部の自治体が頑張っている生産地の農家と連携していくという地域間の循環も生まれている。国がやらなくても、これは非常に大きなうねりになる。兵庫県明石市では、財政難のときに前市長が「守るべきは命、子ども、食料だ」ということで給食無償化をはじめ子ども予算を2倍に増やした。当初は嘲笑されたが、子どもが元気になり、出生率も上がり、人口は増加。経済活性化で税収も増えて財政赤字を解消した。これは非常に大きな教訓だ。



 今、財務省はOBを含めて誰に聞いてもやるべきことは二つしかないという。増税と支出削減だ。こんなことをやれば悪くなるだけだ。経済の好循環を生むには守るべきものを守る仕組みを作り、みんなが元気になる流れを作ることだ。その意味でも給食を核にした地域循環の仕組みは大きな重要性を持つ。



協同組合の役割が重要 相互扶助の仕組強化を



 農水省もいまや「財務省経済産業部農業課」と揶揄されるような現状にある。農家の共販を実質できなくさせる畜安法改定について、農水省の当時の担当局長と課長が「それだけはやめてくれ」と官邸に直談判にいくと異動(左遷)となった。農漁業を潰すと宣言する者が次官にとり立てられ、守ろうとする者は過去のセクハラ・スキャンダルをメディアにリークされて社会的に抹殺される。官邸の意に反するものは「人事とカネとスキャンダルと恫喝」で抑えつけることが常套手段になっている。



 産地と小売の取引交渉力を推定してみると、コメをはじめ飲用乳、野菜に至るまですべての農産物が小売業者に買いたたかれている。仲卸業者の話では「農産物をいくらで買うかは、まずスーパーが店頭でいくらで売るかで決まり、そこから逆算して出すので生産コストは初めから考慮されていない」という。生産者が長続きしないようなビジネスがあっていいわけがない。生産者が存続できるような価格を支え、消費者が良質なものを適正価格で買えるような相互扶助の仕組みがいかに重要かだ。



 そこで重要なのが共同体、協同組合の役割だ。個々バラバラでなく共同購入、共同販売をする。私の計算では、農協の共販の力でコメの販売額は1俵3000円上乗せできている。共同体、協同組合が踏ん張ることがいかに重要かということがわかる。



 最近「民間活力の最大限の活用」とよくいわれるが、日本の地域を食い物にするごくわずかな企業人たちがいる。「MTNコンビ」といわれる3人は、オリックスに集結して農・林・水(水道も含む)の分野で自分たちがもうかる仕組みを作った。兵庫県養父市の農地を企業が買収できるようにするために国家戦略特区で規制撤廃させ、昨年それを全国に広げる方向性が決まった。だがその直前、同社はそこまでして手に入れた養父市での農業事業を転売した。農業を頑張るのではなく、利益を上げるために使うことが目的なのだ。



 その証拠に「農地の番人」である農業委員会が任命制になったのをいいことに、この企業人らは旨みがある農地を持つ地域の農業委員会に自身が任命されるように物色しているといわれ、農地を取得して転用申請し、それを自分で承認してもうけていくという筋書きだ。



 また、国の山を企業が盗伐しても植林義務がなく、それを税金で国が尻拭いをするという森林二法も、内閣法制局は「憲法違反だ」といったが通ってしまった。漁業権についても、千葉県銚子沖でオリックスが洋上風力発電に着手し、そこで漁業権が邪魔になるからといって国がひっぱがし、それをオリックスに付け替えられるようにしてくれという話が浮上。「そんなバカな」という話だが、それが可能になる漁業法の改定もおこなわれた。宮城県の水道民営化事業で上前だけピンハネする企業グループにもこのMTNの3人は入っている。



 このような「今だけ、金だけ、自分だけ」の人々とは真反対に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」で地域を守ろうとしている人たちの力で、こういうものを排除していかなければいけない。



