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2022/06/07 (Tue) 02:06:02
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クラシック音楽 _ 20世紀の音楽
バルトーク・ベーラ(Bartók Béla Viktor János 1881 - 1945)
最美の音楽は何か? _ バルトーク『青ひげ公の城 作品11 Sz.48』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/402.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『中国の不思議な役人 作品19 Sz.73』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/401.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106 BB 114』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/400.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『管弦楽のための協奏曲 BB.123 Sz.116』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/399.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『ピアノ協奏曲第2番 Sz.95 BB101』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/395.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『ピアノ協奏曲第3番』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/211.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『ヴァイオリン協奏曲 第2番 Sz.112』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/396.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『2台のピアノと打楽器のための協奏曲 Sz.115 BB 121』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/397.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『2台のピアノと打楽器のためのソナタ Sz.110 BB 115』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/398.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『弦楽四重奏曲第3番 BB 93 Sz.85』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/406.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『弦楽四重奏曲第4番 BB 95 Sz.91』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/405.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『弦楽四重奏曲第5番 BB 110 Sz.102』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/404.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『弦楽四重奏曲第6番 Sz. 114, BB 119』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/403.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『ヴァイオリンソナタ第1番 Sz.75 BB 84』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/409.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『ヴァイオリンソナタ第2番 Sz. 76 BB. 85』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/408.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『コントラスツ Sz.111 BB 116』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/407.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『ピアノ・ソナタ Sz80 BB88』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/411.html
最美の音楽は何か? _ バルトーク『アレグロ・バルバロ BB 63 Sz. 49』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/410.html
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管弦楽曲
交響詩『コシュート』 (1903年) Sz.21
3.5点
まだバルトークらしい前衛的な音楽ではなく、Rシュトラウスや、さらにいえばチャイコフスキーみたいに感じる部分もある。でもなかなかの力作でいい曲。22歳でこんなに本格的な曲を書けたバルトークはやはり天才作曲家だった。
管弦楽のための組曲第1番 (1905年、1920年改訂) Op.3 Sz.31
2.8点
まだ初期の作品で音楽的にはほぼ完全に19世紀末のロマン派の内容であり、たまに変な音の使い方が出てくるがほんの一瞬であり、前衛的な世界は殆ど無い。洗練されていない土泥臭さや牧歌的なユルさを感じる所が魅力。たまに出てくる運動会みたいなノリも楽しい。長い曲であり、個々の場面は悪くないのだが、やや散漫で冗長なので全体として長さに見合った効果を挙げているとは思えない。晩年の管弦楽のための協奏曲と類似する所がある。
小管弦楽のための組曲第2番 (1905年-1907年、1943年改訂) Op.4 Sz.34
『舞踏組曲』(1923年)Sz.77
3.5点
舞踏的ということで、民族的なフレーズやワイルドさも聴きやすくまとめられており、なかなか良い。
弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 (1936年) Sz.106
3.8点
バルトークの作曲技術の高さや、不思議な東洋的神秘などの民族的要素や前衛など多くの要素を取り込んだ、作品としてがっちりと構築され、交響曲のような規模の作品として結実している。メロディーや和声は分かりやすいので十分に聞きやすく、しかし平明過ぎず刺激的であり、曲の長さも適切で楽しみやすい。
弦楽のためのディヴェルティメント (1939年) Sz.113
3.0点
1楽章と3楽章は調性が明確で楽しく分かりやすい音楽。2楽章は晦渋でバルトークらしさを記憶に残す。バルトーク入門には良いかもしれないが、明快過ぎて特段の素晴らしさがなく、あまり面白くない。
管弦楽のための協奏曲 (1943年) Sz.116
3.0点
一般的な曲のような平明な聴きやすいフレーズと不思議な雰囲気をバラエティー多く用意し、各楽器に活躍をさせる曲ということで、バルトークの中では人気のある曲になっているのだろうか。正直なところ、単純化のせいでバルトークの特長が消えており、普通の曲として聴くと別にそれ程魅力的な音楽というわけでもない。音楽の密度も低いし、高い評価は出来ない。恐らくバレエ音楽のような聞き方をするのが正解。
協奏曲
ピアノと管弦楽のためのラプソディー (1904年) Op.1 Sz.27
3.0点
まだ前衛的になる前の作品。ピアノのためのラプソディーSz.26の編曲。音楽的には平明ではあるがメロディーが全然印象に残らず心に響かないため、平凡な作品だと思う。しかしながらピアノ書法が素晴らしい。非常に華やかに活躍しており重すぎず軽すぎず使われる技巧も的確で見事である。ピアニストとしても一流だったので、ピアノの機能と特徴を知り尽くしていたのだろうなと思う。個人的にはピアノ独奏版の方が印象的。
ピアノと管弦楽のためのスケルツォ(ブルレスク)(1904年) Op.2 Sz.28
2.3点
初期の作品であり後期ロマン派の語法の範疇で書かれている。しかし、内容に冒険が少なくて個性の発揮も少なく、ありきたりと感じる場面が多い。ピアノも地味であまり活躍しない。大作にしてはあまり面白くない。駄作一歩手前と思う。
ヴァイオリン協奏曲第1番 (1907年-1908年) Sz.36
2.8点
2楽章しかない。死後に発見された曲。1楽章は悲嘆の感情をゆったりと歌っており、しんみりとさせられる。2楽章も叙情的でテンポが遅い場面が多く、1楽章と割と近い雰囲気。終わりの方はちゃんと盛り上げて終わるが。聴きやすい曲ではあるが総合性が足りない。
ピアノ協奏曲第1番 (1926年) Sz.83
3.3点
1楽章は明快でピアノが全面に出ている。2楽章は民族音楽的な要素が非常に強く、ほとんど完全にアジア音楽の世界である。3楽章はバルトークらしい前衛性を持っているが、基本的に快速で明快で軽やかな気持ちいい音楽。
ピアノ協奏曲第2番 (1930年-1931年) Sz.95
3.8点
1楽章は弦楽が使われていないせいか、多面的で多層的な印象であり、ピアノの技術的に特殊な箇所が何カ所も出てきて驚かされる。ピアノが全面に出て活躍する。2楽章は亜空間のような不思議な神秘的な雰囲気。高速な中間部分のピアノがかっこいい。3楽章はワイルドで力強く、ピアノもオケもとても格好いいしセンスが良い。
ヴァイオリン協奏曲第2番 (1937年-1938年) Sz.112
3.0点
調がはっきりしている分かりやすい音楽になったり、無調になったり、雑多な音楽がどっさりと混ざっていて、どのような曲なのか把握しにくいと感じる。ヴァイオリンを様々なやり方で歌わせる事に長けたバルトークの良さは独奏において出せているとともに、大作に見合った内容の豊富さはあるかもしれないとは思う。しかし録音で聴くせいだからか各場面の印象が弱く、そこそこの魅力の音楽が繋げられているだけのように聞こえる。正直に言うとあまり面白いと感じない。
ピアノ協奏曲第3番 (1945年) Sz.119
3.3点
1楽章は強い捻りが随所に大量に入ってあるとはいえ、アメリカ的気分を感じるロマン派協奏曲で驚く。2楽章も都会的な所が20世紀のアメリカ的なロマン派協奏曲。3楽章はほとんどガーシュインの世界である。全体的にロマン派の音楽に近すぎるが、アメリカ的なので陳腐すぎず楽しめるといったところか。
ヴィオラ協奏曲 (1945年) Sz.120
3.3点
ヴィオラの落ち着いた艶めかしい音を楽しむ曲。この曲において引き出されている中音域を主体とし幅広い音域で魅せられるヴィオラの魅力はなかりのものであり、じっくりと堪能できる。ただし、メロディーは耳につかないので、なんとなくいいなあと思いながら聴く曲ではある。管弦楽は本人作でなく控え目なのでなおさらヴィオラが大活躍である。
舞台作品
バレエ音楽『かかし王子』1914年-1917年、Op.13 Sz.60 BB.74
3.8点
色彩感の豊さに驚かされる。リヒャルト・シュトラウスを彷彿とさせる豪華なオーケストレーションであり、その中で鋭角的なメロディーセンスを披露しているところがバルトークらしい。おとぎ話のような可愛らしい曲調であり、その雰囲気だけでも楽しいが、場面の移り変わりや、踊れるバレエ音楽らしさもあるところがさらに良い。エンターテインメント音楽として、かなりの出来だと思う。
パントマイム『中国の不思議な役人』(1918年-1924年、1931年改訂) Op.19 Sz.73
4点
バルトークらしいワイルドさと、管弦楽の色彩の豊かさ、リズムの多彩さ、テンポと楽想の表情の豊かさが合わさっている。明らかに影響を受けているストラヴィンスキーの有名バレエ音楽に匹敵する素晴らしい出来映えである。抽象的で思弁的なバルトーク作品の中で、例外的に華やかで情景を音を描くような作品なので、聴いていてとても楽しい。
室内楽曲
弦楽四重奏曲第1番 (1908年-1909年) Op.7 Sz.40
4.0点
まだ1908年の作品とは思えないほど前衛的で異様に緊張感の高い響き。1作目から既に完成度が高く、まさに新たな表現の地平を切り開いて20世紀の弦楽四重奏の礎となった感が強い。鋭い不協和音や、対等な四つの楽器がうねってぶつかり合う、テンションの上げ下げ、音の間の活用、独奏と合奏やユニゾンの対比など、弦楽四重奏ならではの柔軟な表現力や手法を効果的に使っている。
弦楽四重奏曲第2番 (1915年-1917年) Op.17 Sz.67
4.0点
2楽章の終わり近くの高速部分はかっこいい!1楽章は悪く言えば民族的音楽と無調の折衷的音楽にも聞こえてしまう曲で、中間の展開部の力強さ以外はまあまあという感じである。2楽章で段々ボルテージを上げて極限に達し、そのあとに3楽章の汚れた浄化と呼びたいような、荒廃した静寂世界へのつなげ方が非常に秀逸で見事である。
ヴァイオリン・ソナタ第1番 (Vn.&Pf) (1921年) Sz.75
4.0点
無調的な凄い作品。1楽章は研ぎ澄まされた鋭利な刃物で構えているような、異常な緊張感で貫かれている。2楽章のアダージョも同様の緊張感で、さらに本当に人を襲おうとしているかのような狂気と恐怖感を感じる。3楽章は速度を上げる。相変わらずの緊張感でテンションが上がり凄いが、ヴァイオリンソナタの限界かバルトークがやりすぎを抑えたのか、異常を維持出来ない箇所が所々あると感じる。
ヴァイオリン・ソナタ第2番 (Vn.&Pf) (1922年) Sz.76
3.3点
ヴァイオリンソナタ1番と同じ系統の無調的で音の鋭利さを主な特徴とする音楽である。しかし1番で見せた圧倒的な緊張感や異常性は薄れ、切れ味がやや鈍り、所々でまとまりが悪く中途半端な印象を持ってしまう。勝手な印象だが1番のソナタとの内容の重複を避けた結果のように感じた。
弦楽四重奏曲第3番 (1927年) Sz.85
4.0点
バルトークの弦楽四重奏曲で一番短い。単一楽章だが部分の区切りは割と明確である。無調的だが、聞きにくく無い。簡素だが緊密で無駄が無く、特殊奏法の使い方、音の重ね方、音響やフレーズなど、前衛的だが非常に高いセンスと閃きの良さに感心する。
ヴァイオリンとピアノのためのラプソディー 第1番 (1928年) Sz.86
2.8点
尖った民族性ともいうような、少しきつめの雰囲気。あと一押しの雰囲気だけでない何かがほしい。
チェロとピアノのためのラプソディー 第1番 (1928年) Sz.88
ヴァイオリンとピアノのためのラプソディー 第2番 (1928年、1944年改訂) Sz.89
3.0点
1番と雰囲気も感想も同じだが、後半パートの野蛮性が好きな感じなので少し評価は上。
弦楽四重奏曲第4番 (1928年) Sz.91
3.5点
特殊奏法が多く登場する。簡素な3番とは1年しか違わないが、かなり異なる曲。音自体の面白さを楽しめる点では素晴らしいが、音世界を尖鋭化し過ぎてやり過ぎになり、精神的には少し殺伐とし過ぎていると感じた。アーチ型ではあるが、曲のストーリーが追いにくいと思う。
44のヴァイオリン二重奏曲 (1931-32年)Sz.98 Op.104
3.3点
民族音楽を素材にしている。渋みとコクのある断片的な小品の曲集。教材として書かれた名曲があるわけではないし、本格的な曲もない。ヴァイオリンは音数が少なく簡素の書法である。しかし、気楽に聴けるのと、低音のない地に足の着かない響きのせいか、不思議な民謡の魔力を秘めたかのような魅力が心を捉える。
弦楽四重奏曲第5番 (1934年) Sz.102
4.0点
最初の方はあまり緊張感が高く無いのだが、後半になるに従い緊密度を増して先鋭的になり、おぞましい恐怖の世界を構築していく。最終楽章は魑魅魍魎の飛び交う世界のようである。耳に刺さるような音の痛さは少ないが、まさに天才が狂気をさらけ出した音楽。
2台のピアノと打楽器のためのソナタ (1937年) Sz.110
4.3点
全3楽章。特殊編成であるが、バルトークの良さを引き出すのに実に適切と感じる。神秘的で東洋的な雰囲気を出す打楽器、2台のピアノは分厚く、豊富な音数を使って自由な表現を実現している。先鋭的な音使い、充実したリズム、夜の歌など様々なバルトークらしい要素がよくまとめられており、音楽的に充実しているとともに詩的な情緒の面でも充実している。聴きやすさもあり、代表作の一つとして楽しめる作品。
弦楽四重奏曲第6番 1939年 Sz.114
3.5点
内省的な印象が強くなり、尖鋭性や強烈さは抑えられている。悲しみの主題が曲を覆い、時代背景を象徴しているのだが、分かりやすいエレジーの類ではない。古典的な印象があり、割と正気を保っており毒の少ない内容は、やや物足りない感じがする。
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 1944年 Sz.117
3.3点
バルトークらしい強烈な緊張感をベースにヴァイオリンの音に強い意味と存在感を持たせる音楽は、無伴奏ヴァイオリンに向いているのだろう。しかし、無伴奏なので音の繋がりを簡単に把握出来ないため、難解な音楽であり、4楽章以外は簡単には聴けない。すごい何かを聞いた気分にはなれるが、それが何なのか分かりそうにないもどかしさがある。
ピアノ曲
ピアノのためのラプソディー (1904年) Op.1 Sz.26
3.3点
24分の大作でものすごい力作である。ハンガリー風の動機をふんだんに活用しながら自由に音楽が展開していく。曲としては、力作ぶりに圧倒されるものの、分かりやすくないし感動する感じではない。しかしながらピアノ書法が見事である。技術を駆使して華やかで幅広いピアノの能力を引き出しており、その点でピアノ音楽が好きな人なら、上位にランキングされるだろう。
アレグロ・バルバロ (1911年) Sz.49
3.5点
まさに野蛮なアレグロである。ゴツゴツした無機質で異質な音の岩の塊を並べたような曲。ごくみじかい曲だが、密度が濃すぎてもっと長く感じる。
ソナチネ (1915年) Sz.55
3.5点
3楽章合計4分の短い曲。ソナタ形式が使われておらず、どちらかというと3曲の小品集に近い。ただ、民謡が使ったこの曲はインパクトがあり出来も良いため、アピールの観点ではソナチネという命名は正しい気もする。
ピアノのための組曲 (1916年) Op.14b Sz.62
3.5点
小さな小品4曲。演奏会用の曲なので華々しい技巧が使われている。バルトークが民族音楽の研究の結果を自分の中で消化して生まれた本格的で意欲的な作品であり、かなり聴き映えがする。前衛性はほどほどであり、適度に耳を突き刺す音の痛さが心地よい。
戸外にて (1926年) Sz. 81
3.5点
全5曲。この時期に書かれたにしては調が明確で曲想もわかりやすく聴きやすい。激しいのは最後の曲だけであり静寂を主体としている。ドビュッシーの後継者と呼びたい程の詩情がある。
ピアノ・ソナタ (1926年) Sz.80
3.3点
ピアノを打楽器的に扱う語法が目立ち、ゴツゴツして野蛮な印象で迫力がある。バルトークらしい異質で鋭角的で前衛的な音楽を本格的に聴かせるピアノ曲として貴重な存在。しかし、ソナチネと呼んでもよいような小さな規模であり、総合性の観点では少し物足りない。
ミクロコスモス (1926年から1939年)
N/A
教育用の小曲の集まり。抜粋して少し聴いた印象だと、教育用の大部分は鑑賞するにはつまらないが、後半の難易度が高い曲になると鑑賞に耐える曲になる。
6つのハンガリア舞曲
3.0点
ミクロコスモスの最後の6曲。短くてかなり軽い。ごく短いピアノ曲。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AF
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2022/06/07 (Tue) 02:07:10
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イーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Fyodorovitch Stravinsky、1882 - 1971)
20世紀の音楽を切り開いたストラヴィンスキー「春の祭典」の衝撃
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/818.html
ストラヴィンスキー バレエ音楽 『ペトルーシュカ』
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/821.html
ストラヴィンスキー バレエ音楽 『火の鳥』
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/822.html
ストラヴィンスキー バレエ音楽『オルフェウス』・3楽章の交響曲
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/823.html
ストラヴィンスキー 自作自演
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/701.html
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イーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Fyodorovitch Stravinsky、1882 - 1971)
バレエ音楽
『火の鳥』(L'Oiseau de feu, 1910年)
4.0点
たった1年の違いであるが、ペトルーシュカと比較すると刺激が少なくて、かなりノーマルな曲である。地味で物足りないと初めて聴いたときは思ったが、よく聞くとやはり面白いフレーズがたくさんある。超絶的ではないにしても、かなり刺激的な音楽である。それとともに、音の使い方のセンスの良さに立脚した、かなり発想が斬新ながらもいい音楽がそこかしこで現れており、いい曲だなと純粋に感じられる場面がかなり多い。自由でファンタジー的で、幻想的な映像を見ているかのようである。
『ペトルーシュカ』(Petrushka, 1911年)
4.5点
春の祭典の高みの一歩手前とは思うが、この作品も匹敵するくらい非常に素晴らしい。様々なイメージが奔流のように湧き出てくる。刺激的な音が次々に飛び出して、息もつかせない。とにかく面白くてたまらない。圧倒的な面白さという点ではクラシック音楽でも屈指だろう。意外な音が出て愉しい気分になったら、また全然違う音が飛び出す。おもちゃ箱のような曲だ。
『春の祭典』(Le sacre du printemps, 1913年)
5.0点
センセーショナルさを現代でも失わず、それでいて古典的な完成度である。鮮やかなリズムと和声、印象的なメロディー、野生の匂いをぷんぷんと漂わす音楽は、強烈な魅力を放っている。音楽の複雑さが絶妙であり、最大級の効果を発揮している。聴く前から心躍るし、聴きながらもずっと楽しく音楽に酔うことが出来る。
『プルチネルラ』(Pulcinella, 1920年)
3.0点
組曲版で聴いた。不協和音がなく平明ながらも現代性のある音楽というのは斬新なものだとは思う。この独特な世界はなぜか印象と記憶に強く残る。一方で、純粋にいい曲と思うかというと、あまり思わないのが偽らざる感想である。新古典主義に入ったという音楽史的な意義の大きさに匹敵するような感慨は得られないと思う。編成が小さくて、アイデアも豊富ではないように感じる。初期の三部作が圧倒的すぎるせいかもしれないが。
『結婚』(Les Noces, 1923年)
3.3点
野蛮で原始的な響きに支配された、声楽主体のバレエ音楽。聴いた感じのインパクトはかなり強い。しかし、声楽主体で声楽の使い方は似たものが続くため、音の多様性が少なくなっており、よく理解できない。リズムやピアノの使い方などに圧倒される楽しさと、ストラヴィンスキーらしい音のセンスの良さを愉しむことは出来る。
『ミューズを率いるアポロ』(Apollon Musagète, 1928年;改訂1947年)
3.3点
弦楽器だけの合奏のため、どうしても刺激が少なくて地味になっている。ただ、芳醇な弦の響きと音の動きの滑らかさ柔らかさが魅力になっていて、これはストラヴィンスキーのバレエ音楽の中で特徴的な魅力になっている。新古典主義ということで、この曲も不協和音や前衛性はないが飽きにくいものになっている。ただ、弦楽合奏の機動力の低さのためか、聴いていてだんだん物足りなくなっていく。新古典主義の表現の限界も感じる。
『妖精の接吻』(Le Baiser de la fée, 1928年;改訂1950年)
3.5点
まさにチャイコフスキーの音楽にインスピレーションを得たバレエ音楽である。音の取り扱いにおける、華やかさとダイナミックさ、動きの舞台的で、心を踊らせて、人の身体をも踊らせようとするような内在的なパワーを、そして時に愛らしい愛嬌や幻想的で魅惑的な魅力をこの曲も持っている。しかし勿論、深いレベルのインスピレーションの結晶であり、全然表面的な真似ではない。高く評価してよいか迷うがなかなか楽しめるのは間違いない。
『カルタ遊び』(Jeu de Cartes, 1936年)
3.5点
新古典主義らしい不協和音はないが、19世紀らしい制約のない自由な新しい響きの楽しさを存分に味わえる。バレエ音楽らしい音の活力と物理的にフワフワとした感じも良く出ている。圧倒的な何かこそないが、プルチネルラよりはずっと良い。エンターテイメント的な楽しみで、音楽に浸れる。
『バレエの情景』(仏:Scènes de ballet, 1944年)
3.3点
新古典主義の滑らかで穏やかな音楽が心地よい。情景というタイトルはかなり適切かもしれない。少しチャイコフスキーのような饒舌で音が踊り躍動する感じがあるが、冷静にみていつものストラヴィンスキーという気もする。練達の音の魔術を発揮した曲で、さすがと唸ってしまう。
『オルフェウス』(Orpheus, 1947年)
3.3点
密度が薄い。映画のバックミュージックのように雰囲気を一定のまま少しずつ変遷させていくだけの音楽である。とはいえ、単体で聴くぶんにも、個別部分のセンスは感じるためエンターテイメントとしては楽しめる。新古典主義的だが平明すぎず、ある意味で円熟した技術と精神の熟成感ともいうべき良さがあると思う。
『アゴン』(Agon, 1957年)
2.8点
晩年の音が薄く枯れた感じが印象的。老人になったストラヴィンスキーはさすがにインスピレーションが衰えているのを感じる。場面は刻々と移っていき、バラエティは豊かだが内容があまり豊富という印象がない。新しい音世界を75歳になっても作り続けたことはすごい。しかし、音や楽想のつながりの有機性が足りない。
バレエ以外の舞台作品
『兵士の物語』(L'Histoire du soldat, 1918年)
3.0点
基本的には特殊編成による軽妙な新古典主義作品に聴こえる。かなりコミカルなところが面白い。また、まだ純数に単純化された新古典主義音楽になりきっていないところが魅力か。土臭いところが残っていて、親しみやすさを感じた。全曲盤は語りの時間が半分以上を占めていたからあまりお勧めできない。
交響曲
交響曲第1番変ホ長調 Op.1
2.5点
これをストラヴィンスキー作曲と当てられる人は少ないだろう。驚くほどロマン派の先達の模範に則った音楽であり、新奇性が少ない。それどころか、ストラヴィンスキーらしさすら私には見つけ難かった。開放的であり、機能的な近代管弦楽法が使われている。19世紀の様々な作曲家の要素が現れているのが分かるのが面白い。華やかさはあるものの平凡でオリジナリティーが少ない、のちの天才を感じにくい曲だと思う。
詩篇交響曲(Symphonie de psaumes)
3.5点
全3楽章。合唱付きでヴァイオリンとヴィオラなし。1楽章は前奏曲ということで、最初の盛り上がりを作る単純な曲。2楽章は神秘的な管楽器の合奏で始まり、合唱も神秘性と荘厳な宗教性を帯びている。3楽章は一番長い。辛気くさい宗教性を感じさせてから、場面転換をしながらじわじわと盛り上げていく。どちらかというと宗教曲にいが、本格的な精神性や、構成が透徹していて作り込みを感じるので、交響曲としてもあまり不満はない。響きに明快さと複雑さがあり、よくまとめられておりバランスがよい。ヴァイオリンが無いことでオケがくすんだ響きになり合唱を浮かびあがらせ、奥の深さを演出している。良くできた作品である。
交響曲ハ調
2.3点
全4楽章30分。正直なところ新古典主義らしい明確でシンプルな音の構成であり、ハ長調らしい素朴さがあるなあ、くらいの感想しか持てず、鳴っている音の意味を感じ取ることが出来なかった。耳をそれなりに楽しませるストラヴィンスキー独特の管弦楽の扱いと内部の複雑さがあることで、辛うじて聴き通せる。交響曲らしさも希薄。
3楽章の交響曲(Symphony in 3 Movements)
3.0点
1楽章は二次大戦の事件を連想させる強烈さもあるが、映画音楽のような軽さとジャズの要素もある多彩な曲。ピアノ独奏の活躍はかなり控え目。
2楽章はハープが活躍し、多少社会的な深刻さを醸し出しながらも、流麗な多彩さがある。3楽章も多彩な楽しい曲。全体に、交響曲を名乗るだけの普遍性と構成感は一応あり、ストラヴィンスキーにしては重さもあるのだが、とはいえバレエ音楽に近い雰囲気であり一般的な交響曲とは違う異色の作品。
協奏曲
ピアノと管楽器のための協奏曲
3.5点
管楽器だけだが、吹奏楽のようではなく、オーケストラ風である。弦がないため音のキレが良く乾いており、湿っぽさがない。1楽章は複雑で前衛的な切れ味鋭い系統のピアノソロが続く。音が絨毯爆撃のようにガンガンと演奏されるとともに、リズムの複雑さで楽しませる。なかなかの迫力である。2楽章は一転してラヴェルの協奏曲のような叙情性だが、そのあとは期待通りに捻りの入った展開をみせる。3楽章は押せ押せで気持ちいいし面白い。とても聴き映えのする曲で内容豊富。名作というほどではないが、なかなか楽しめる。
カプリッチョ(Capriccio) - ピアノと管弦楽のための
3.0点
全3楽章17分。ピアノのテクニックはあまり超絶技巧という感じはしないが、音数が多く十分に派手である。新古典主義時代の音楽とピアノ協奏曲の相性がよく、スリリングで新しい事が次々と起こるような作品となっていて耳を楽しませる。初期の原始主義的な音楽の雰囲気が出ている感あり、冷静で客観的すぎる新古典主義の曲の中では聞きやすい。
ヴァイオリン協奏曲ニ調
2.8点
1楽章はトッカータの名の通りの曲調。多くの楽器が軽快に刺激的に活躍する楽しい曲。2楽章はアリアといいつつ、前半は割と活動的で、管楽器が活躍したりする。後半は泣きの入ったフレーズも登場し、アリアらしくなる。3楽章は軽快なフレーズを執拗に積み重ねる曲。全体に軽快で楽器が多彩に音を重ねながら扱われて耳を楽しませるし、独特の音使いによる独奏も面白い。しかし、構成や雰囲気が軽すぎるし即興的に感じて、腹に落ちる感じがない。
協奏曲『ダンバートン・オークス』(Dumbarton Oaks Concerto)
3.0点
全3楽章14分。小編成の合奏協奏曲。この時代にしては割と親しみやすい。メロディーは断片的で分かりにくいが、くつろいだ落ち着いた雰囲気で、楽器数も15人と少なく音の複雑さを楽しみやすい。
エボニー協奏曲(Ebony Concerto)
2.5点
クラリネットとジャズバンドの曲。3楽章11分。ストラビンスキーのジャズの影響を端的に味わえる曲として面白いのだが、曲自体は評価やコメントが困難だと感じた。
弦楽のための協奏曲ニ調(バーゼル協奏曲)(Concerto in D for String Orchestra (Basle Concerto))
2.8点
全3楽章12分。バーゼル協奏曲とも呼ばれる。弦楽だけなので音のバラエティーが少ないが、その代わりにまったり感が強くて、2楽章の優美さなどの目新しさが出ているし、声部が少ないので、良くも悪くも難解さが少ない。
室内楽曲
エレジー
2.8点
無伴奏ヴィオラ用の曲。ルネサンスの宗教曲のような雰囲気のコラールであり、人の声に近いヴィオラの特徴が活かされている。面白い。
八重奏曲
3.5点
様々な管楽器の軽快な扱いと新古典主義の作風が非常にうまく合致していて、よく出来た作品に聴こえる。夢に出てきた編成で書いた曲とのことだが、編成として成功している。おもちゃが跳ねて踊って遊ぶようなイメージであり、諧謔的で可愛らしくて軽くて愉しい。楽章に分かれているわりには雰囲気は変わらないが愉しさに浸れるため気にならない。
七重奏曲
3.3点
12音技法らしいが調性感がある。編成はピアノが入っているのがよい。ピアノの使い方がうるさくなくてセンスがいい。1楽章はセンスがよくて、明るい旋律もよくてなかなかの名曲と思う。しかし2楽章以降はあまり面白くない。レベルが落ちてしまう。
弦楽四重奏のための3つの小品
3.0点
バグパイプ風だったり、特殊な現代音楽風だったり。3曲目は魔法のような神秘性がある。断片的ともいえる曲が3つ並んだ合計7分の小品で、好奇心のような刺激を受ける。
ピアノ曲
『ペトルーシュカ』からの3楽章
3.5点
超難しいことでコアなピアノ曲ファンには有名。ペトルーシュカのエッセンスが詰まっていて楽しいし、無茶なフレーズをあっさり弾きこなすプロの技も楽しめる。
ピアノ・ソナタ(1924年)
3.8点
1楽章は硬く前衛的で、即物主義的でもある。かなりのセンスを感じる。2楽章は不協和音を使ったやはり前衛的な曲で、音のセンスがかなり良いと思う。3楽章は無窮動ではじまり両手の2声が蠢めく。全般にプロコフィエフを連想するのだが、非常にセンスが良く、彼の一連のソナタ勝るとも劣らない名作だと思う。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC
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2022/06/07 (Tue) 02:07:37
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アントン・ヴェーベルン(Anton Webern, 1883年12月3日 - 1945年9月15日)
最美の音楽は何か? _ アントン・ヴェーベルン『パッサカリア 作品1』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/420.html
最美の音楽は何か? _ アントン・ヴェーベルン『バッハ 6声のリチェルカーレ オーケストラ編曲』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/421.html
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2022/06/07 (Tue) 02:10:17
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エドガー・ヴァレーズ(Edgar Varèse, 1883年12月22日 - 1965年11月6日)
エドガー・ヴァレーズ Density 21.5
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/1044.html
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2022/06/07 (Tue) 02:10:43
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アルバン・ベルク(Alban Maria Johannes Berg, 1885 - 1935)
最美の音楽は何か? _ アルバン・ベルク『ヴァイオリン協奏曲 ある天使の思い出に』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/332.html
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アルバン・ベルク(Alban Maria Johannes Berg, 1885 - 1935)
シェーベルクよりも「いい曲」であり「また聴きたい」と素直に感じる作品が多い。無調の作曲家ではあるが強く心に訴えるものがある。
ピアノ・ソナタ Op.1
4点
この曲は好きだ。独特のロマン派的感動エネルギーを内包しながらも。無調の世界を時折予感させるような不安定な調性。センス良く多重的に音の積み重ね続けて構築された世界は個性的な精神世界を生み出しており、ピアノの美しさを引き出している。ロマン的な世界など、断片的に一瞬だけ古い音楽を見せるのが効果的。聴後感がよいため、また聴きたくなる。
弦楽四重奏曲 Op.3
3.5点
無調のカオスが渦巻いたり、虚無的な音が鳴り響いて精神的な闇の底を露わにしたり。ピアノソナタ程の美しさと天才性はないと思うが、無調性の音楽の初期の時代の作品としてはよい作品。ピアノソナタと同様に、1曲しか無いのが残念である。
管弦楽の為の3つの小品 Op.6 (1914年 - 1915年/1929年改訂)
3.0点
独自のニュアンスに満ちた曲である。現実的な何かを連想できない前衛的で思弁的な哲学的な曲のため、難解であり聴き方が難しい。とはいえ、骨太のスケール感や、様々なものが強引にごった煮のように混ぜられたカオスや、そのなかに姿を見せるベルク独特の叙情は楽しめる。3曲で20分程度だが、長さ的には密度を保ち聴き手として楽しめる限界と感じた。
歌劇「ヴォツェック」 OP.7 (1925年初演)
4.0点
舞台を見ないで音楽だけ聴いても、相当に優秀な音楽であることがよく分かる。無調らしい不条理の表現が大成功しており、音楽の緊密さも高い。そして、音楽が劇的な物語表現と役者の表現行為への音楽の貢献が素晴らしい。器楽曲だけではなかなか分からないベルクの音楽が持つエモーションの力の強さに驚愕する。音楽の新しい表現世界を切り開いており、これ一曲でもベルクの名前は音楽史に残っただろう。
室内協奏曲 (1923年 - 1925年)
3.8点