食の安全に関わる情報は隠蔽 輸入検査ザルの日本



 日本ではメディアも食の安全にかかわる情報共有をやらない特徴がある。海外では店頭に価格差がある同じ種類の商品を並べたとき、それぞれのリスク情報も提示したうえで消費者に選択させる。日本はその情報を一切出さないので、私たちは自分たちで共有して広めるしかない。



 かつて米国産レモンに日本では禁止されている農薬(防カビ剤イマザリル等)が大量にかかっていることがわかって日本が海に捨てた。それが米国の逆鱗に触れて「自動車輸入を止めるぞ」と脅されため、「禁止農薬でも輸送時にかけたものは食品添加物に変える」というウルトラCの分類変更で散布を認めた。今度はパッケージに食品添加物が表示されること自体が「不当な米国差別だ」と主張して消そうとしている。



 また、肉牛を太らせるために投与するエストロゲン(ホルモン剤)は、乳がん増殖との因果関係が認められ、日本では牛や豚には使えない。だが米国では使用しているので日本では輸入肉の検査はザルにしてある。EUでは米国産牛肉を禁輸しており、豪州産はホルモン・フリー(不使用)のみ認めている。ところが同じ豪州産でも輸入肉検査がザルの日本向けにはしっかり投与している。最近では米国内の消費者も発がん性への懸念からホルモン・フリーを求めるようになったため、危ないものは日本へ向かう流れになっている。



 ところが日本では、日米貿易協定で米国産牛肉の関税が半分になったら、協定発効の最初の1カ月で米国産牛肉の消費量が1・5倍に増えた。みんなが安いといって飛びついているからだ。産婦人科の学会誌でも、米国産牛肉から600倍のエストロゲンが検出されていることと、日本国内でホルモン依存性がんが年々増加していることとの関連が指摘されている。食生活を見直さなければ手遅れになるということを広めていただきたい。子どもたちを守り、日本の生産者を元気にする仕組みを作ることは「量の安全保障」だけでなく「質の安全保障」を担保するうえでも重要なのだ。



 しかも今すでに日米の農産物価格を比較すると日本産の方がはるかに安い【⑥参照】。牛肉も日本が安く、キャベツは4分の1、トマトも半分だ。「国産なんて買えない」といっている場合ではない。もっと高く買っても日本の方が安くなっている。





 今こそ身近なものに目を向けるときが来ている。「オレンジが足りない」「牛肉が品不足で高い」と騒ぐような状態になった理由を考えれば、日米牛肉・オレンジ自由化交渉で米国の要求に応えて自由化したおかげで日本では多くのミカン農家が潰れ、牛肉も自給率は3割に落ち込んだ。身近なものをないがしろにして安い輸入品に飛びついた結果、それらが入らなければ大騒ぎになる状態になったのだ。



 牛や豚の飼料に混ぜる成長促進剤「ラクトパミン」も、人間に中毒症状を起こすとしてEUだけでなく、中国もロシアも禁輸したが、米国では使用を続けている。米国の消費者が拒否したものも日本に向かう流れが強まっている。このように表示が無効化されている。遺伝子組み換え、ゲノム編集、無添加の表示もできなくさせ、「わからなくして食べさせてしまえ」という流れだ。



 食パンのグリホサートの残留濃度を調べると、国産小麦を使用したパンからは検出されなかった。何が安全かはこれを見ても一目瞭然だ。グリホサートの動物への影響について調べるネズミを使った実験では、微量のグリホサートを直接与えた親や子どもには変化はなかったが、孫、ひ孫のネズミは異常行動を始めた。世代をこえて蓄積される神経毒性が非常に強いことがわかってきた。短絡的なことはいえないが、食生活を見直すことが必要になっている。



農村地域崩壊の危機に 農家追い出す企み



 他方で、「日本産だから安全」といえるのかという現実もある。EUの消費者たちが政府の安全基準が信用できないからと厳格な農薬基準を求め、EUへの輸出国もそれに呼応して農薬基準を厳しくしている。そこで日本の農薬基準がもっとも緩いことがわかってきた。禁止農薬も一番少ない。だからEUなどで使えない危ない農薬の在庫が日本に向けて輸出されている。