音感の良さが感動的なレベルにある。無調であるのに、音があるべき所にあるため、なんとも素晴らしい心地よさである。ベルクらしい見事な表現の力を発揮しており、情熱的な精神と、高雅で高貴でありかつ厳しさを併せ持ったものが表現されている。特殊構成の曲であるが、ここ音のバランスがまた絶妙だ。管楽器が邪魔せずに控えめな柔らかさが対比されてよい雰囲気を作っている。ヴァイオリンとピアノの鋭さをうまく適度に中和している。かなり感心した。
抒情組曲 (1925年 - 1926年)
3.3点
これが抒情的かというと、音楽だけから内容を読み取るのには苦労が伴う。しかし、うまく感じ取ることに成功すると、情熱や甘酸っぱい思い出や悲哀や不条理を感じ取ることは可能だろう。強く感動するほどではないが、無調独特の灰色の世界と、同色の音色である弦楽四重奏で表現される抒情的音楽に、それなりの感慨を感じる。
4つの小品 Op.5
3.8点
クラリネットとピアノの曲。4つの曲だがごく短くて、あっという間に終わる。内容が非常に示唆的であり未来的とも言える。感性を強く刺激することではかなりのインパクトがある。音感の良さとセンスに感服する。空白が活かされており、日本的なわびさびに通じるものある。この曲は個人的には、かなり好みでありツボである。
ヴァイオリン協奏曲 (1935年)
3.3点
自分と曲との相性が悪いのか、聴いた演奏のせいか分からないが、自分にはベルクの代表作とされているほどのものを感じない。ヴァイオリン協奏曲としてのフットワークの良さや協奏の楽しみや、場面の変化による構成の楽しみが足りないからかもしれない。ベルクらしい無調であるが調性的な中心感がある音楽はここでも健在である。無調というよりむしろ、予想を外すことが多い調性曲という趣の場面も多い。無調が持つ独特のはかなさや超常的な透明感と美しさ、緊張感をうまく活かした曲調である。ヴァイオリンが出ずっぱりの活躍である。最後の完成作品として到達した完成度の高さはよく分かる。
ルル組曲 (1928年 - )
3.0点
オペラの一部分を組曲にしたもので、短い時間だけであるが歌も入る。オペラ的、もしくは映画音楽的という印象である。あまり管弦楽曲としての純度は高くない。無調的な映画音楽と考えて聴けば面白いけれども、密度が高くないのはやはり物足りないと感じる。音楽だけを聞く限りは、あまりストーリーも感じられない。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF
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2022/06/07 (Tue) 02:11:05
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カロル・シマノフスキ(Karol Maciej Szymanowski, 1882 - 1937)
カロル・シマノフスキ ピアノ・ソナタ 第3番 Op.36
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/740.html
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カロル・シマノフスキ(Karol Maciej Szymanowski, 1882 - 1937)
ポーランド
交響曲
交響曲第1番 ヘ短調 op.15 (1906年)
2.5点
ぐちゃぐちゃな和音や音の動きのうねりを延々と続ける曲。楽譜がどうなっているのか少し興味は湧く複雑さだが、鑑賞するには向いておらず楽しめない。はっきりしない不明確な音の動きばかりであり、いわば実験的な音楽だと思う。
交響曲第2番 変ロ長調 op.19 (1910年)
2.8点
1番をもっと成長させた音楽という印象である。明確な構築性に乏しくぐちゃぐちゃであり、過去の音楽と被らないように書かれており。マイナー音楽らしい華のなさと私は感じた。後期ロマン派をさらに腐る程に熟させたらこうなると言えるだろうか。リヒャルト・シュトラウスの方向性をさらに進めた音楽なのは分かる。豪華な管弦楽の使い方も含めて影響を感じるが、私の好きでない部分まで受け継いでいる。過渡期の音楽であり、この時代だけしかシマノフスキが音楽を残さなかったならば、現在はかなり知名度の低い作曲家だっただろう。
交響曲第3番『夜の歌』 op.27 (1914-16年)
3.0点
カンタータ的様式の神秘主義の音楽。社会派のようなスケール感や闇を抉り出す感じ、野蛮で野太い感じもある。管弦楽の使い方もそうだし、意欲的でありさまざまな要素が渾然となっていて、ポーランドというクラシック音楽の中では中立的であることによる色のなさが、目新しい価値を産んでいる。聴く価値はある曲である。
交響曲第4番 (協奏交響曲) op.60 (1932年)
3.0点
ピアノ協奏曲のような形式。独奏ピアノは大活躍するが、華やかな活躍そのものは目的化されておらずあくまで本格性を求める交響曲の音楽的な目的を果たすために使われているように聴こえる。音楽的な楽想の豊富さと適度なシリアスさは楽しい気分にさせられる。そのため軽い協奏曲よりも聞き応えのある曲になっている。とはいえ、一流作曲家の割り切りの良さが足らず器用貧乏のようになっている気もする。
管弦楽曲
演奏会用序曲 op.12 (1905年)
バレエ音楽「ハルナシェ」op.55 (1923-31年)
協奏曲
ヴァイオリン協奏曲第1番 op.35 (1916年)
ヴァイオリン協奏曲第2番 op.61 (1932-33年)
室内楽曲
ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 op.9 (1904年)
神話-3つの詩 op.30 (1915年)
弦楽四重奏曲第1番 ハ長調 op.37 (1917年)
弦楽四重奏曲第2番 op.56 (1927年)
ピアノ曲
ピアノ・ソナタ第1番 ハ短調 op.8 (1903-04年)
3.0点
後期ロマン派らしい豪華さをもったピアノソナタである。4つの楽章は巨大な立派な規模をもっており、それがちゃんとピアノソナタ的発想で構築されており、この時代ならではのソナタとして一定の価値と存在感がある。和声は半音階的でやや複雑だが後期ロマン派的で明確であり後年の作品と比較して非常に聴きやすい。個性の確立した一流作曲家の作品と呼ぶにはまだ物足りない発展途上さはある。
ピアノ・ソナタ第2番 op.21 (1911年)
2.5点
非常に音数が多くて技巧的な作品。グロテスクで割り切れない音の動きが多くて、その音の生理的な感覚が個人的には全然に精神のツボを突いてくれない。気持ちよくないまま漫然と音の塊を聴き続けるような気分になる。スクリャービンのようなグロテスクさなのだが、こちらはどうにも理解困難である。場面が変わっても楽章が変わってもその分からなさが続く。技巧的な音数であることしか理解できない。
ピアノ・ソナタ第3番 op.36 (1917年)
3.5点
スクリャービンの影響が顕著である。浮遊感や神秘的な雰囲気とグロテスクさなどを継承しつつも、スクリャービンよりも構築的であり、バランスと構成をきちんと計算して作られたより本格的な作品という印象が強い。私としてはスクリャービンのクレイジーすぎて断片的で物足らないのを補う完成作品として、長年求めていたものを見つけた気分になった。20世紀のピアノソナタとして重要作品だと思われる。
4つの練習曲 op.4 (1900-02年)
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E6%9D%B1%E6%AC%A7
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2022/06/07 (Tue) 02:11:29
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セルゲイ・プロコフィエフ(Sergei Sergeevich Prokofiev、1891 - 1953)
セルゲイ・プロコフィエフ 『束の間の幻影 作品22』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/809.html
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セルゲイ・プロコフィエフ(Sergei Sergeevich Prokofiev、1891 - 1953)
機知に富んだ切れ味のよい作風。未開拓の新奇な可能性と美しさを多く発見した20世紀の最重要作曲家の一人。
交響曲
個人的にプロコの交響曲は苦手である。機知に富んだ作風の良さが生きないジャンルだと思う。
交響曲 ホ短調(1908年)
古典交響曲 ニ長調(交響曲第1番) op.25(1917年)
3.5点
ピリッと辛いスパイス入りの古典的な交響曲。ハイドン風の洗練と簡潔がありながらも、現代的感性で書かれており、新鮮で興味深い。
交響曲第2番 ニ短調 op.40(1925年、op.136として改訂の予定であった)
3.0点
鉄と鋼のような押せ押せの音楽は個人的にかなり好きな世界である。プーランクが拍手していたという逸話があるが、彼の感性と近い音楽の気がして納得出来る。ただそれを長い交響曲の全部でやられているので、さすがに食傷してしまう。
交響曲第3番 ハ短調 op.44(1928年)
2点
本人は自信作らしいが、変な曲としか…
交響曲第4番 ハ長調 op.47(第1版:1930年)、op.112(第2版:1947年)
2.5点
改作版の方で聞いた。全体として交響曲の体裁になってはいるし、悪い音楽ではないのだが、内容にまとまりがないと感じた。全体を通して何がしたかったのか、見えてこない。
交響曲第5番 変ロ長調 op.100(1944年)
3点
プロコフィエフの交響曲で1番有名な曲である。交響曲らしい力作なのはわかるのだが、自分は中途半端に感じてしまい感動はしない。
交響曲第6番 変ホ短調 op.111(1947年)
3.0点
ある程度難解で複雑であり、多少の思想性や統一感があり20世紀の交響曲らしい作品になっている。交響曲らしい音楽語法が使われている。
交響曲第7番 嬰ハ短調(「青春」) op.131(1952年)
3.5点
一楽章はかなり好き。シンプルで簡素な晩年の世界であり刺激的では無いが、割といい曲だと素直に思う。
劇場音楽からの組曲
スキタイ組曲(「アラとロリー」) op.20(1914年)
3.3点
キレが良く、活き活きとした描写力で、最初のバレエ音楽にしてプロコフィエフのバレエ音楽への適性がよく発揮されている曲。
バレエ組曲「道化師」 op.21bis(1922年)
3.3点
活き活きとした場面描写が優秀なバレエ音楽であり、耳を楽しませるものではある。清新なセンスが発揮はされているが、前衛的な響きは少なく聞きやすい。しかし、バレエ音楽なので音だけで楽しむには長いので、気楽にくつろいで聴く曲と思う。後の代表作と比較するとまだありきたりの音楽の感がある。
「三つのオレンジへの恋」組曲 op.33bis(1924年)
3.5点
曲にパンチが効いていて、自在に扱われるオーケストラが印象深さを生み出している。前2作と似た系統だが進歩が見られる。
「鋼鉄の歩み」組曲 op.41bis(1926年)
3.0点
現代工業化をテーマにした音楽であり、標題音楽に近い。もっとプロコフィエフらしく無機的にガンガン押せ押せの音楽かと思ったら、ある程度はそうなのだが案外おとなしい。期待以下であり、それ以外は標題的な描写性の強すぎる音楽であって深みが足りず物足りなかった。曲が短いのも浅く感じる原因。
「放蕩息子」組曲 op.46bis(1929年)
3.3点
モノラル音源でよく分からなかったところはあるが、非常に勢いをもった充実感のある楽想が次々と矢継ぎ早に繰り出される気力の充実した曲のようだ。短期間に書かれたとのことで頭の中から溢れるように音楽が湧いてきたのではと想像できるものだ。なかなかの音楽に思えるのにマイナーなのは、やはり大衆性の不足だろうか。
歌劇「賭博者」からの四つのポートレートおよび終結部 op.49(1931年)
3.5点
前衛的な音の不協和音や気持ち悪さが、オペラの舞台性でストーリーと背景を持つことで意義のあるものになっている。かなりダイナミックに音が動く音楽であり、そのスリリングさには圧倒されそうになる。絶対音楽とは違うが、楽曲として抽出された結果、そこまで物語の具象的な音楽でもなくなっており、その塩梅がとてもよい感じである。不協和音や気持ち悪い旋律の重ね合わせがとても心地よく感じてしまう。
「ドニェプルのほとりで」組曲 op.51bis(1933年)
3.0点
まったりした普通の管弦楽曲である。シューベルトから受け継いだ意外な転調などの捻り、雰囲気が良いだけでかなり効果の低い曲になるところだったと思う。4曲目は編曲の面白さも音楽のエキゾチックな楽しさもあり、なかなかの名作である。まあ他も大地を感じさせたり郷愁を感じさせたり雰囲気はいいと思う。
交響組曲「キジェー中尉」 op.60(1934年)
3.0点
コミカルな雰囲気。プロコフィエフの本気はあまり感じられない。
組曲「エジプトの夜」 op.61(1934年)
3.3点
とてもエキゾチックで幻想的で面白い。この題名にしてこの音楽というのは見事である。すぐにはプロコフィエフと気付けないくらいに面白い。しかし、音の密度が薄いまったりした曲であり、本気の曲でないのも明らかである。そもそもプロコフィエフ作曲でなければ聴く機会のない曲で評価することもないだろうという気はする。それを高く評価してよいか迷うが、キワモノ的な耳を楽しませる面白さは個人的には否定しがたい。
「ロメオとジュリエット」第1組曲 op.64bis(1936年)
3.3点
作曲者の気力が漲っている。しかし耳につくメロディーはなくて、親しみやすさもほどほどであるため、評価の仕方に困るところがる。7曲の組曲はバレエ音楽の大家らしい充実ぶりではある。無機的な前衛派が大衆に分かりやすいながらも内容を膨らまして書いた努力の結実がバレエ音楽の作曲家として知名度を獲得するのに結びついたのが伝わってくる。6曲目はかなり感動的。
「ロメオとジュリエット」第2組曲 op.64ter(1936年)
3.0点
第一組曲とはだいぶ雰囲気が違う。小ぶりで親しみやすく心が温まるような感じで、まるでグリーグの音楽のようだと思った。第一組曲は壮大さに力点を置いた力作というのがよく分かる。どちらが好きかは好みによるだろうか。個人的には第二組曲は刺激不足であり後半は飽きてくる。しかし、1曲目が有名な曲であり、まさに掴みはOKである。これが大きいのだが、そのあとはリカバリーしないまま期待はずれで最後まで続くが、最後の曲でようやく面白くなる。
「セミョーン・コトコ」組曲 op.81bis(1941年-1943年)
3.8点
これはなかなか好きだ。オペラから作った組曲だが、オペラの場面話の筋書きが目に浮かぶようだ。音に主張と物語があり、ドラマに想いを馳せるように聴ける。かなり劇的な物語なのだろうな。登場人物たちの熱い想いと、悲劇のドラマ性が伝わってきて、ぜひ実際の舞台を見てみたいと思った。しかも長い組曲の全般がそんな感じでアツい。
「ロメオとジュリエット」第3組曲 op.101(1944年)
3.5点
最後のジュリエットの死は感動する。爛熟した美の沼にはまるようだ。他の曲も演奏がよいせいか、強く情感に訴えたり、響きや音使いが適度に新奇な面白さがあるなど、見所が多くある曲に聞こえた。3曲目のジュリエットの曲もかなり好きだ。作曲年代から残り物を集めた組曲かと予想していたが、思ったよりよい。
「シンデレラ」第1組曲 op.107(1946年)
3.0点
刺激が少なく古典的な柔らかさと踊りやすそうな舞曲性があるとともに、おとぎ話のような夢幻的な雰囲気も少しある。良い作品ではありバレエで観れば楽しめるのかもしれないが、音楽単体で聴く組曲としては刺激がなくて物足りない。売りになるような主張がないと思った。
「シンデレラ」第2組曲 op.108(1946年)
3.0点
シンデレラが王宮に入る一つのクライマックスの場面の音楽は素敵だ。しかし、それ以外はあまり凄い部分がない。第一組曲と似た世界であり、一つの世界観と音世界を構築している。シンプルや古典性や舞踏性とプロコフィエフらしさの融合は癖になりそうだが、似たような音の使い方が多くて飽きそうにもなる。
「シンデレラ」第3組曲 op.109(1946年)
3.3点
この組曲は静と動の対比がかなり強く出されている。組曲単品で聴くにはやはりその方が楽しいと思う。単調さが気にならなくなることで、夢幻的な音楽は世界の創造性もより価値が明快に分かるようになっている。このため良作だとは思うが、とはいっても圧倒されるようなものはない。
管弦楽のための組曲「ワルツ集」 op.110(1946年)
3.0点
そこそこの長さのあるワルツが6曲も集まっている。旋律に力は入っていないが、さまざまなワルツがありボリュームは楽しめるかもしれない。音楽を進める手際が良くて皮相的な音使いも楽しめるプロコフィエフの良さはよく出ている。中間の2曲がありきたりでなくて良いと思う。
プーシキン・ワルツ op.120(1949年)
3.3点
2曲ある。1曲目はまったりした19世紀のような古典的な雰囲気のあるワルツ。2曲目は少しテンポが早くなり、旋律にプロコフィエフらしい現代性が少しずつ現れるものの、多くの場面でかなり古典的な懐古趣味を出している。この現代と19世紀の組み合わせ方は愉しめるものであり、2曲目は展開がなかなか大掛かりでワクワク感がある。
交響組曲「夏の夜」 op.123(1950年、歌劇「修道院での婚約」による)
3.0点
オペラの素材をまとめたもの。簡明で簡潔な書法は、晩年の特徴がよく出ている。舞台で聴くならば雰囲気を十分に楽しめる事が容易に想像出来る。3曲目は明るくハッピー。4曲目の夢の中の世界は楽しい。
結婚組曲 op.126 (1951年、バレエ音楽「石の花」による)
3.3点
晩年のプロコフィエフらしい平明な音数を減らした世界が展開されている。その世界とバレエ音楽の融合した大作からの抜粋というように聴く分には興味深い。過去を振り返ってしまう感傷的な心の弱さや涙もろさみたいなものを基底に持っているのが魅力であり心になにか響くものがある。それとともに少年に回帰したような純粋な心を取り戻したかのような透明感もある。晩年のプロコフィエフが好きなら気にいるだろう。凄い曲という感じではないけれども。
ジプシー幻想曲 op.127 (1951年、バレエ音楽「石の花」による)
3.0点
前半は運動会の音楽のようなのが面白い。幻想曲の題名らしい雰囲気が急にコロコロ変わる曲である。面白いといえば面白いが、各部分はそこまで感動しない。プロコフィエフにしては特殊な曲として楽しめるくらいである。
ウラル狂詩曲 op.128 (1951年、バレエ音楽「石の花」による)
その他の管弦楽曲
シンフォニエッタ イ長調 op.5(第1版:1909年、第2版:1914年)、op.48(第3版:1929年)
3.0点
全5楽章。明るく軽やかで平明である事、シンフォニエッタの名称に相応しい小ぶりで可愛らしい楽章の集合体である事が特徴。夢見るようなメルヘンチックさを感じる。分かりやすい曲としてはそれなりに楽しめるが、捻りは控え目だし、驚きや類似する古典交響曲に感じる天才的な発想力が見られない。悪くない曲のままでなんとなく5楽章が過ぎてしまい、後に残るものがない。
交響的絵画「夢」 op.6(1910年)
2.5点
19歳の管弦楽曲。ワーグナーやドビュッシーやロシアの諸先輩の影響が見え隠れする。もやもやした夢と現実の狭間のような雰囲気だけの曲であり内容が薄い。個性も前半はほとんど感じないが、後半は少しプロコフィエフらしくなる。
交響的スケッチ「秋」 op.8(1910年)
2.5点
ラフマニノフのような壮大なロシアの大地とドロドロとした情念を感じさせる曲。はっきりしないもやもやの中で場面が少しずつ移り変わっていく。題名にあまり意味が無いらしいが、実際日本人のイメージする秋とは程遠い雰囲気である。雰囲気だけであり切れ味が良くない。
ヘブライの主題による序曲 ハ長調 op.34bis(1934年)
3.3点
室内楽版と比較して素朴でエキゾチックな『こくのある』感じが落ちている。色彩的で空間的な広がりが出ているのは必ずしも良い方に結果になっていない。好みの問題かもしれないが。
アメリカ序曲(または室内管弦楽のための序曲) 変ロ長調 op.42(1926年)
3.0点
プロコフィエフには珍しいアメリカ的な楽天性と開放感があり目新しさを感じて聴ける。華やかさもあり、場面転換もいい感じ。雰囲気はかなり映画音楽っぽい。
ディヴェルティメント op.43(1929年)
2.5点
くつろいだ雰囲気はディベルティメントの名に相応しい。プロコフィエフらしいユーモアも活用されている。しかし、もう少し光る何かが欲しいところ。
交響的な歌 op.57(1933年)
2.0点
ヘンテコな曲。変化に乏しく、やっつけ仕事感がひどい。
小管弦楽のための子供の組曲「夏の一日」 op.65bis(1941年)
3.5点
子供のためということで、素朴な構成になっており込み入った複雑さが排除さらている。短い7曲の構成。夏休みの思い出を再構成したかのような郷愁と子供時代の思い出を想起させる音楽である。懐かしいなあとしみじみとした想いに浸りながら聴いた。無邪気に新しい発見に満ちた日々を送ったあの頃に一度また戻ってみたいとも思った。
交響的物語「ピーターと狼」 op.67(1936年)
4.5点
親しみやすいテーマのオンパレードで子供向けとはいえ大人もかなり楽しめる作品。ストーリーもあるので、コミカルで面白い。このような一般向けの曲で素晴らしい作品を書けたプロコフィエフの才能に驚く。
ロシア序曲 op.72(第1版:1936年、第2版:1937年)
2.8点
13分の長さがり場面展開が激しい曲である。多くの発想が詰め込まれているからそれなりに力を入れて書かれたと思われるのだが、どの場面をとっても旋律に魅力がない。やはり展開だけでは音楽は楽しめないと思ってしまう。
交響組曲「1941年」 op.90(1941年)
3.3点
叙情的かつ叙事的な曲。しなやかでスケールが大きい、ロシアの広大さを思わせる曲。特に2曲目と3曲目。
行進曲 変ロ長調 op.99(1944年) [吹奏楽]
3.0点
アンコールに使えそうなブラスバンド用の急速な行進曲。面白い。
戦争終結に寄せる頌歌 op.105 (1945年)
2.8点
管弦楽なのか室内楽なのか分からないハープ8台、ピアノ4台、管楽器、打楽器、チェンバロという超特殊編成の曲。13分。第二次大戦の終結を祝うための曲らしいが、祝典的な印象は最後の3分であり、それまではどちらかというと今までの耐え忍んだ苦労を回想し分かち合うための曲という気がする。ピアノとハープの分厚さとブラスバンドの組み合わせは聴いたことの無い音響で面白い。曲としては、まあ手抜きでは無いが仕事で書いた曲だという印象。
祝典詩曲「30年」 op.113(1947年)
3.0点
祝典音楽の2作品のうちの一つ。舞台音楽のような軽快さをもつ場面が多い。単なる祝典性だけでなく、場面転換が多く音楽に活力と表情の豊さがあり、そこそこ聴き応えがある。
組曲「冬のかがり火」(朗読、児童合唱およびオーケストラのための) op.122(1949年-1950年)
3.3点
子供の情景を描写した平明な曲。朗読入り。おとぎ話のような包むような暖かさと純朴な美しさと詩情は聴いていてほっこりした気分になれる。平明すぎるものの、案外感動するため聴いて損のないと個人的には思う。毎回朗読が入るのも聴くのには少し支障があるが、待ちがあるため音楽の場面では逆に集中しやすいかも。少年合唱は天使のように美しくて秀逸であるが出番が少ない。
祝典詩曲「ヴォルガとドンの邂逅」 op.130(1951年)
2.0点
祝典的な金管楽器の活躍する序曲。元気ではあるが、メロディーその他、特に魅力を感じない。
ピアノ協奏曲
ピアノ協奏曲第1番 変ニ長調 op.10(1912年)
4.3点
短くコンパクトな中にプロコフィエフのピアノ協奏曲の魅力のほとんどが詰まっている。前面で大活躍するテクニカルなピアノは、この楽器の新しい魅力を引き出している。前衛的な新奇さはあるが、それだけに留まらない音楽性の高さを楽しめる。メロディーが良いため、素直に名曲としてお勧め出来る。
ピアノ協奏曲第2番 ト短調 op.16(1913年)(ロシア革命時に紛失、1923年に改作)
4.0点
1番をパワーアップしたような初期プロコのキレの良さが最高に楽しい。3番が、聴きやすいが媚びとまとまりのよさのための妥協を感じるのと対照的に、2番は妥協なしの壮大で濃厚な野心作である。音の尖っている場面の強烈さは凄いが、とがり方が突き抜けているため爽快な心地よさをも感じる。叙情的な場面も多い。その濃厚さ巨大さからプロコフィエフのピアノ協奏曲の最高傑作に推したい一方で、1番3番ほどの強烈な印象が残る場面が少ないのも事実。
ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op.26(1921年)
4.5点
豪快でノリノリのスポーツ的爽快さが何とも楽しい。特に3楽章の後半の猪突猛進がこの曲の最大の魅力だろう。特殊奏法の箇所は非常に華麗でかっこよくて好きであり、早くその箇所に来てほしいと待ち焦がれてしまう。1楽章の自由さや快活さと、切り替えが多い複雑なバランスも良い。2楽章もプロコフィエフによくある神秘的な曲で良いのだが、押しが弱いため印象が薄い。3楽章の中間部が同じメロディーをひたする繰り返しばかりで飽きるのが玉に瑕である。
ピアノ協奏曲第4番 変ロ長調(左手のための) op.53(1931年)
2.3点
左手だけの作品というだけで面白いのだが、聴いたあとは物足りなさが残る。使われている素材が良くない。良い素材は出さずに、ありあわせのもので間に合わせた印象である。力を入れて書いた作品と思えない。左手だけの薄い音で演奏されるプロコフィエフ節の魅力はあるが、正直言ってそれしか良さがない曲である。
ピアノ協奏曲第5番 ト長調 op.55(1932年)
2.5点
詰め込み過ぎでまとまりが無い。初演時に作曲者自身が暗譜に苦労したという逸話が証明している。しっちゃかめっちゃかで、まとまりが全然ない。全編それが徹底しているので、曲のコンセプトなのだろう。無理やり誉めるならば、バラエティーに富んでいてイメージ豊か、バレエ音楽の達人らしさを活かしているという事になる。しかし聴く側には理解困難な変わった曲という以上のものは、あまり得られない。ただ、4楽章はなかなか美しくて聞き入る曲である。
ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op.19(1917年)
3.8点
夢幻的な独特の美しさに満ちている1楽章、新奇なおもしろさの2楽章、再び夢幻的な3楽章とどの楽章も素晴らしい。プロコフィエフにしか書けない白昼夢のような不思議さとはこの世の現実と隔絶したかのような美しさである。美的感覚の鋭さと音感の良さによる芸術的センスの良さにより、ヴァラエティに富む20世紀のヴァイオリン協奏曲の中で代表的な作品になっていると思う。
ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 op.63(1935年)
2.5点
一楽章はモヤモヤ、ウダウダのまま終わる。二楽章はファンタジックな伴奏の音楽で才気を発揮。三楽章はカスタネットも登場する南欧的情熱を感じる音楽。
チェロ協奏曲
チェロ協奏曲第1番ホ短調 op.58(1938年)
2.8点
後年に改作された作品だが、こちらの方が壮年期の力強い響きがするし、曲も8分ほど短いため好きかもしれない。とはいえ、どうも焦点が定まっていないようで捉えにくく、なんとなく雰囲気は良いがあまり印象に残らない曲である。ヴァイオリン協奏曲よりは落ちるという印象である。
チェロと管弦楽のための交響的協奏曲ホ短調(チェロ協奏曲第2番)op.125(1951年)
2.8点
第1番の改作。ショスタコーヴィチのようにどこか素直でないながらも軽妙でコミカルだったり、映画音楽のように柔らかく描写的だったり。晩年らしいシンプルさと、映画音楽のように響きは軽いが表情豊かな管弦楽の充実と、軽妙でコミカルなチェロのソロが魅力。いろいろな楽想が詰まったている。とはいえ、構成に芯がなくてまとまりないし、音が軽すぎる割には大作過ぎるし、いまいちである。
弦楽四重奏曲
弦楽四重奏曲第1番 ロ短調 op.50(1930年)
3.5点
意外性のあるモダンを志向した音楽であるがマイルドであり、割と明るくて情緒的で聴きやすい。あまり弦楽四重奏的ではなく弦楽合奏的な曲という気もするが、音楽的内容が充実している。どの楽章も豊富な材料を使って念入りに書かれていて心に訴えるものがあり、作曲者の実力をいかんなく発揮している。
弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調(カバルダの主題による) op.92(1941年)
3.5点
1楽章は東南アジアの音楽のように、四重奏曲と思えないほど音を次々と分厚く積み重ねて素晴らしい音響効果を作り上げたりする。エキゾチックな主題を使うモダンな曲。2楽章は民族的なメロディーが心地よく、民族楽器を模した伴奏も楽しい。風光明媚な旅先を楽しむような雰囲気もある。不思議でセンスが高い曲。3楽章はやはり民族的で、展開の大胆さが楽しい。全体に1番より四重奏の扱いが巧み。
ヴァイオリンソナタ
ヴァイオリンソナタ第1番 ヘ短調 op.80(1946年)
3.5点
1楽章の憂鬱な深刻さ、2楽章の尖ったスケルツォと情熱的なメロディー、3楽章の夢幻的な世界、4楽章のポジティブさや激しさ。プロコフィエフの作品の中でも暗い情熱と本格的な精神性を志向している曲の一つ。
ヴァイオリンソナタ第2番 ニ長調 op.94bis(1944年)
3.8点
フルートソナタ op.94 の改作。なまめかしく情熱的で表現力に幅があるヴァイオリンの良さが生きており、奥行きのある曲に仕上がっている。改作は成功しており、元のフルートソナタより良くなったと思う。
2つのヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 op.56(1932年)
3.0点
1楽章はバルトークのように前衛的で鋭角的で緊張感の高い音楽で期待感が高まるが、楽章が進んで耳が慣れていくにつれて奇妙な音楽と判明していき、わけがわからなくなってくる。16分で4楽章とコンパクトなので聴きやすいが、聴き終わると頭上に?マークが残る。
無伴奏ヴァイオリンソナタ ニ長調 op.115(1947年)
1.5点
全体にシンプルで、ユニゾンの合奏の方が良さそうに聞こえる。不思議な力強さがあるとは思うが、意味が全然理解出来ない音楽である。和声感がないし、音の動きも何がしたいか分からない。
その他の室内楽曲
ヘブライの主題による序曲 ハ短調 op.34(1919年) [クラリネット、弦楽四重奏、ピアノ]
3.5点
ピアノ五重奏にクラリネット付きでかなり重厚な響きである。民族的な憂いとおどけた感じを両立した主題が魅力的。クラリネットの陰影のある億色がメロディーとマッチして非常に効果的である。この時代にしては前衛的な響きでは全然なく、後期ロマン派の範疇に入っている音楽である。構成もしっかりしていて聴きやすく、胸に迫るものがある良作である。良い素材を活かして長くて自由に展開されて、最後に主題に戻る過程も秀逸で楽しめる。
ヴァイオリンとピアノのための5つのメロディー op.35bis(1925年)
3.8点
5つの歌詞のない歌op.35の編曲。暗く情熱的な小品集。おおっと驚く独特の美しさが全ての曲に登場して痺れるような感動を体験できる。特に3曲目は素晴らしい。これは掘り出し物。
五重奏曲 ト長調 op.39(1924年) [オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス]
3.0点
バレエ音楽から編まれた曲というのは内容面からすぐ納得出来る。即物的な雰囲気が強いモダンな内容で、精神的な内容はあまりない。また、音に棘がなく、柔らかい雰囲気。アンサンブルと音を楽しむ分にはなかなかよい。
フルートソナタ ニ長調 op.94(1943年)
3.5点
どの楽章も軽快なフットワークと明るさが支配的であり、聞いていてかなり楽しい気分になれる。
チェロソナタ ハ長調 op.119(1949年)
3.0点
音感とセンスの良さは発揮されているものの、全体的な焦点がいまいちはっきりせずメロディーも耳に残らず、捉えにくい曲だと思う。チェロは運動的であり、ヴァイオリンとは全く違う楽器という把握のされかたでない印象がある。
無伴奏チェロソナタ 嬰ハ短調 op.134(1952年、未完)
3.3点
チェロ独奏独特の悲しげなモノローグが続く。響きが軽い印象があるプロコフィエフのチェロ曲の中で、この曲は重みがある。未完成なのが残念。
ピアノ・ソナタ
プロコフィエフのピアノ・ソナタは内容が充実した、たくさんの素材を惜しげも無く投入しような大変な力作揃いであると思う。
ピアノ・ソナタ第1番 ヘ短調 op.1(1909年)
3.5点
独特の疾走感が満載で、それ程長くない単一楽章の曲だが豊富な内容でもっと大作に感じる。スクリャービンのようなロマンの香りの部分がおおくあり素敵。
ピアノ・ソナタ第2番 ニ短調 op.14(1912年)
3.5点
1楽章こそ冴えないが、アップテンポの2,4楽章の切れがよく発想もよいといういい曲で、二楽章も悪くないので楽しく聴ける。まとまりが良い。
ピアノ・ソナタ第3番 イ短調 op.28「古い手帳から」(1917年)
3.5点
単一楽章でコンパクトにまとまっており初期プロコのめまぐるしいピアニズムと切れ味の鋭いスッキリ爽快な部分を楽しめる。しかし、爽快なだけでなく、なかなか多くの場面展開がある充実作品である。
ピアノ・ソナタ第4番 ハ短調 op.29「古い手帳から」(1917年)
3.8点
1楽章は前奏曲のような内容。2楽章は非常に強く心を捉えて頭からメロディーが離れなくなるような名作である。即物的な前衛主義とロマン派的センチメンタリズムの見事な融合であり、20世紀的な感情表現は出色の出来であり、なかなか他では聞けない名作であると思う。3楽章はアレグロでぐるぐるとジェットコースターのように突き進むようなダイナミックな作品であり、プロコフィエフの得意技を満喫できる。
ピアノ・ソナタ第5番 ハ長調 op.38(第1版:1923年)、op.135(第2版:1953年)
3.8点
柔らかくてシュールなぬくもりを感じる佳作。1楽章はアンニュイなようであるが、展開部のオスティナートのテンションの高まりはかなり聴き映えがする。2楽章は、浮遊感とシュールさとセンチメンタリズムを融合させた霊感に満ちた曲である。3楽章は最終楽章にしてはやや大人しいのが物足りない点ではあるが、この曲の全体的な浮遊感による統一感のためにはこれが適切という気もする。後半には激しいテンションも見せてくれる。
ピアノ・ソナタ第6番 イ長調 op.82(1940年)
4.0点
1楽章は重戦車がゴリゴリと地面のものを踏み潰して進むような曲。私は長年、1楽章の冒頭の重々しさと不協和音の不快さのせいで聴くのがしんどくて、わざと不快感を強調した作品と感じて身体が受け付けなかった。しかし、久しぶりに聴いたところ、平気で聴けるようになった。個性的で古典的な均衡と密度の濃さと4楽章作品ならではガッチリとした構築性と総合性とスケール感を持った傑作だとわかった。7番と8番は偏った作品であるため、6番こそがプロコフィエフの代表作と思うようになった。
ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 op.83(1942年)
3.5点
無調であり、シュールで鋭角的で無駄をそぎ落とした1楽章。その緊密性の高さは評価できるが、強く心に響くものがあるとも言えないと思う。2楽章は間奏的なものあり、悪くないが特段の思い入れはない。7拍子で重音を重ねながら高速に一気呵成に進む短い3楽章は、一度聴いたら忘れられない名作である。
ピアノ・ソナタ第8番 変ロ長調 op.84(1944年)
3.8点
鋭角的な6番と7番と比較すると、8番は角が取れている。一番長い大作のソナタであり、曲の長さを活かした瞑想的な深さと構成感が好き。1楽章の瞑想的でありリズムの推進力が希薄。戦争末期のニヒルな絶望感を感じる。2楽章は少しインテンポなリズム感が出てくるのがよい。3楽章は高速で緊張感がありかっこいいが、それまでの楽章のニヒルな深さもスポイルしていない。そして中間や最後の爆走は気持ちいい。
ピアノ・ソナタ第9番 ハ長調 op.103(1947年)
3.3点
後期らしい簡潔さが現れている。聴きがいはあるが、これまでのソナタと比較すると簡素さのために圧倒的な充実感には到達していないところはある。とはいえ、プロコフィエフらしい発想の豊かさは十分に現れている。
その他のピアノ曲
4つの練習曲 op.2(1909年)
3.0点
初期プロコフィエフらしい新奇で切れ味鋭い音楽やピアノ書法と練習曲らしいパッセージの融合という点で、聴く前の期待は十分に満たしてくれた。名作というほどではないが、楽しむことは出来る。
4つの小品 op.3(全4曲)(1907年-1911年)
2.3点
1曲目こそ2分あるが2曲目以降は1分以内のごく短い曲。短すぎてよく分からない。ほとんど印象に残らないまま4曲が終わってしまう。
4つの小品 op.4(全4曲)(1908年)
3.3点
ピアノソナタのように、ずっしりとした音の重さと本格性があり、4曲のつながりが考えられて構成されている。暗黒の深遠を覗くような世界は、戦争ソナタを予感させるものである。作品2や作品3のピアノ小品群より重要と思う。
トッカータ op.11(1912年)
3.5点
演奏効果が高い。初期プロコフィエフらしい野蛮で叙情性を排した鋼鉄のような凄い曲。演奏効果が高くて一度聴くだけで忘れられないほど印象に強く残る。
10つの小品 op.12(全4曲)(1906年-1913年)
3.0点
軽快な小品集。大バレエ音楽作曲家らしいリズム感の良さと、華々しさと、音の軽やかさ、繊細な愛らしさ、変幻自在さなどが特徴。バラエティーが豊かだし基本的に明るい曲ばかりなので割と楽しんで聴ける。有名な曲はないが、気軽に楽しむ感じの曲集として、なかなか良いと思う。
サルカズム(風刺) op.17(全5曲)(1914年)
3.0点
短い曲の集まりであり、独特の無機質な音の塊だが、詩的な表現力も裏に見えて面白い。
束の間の幻影 op.22(全20曲)(1917年)
3.8点
ごく短い曲を集めている。この手の1分前後の曲を集めた曲集の中ではかなり優れていると思う。ピアニスティックな大人の音楽であり、どの曲もかなり聴き応えがある。新鮮な発見に満ちており、驚くようなセンスと霊感を発揮した曲が並んでいる。
年とった祖母の物語 op.31(全4曲)(1918年)
3.5点
題名が秀逸。まさにこの題名の通りの昔懐かしい物語の記憶を呼び起こすような曲。
4つの小品 op.32(1918年)
2.5点
まったりした曲調にプロコフィエフらしい新奇さを表現したという印象の4曲。プロコフィエフとしてはありきたりの曲ばかり。
物自体 op.45(全2曲)(1928年)
3点
題名に納得。シュールな現代美術的な世界だが、現代音楽と違い音楽として楽しめる。
2つのソナチネ op.54(1931年-1932年)
2.5点