 世界では減化学肥料・農薬、有機農業が大きな流れになり、生産側では中国がEU向け有機農産物の輸出で世界1位(日本は52位)だ。このままでは日本は世界でとり残されるという焦りから出てきたのが「みどりの食料システム戦略」で、現在0・6%しかない有機農業のシェアを増やすため、国は2050年までに稲作を主体にした有機栽培面積を50倍の100万㌶にまで広げるという。私が農水省にいたころには有機農業は「奇人変人」「異端児」がやるものと見なされていたことから考えると隔世の感がある。



 しかし、これをスマート農業、デジタル農業推進の契機にしようとしている懸念がある。農家を楽にするためではない。米国のIT大手などが考えていることは、農地から農家を追い出し、無人牧場や無人農場をドローンやセンサーで管理・制御するデジタル農業であり、種から消費までのもうけを最大化するビジネスモデルの構築だ。これは農畜産業を地球温暖化の主犯にし、代替食料として人工肉、培養肉、昆虫食を拡大する方向性と繋がる。こんなことを日本で推進すれば、一部の企業にとってもうけが生まれても、食の安全性もさらにおろそかになり、自給率も下がり、なにより農業・農村地域そのものが崩壊していく。



命を守る為に農業守る 「食料安保推進法」を




耕作放棄地を利用した野菜作り(下関市福江)

 このように考えていくと、私たちが思っている以上に今の状況は危ない。ではどうするか? 国が動かないなら私たちの力でやっていくしかない。地元で頑張っている生産者、本物がわかる消費者が「本物」でつながり、関連産業や組織、地元自治体の政治行政がそれを支える、強い農業のネットワークを確立していく必要がある。



 今、種を握って支配する巨大な力も動くなかで、みなさんの地元でとれた種を守り、生産したものをまず地元で循環させる仕組みをつくる。その鍵になるのは学校給食の公共調達だ。さらに公共施設、福祉施設の食事も地元産を使っていくようにすれば需要は広がる。産直的な流通や直売所も含めて、地域の種から作るローカル自給圏を強化し、これをベースにして支え合うことだ。



 コロナ禍と食料ひっ迫を背景に全国で家庭菜園が増え、2020年には350万人が家庭菜園を耕しているとの報道もある。消費者と生産者の垣根をなくし、消費者も耕作放棄地を使って家族ぐるみで種まき、草取り、収穫までやる。和歌山県では母親グループが立ち上がって農家の協力のもとに無農薬小麦を生産し、輸入小麦と置き換えて給食パンに使えるようにとりくんでいる。みなさんがリーダーシップを発揮して実践し、政治行政が仕組み作りをやれば、流れは変えられる。



 まずは農家を救う必要があるが、赤字が膨らむ農家に必要な支払額と、所得が減る消費者が払える額にギャップがあるのなら、それを埋めるのが政策の役割だ。農家が持続するためにはコメでは1俵3000円、牛乳では1㌔10円足りない。全国でこれを補填するために必要な予算は、コメは3500億円、酪農では750億円だ。財務省は「ばかたれ。やりたければ農水予算から土地改良事業を切るなどして捻出してからやれ」といって終わりだが、ばかたれはどっちなのか。43兆円でミサイル等を爆買いする金があるのなら、なぜこれが出せないのか。武器は破壊するものだが、食料は国民の命を守るものであり、そのために必要なのは農業・農村を守ることだ。



 そこで私が提唱しているのが超党派の議員立法「食料安全保障推進法(仮称)」だ。不測の事態に国民に必要な食料を国内生産で供給できるようにするために、省庁の枠をこえた特別会計で数兆円規模の食料安全保障予算を組み、その大枠のなかから農家を守るための予算を支出する仕組みだ。超党派で始まっているこのとりくみについても後押ししていただきたい。



 私の試算では、現在の農水予算2兆円に3兆円ほど足し、いくつかの政策を組めば、農業を復活させて持続させることができる。農水予算はかつて実質5兆円をこえていたのだから元に戻すだけだ。それで農業・農村を守れるのなら、なぜこれをやらないのかという声をみんなで上げていただきたい。