第1番 ホ短調は変なフレーズや和声の構成でつなげられた無機質で前衛的な曲である。ソナタの総合性のある世界とはだいぶ違うソナチネらしい極小的な実験的世界を楽しめる。第2番 ト長調も1番と同様に無機質で前衛的な世界であり、曲の印象は似ている。和音が少なく響きが軽いのが独自世界を作るのに一役買っている。
3つの小品 op.59(1933年-1934年)
2.8点
散歩、風景、田園風ソナチネ
1曲目は前衛的な印象という程度。2曲目はパラパラパラとピアノの軽快に動くのが印象的。3曲目は確かに田園的な響きがして親密さも感じるのだが、和声の捻りが入っており、全然落ち着かないので、普通の田園的な曲とは大きく異なる。
思考 op.62(1933年-1934年)
アダージョ・ペンシエローソとモデラート、レント、アンダンテ
子供の音楽 op.65(全12曲)(1935年)
3.3点
プロコフィエフらしいきびきびとした音の動きと新鮮な響きは、子供向けの少ない音数のごく短い曲でも十分に発揮されている。
バレエ「ロメオとジュリエット」からの10の小品 op.75(1937年)
3点
ピアノ編曲版として、オケ版とは別にピアノ編曲が好きな人なら楽しめる。
合唱曲
カンタータ『彼らは7人』(1917-18年)
3.3点
耳を突き刺し心を突き刺すような先鋭的な激しさが強烈な曲。プロコフィエフが本気でリアリズムによる批判的な音楽を書いた曲。これはショスタコーヴィチ以上にエグい。
カンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」 op.78(1939年)
2.5点
暑苦しいばかりであまり楽しめなかった。戦闘ものの映画音楽の改作。同等以上の映画音楽はたくさんあると思われるため、いくらプロコフィエフ作曲だからと言ってこれを特別視する必要はないと思った。壮大なカンタータ風音楽ではあるが、あまりにわざとらしくて成功には聴こえない。
オラトリオ「平和の守り」 op.124(1950年)
3.0点
本格的なカンタータ。大げさすぎず不協和音が全然ない平明さながらも懐の深さをもって音楽が進んでいく。平和をテーマにしながらも力が入りすぎず辛気臭くもならず、いい塩梅である。しかし心を強く捉えるたり、強く感心するものもない。10曲もあるのにスケール感があまりない。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%95
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2022/06/07 (Tue) 02:11:50
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アルテュール・オネゲル(Arthur Honegger,1892 - 1955)
アルテュール・オネゲル クリスマス・カンタータ
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/782.html
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アルテュール・オネゲル(Arthur Honegger,1892 - 1955)
フランス六人組の一人といってもスイス人であり、交響曲などかなり深刻で構築性がある。室内楽や協奏曲はそれぞれ雰囲気が違う。
管弦楽曲
交響詩『夏の牧歌』(1920年)
3点
よくありがちな典型的な交響詩。いい曲ではあるがあまりにノーマル過ぎてちょっと。。。
交響的黙劇『勝利のオラース』(1920年)
3.5点
オネゲルらしい、音の響きが渋くて象のようなゆったりとした歩みの中に壮大さと歌心をこめてドラマを作るという特徴がよく出ている作品。劇的であり、ローマ建国という歴史物に必要な古代感と威厳もよく出ていて、人間くささや物語性と背景描写を兼ねることができている。作風と作品のマッチングがうまくいった成功作だと感じる。
『テンペスト』のための前奏曲(1923年)
交響的断章(運動)第1番『パシフィック231』(1923年)
4.0点
蒸気機関車が徐々に動き出していく最初の場面は描写的で楽器の使い方がとても面白い。その後高速で走っている場面の力感の作り方もとても面白く、停車して曲が終わってしまうとがっかりする。本当に面白い曲。
交響的断章(運動)第2番『ラグビー』(1928年)
3.8点
ラグビーにしては玉がビュンビュンと飛び交うスピード感ある曲で、ハリーポッターのクィディッチのようである。この圧倒的な躍動感に身を委ねるのはかなり快感である。
交響的断章(運動)第3番(1933年)
2.8点
まさに断章(運動)という感じであり、音楽としてつまらなくはないが、まとまった作品としての出来の良さのようなものを感じない。
交響曲第1番(1930年)
3.3点
ラヴェルのように響きが軽やかで色彩的。ストラヴィンスキーのようにリズムが生き生きとしている。交響曲らしい重さは他の交響曲と比較すると少ないが、多少は感じられるし、最後の感動的なコーダで満足して聴き終えられる。
交響曲第2番(1941年)
4.0点
大戦中に書かれた、沈鬱な表情に支配された曲。人類の犯した間違いと悲劇に対する悲しみと絶望に満たされた音楽はかなりの重量感。フランス音楽では珍しい。戦闘の後の最後はトランペットの明るい未来を確信するような響きに感動。
交響曲第3番『典礼風』(1946年)
4.0点
深刻で、フランス版ショスタコーヴィチの交響曲という感じがある。しかしオネゲル風のサウンドも楽しめるし、ロシアのしつこさや野蛮さとは違い洗練されているところがある。がっちりとした重厚さがあって聞き応えを感じる。
交響曲第4番『バーゼルの喜び』(1946年)
3.8点
新古典派的な曲と呼ばれるだけあって割と明快で分かりやすい部分が多いが、とはいえ随所にオネゲルらしい独特のサウンドを楽しめる。深刻な箇所は少ないが薄っぺらいという事はなく、交響曲らしい一般性は十分。ただ、最後のあっけない軽い終わり方には驚く。
交響曲第5番『三つのレ』(1950年)
2.5点
暗くてはっきりしないモヤモヤが続く時間が長くて、あまり楽しめない。
協奏曲
ピアノ小協奏曲(1924年)
3.0点
とても軽いふわっとした雰囲気で同じフレーズを繰り返す場面で始まり、後半はかなり完全にジャズになって終わる。精神的な重さがほとんどない、イージーリスニングに近くて、エスプリの効いた筆致のオシャレな音楽。
チェロ協奏曲(1929年)
3.3点
映画音楽のような場面が続く。映画音楽としては、なかなかの雰囲気でいい曲ではないか。と思っているとカデンツァが入ってクラシックの協奏曲というのを思い出す。田舎のような素朴さの中に、チェロの包容力と郷愁を誘うような魅力をうまく活用している。
室内協奏曲(フルート、コーラングレと弦楽合奏のための)(1948年)
3.5点
コーラングレとフルートの夢見るような詩情や郷愁が印象的。2本の管楽器が絶妙に絡み合い、音楽的な複雑さと表情豊さを見せている。オネゲルのふわふわした感じや、渋いおしゃれ感覚と管弦楽曲で見せる音の説得力と楽器構成がマッチしている。
室内楽・器楽曲
ヴァイオリン・ソナタ第1番 嬰ハ短調(1918年)
3.5点
1楽章は、印象派的ともいえる静寂さに包まれた深々とした音楽。夢幻的だったり流麗さもありかなり素敵。中華的な音の雰囲気も時々感じられて面白い。2楽章はジェットコースターのようにめまぐるしい高速な両端部分と、中間部の夢幻的な美しいメロディーの対比が素敵。3楽章は沈鬱な序奏は良いが、その後の激しく情熱的な部分があまり面白くない。最後にまた沈鬱な音楽に戻る。
ヴァイオリン・ソナタ第2番 ロ長調(1919年)
2.5点
旋法や音階に頼って雰囲気を作っている印象である。1楽章と2楽章は根暗な陰鬱さがわざとらしく聞こえてしまう。3楽章で気分的に解決されるので全体に一応作品として納得はする。
ヴィオラ・ソナタ(1920年)
2.0点
4度を多用し、印象派の室内楽に似ている事が印象に残る程度で、音楽的に空疎で内容が無い。ヴィオラの良さも全然活かされていない。
チェロ・ソナタ ニ短調(1920年)
2.5点
ふわふわとした浮遊感のある楽想。チェロもはっきりしない中を低音をとりとめもなく演奏するような趣である。渋さを楽しめる。
ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ(1932年)
2.8点
オネゲルの室内楽は、精神的に孤独であり独白のような趣である。静謐でどこかグロテスク。その雰囲気はこの構成だとうまくマッチしている。音は豊かで2台とは思えないほど。
クラリネットとピアノのためのソナチネ(1922年)
3.0点
オネゲルらしい繊細なお洒落さとグロテスクさが混ざった音感を頼りに書かれたようなソナチネ。3楽章全部で6分とコンパクトで聴きやすい。ソナチネといっても気の利いた小品に近いイメージであり、すごい曲という感じではないが、オネゲルに対する期待値を裏切らないレベルにはある。
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(1940年)
2.8点
バッハの影響を強く感じる。バッハ同様に音の一つ一つの価値が高く、真摯さと気高い精神性を感じさせる。最後の楽章のプレストでの締めくり方など、影響が強いどころか、バッハの作品を近代の語法でそのまま再現してみせたと言ってもいいかもしれない。従って、音楽的にはそれなりに優れているが、独創性などの観点で物足りなく感じる。
弦楽四重奏曲第1番 ハ短調 (1916-17)
3.8点
かなり本格派の作品。いきなり激しく始まる1楽章。12分の長さで切々と歌う2楽章はなかなか感動的であるとともに、感動一辺倒ではなくオネゲルらしい音の捻りが効果的で聴き映えもする。深刻であり人生と世界の深遠を垣間見せる3楽章は素晴らしく、特に遥か遠くを見つめながら平和を祈念するような最後の終わり方には感動する。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲と同程度に広く聞かれるべき作品。
弦楽四重奏曲第2番 ニ長調 (1934-36)
3.5点
1楽章はやや地味である。しかし2楽章は非常に強烈な印象を残す圧倒的な曲。中間に向けて迫力を増して最高潮に達してからまた落ち着く形だが、世界を底の方でえぐり取るような痛烈さにびっくりする。3楽章は前半は不協和音が鋭いが、後半は鎮静化する。全体に恐ろしい音楽だが、端正なスマートさも忘れない所があり、それがまた良い。
弦楽四重奏曲第3番 ホ長調 (1936-37)
3.3点
全体にかなり晦渋な曲。1番と2番のような明快なドラマ性が少ない。1楽章と3楽章の強烈な不協和音には驚く。苦々しいフレーズを積み重ねる曲であり、音のインパクトや聴き応えは十分にあるが、聴後に残る印象は1番2番より落ちる。
ピアノ曲
3つの小品 H23
3.0点
ピアノ独奏の小品
1曲目 少し即物的で、悲劇的な気分
2曲目 ドビュッシーのような曲
3曲目 この曲もテンポが早いドビュッシーの曲に似ているが、曖昧模糊な雰囲気が少なくて聴きやすい。
舞台作品・合唱作品
交響的詩篇『ダヴィデ王』(1921年第1版、1923年第2版)
劇的オラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』(1935年)
4.0点
歌詞やストーリーが分からなくても、音楽だけでものすごく面白い!舞台が目に浮かぶような効果的なフレーズが目白押し。
クリスマス・カンタータ(1953年)
4.0点
作曲者最後の作品。作曲者の技術の粋を尽くして書き上げた天才的にして感動的な作品。ひとつの世界の創造の域に達している。
歌劇 ユーディット(Judith)
3.0点
この人はジャンルにより音楽の雰囲気がかなり異なる。舞台系作品は独特の説得力がありかなりよい。この曲もしかり。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%82%B2%E3%83%AB
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2022/06/07 (Tue) 02:12:10
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ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud, 1892 - 1974)
ダリウス・ミヨー スカラムーシュ Op.165b(2台ピアノ)
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/784.html
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ダリウス・ミヨー(Darius Milhaud, 1892 - 1974)
時代に即したフランスらしい機知を感じさせつつ、留学して吸収したブラジル的情熱も持っているところが個性となっている。悪くない曲を量産しているが分かりやすい代表作が無い。何から聴いたらいいのか分かりにくい。ほとんどの作品はバランスと総合性を兼ねた魅力作というレベルに達しておらず微妙な出来である。その点でやはり一流感が足りない。
管弦楽曲
Le Carnaval de Londres, op. 172 (1937)
ロンドンの謝肉祭:「乞食オペラ」の旋律による組曲
3.5点
平明で明るくて叙情的。ロンドンといっても、もっと田舎街の穏やかな盛り上がりを連想させる。陽光の眩しさが目に痛いほどの風景。祭りの楽しさに心がウキウキする。メロディーが分かりやすくて無駄な捻りがなく、素直に愉しい気分で聴ける。また聴きたくなる。演奏や録音がよいからかも。
バレエ音楽
屋根の上の牡牛 Op.58
3.3点
愉しい音楽だが、まだ初期で成長途上である感が強い。バレー音楽でのミヨーの美点との相性の良さ発既に強く感じられる。彼の南欧的な明るさやリズム感の良さやブラジル風や複調の活用や含む多くの要素が作品として結実してスタイルを確立している点で、重要な作品であるのが分かる。多彩で豊富な楽想のてんこ盛り感がよい。代表作と呼ぶに相応しい作品である。しかし、創作の頂点はまだこれからという感じである。
世界の創造
3.5点
黒人の音楽らしさは、ガーシュインやラヴェルほど分かりやすくないし、徹底的でもない。音の動きにエッセンスのようなものが時々登場する感じだ。とはいえ、このジャズをいち早く取り入れて世界の創造を表現する音楽を作るという創造性は高く評価したい。楽器編成が小さくて、室内楽的な楽しみもあり、各楽器が個別に躍動するのがまた良い。単純ではないが適度に聴きやすく分かりやすい。
青列車
3.0点
なんだろう。平明すぎてありきたりな場面が多すぎる。フットワークの軽さがない気もする。一流作曲家ならではの領域には届いていない気がする。とはいえ、バレー音楽におけるミヨーのスタイルは確立していて十分に楽しめるものではあるが、これなら他の作曲家でも書けそうな気がする。そこが物足りない。
吹奏楽
フランス組曲
3.3点
平明で聞きやすいとは思うが、ちょっと平明すぎて複雑さとか聞き応えのようなものが足りない。変化はあって楽しめる曲でありおそらく生演奏で聴くと感動できそうに思うが、音源で聴くとそれほど感動しない。とはいえ凡作ではなく、所々に聴きどころが用意されている。
交響曲
交響曲第1番 Op.210 (1939/1940年初演)
3.3点
優美で田舎的な中にオサレが混じったような感じ。短いし、堅苦しくなくて分かりやすく聴きやすい。交響曲らしい力の入った感じというよりリラックスした曲と思ったが、楽章の構成や内容は割とすんなり交響曲として受け入れられた。わりと重厚で鋭角的なところと、舞台音楽的な派手さを併せ持つオリジナリティがある。後半が良い。田園的で舞台音楽のような活気と描写的な雰囲気のある1楽章。スケルツォに相当する映画音楽のようでヘンテコ要素がいい感じに入っていて面白い2楽章。3楽章の緩叙楽章も2楽章もオーケストラの使い方がよく、メロディーも楽しめてなかなか良い。4楽章は冒頭で派手にやったあと、バレエか映画音楽のような曲。通俗的だが、耳を楽しませる意味ではなかなか良い。
交響曲第2番 Op.247 (1944/1946年初演)
2.5点
全然交響曲に聞こえない。組曲くらいにしておくべきでは。一般性や構築性がないし、楽章間の関連も感じられない。そして曲として何がしたいのか、という意思が自分には分からなかった。漫然と音が鳴っているように聴こえる。
交響曲第3番「テ・デウム」 Op.271 (1946/1947年初演)(合唱付き)
3.3点
鋭角的で壮大で重厚で神秘的。時間の流れもゆったりしている。ブルックナーのテ・デウムを強く連想した。歌曲の部分は特に非常に神秘的で驚く。近代的な管弦楽の響きであり、かなりイギリス音楽ふうなのだが、どこかフランス的な要素も入っている。いつもの楽天的な南欧風はない。
交響曲第4番 Op.281 (1947/1948年初演)
2.5点
映画音楽なみ、もしくはそれ以上に安易なドンチャン騒ぎで盛り上がる場面が異常に多い。ハイドンなら祝典交響曲と呼ぶべき内容かもしれない。小太鼓は軍隊的な印象を与える。しかし、ちょっとかなり内容が浅いし、響きが少し面白い複雑さを見せている以外は全然ダメだと思う。
交響曲第5番 Op.322 (1953/1955年初演)
3.0点
じわじわと雰囲気を変えていく詠唱の積み重ねが最初は延々と続く。ショスタコーヴィチなら歴史と人民の悲劇を表現する音楽になるところだが、ミヨーにとってこれが何を意味しているのかは耳だけでは判断できない。2楽章のテンポを速めたバッハの影響を感じる骨太さと四角くて対位法的な音の線の構成もまさにショスタコーヴィチそのもの。3楽章の低音の動きを使った躍動感と耳に刺さる高音も。全体に序破急形式のパロディーに近い曲だが、どちらかというと真似して真剣に書いているように聴こえる。驚いた。
交響曲第6番 Op.343 (1953/1955年初演)
2.8点
まるで北欧の音楽かと思うような、伸ばした音のなかに冷たさと明るさの柔らかさが混じった音楽が続く。大自然のような大きな世界である。そのなかにもミヨーらしい響きは入っているが、陽光の強さを感じない。面白いと最初は感心するが延々といつまでも続いて飽きてしまう。最後はその流れを受け継いだ妙な盛り上がりをみせるが、よく分からない音楽である。
交響曲第7番 Op.344 (1955/1956年初演)
2.5点
ミヨーの弦楽四重奏などに通じる独特の音使いで交響曲を仕立て上げた、という点では典型的に思える。ただ、やはり本人の音のフェチが主な素材になっており、これは万人向けでないどころか、強く好むのはかなり少ないようには思われる。刺激を受ける部分はあるものの、やはりオススメするには辛くて一回聴けばよい類の曲に思える。これはすべての楽章に言える。
交響曲第8番「ローヌ河」 Op.362 (1957)
2.5点
うーん、二流作曲家のマイナー交響曲のオーラしか感じない。巨匠的なものがなく、響きを少し捻っただけの面白くない曲と思う。ミヨーが南欧風の活力を失って北欧風の普通の交響曲を書いた感じで、気力が足りない。ただ、雰囲気に浸るとどこか心地よく感じられる場面はあって、途中で聴くのをやめたくはならなかった。後半は活動的で彼の得意分野になっている。楽章の対比が鋭くて昔ながらの交響曲の体をなしているのも良い。
交響曲第9番 Op.380 (1959/1960年初演)
2.8点
ミヨーらしい活力のある音楽で、変な音の使い方ながらも楽しめる。特に最後の楽章はバレエ音楽的でなかなかよい。しかし、マイナー交響曲らしいニッチなイマイチ感もぷんぷんと匂いを放っている。