 食料問題はますます深刻化しているが、山口県、そしてみなさんの地域の農家が頑張ってくれていることが希望の光であり、未来をつくるという確信は間違いなく高まっている。「世界一過保護」と誤解され、本当は世界で一番不利な競争に晒されているのが日本の農家だ。それでも世界10位の農業生産高を達成しているのだから、まさに「精鋭」だ。その底力を今こそ発揮し、消費者も含めて地域みんなで一緒に作り、食べるネットワークを強化することで、子どもたちの未来を明るいものにしていきたい。



 いざというときに国民の命を守ることを国防と定義するならば、農業・農村、食料を守ることが一番の国防だ。その思いでさらに一緒に頑張ろう。正義は勝つ、こともある。


https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/31383
19:777 :

2024/09/16 (Mon) 03:18:13

小泉進次郎氏から読み解く日本政治の腐敗~アメリカ支配への対抗策とは?:前編【農を語るシリーズ】(藤井聡✖️内田樹)
藤井聡チャンネル『表現者クライテリオン』2024/09/14
https://www.youtube.com/watch?v=wNh6BW20Ipo&t=10s

能登半島は復興せず捨てるべき?~地方切り捨てを良しとする政治家の腐敗:後編【農を語るシリーズ】(藤井聡氏✖️内田樹氏)
藤井聡チャンネル 『表現者クライテリオン』2024/09/15
https://www.youtube.com/watch?v=tyTodhS57Q4
20:777 :

2024/09/17 (Tue) 06:52:55

労働人口が92万人→18万人に激減!? 日本国民全員に関係する農業の経営について徹底解説します。
脱・税理士スガワラくん 2024/07/21
https://www.youtube.com/watch?v=QgyobG99PYI
21:777 :

2024/10/15 (Tue) 01:47:31

コメの自給を手放してはならない――対米従属の果ての農業と食の危機 食政策センター・ビジョン21代表 安田節子
2024年10月15日
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/32236

 日本の食料自給率は1965年に73%あったものが、現在38%と低迷が続いている。人口1億人以上を擁する国で、これほど自給率の低い国はない。だが、政府にこれを向上させ、食料の国内自給を実現させようという意志はあるのか、強い疑問を持っている。



 今、農業の衰退に拍車がかかっている。農家数も農業人口もこの50年で5分の1に減少した。農地は最大だった1961(昭和36)年の609万㌶から2019年には439万㌶へと約169万㌶も減少した。このうち水田の減少が大きく、1961年から100万㌶もの減少となっている。農業経営体はすでに100万人を割っている【グラフ①】。





 2050年には、農家戸数は2023年2月比でなんと8割減少すると予測されている。現在、農家の平均年齢は70歳。あと10年で80歳になり、高齢化で廃業していく。それは村落が消滅することを意味する。このような状況を作り出してきた日本政府は衰退に手をこまねいている。意図的に放置していると思わざるを得ない。



 内田樹氏が、過疎地が無住地となることにビジネスチャンスを見出す財界を政府は傍観していると指摘した(農業協同組合新聞8月19日)。だれも住まなくなれば原発を建てようが、放射性廃棄物を持って来ようが、メガソーラーを持って来ようがなんでもできる。そのような見方もあると思う。



 そして、コメに危険信号が灯り始めた。コメ農家はこの20年で急減し、100万戸も廃業した(2003~21年)。それによりコメの作付け面積はこの50年で半減している【グラフ②③】。





 今年、コメの不足が騒がれた。単年度の需給調整によるぎりぎりの生産量のため、なにかのきっかけがあればコメ不足に陥る。そして来年以降、生産量が需要量を下回るようになり、コメ不足は顕在化するといわれている。シンクタンクの三菱総合研究所と農水省は、16年後の2040年には156万㌧のコメが不足するという試算も出している。コメという基礎的な食料の持続的な生産と安定供給が脅かされている。