交響曲第10番 Op.382 (1960/1961年初演)
3.0点
ミヨーらしい変な音使いは相変わらずなのだが、この曲では肥大化したロマン派末期や近代の管弦楽の機能を活かした音楽の世界になっており、なかなか派手で耳を楽しませるものがある。だから、親しみを感じるとともに、場面の転換の大胆で曲の雰囲気にバリエーションが豊かで多くを詰め込まれていることを愉しんで聴ける。ちょっと良いかもしれない。
交響曲第11番「ロマンティック」 Op.384 (1960)
3.0点
1楽章はいつもの感じ。2楽章の夜明け前の自然の森のような神秘性と美しさをもつロマンティックな音楽がなかなか気に入った。3楽章の舞台音楽的で不思議世界のお話のような音楽も面白い。
交響曲第12番「田舎風」 Op.390 (1961/1962年初演)
2.8点
最後の交響曲という先入観もあるが、気力がないように聴こえてしまう。なんだか躍動感と押しの強さがなく、ふわっとした音像の場面ばかりである。ミヨーらしい語法の扱いはなかなか楽しめる込み入ったものになっている。しかし、やはり気力不足で物足りない気分になる。
協奏曲
スカラムーシュ
3.8点
通俗的な名曲。1曲目は華やかで諧謔的でチャーミングで愉しい主要メロディー。2曲目はフランス的な美観を遺憾なく発揮した美しい詩情のある曲。3曲目は南国風の楽園的な雰囲気がとても愉しい。全体に、サックスの能力を発揮できているのかよく分からないが、とにかく愉しい。しかし、2台ピアノ版の方がもっと愉しいと思う。
エクスの謝肉祭
3.0点
カーニバル的な雑多な要素が集積して登場しては消えていく。ウキウキするような祭りの楽しさがある。南欧らしい明るい楽しさがここにもある。しかし、ピアノ協奏曲形式は本来なら華やかであるのだが、この曲の場合はオーケストラの多彩さとぶつかっていて、打ち消しあっているような気がする。だから、なぜか不思議と自分の心には刺さらなかった。演奏や録音のせいかもしれないが。
ピアノ協奏曲第1番 Op.127
ピアノ協奏曲第2番 Op.225
3.3点
コンパクトな中に明るい活気と叙情が詰め込まれてなかなかに魅力的。特に2楽章はラヴェルのような繊細な叙情がかなり心を強く捉えるものがある。心がキュンとなる。しかし、陳腐さは全くなく、かといって捻り過ぎでもない。最終楽章のお祭りも素敵だ。
ピアノ協奏曲第3番 Op.270
2.8点
2番より長いうえに曲の特徴が不明瞭であまり魅力を感じられないまま終わった。どの楽章も発想が鈍いと思う。
ピアノ協奏曲第4番 Op.295
ピアノ協奏曲第5番 Op.346
3.0点
2番に近い発想であるが、あれほど単純明快ではない。豪華な曲想の転換を愉しむことができる。2楽章も美しさとひねった展開の両方を楽しめて、旋律としては名作とは言えないが楽しめる度合いとしては悪くない。3楽章はまた祭の楽しさで、バレエ音楽にかなり近い。協奏曲の娯楽性を楽しめる。
室内楽曲
弦楽四重奏曲
弦楽四重奏曲第1番 Op.5(1912)
2.8点
明るい陽光の下のような世界であり気持ちいい。カルテット書きとしてのセンスは感じるが、書法はシンプルであり、声部を生かし切っている感じではない。そして全般に悪くはないのだが、いろいろな部分が少しずつ名作レベルに届いていないという微妙で中途半端な感じがもどかしい。
弦楽四重奏曲第2番 Op.16(1914~15)
2.3点
四つの楽器の絡ませ方は割と上手いし、複調?のような響きは面白い。しかし、曲に締まりがなく、結局響きの面白さに頼ってウダウダやっているだけともいえる。ヴィラ=ロボスの弦楽四重奏曲の劣化版の印象。
弦楽四重奏曲第3番 Op.32(1916)
3.0点
遅いテンポで慟哭をあわすような楽想でありながら、それほど暗くなく独特の音響が作り出す不思議な浮遊感もあり、なかなか面白い曲。しかしながら10分を過ぎるとだんだん飽きてくる。14分でようやく終わる。その後に女声独唱付きの曲が始まるが、テンポも雰囲気もかなり似ていて、同じ曲が続いているかのようである。神秘的で不思議な雰囲気は悪くない。最後まで遅いテンポのまま消えるように終わる。
弦楽四重奏曲第4番 Op.46(1918)
2.5点
3番と同様にヴィラ=ロボスを連想する曲。11分の短い曲なのにどことなく冗長なのは力量不足かも。断片を繋げた曲という印象である。優れている箇所もある。艶めかしくて内面にブラジル的な情熱を内包している点はよい。明るさが足りなくて中途半端な浮遊感が続くが、最後の楽章は活発に楽しく締める。
弦楽四重奏曲第5番 Op.64(1920~21)
2.8点
1楽章の執拗な対位法的な音の重層的積み重ねで現代音楽的な効果を上げる手法はなかなかのアイデア。少ししつこいが。2楽章も各声部が複調で自在に動くので1楽章との連続性がある。3楽章は緩徐楽章だが、音楽の作りは前を踏襲している。中間は悪くないショスタコーヴイチのような悲劇性も表現されていてなかなかである。4楽章も同趣向で悪くはないが飽きる。
弦楽四重奏曲第6番 Op.77(1922)
2.3点
9分の短い曲。前半2つの楽章は元気の無い微妙な音楽が続く。3楽章は活発で気分転換出来るが内容は微妙。凡作の印象。
弦楽四重奏曲第7番 Op.87(1925)
2.3点
11分。どの楽章もビミョーであり凡作の印象は拭えないが、微かに艶めかしさや開放感などの気分が感じられて、多少は楽しめる。
弦楽四重奏曲第8番 Op.121(1932)
1.5点
1楽章は意味不明に近い駄作。2楽章も思わせぶりなだけで内容がない駄作。3楽章もミヨーの弦楽四重奏の常道で早いテンポで活発に音が飛び回るような曲だが、この曲に関してはめちゃくちゃである。
弦楽四重奏曲第9番 Op.140(1935)
2.5点
変な音の使い方が、ちょっと面白くて「いいかも?!」と思った瞬間に登場し、それがたいして効果的でなく、でも全くダメでもない中途半端さ。文字通り変な音であるという効果だけの場合も多い。そしてまた新しい場面に突入して、魅力をみせて期待を高めては変な音になるを繰り返して聞き手を翻弄するという、典型的なミヨーの弦楽四重奏曲。駄曲の分類するべきかもしれないが、面白いので嫌いではない。
弦楽四重奏曲第10番 Op.218(1940)
2.3点
2楽章のピチカートの多用は新鮮。3楽章のジャカジャカジヤーンの不協和音と辛辣さがショスタコ風。4楽章の音の重ね方の激しさは悪くない。全体としてまとまりはないし、2楽章以外はあまり新鮮でない。
弦楽四重奏曲第11番 Op.232(1942)
2.5点
最後の楽章以外はまったりしなやかで、温かみのある音楽。変な音は控えめに使われており、聞き手の頭を一杯にする感じではない。田舎的なのどかで自然にあふれた世界を感じる。
弦楽四重奏曲第12番 Op.252(1945)
3.0点
ところどころに意図不明な複調などの捻りはあるものの、わりと正統派の意図が分かりやすくてよい曲に聞こえる。田園風景的な風光明媚さもある前半と、音が躍動する後半。音世界に入り込んで、コンパクトで室内楽らしさを楽しめる。
弦楽四重奏曲第13番 Op.268(1946)
2.8点
自由闊達に書かれていて、自由に動く音の楽しみと南国の要素のある明るさとエネルギッシュさがある。とはいえ、どの楽章も音楽の構成要素の作品化度合いは微妙であり、悪くないが微妙なものをくっつけて構成した曲であるため、よい曲とまではいえない。
弦楽八重奏曲 Op.291(1948~49)(弦楽四重奏曲第14番、第15番を合わせて演奏する)
弦楽四重奏曲第14番 Op.291-1
弦楽四重奏曲第15番 Op.291-2
2.5点
合体させた弦楽8重奏しか聴いていないので面白さは理解出来ていないが、合体版を聞く限りはぜんぜん面白くない笑。違う曲を重ねただけあって、声部が多すぎて音がゴチャッと重なりすぎでぼんやりしている、ただそれだけと言っても過言でないシロモノである。弦楽四重奏の切れ味の良さはない。個別の14番と15番がどれくらい違う曲に聴こえるのだろうか。興味がある。
弦楽四重奏曲第16番 Op.303(1950)
2.5点
1楽章の弛緩した感じ。そのあとも冗長で意味の薄く支離滅裂感のあるフレーズを延々と続けるところに老いと衰えを感じてしまう。だから、聴いていてちょっと気持ちが沈んでしまった。コンパクトさが足りないから残念さが増えている。
弦楽四重奏曲第17番 Op.307(1950)
2.8点
1楽章はモヤモヤしたものをモヤモヤしたまま描いている。変な音の絡みが若干の痛々しさを感じるのはそのせい。2楽章は叙情的でこれは良いという美しい場面が所々にある。3楽章と4楽章は複調の活動的な曲で、いつも通りの微妙さだが内容はそれなりにある気がする。楽しんで聴けるところがある。
弦楽四重奏曲第18番 Op.308(1951)
3.0点
1楽章はショスタコーヴィチ風ミヨーと呼びたい孤独と悲哀の詠唱である。最後の曲に相応しいかもしれない。ミヨーにしては長大。2楽章は微妙だが、カオス感がいちおう楽しめる。3楽章はちょっと面白い。中庸な雰囲気が詩情を作っている。4楽章が再び詠唱的な曲であり、心が重力を与えられたかのようなずっしりとした重みがある。この楽章はこころに沁みるものがある。変な音の使い方は相変わらずだが、最後に相応しい佳作である。
ピアノ曲
スカラムーシュ Op.165b(2台ピアノ)
3.8点
協奏曲のところにも書いたが、2台ピアノ版は素晴らしい出来であり、サクソフォーン協奏曲よりも楽しいと思う。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A8%E3%83%BC
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2022/06/07 (Tue) 02:12:33
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カール・オルフ(Carl Orff, 1895 - 1982)
カール・オルフ カルミナブラーナ
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/683.html
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カール・オルフ(Carl Orff, 1895 - 1982)
カルミナ・ブラーナ
3.5点
やはり有名な1曲目のインパクトが絶大なものがある。しかし、その後もシンプルさと野蛮さが合わさった魅力的な音楽が続く。小難しく考えずに素直に楽しめる。リズムの複雑さを伴った野蛮さは20世紀のクラシックのテーマの一つのだが、これほど爽やかで気持ちよく愉しめる曲は少ないだろう。楽曲は多彩で、長くて多くの曲を聴いていても飽きない。初心者でも愉しめて専門知識が不要。でも時代のエッセンスは盛り込んでいる。その点では、大衆性を持ちうる貴重な20世紀のクラシック音楽の財産の一つといえる。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%281860%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E9%99%8D%29
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2022/06/07 (Tue) 02:12:56
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ジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin、1898 - 1937)
ジョージ・ガーシュウィン 『ラプソディ・イン・ブルー』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/752.html
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2022/06/07 (Tue) 02:13:18
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フランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)
プーランク オーボエとピアノのためのソナタ FP185
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/924.html
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フランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899-1963)
フランス六人組周辺のおしゃれな音楽の入門はこの人が良いと思う。フランス流エスプリの利いた軽妙洒脱で粋な都会的音楽。メロディーに溢れていて分かりやすく、まためまぐるしく雰囲気が変わるので飽きない。管楽器のソナタなどが素敵である。
管弦楽曲
バレエ音楽『牝鹿』
3.0点
組曲版で聴いた。スッキリとした軽やかなオーケストレーションと爽やかで瑞々しい詩情のある音楽である。しかし、メロディーの魅力がいま一歩と思うし、都会的な魅力もない。従って、それなりに良いのだが、あくまで若書き作品であり、もっと他に良い曲があると思って聴いてしまう。
『フランス組曲』(管楽器、打楽器、チェンバロ、ハープ)
3.5点
弦楽器が無くてチェンバロが入るという楽器編成が、古風な音の軽さを演出しており、非常に良い。ピアノ版と同様に楽しいし、管楽器の合奏の古風な楽しさはピアノ版には無いものである。
シンフォニエッタ
3.0点
メロディーに溢れていて軽妙であり、つまらなくはない。しかしニュアンスは平板で同じような雰囲気の上であれこれメロディーを流しているだけに感じられる。また、音楽が軽すぎて娯楽映画の音楽のようだし、管弦楽なので機敏さに欠ける。
協奏曲
クラヴサンと管弦楽のための田園のコンセール(田園協奏曲)(1927-1928)
3.0
近代のチェンバロ協奏曲という目新しい響きの音楽であることから、好奇心を満たしてくれる。やりたい放題と言いたくなるほど奔放な構成で、めまぐるしく変わる場面についていく楽しさはある。4分の1くらいの場面は確かに田園をイメージする。しかし、心に響くようないい音楽という感じは無い。あくまで好奇心のための音楽と思う。
2台のピアノと管弦楽のための協奏曲 ニ短調(1932)
3.3点
2台のピアノの豊富な音数が産み出す華麗さ楽しさはなかなかのもの。プーランクらしいめまぐるしさも有効に機能して、聴き映えの良さを増している。
ピアノ協奏曲 嬰ハ短調(1949)
3.3点
軽快な聴く人を楽しませるピアノの使い方は流石で、プーランクのピアノ協奏曲への適性の高さを感じるのだが、逆に予想外の凄さがない。彼ならやりそうな事をそのままやっている。そのため、いい曲ではあるが物足りなさが残る。
オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲 ト短調(1938)
3.0点
軽快さが売りのプーランクも、この曲はオルガンの音圧を活用した重たい音楽にしている。場面の転換は頻繁だが、変化の劇的さがあまり無い。でも作曲者らしいセンスの良さは感じる。この雰囲気は独特であるので、聴いてみて損は無い。
室内楽曲
六重奏曲(ピアノ、フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット)
3.3点
軽妙さやメランコリーをうまくミックスしたプーランクの良さが出ている曲。管楽器とピアノの扱いの上手さが、この曲でも目立つ。集大成的な作品としての作者の意気込みを感じる。しかしながら、音の厚さや楽器の多彩さが思ったほど効果を挙げていない気がする。
ホルン、トランペット、トロンボーンのためのソナタ
3.0点
珍しい構成であるが、音や音楽はそれほど意外性がない。アンニュイな雰囲気や金管らしい合奏を楽しめる。それ以上の良さはあまりない。
ピアノ、オーボエ、ファゴットのための三重奏曲
2.3点
おどけたりメランコリックになったり、フリーダムな曲。掛け合いも即興的。自由すぎて聴いていて落ち着かない。オーボエもファゴットもプーランクに合っており良さが生きているので、この編成ならばもっといい曲が書けたのではと残念に思う。
ヴァイオリンソナタ
2.5点
諧謔的な雰囲気が強い。ヴァイオリンが狭い範囲の使い方しかされていない印象があり、あまり楽器の良さを生かせてない。メロディーもいまいちで、プーランクの良さもあまり出ていない。とはいえ軽妙さなど、一定の特質を生かせてはいる。
チェロソナタ
2.5点
それなりに楽しめるのだが、チェロとしては軽快すぎる音使いで、高音の明朗さの不足がそのまま弱点になってしまっている。深々とした渋い響きを楽しめる他の作曲家のチェロソナタやプーランクの管楽器のソナタの素晴らしさと比較するとイマイチ。
フルートソナタ
3.5点
アンニュイな1楽章。寂寥感あるメロディーが捻った形で出てきて微妙なニュアンスを表現する2楽章。独特の捻りとメロディーの横溢によるニュアンスの変化が面白い3楽章。
オーボエソナタ
4.5点
夜の都会の洒落たセンスの中に人生の苦楽を潜ませた1楽章。ドビュッシーのように始まりおどけた後、中間部は切なく叙情的ながらも都会的で美しい2楽章。悲しく始まり、夢の中に溶けて現実に引き戻されて終わる3楽章。ニュアンスに満ちていて強く引き込まれる最晩年の傑作。
2本のクラリネットのためのソナタ
3.0点
同質の楽器2つという限定された条件での面白いアンサンブルを楽しむ曲。アンニュイでまったりした雰囲気が面白い。
クラリネットソナタ
3.0点
憂鬱アンニュイとおどけた道化というクラリネットの2つの面を軸にした曲の作りで、得意の目まぐるしい雰囲気の変化がある。お洒落メランコリーの部分は曲の雰囲気に浸れてなかなか優秀。
クラリネットとファゴットのためのソナタ
3.5点
2つの管楽器という限定された条件だが、変化に富み和声も豊かで素晴らしい。ファゴットは主に伴奏だが非常にうまく活用されていると思った。
器楽曲
ピアノ連弾または2台のピアノのためのソナタ
3.0
もとは若い時の作品で、ドビュッシーやサティーの影響を感じるが、十分にプーランクの個性も発揮されており、音感やセンスの良さはさすが。短い曲だし楽しんで聴ける。
2台のピアノのためのソナタ
3.3点
2台用だが、静寂さを感じる場面が多い。アンニュイでメランコリックな繊細な精神を体験出来る場面が多いので、その楽しさで聴ける。
3つのノヴェレッテ(ピアノ)
3.5点
1曲目は穏やかな叙情性と中間の小気味良さが素晴らしい。2曲目は少し活発で小気味よい雰囲気と音使いが楽しい。3曲目は美しい夢と現実の狭間のようで感傷的。3曲ともコンパクトでいい曲。
フランス組曲
3.5点
ピアノ版を聴いた。冒頭からウキウキするような楽しい曲。どの曲も明るい中にエスプリが効いていて、親しみやすく誰でも楽しめるような作品。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF
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2022/06/07 (Tue) 02:13:40
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ホアキン・ロドリーゴ(Joaquín Rodrigo Vidre, 1901 - 1999)
ホアキン・ロドリーゴ ギターと管弦楽のための《アランフェス協奏曲》
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/726.html