米国余剰穀物のはけ口に  自由貿易協定の下で



 日本農業をこのように衰退させた元凶は、アメリカが主導した自由貿易協定にある。ガット・ウルグアイラウンド、WTO、TPPと、強化されてきたアメリカ主導の自由貿易協定のもとで日本は関税撤廃を余儀なくされ、輸入増大によって食料自給率は低下し続けた。



 アメリカは日本を余剰穀物のはけ口にした。日本人の食生活をパンや肉食、すなわちアメリカの小麦に依存させ、家畜飼料のトウモロコシを買わせ、食用油の大豆を買わせる形にした。大豆の生産は激減し、自給率は2%まで落ち込んだ。今、わずかに盛り返して6%になっているが、全国津々浦々でつくられていた大豆がそのような惨状に至った。小麦も生産の減少が加速し、自給率は現在15%。国内で流通しているほとんどが輸入小麦という事態だ。



 そして、ミニマムアクセスが1993年のガット・ウルグアイラウンドで合意された。関税化と合わせて、輸入量が消費量の3%に達していない農産物(日本の場合はコメ)に「低関税での輸入機会を開いておく」というものだ。「コメを死守せよ」「一粒のコメも入れるな」という農協を中心にした大きな運動によってコメだけは守られていたが、それが対象になったのである。だが、あくまでも「輸入機会を開いておく」というものであり、どこにも「輸入義務」と書いていない。



 ところが日本政府は、これは義務であるかのようにいい、マスコミもそのように書いた。現在、日本は77万㌧(消費量の10%以上)のコメを輸入しており、そのうち半分はアメリカから買うという密約がある。同様に乳製品も「輸入機会を開いておく」というカレントアクセスを義務のように扱い、13・7万㌧(生乳換算)も輸入し続けている。



 現在、肥料・飼料価格は2倍近く、燃料費は5割高と暴騰する一方で、乳製品は過剰在庫で価格が低迷しているにもかかわらずだ。酪農家の苦境に対して政府が出した政策は「乳牛1頭殺せば15万円払うから、全部で4万頭殺せ」というものだった。現在、酪農家の廃業がコメ農家の廃業を上回る勢いで続出している。



 ミニマムアクセス、カレントアクセスの枠を満たしている国は日本だけだ。WTO加盟国の関税割当枠(MA、CA)品目に対する実際の輸入比率は52~55%であり、おおむね半分だ。だが、日本のコメのミニマムアクセスは100%、乳製品はなんと236%と、倍以上も輸入し続けている(WTO資料2022年9月)。



 自由貿易で「障壁」とされたのが食品安全規制だ。輸出国は輸入国の基準に合ったものを輸出し、輸入国の基準に違反のものは輸入拒否がルールだった。ところがウルグアイラウンドから農産物が自由貿易対象になり、自由貿易を妨げない食品安全規格を標ぼうする国際規格や米国基準に合わせるハーモナイゼーションがルールとなった。それまで厳しい食品安全基準のある日本だったが、貿易障壁とならないよう規制緩和に励むことになったのだ。



 食品添加物の場合、たくさんの食品添加物を認めているアメリカの食品を輸入するため、政府はアメリカとの差1000品目の添加物を次々と許可する作業を進めている。それまでは食品への使用を禁止していた抗生物質(ナイシン、ナタマイシン)を認め、アレルギー懸念のある着色料(コチニール)などもアメリカの要求に負けて認めた。



 食べた人の健康影響が懸念され、ほとんどの国が禁止している肥育ホルモン剤や赤身を増やす飼料添加物(塩酸ラクトパミン)を畜産物輸出国アメリカでは使用している。日本は検疫がモニタリング検査に緩和され、尻抜けのため、輸入肉への懸念がある。



 検疫検査も貿易障壁だ。1985年の中曽根内閣のとき「市場アクセス改善のためのアクション・プログラム」が発表され、検疫を弱体化させ、迅速化、簡略化が図られ、ほとんどがモニタリング検査になった。



 1991年のオレンジ・牛肉の輸入自由化のさいに、米国産柑橘類に日本が禁止するポストハーベスト農薬が使用されていたため、検疫が廃棄したことでアメリカから圧力がかかった。そこで日本政府はポストハーベスト農薬を「食品添加物の保存料」とする方便を使って現在も輸入し続けている。しかも近年ではアメリカから最大残留値が提示されるようになり、日本政府はその最大残留値が収まる値に規制を緩和している。日本はアメリカの植民地といわざるを得ない。




稲刈りをする農家(山口県)

遺伝子組換もゲノムも 日本人はモルモットではない



 もう一つバイオテクノロジー食品の扱いがある。TPP協定に「遺伝子組み換えの新規承認を促進すること」という条項が入った。日本は忠実に、申請を片っ端から認可し、現在、遺伝子組み換えの認可数は世界一となっている。



 そして新しく出てきたのがゲノム編集食品だ。2019年、トランプ元大統領が大統領令で「ゲノム編集食品の障壁をなくすこと」を指示した。日本政府はすぐさま、規制なしの方針を発表した。人類がこれまで食べたことのない新しい食品を規制なしとし、表示も安全性評価も不要とし、任意の届け出のみで流通可能としたのだ。食品安全性評価は動物実験が必要だが、ゲノム編集食品は動物に食べさせての実験はなされておらず、いまだ統一された評価法もない。日本人はこの新規のゲノム編集食品のモルモットなのではないかと思わざるを得ない。



 アメリカがゲノム編集食品に執着するのはグローバル種子農薬企業の利益のためだ。基本特許のクリスパーキャス9は、コルテバ(デュポン/ダウ)やバイエル/モンサントらが握っている。この基本特許を使って商品化した場合、ライセンス料の支払いが発生するため、商品化されればされるほど、永続的にバイテク企業の懐に入るというわけだ。アメリカではゲノム編集の開発に多額の投資がおこなわれており、現在、目白押しで商品化を待っている。だがアメリカの消費者はゲノム編集を嫌っている。売り先はゲノム編集食品が唯一流通する日本だ。



 日本政府が種苗法の改定で農家の自家採種を禁止したのはグローバル種子農薬企業のためだと思う。バイテク企業は「ゲノム編集食品は遺伝子組み換えではない。普通の作物と同じだ」と主張し、規制なしの流通を獲得した。しかし、遺伝子組み換えでないとしたので、農家の自家採種を特許で縛ることができず、タネ取りされてしまう。このジレンマを解決するために農家の自家採種を原則禁止とした「植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV)1991年改訂条約」を盾に、日本政府に種苗法を改定させたと思われる。



 安倍元総理が2013年に「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」といった。そのもとで米国隷従と企業資本を優遇する政策の推進がおこなわれているわけだ。今いる農家の退場を促し、グローバル種子農薬企業やIT大手企業が提唱する農業モデルとして、AIとセンサーによる自動制御の農業や、ゲノム編集などのフードテックで企業が儲かる農業へと移行しようとしている。



コメの自給も奪う狙い 農業に関する日米対話



 私は、TPPで設置された規制改革推進会議は米国企業群の要求受け入れ窓口、すなわち売国窓口だと思っている。ここから次々出された提案によって、農協法や農地法が変えられ、種子法が廃止されて全国の農業試験場が持つ公的種子(コメ、麦、大豆)を民間に払い下げることになった。日本農業を衰退させる悪法が成立したわけだ。



 アメリカは1998年から2008年までの14年間、毎年、「年次改革要望書」という広い分野にわたる規制緩和の要求を突きつけてきた。まさに宗主国と植民地の関係をあらわすものだ。民主党の鳩山内閣のときに年次改革要望書の受け入れを廃止したが、それも束の間で、2011年10月に「日米経済調和対話」と看板を付け替えただけで再び規制緩和の要求書が突きつけられるようになった。食品関係では、残留農薬基準の緩和、ポストハーベスト農薬や食品添加物の承認、栄養補助食品の規制緩和などが要求された。