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ホアキン・ロドリーゴ(Joaquín Rodrigo Vidre, 1901 - 1999)
ギターと管弦楽のための《アランフェス協奏曲》
5点
この人の他の曲は知らないが、この曲は素晴らしすぎる。有名な2楽章だけでなく、他の楽章も十分に素晴らしい。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3
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2022/06/07 (Tue) 02:14:44
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ドミートリイ・ショスタコーヴィチ( Dmitrii Dmitrievich Shostakovich, 1906 - 1975)
最美の音楽は何か? _ ショスタコーヴィチ『弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 作品110』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/422.html
最美の音楽は何か? _ ショスタコーヴィチ『交響曲第8番 ハ短調 作品65』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/500.html
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ムラヴィンスキー ショスタコーヴィッチ 交響曲集
Shostakovich - Symphonies No.5,6,7,8,10,11,12,15 + Presentation (Century's rec. : Yevgeny Mravinsky)
https://www.youtube.com/watch?v=yO8XXsNNQvU
Symphony No.12 ‘’Year 1917’’ in D minor, Op.112
Dedicated to the memory of V.Lenin
I.Revolutionary Petrograd. Moderato. Allegro (00:00)
II.Razliv. Allegro. Adagio (11:35)
III.The Cruiser ‘’Aurora’’. Allegro (22:59)
IV.The dawn of Mankind. Allegro. Allegretto (27:24)
Recorded in 1961
Symphony No.11 ‘’Year 1905’’ in G minor, Op.103
I.Palace Square. Adagio (37:07)
II.The Ninth of January. Allegro (52:38)
III.Eternal Memory. Adagio (1:11:05)
IV.Tocsin. Allegro (1:22:40)
Recorded in 1959
Songs of the Forests, Op.81
I.When the War terminated (1:37:24)
II.Let us clothe our Motherland with Forests (1:42:32)
III.Remembrance of the Past (1:45:27)
IV.Pioneers plant the Forest (1:51:20)
V.Komsomol peoples come forward (1:53:27)
VI.The Future Walk (1:56:39) VII.Glory (2:03:35)
The USSR State Symphonyc Orchestra and Academic Russian Choir
The Boys Choir of the Moscow Choral College
Chorus Master : Alexander Sveshnikov
Recorded in 1949
Symphony No.8 in C minor, Op.65
I.Adagio. Allegro non troppo. Allegro. Adagio (2:11:38)
II.Allegretto (2:36:14) III.Allegro non troppo (2:42:25)
IV.Largo (2:48:43)
V.Allegretto. Allegro. Adagio. Allegretto. Andante (2:58:33)
Recorded in 1961
Symphony No.7 ‘’Leningrad’’ in C Major, Op.60
Dedicated to the City of Leningrad
I.Allegretto (3:11:03)
II.Moderato - poco allegretto (3:38:01)
III.Adagio (3:48:11) IV.Allegro non troppo (4:07:13)
Recorded in 1953
Symphony No.10 in E minor, Op.93
I.Moderato (4:23:40) II.Allegro (4:46:01)
III.Allegretto (4:50:06) IV.Andante. Allegro (5:01:16)
Recorded in 1976
Symphony No.15 in A Major, Op.141
I.Allgretto (5:12:45) II.Adagio. Largo (5:20:30)
III.Allegretto (5:34:56) IV.Adagio. Allegretto (5:38:36)
Recorded in 1976
Symphony No.6 in B minor, Op.54
I.Largo (5:52:50) II.Allegro (6:08:49)
III.Presto (6:14:23)
Recorded in 1972
Symphony No.5 in D minor, Op.47
I.Moderato. Allegro non troppo/ Moderato (6:21:16)
II.Allegretto (6:36:30) III.Largo (6:41:57)
IV.Allegretto non troppo. Allegro (6:55:46)
Recorded in 1954
The Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeni MRAVINSKY
Recorded in 1949-1976
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戦艦ポチョムキン - ニコニコ動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm9573925
https://www.nicovideo.jp/watch/sm9574091
https://www.nicovideo.jp/watch/sm9574208
ショスタコーヴィチがどんな時代に生きて、その音楽がどのように利用されたか。そんな背景を知っておくと、彼の音楽をもっと興味深く聴けるようになる…かもしれません。
ソビエト連邦 セルゲイ・エイゼンシュテイン監督(神父役で出演)。1925年公開。オリジナルのネガは失われたが、1976年に各地のポジフィルムより映像を再構成し、ショスタコーヴィチの音楽を付けて復元された。
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戦艦ポチョムキン
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
今年2005年からちょうど100年前の1905年といえば、第1次ロシア革命が勃発した年です。
その1905年6月に、ロシアの黒海艦隊の戦艦「ポチョムキン・タヴリチェスキー公爵号」で水兵達がストライキを起こしました。
この事件を題材として、モンタージュ技法の創始者で有名な映画監督、セルゲイ・エイゼンシュテインが1925年に発表したのがこの作品です。
発表された当時はサイレントムービーでした。つまり、音声によるセリフがなく、音楽もついていなかったのです。
のちに何人かの作曲家がこの映画に音楽をつけていますが、当時のソ連当局による共産主義のプロパガンダ(政治宣伝)に最も合致したものが、ドミトリー・ショスタコーヴィチが作曲した交響曲の断片をつぎはぎして作られた当版(1976年サウンド完全復元版)です。かつてドイツによる検閲でカットされた部分も復元されているそうです。
映画音楽について書いた某評論家の本の中に、『主として(ショスタコの)交響曲第5番が使用されているほか、第4、7、10、11番からも用いられています』とありました。
静かな図書館の中でこの記述を読んだ私は、「エッ、エ~!?」と口に出してしまうところでした。
というのも、作品中でショス7なんぞ、どこにも使われていないんです!これは違います!誤植としか考えられません!
7番ではなくて、8番ですよ!‥‥‥いいですか?あとの曲は確かに合っていますよ。私もDVDを再度見直して確認しましたから。
ただし、映像の方につい夢中になって音楽を忘れていなければの話ですが。
まあ、それはともかく、この『戦艦ポチョムキン』、映像と音楽が見事にはまっているんですよ!
中でも特筆すべきは「オデッサの階段」で、逃げ惑う民衆に向かって軍隊が一斉射撃するシーンです。
もちろん、モンタージュの技法が駆使された映像もそれだけで十分すばらしいものなのですが、そこで使われている第11番の第2楽章の危機迫る迫力、まさに映像とピッタリなんです。
犠牲になった子供を抱きかかえた母親が「お願いです、撃つのをやめてください‥‥」と嘆き叫んだときに、それまでの音楽がやむ、この静寂に包まれるこのタイミングが恐ろしいほど一致しているんです。
だって、何を隠そう、この交響曲第11番は、副題に“1905年”とつけられているんですよ!
そしてさらに、演奏の質も最高なんですよ。私が見たDVDには、演奏者についてクレジットされていないようなので断定しかねますけど、ムラヴィンスキー指揮/レニングラードフィルの演奏でほぼ間違いないと思います(第5番4楽章の284小節目の特徴的な音型を聞けば、ムラヴィンスキーの演奏だと判断することができます)。
ただ、ムラヴィンスキーはショスタコの交響曲に関しては第5番より前の交響曲を録音していないので、第4番はコンドラシン指揮(1962年、モスクワフィル)の演奏を使っています。
おまけとして、ショスタコの交響曲第何番の第何楽章が『戦艦ポチョムキン』の、どのあたりで用いられているのかを、以下、順に並べておきます。
第1章『人々とうじ虫』
交響曲第5番第1楽章の冒頭から提示部の終わりまで
交響曲第11番第2楽章冒頭
交響曲第10番第3楽章中間部
第2章『甲板上のドラマ』
交響曲第10番第1楽章展開部のクライマックス
交響曲第4番第1楽章 練習番号90あたりから
交響曲第11番第1楽章
第3章『死者の呼びかけ』
交響曲第11番第3楽章
第4章『オデッサの階段』
交響曲第5番第2楽章
交響曲第11番第2楽章
交響曲第5番第3楽章中間部から
交響曲第4番第1楽章練習番号29から
第5章『艦隊との遭遇』
交響曲第4番第3楽章後半
交響曲第8番第3楽章冒頭以降
交響曲第5番第4楽章練習番号121から終わりまで
と、だいたいこんな感じでした。
http://blog.livedoor.jp/masatomusik/archives/50033333.html
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ボロディン弦楽四重奏団 ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲集
Shostakovich - String Quartets 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15 ..+ P° (Ct. rec. Borodin Quartet)
https://www.youtube.com/watch?v=m-L2vG8nM1M
Piano Quintet in G minor Op.57
I.Prelude, Lento (00:00)
II.Fugue, Adagio (04:41)
III.Scherzo, Allegretto (15:51)
IV.Intermezzo, Lento (19:58)
V.Finale, Allegretto (27:46)
String Quartet No.1 in C op.49
I.Moderato (35:28)
II.Moderato (40:13)
III.Allegro molto (44:59)
IV.Allegro (46:53)
String Quartet No.2 in A Op.68
I.Ouverture, Moderato (49:56)
II.Recitative and Romance, Adagio (58:16)
III.Waltz, Allegro (1:11:09)
IV.Theme with variations (1:16:48)
String Quartet No.3 in F Op.73I.Allegretto (1:28:21)
II.Moderato con molto (1:34:52)
III.Allegro non troppo (1:40:19)
IV.Adagio (1:44:26)
V.Moderato (1:50:54) some bugs, sorry..
String Quartet No.4 in D Op.83
I.Allegretto (2:02:09)
II.Andantino (2:06:13)
III.Allegretto (2:13:12)
IV.Allegretto (2:17:12)
String Quartet No.5 in B flat Op.92
I.Allegro non troppo (2:27:32)
II.Andante (2:38:52)
III.Moderato (2:47:57)
String Quartet No.6 in G Op.101
I.Allegretto (2:59:17)
II.Moderato con moto (3:05:52)
III.Lento (3:10:41)
IV.Lento, Allegretto (3:16:08)
String Quartet No.7 in F sharp minor Op.108
I.Allegretto (3:48:01)
II.Lento (3:51:20)
III.Allegro (3:54:54)
String Quartet No.8 in C minor Op.110
I.Largo (4:00:40)
II.Allegro molto (4:05:42)
III.Allegretto (4:08:33)
IV.Largo (4:12:57)
V.Largo (4:18:47)
String Quartet No.9 in E flat Op.117
I.Moderato con molto (4:22:43)
II.Adagio (4:27:04)
III.Allegretto (4:32:09)
IV.Adagio (4:35:54)
V.Allegro (4:40:02)
String Quartet No.10 in A flat Op.118
I.Andante (4:49:37)
II.Allegretto furioso (4:54:21)
III.Adagio (4:58:22)
IV.Allegretto (5:04:27)
String Quartet No.11 in F minor Op.122
I.Introduction, Andantino (5:14:08)
II.Scherzo, Allegretto (5:16:54)
III.Recitative, Adagio (5:19:54)
IV.Etude, Allegro (5:21:12)
V.Humoresque, Allegro (5:22:24)
VI.Elegy, Adagio (55:23:31)
VII.Finale, Moderato (5:28:03)
String Quartet No.12 in D flat Op.133
I.Moderato (5:32:23)
II.Allegretto (5:39:40)
String Quartet No.13 in B flat minor Op.138
I.Adagio (5:59:58)
String Quartet No.14 in F sharp Op.142
I.Allegretto (6:20:04)
II.Adagio (6:28:55)
III.Allegretto (6:39:06)
String Quartet No.15 in E flat minor Op.144
I.Elegy, Adagio (6:48:25)
II.Serenade, Adagio (7:00:28)
III.Intermezzo, Adagio (7:06:24)
IV.Nocturne, Adagio (7:08:23)
V.Funeral March, Adagio molto (7:12:59)
VI.Epilogue, Adagio (7:18:06)
Piano : Sviatoslav Richter
Borodin String Quartet
Violin : Mikhail Kopelman & Andrei Abramenkov
Viola : Dmitri Shebalin
Cello : Valentin Berlinsky
Recorded in 1978-84, at Moscow
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ドミートリイ・ショスタコーヴィチ( Dmitrii Dmitrievich Shostakovich, 1906 - 1975)
20世紀生まれの唯一のメジャーな大作曲家。
戦中戦後のロシアの悲劇を連想させる現代的な社会性を音楽芸術として昇華させつつ、古典的な形式であり、和声も歪んではいるがとっつき易いのが人気の所以か。
スケールが大きく深刻でシリアスな本格的なところが魅力である。一方で軽妙でシニカルさが魅力の曲も多い。
ただ個人的には、頭の中だけで書いたような機械的な書法に感じたり、わざとらしい作り物の盛り上げ方が気になる時がある。
交響曲
交響曲第1番 ヘ短調 作品10 (1925年)
3.5点
19歳の作品で、音に純朴さはあるがセンス抜群で非常によい。後年のひねくれたセンスや国家的なものとの戦いの要素がまだなく、精神的深さは無いものの彼の音感が原石として現れており、それが素晴らしい。
交響曲第2番 ロ長調 作品14 「十月革命に捧ぐ」 (1927年)
3.5点
前衛的な一楽章もの。短くて聴きやすい。ウルトラ対位法の部分はもの凄く面白い。だが最後の暑苦しい合唱はいやになる。1番ほどの感動は無いが、音楽としての充実と楽しさは上である。