 そして、2023年4月、ビルサック米農務長官が来日し、「持続可能な農業に関する日米対話」が設置された。日本農業をターゲットにしたアメリカの直接要求の場だ。



 今年2月の会合で出されたのが温室効果ガスの削減の「見える化」だ。「見える化」とは、どれだけ温室効果ガスや農薬、化学肥料を削減したか、削減率を作物に星マークで表示することだ。これの本当の狙いは、水田が温室効果ガスのメタンを発生させるので、メタン削減、すなわち水田を減らさせることにあるのではないか。農政では今、水田を潰して畑に転換することや、中干し期間(イネの成育中に水を抜く期間)を長くするといったことが推進されている。私は、アメリカはコメの自給を日本から奪おうとしているのではないかと思う。



 食料・農業・農村基本法と同時に、「農業経営基盤強化促進法」「食料供給困難事態対策法」の二つが国会で成立した。農業経営基盤強化促進法は一八条で、「一〇年先の集落の農地をだれが耕すか決める計画を地域で来年三月までに策定すること」としている。今70歳の人は10年後は80歳だ。つまり、高齢農家に引導を渡し、農地の集約をはかり、大規模企業農業のための地ならしをすることになる。



 そして食料供給困難事態対策法では、有事に農家はコメ、麦、大豆、イモをつくれといい、違反には罰金を科すといっている。政府は農業の劣化で不測の事態が起こることを想定している。その場合は強権発動でしのげばいいと考えているということだ。



 政府の農業衰退の放置はアメリカ戦略の追随ではないだろうか。アメリカは日本を完全隷属させるために食料(コメ)自給ができない国にするという外交戦略を持つ。農業衰退は日本政府がアメリカに売国的隷従をしてきた結果と思う。アメリカ主導の自由貿易というくびきによってアグリビジネスの餌食にされ、農業の衰退を招き、食料や種の自給を奪われ、国民の健康と命を差し出している。日本は盲目的な米国隷従で食料自給の責務を投げ捨てた植民地なのだ。農業衰退の果てに日本人が飢えに直面する可能性が現実味を帯びている。



 食料自給こそが独立国の証であり、安全保障の礎だ。コメの自給を決して手放してはならない。



 種籾は何年も保存することができる。そして水田は、連作ができ、地下水を涵養し、田んぼダムは水害を減じ、空気を冷やし、多数の生物を養うすばらしい装置だ。先祖が営々と水田を築き、四季おりおりの美しい景観は日本の文化、精神を形作ってきた真髄だと思う。



 水田を潰してはならない。コメを守らなければ日本は独立国になることはできない。完全にアメリカに隷属する国になってしまうことを認識していただきたい。



 加えて、有機が重要だと考える。 日本は単位面積あたり世界一の農薬使用大国だ。世界中が禁止に向かっている神経毒で問題のネオニコチノイド系農薬を逆に規制をゆるめて使用している。水田でも多量に使用され、秋田県で水道水から検出されて問題になった。食品や飲料水から私たちは農薬を体に取り込み続けている。子どもの発達障害も右肩上がりだ。



 私は有機自給国にしなければ日本は持たないと思っている。まずは水田の有機化をはかることだ。有機水田の広がりは未来を拓く。同時に有機学校給食を軸にして、地域ごとの有機自給圏を創り出す。それが全国にできれば、日本は有機自給国になれる。絵に描いた餅と思う人もいるかと思うが、決して夢物語ではない。世界の潮流は有機へ向かっている。有機自給国となってアメリカから自立し、真の独立を実現する政治へと転換することが急がれる。
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/32236
22:777 :

2024/11/13 (Wed) 18:49:09

【鈴木宣弘】オレンジ・牛肉騒動の深層(日刊ゲンダイ オンライン講座)
日刊ゲンダイ 2024/11/13
https://www.youtube.com/watch?v=GF6vFZHnEzA

コメ不足が深刻化して、大騒ぎになったが、同じような構造は牛肉やオレンジにもある。天候不順や中国の爆買い、買い負けなど、いろいろ言われるが、根底にあるのは米国からの自由化要求に応えて、輸入量の増加、関税の削減を飲み、結果、国内の農家を苦しめる選択を続けてきた結果である。米国は戦後、日本を食料で独立させないような対日政策を取ってきた。消費者も安いものに流れた。その結果がいまの惨状だ。輸入牛肉は成長ホルモンまみれである。



農業の余命はあと5年?!トンデモナイ中身!食料・農業・農村基本法の改正法|原口一博
ChGrandStrategy 2024/07/16
https://www.youtube.com/watch?v=6IchwTQKjsc


吉野敏明 _ 戦後アメリカに強制された洋風の食事が日本人の病気の原因
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16850855

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14036563

なぜ、我々は小麦・乳製品を食べる様になったのか? 夏休み企画、親子で学ぶ 日本の食の近現代史
https://www.youtube.com/watch?v=bpayMROBuBw
https://www.youtube.com/watch?v=JRZDQM0cwzM

60歳を過ぎてアレ食べてる人は、確実に病気になって寝たきりの人生を送ります
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16837571

今では考えられない!大正時代の日常生活!!
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14035362

日本人が忘れ去った能力 _ 昔のおばちゃんは、米俵60kg x 5つを持ち上げてた
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=16853689

猿人間のジャップには毒入り牛肉でも食わせておけ
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/516.html

トヨタの為に毒塗オレンジを食べさせられている日本人 _ 日本を農業の無い国にして良いのか?
http://www.asyura2.com/09/gaikokujin01/msg/518.html

終戦後、アメリカは わざと日本人を飢えさせた
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14139458

アメリカの食料戦略
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/140.html

補助金なしの価格では日本の農作物はアメリカや欧州より安く、日本の農業は欧米より効率的
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/528.html

農業補助金が収入の5割 アメリカ農業は競争社会ではない
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/601.html

鈴木宣弘 農業消滅!? アメリカの国家戦略に食い荒らされる「日本の食」
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14018404

鈴木宣弘 _ 迫る食料危機! 私たちの食と農を守るためにできること
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14062214

昭和時代の「食生活」_ 米国の食糧輸出戦略
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14036563

アメリカに逆らうと暗殺される? 農業政策から学ぶアメリカと日本の主従関係
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14091466

梅干し、漬物などの生産農家の9割が廃業? 設備投資に高額な費用が… その背景は【大石が深掘り解説】
https://www.youtube.com/watch?v=0lcnqGE1rJU

猛暑で高級「佐藤錦」シワシワに…生産者の悔し涙 シャインマスカットは日焼け、実割れ
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米と山 日本の根幹である米農業と林業をどうするべきなのか?
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価値のある野菜を市場に 「スマート」農業、生命線はデータとハチ
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全国で5万店以上あった「魚屋」=鮮魚専門店が1万店を切った。激変する日本の水産流通
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酪農家の窮地を国は救え!  放置すれば4割廃業の危機 血の通った財政出動を
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牛を殺せば助成金 …酪農家 過去最悪レベルの「牛乳ショック」 で毎日生乳廃棄
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23:777 :

2024/11/25 (Mon) 07:06:50

【金子勝】「経済のどん詰まりを打破するために」 (日刊ゲンダイオンライン講座)
日刊ゲンダイ 2024/11/23
https://www.youtube.com/watch?v=NvhYhUAwLsk

多くの国民は知らないが、今年の通常国会で食料・農業・農村基本法が改正された。この改正に金子教授は危機感を強くし、今度、改正法の問題点をえぐるブックレットを出した。なにしろ、戦時統制下のような発想で、いざとなれば、食糧を強制確保すればいい。あるいは、スマート農業で大規模化すればいい。そんな荒っぽい発想で、農家が直面している問題に真摯に向き合っていないのだ。日本の世帯は単身世帯、夫婦だけ世帯が多くなり、その食生活は生鮮食料品を買って調理するのではなく、加工食品で済ませるものに変わりつつある。この加工品の原材料は輸入品だ。これを国産にする発想が必要だと説く。

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