交響曲第3番 変ホ長調 作品20 「メーデー」 (1929年)
3.5点
後年のショスタコらしさがかなり現れている。後年に見られる同じ音型を一定時間繰り返すことをせず、きびきびと次に展開していくのが非常に好印象でかなり良い。内容が濃い。
交響曲第4番 ハ短調 作品43 (1936年)
3.5点
1楽章はマーラー的なスケールの巨大な音楽。展開部の超高速のフーガは狂気にも程がある。マーラーのようなオーケストラの酷使と、ゴツゴツした荒さと、素材の乱暴な扱いによる取っつきにくさが魅力。2楽章もスケルツォも3楽章も同様の印象である。5番以降のように器用に整理されておらず、生々しい、未整理の"音のるつぼ"であるのが大きな魅力であると同時に、聞きにくく分かりにくい欠点にもなっている。
交響曲第5番 ニ短調 作品47 (1937年)
5.5点
純音楽的に優れているという点ではショスタコーヴィチの最高傑作だと思う。特に1楽章と3楽章は非常に出来がよい。他の交響曲の深い精神世界を知ってしまったファンは、この曲を浅く感じるので最高傑作と呼ばないかもしれないが、初心者にはやはり真っ先にお勧めしたい。
交響曲第6番 ロ短調 作品54 (1939年)
4.0点
1楽章はマーラーのようなゆったりした時間の流れで、大河的な巨大なスケールで叙情的に沈鬱な表情で世界の悲劇を嘆くような、非常に秀逸な楽章。2楽章は1楽章を受けた軽くて気分転換できる良い曲。3楽章は表面的な音楽でいまいちなように感じられるが、裏に皮肉や偽善を隠しているのに着目すると天才的と感じる曲。
交響曲第7番 ハ長調 作品60 (1941年)
4.5点
派手にドンチャン騒ぎする曲。確かに浅いから「壮大な愚作」という評価はしっくりくるものであるが、とはいえ大河的、国家的な壮大さを表現できており、やはりよい曲といえると思う。特に1楽章の中間の部分や3楽章は優れていると思う。
交響曲第8番 ハ短調 作品65 (1943年)
4.0点
純音楽的にはすこし冗長さが感じられたり響きの多様性や発想力が5番より劣る気がするが、精神的な深さとドラマ性では上回る。
交響曲第9番 変ホ長調 作品70 (1945年)
3.0点
この曲は第九なのにスケールが小さく肩すかしを食わせた曲として有名だ。自分は率直に言ってどう聴いたら良いのかよく判らない。いつもの精神的重さが無いが、それを代替する何かがあるかというと、センスが特別に良いとは思わないし、思い当たらない。交響曲と呼ぶのに必要なものが足りない気がする。交響的な組曲を聴く位の気分で気軽に接するのが正解だろうか。一応後半は何故かいつもの交響曲らしさを少しみせたりするが。
交響曲第10番 ホ短調 作品93 (1953年)
4.0点
古典的な均整の取れた4楽章制であり、内容も正統派の力作。古典性を備えた交響曲としては最後の作品集。8年経ち久しぶりの交響曲として気分一新で書いた事が伺える。スターリン時代の人々の苦悩や暴力が国家的なスケール感をもって見事に描かれているし、表面的な表情の裏では別のことを考えていそうな多義性もある。ただ、ショスタコーヴィチが狙っているその通りに音楽が進みすぎるような、作り物っぽさをどこかに感じる。
交響曲第11番 ト短調 作品103 「1905年」 (1957年)
3.5点
キリキリと音楽のテンションを高めたり沈鬱な音を鳴らして精神的なものを表現する感じが薄い、描写的な音楽。映画に使えそう。描写的なので音楽として楽しく聴ける。異常なテンションの高さが現れないので長い曲だが聴いていて疲れずまったり楽しめてよい。
交響曲第12番 ニ短調 作品112 「1917年」 (1961年)
2.5点
13番と共通するエグい音が散見される。あまり精神的な深い世界を描いていない描写的な交響曲だが、同じように扱われる11番ほど音の密度が濃くなく説得力がない。音だけではよく分からず曲の世界にのめり込めない。
交響曲第13番 変ロ短調 作品113 (1962年)
3.8点
全5楽章。バスの独唱と合唱のみであり、特に読経しているかのような単一声部の男声が暑苦しくも凄い迫力で印象的。大河的で圧倒的に巨大で骨太な音楽であり、歴史の闇を生々しく描き真正面から告発するような内容である。オーケストラは低音を使いドーンとかグワーンと鳴らされるのが、読経のような合唱とあいまって東洋的に感じる。異様な迫力と生々しさと巨大さは4番と並ぶ。最大限に深刻な1時間の音楽を緩みなく作りきった精神力は感服するが、純粋に音楽として評価すると、曲の雰囲気があまり変わらず、楽想のバラエティーの豊さはショスタコービチの交響曲の中で一番少ないと思うため、力作だが名曲というには少し足りない。
交響曲第14番 ト短調 作品135 (1969年)
3.5点
全11楽章の歌曲の交響曲。晩年の不思議な美しさが顔を見せている。13番同様に力作である。マーラーの大地の歌同様に体裁は交響曲ではないが内容の充実と有機的なテーマの関連性とつながりがあるので交響曲と呼ばれることに違和感は無い。久しぶりに歴史や国家から離れて個人の世界がテーマになった曲。バラエティーと変化に富むので聴きやすい。
交響曲第15番 イ長調 作品141 (1971年)
3.0点
様々な楽曲の引用で彩られたショスタコ流の人生回顧曲。ここでも歴史や国家のテーマは感じられない。曲の不思議な明るさと無邪気さには童心回帰を感じる。後半は音が薄く虚無感がある。謎めいた夢の中に帰るような終わり方は素晴らしい。しかし全体としては名曲とかの類ではないと思う。
弦楽四重奏曲
弦楽四重奏曲第1番 ハ長調 作品49 (1938年)
3.0点
明朗で爽やかな印象が強く分かりやすい。とはいえ諧謔などショスタコらしい要素は詰まっている。ちゃんとした音楽を充実した内容で書くという自信を感じる。
弦楽四重奏曲第2番 イ長調 作品68 (1944年)
2.5点
2次大戦中の曲で、大作。一楽章は少し変わった雰囲気でショスタコじゃないみたい。二楽章以降はなかなか本格的で重い。精神的にもなかなか深いものを表現している。ただ音楽の素材は彼の中の一級品は使ってないと思う。
弦楽四重奏曲第3番 ヘ長調 作品73 (1946年)
3.5点
交響曲8番と共通する悲劇的で深い世界を表現している。中期の交響曲群に匹敵する重さと響きの質の高さを持った作品。
弦楽四重奏曲第4番 ニ長調 作品83 (1949年)
2.5点
悪くはなく所々いい場面があるのだが強い印象は無く地味。曲の素材が一級品でなく二軍を使ってる。
弦楽四重奏曲第5番 変ロ長調 作品92 (1952年)
3.0点
アダージヨが美しい名作で心惹かれた。その流れで三楽章も楽しめた。最後の場面はショスタコ得意のパターンとはいえ美しい。
弦楽四重奏曲第6番 ト長調 作品101 (1956年)
2.5点
ショスタコの四重奏にしては全体が快活な雰囲気でまとめられており聴きやすい。
弦楽四重奏曲第7番 嬰ヘ短調 作品108 (1960年)
2.5点
短い作品で、ショスタコ節を鳴らして終わる普通の曲。
弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 作品110 (1960年)
3.5点
激情にかられて一気に書いたという逸話に納得の内容。彼の熱い思いがみなぎるテンションに圧倒される。
弦楽四重奏曲第9番 変ホ長調 作品117 (1964年)
3.0点
ショシタコらしい音がして、バラエティー豊かで内容は豊富でバランスが取れているという点で聴きやすい。
弦楽四重奏曲第10番 変イ長調 作品118 (1964年)
3.0点
交響曲のような発想が所々あり、力強い楽章などそれなりに聞き応えがある。
弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 作品122 (1966年)
3.0点
ダークで殺伐とした静かな後期の世界が展開される。複雑怪奇なフレーズは少ない。夜の闇の静けさの中で事象が発生しはるか遠くに消えていくかのようである。
弦楽四重奏曲第12番 変ニ長調 作品133 (1968年)
3.5点
歯止めの利かないクレイジーさはベートーベン後期のようだ。二楽章はしつこく繰り返される動機が妙に印象に残り、その間を自由で即興的で異様な内容の音楽がつないでいく。やけに即物的な音楽であるが、それがいい。後期四重奏の魅力を強く感じられる。
弦楽四重奏曲第13番 変ロ短調 作品138 (1970年)
3点
リズムがなく、もはや観客の視点も無い。暗闇の中で何かが唸っているような、自然の中の何かの現象が発生しているような曲。構成感も希薄で現代音楽のよう。雅楽のような虚無の使い方。ショスタコにしてはやり過ぎではないかとも思うが、割り切って聴けば悪くない気もする。
弦楽四重奏曲第14番 嬰ヘ長調 作品142 (1973年)
3点
1楽章はヘンテコで正直どう感じればいいのか分からない。二楽章はやたら分かりやすい、そして分かり易いと自然と感情移入できるというのを実感する。三楽章も自由だが割と音楽になっており理解は可能。
弦楽四重奏曲第15番 変ホ短調 作品144 (1974年)
3点
全編アダージョの長い曲だが、音楽的に充実していて飽きることなく最後まで聴ける。後期の四重奏の中で一番聴きやすい。ヴィオラソナタのように最晩年らしい特別な感情や世界が展開されてる感じではなく、ただただ叙情の世界である。
弦楽のためのレクィエム 作品144bis(原曲は第15番)
管弦楽曲・吹奏楽曲
タヒチ・トロット (1928年)
3.5点
ヒットソングの編曲で、45分でオーケストレーションしたらしい。なかなか洒落ていて色彩的で愉しい編曲で面白い。何しろ原曲が秀逸である。
ジャズ・オーケストラのための第1組曲 (1934年)
3.5点
いわゆるジャズに分類される音楽ではないが、今でも耳にする事があるようか古いバンド向けお洒落音楽ではある。線を繋げて構成するショスタコーヴィチの柔軟さが生かされている。洗練度は微妙だが、クラシック専門作曲家にしてはセンスがよい。奔放な発想力が凄い。
ジャズ・オーケストラのための第2組曲 (1938年)
2.5点
ブラスバンド用もしくはディズニーランドで流れているような音楽のよう。ごくありきたりの音楽であり、悪い曲ではないがショスタコーヴィチ作曲である附加価値は何も無い。なお、いわゆるジャズ的な音楽ではない。この曲の本来の題名は舞台管弦楽のための組曲であり、誤って「第2番」として知られてしまっているのだそうだ。
荘厳な行進曲 (1941年)
バレエ組曲第1番 (1949)
3.5点
非常に軽妙な舞台音楽の再編集による組曲。よくある音楽にショスタコーヴィチらしい味付けがされており、作曲者の個性がちゃんと発揮されている。センスがかなり良いし表情豊かで1曲ごとにちゃんと個性があるので、心底楽しい気分で聴ける。いつもの深刻なショスタコーヴィチとは全然違う一面がみれる。この曲集は1曲が非常に短いので聴きやすい。
バレエ組曲第2番 (1951)
3.8点
2曲目に独奏チェロを使用した7分程度のアダージョがあるのが特徴。アダージョといっても軽くて楽しい気分で聴けるものである。そのような楽しい曲を書けたショスタコーヴィチのセンスに驚く。その他の曲は1番と基本的に似ていて、同様に楽しめる。4曲目のトランペットの独奏によるロマンスは昭和の歌謡曲のようで面白い。そして非常にいい曲。
バレエ組曲第3番 (1952)
3.0点
この曲集もやはり個性豊かで聴いていて楽しい曲の集合である。しかしながら、曲にありきたりな感が増している印象をうけた。はっとするような感動や感心してしまうような場面が少なくて、よくある音楽にわずかな一捻りを入れただけの曲ばかりと思ってしまった。
バレエ組曲第4番 (1953)
2.8点
3曲しかなくて1曲が3から5分程度と長いのが特徴。どれも普通の曲であり、あまり特徴が無いので面白いと感じなかった。他のバレエ組曲同様に軽快ではあるが、軽やかさが少ない。
祝典序曲 (1954年)
2.5点
ファンファーレ吹きまくりのノリノリの曲である。生で聴いたら楽しそうだが、CDで鑑賞する場合にはそれほどいい曲ではない。
交響詩「十月革命」 (1967年)
2.0点
耳に残るものがなくつまらない。交響曲の中の一つの楽章だと評価が変わるかもしれないが、単品の曲としては評価できない。
交響的哀悼前奏曲 (1967年)
「緑の工場」のための序曲
ソヴィエト民警の行進曲(1970年)
2.0
吹奏楽曲。普通のマーチ。少しだけショスタコ風ひねりがある程度。
ロマンス『春よ、春よ』Op128
2.0
断片的な歌曲。歌詞も分からないのにわざわざ聞くほどのものでない。
協奏曲
ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35 (1933年)
3.5点
弦楽合奏のピアノ協奏曲だけでなく、所々にトランペットの効果的な彩りが入っているのが楽しい。重音が少なく軽快に駆け巡るピアノ書法と伴奏が良くマッチしている。軽くて楽しい曲だが適度にシニカルさが混入して表情豊かになり、聴き映えのある仕上がりになっている。
ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 作品102 (1957年)
3.0点
1番以上に軽快な曲であまり深い内容はありそうにない。聴く側も気楽に娯楽音楽を聴く気分で接すると良さそう。駆け巡るようなピアノ書法や2楽章の叙情性は楽しい。
ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77(99) (1948年)
3点
交響曲以上に暗くて分厚くずっしりと重たい感じのする曲。本格派だが、暗すぎて気分が乗らないと聞いていて滅入ってしまう。しかも一楽章と三楽章が両方そう。カデンツァ長すぎ。アップテンポの楽章も耳に心地よくない。
ヴァイオリン協奏曲第2番 嬰ハ短調 作品129 (1967年)
2.0点
どの楽章も魅力や光るものが無いと思う。美しさや感動もなく、耳に痛いギシギシとしたヴァイオリンが続く。
チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 作品107 (1959年)
3.0点
1楽章は同じ音型を繰り返すだけの行進曲で前奏曲のようなイメージ。二楽章は長くて叙情的でなかなか美しい音楽。三楽章は二楽章の続きでまるまる楽章全部がカデンツァ。四楽章はコンパクトな締めの楽章で悪くない。早い楽章は小品で、緩徐楽章がメインの曲。
チェロ協奏曲第2番 ト短調 作品126 (1966年)
3.0点
アダージョで始まる。長大で内省的にせつなく歌い続けるのはチェロの魅力を生かしてる。二楽章は短く活動的で、三楽章は長大で中庸なスピードや内容だが、重くないサウンドで飽きずに楽しめる。最後が交響曲15番と似たような終わり方なのが面白い。
室内楽曲
弦楽八重奏のための2つの小品 作品11 (1927年)
3.5点
二曲とも豊富な声部を面白く活用して興味深い音楽を作っている。聞き応えあり。
チェロ・ソナタ ニ短調 作品40 (1934年)
2.5点
静かで叙情的な1楽章と3楽章が長大で曲の中心になっている。分かりやすい歌うような部分は多いが、すぐに皮肉な捻りが入り落ち着かない。暗いような明るいようなはっきりしない場面が続く。2楽章と4楽章は割とはっきりしており聞きやすい。全体に心への響きが弱い。
ピアノ五重奏曲 ト短調 作品57 (1940年)
4.5点
交響曲5番と同様に、観念的な精神性にも娯楽性にも偏らず、正統的で純粋な音楽的内容の豊富さとレベルの高さと密度の濃さが特徴。交響曲以上の内容の豊富さであり、大変に聴き応えがある。しかも真実味に溢れ、交響曲のように余計なエンターテイメント性に気を使う必要も無く内容に注力出来ている。ショスタコーヴィチの最高傑作候補の一つ。
ピアノ三重奏曲第1番 ハ短調 作品8 (1923年)
ピアノ三重奏曲第2番 ホ短調 作品67 (1944年)
3.0点
1楽章と3楽章の追悼音楽の雰囲気が印象的。全体にとっつきにくく、心地よさを拒絶しているような内容で、メロディーがはっきりせず耳に残らない。4楽章は夜の墓場のようなおどろおどろしい雰囲気は悪くないが、曲が長すぎる。
ヴァイオリン・ソナタ ト長調 作品134 (1968年)
3.0点
1楽章は4度を主体にした虚無的な音楽がひたすら続きよく分からない。2楽章はかなり激しいピアノとヴァイオリンの絡み合いで、分かりやすさはある。3楽章は無調に近い響きでバルトーク的な狂気の世界の変奏曲。この曲はいろいろとやり過ぎで、力作ではあるが聴くのがしんどい。
ヴィオラ・ソナタ ハ長調 作品147 (1975年)
4点
最後の作品。静謐さと絶望をたたえている。世界が凍っていくような不思議な感覚は胸に迫るものがある
弦楽四重奏のための2つの小品 (1931年)
3.0点
1曲目はなかなかいいけど2曲目はいまいち。
ヴァイオリン・ソナタ(1945年に着手したが未完)
4.5点
最後の作品。静謐さと絶望をたたえている。世界が凍っていくような不思議な感覚は胸に迫るものがある。催眠にかけられて深遠の暗闇に引き込まれるような不思議な感覚を覚える。そんな両端楽章にあって、2楽章のスケルツォも骸骨の踊りのようであり、刺激の点で効果的に機能している。3楽章の月光ソナタのオマージュ部分はあまりにも儚く美しく、最後はベートーヴェンを使ったという事実に想いを馳せると胸を打たれる。
3つのヴァイオリン二重奏曲
2.5点
自分で演奏したら楽しそうなオーソドックスで分かりやすい小品。
合唱曲
オラトリオ「森の歌」 (1949年)
3.0点
ショスタコーヴィチにしては単純で分かりやすすぎると共に、演出が豪華で派手な合唱曲である。骨太で大地のような巨大なスケールであり聴き映えはする。本人の意図に反した保身目的の曲という歴史的興味を引く曲であるが、内容が表面的でありいつものエグさがないので物足りない。
カンタータ『我が祖国に太陽は輝く』
3.5点
少年合唱は使い方をはじめ、いかにもという感じのコテコテのプロパガンダ曲で、そういう音楽としては楽しめる。
バラード「ステパン・ラージンの処刑」(1964年)
3.5点
迫力満点。目の前で歴史的な事件が起きているかのような臨場感である。ショスタコがこのような政治や国家の関係する劇的な叙事曲を書かせたら圧倒的に凄いと再認識。交響曲に匹敵する重量感。
バレエ音楽
黄金時代 (1930年)
3.5点
黄金時代の組曲で聴いた。ショスタコ節がすでに確立しかかっている。
ボルト (1931年)
明るい小川 (1935年)
お嬢さんとならず者 (1962年)
ピアノ曲
5つの前奏曲(1921年)
3つの幻想的な舞曲(1925年)
3.0点
1分程度の小曲が3曲。すぐにサティーを思い出すような、フワフワしてアンニュイで幻想的な曲。
2台のピアノのための組曲嬰ヘ短調(1925年)
3.0点
初期の曲であり、まだロシア的なロマン派の香りが漂い和声に歪みが少ないが、新しい20世紀らしい音楽へと踏み出してもいる。輝かしい神秘的な響きが多いのが目新しく感じる。スケール感があり音が分厚く発想は豊かであり、2台のピアノ用組曲としては聴き応えのあるものである。
箴言
3.0点
古代からの不思議な伝承物を連想させるような謎めいた音楽。何かの暗号のようだ。即物的に聞こえる瞬間も多い。嫌いではないが、どちらかというと実験音楽のたぐいだろう。
ピアノ・ソナタ第1番(1926年)
3点
前衛的であり2番とは大きく異なる世界の曲である。
ピアノ・ソナタ第2番(1943年)
3点
多楽章のピアノ・ソナタとしては唯一の作品である。ソナタ形式の得意なショスタコーヴィチにしては残念である。この曲はショスタコーヴィチならばこれ位書けそうという予想の範囲を超えるものが無く、曲としてはまとまっていて規模も大きいのだが、形式にはまりすぎであり驚きの無い作品である。
24の前奏曲(1933年)
2.0点
1曲の長さは短い。24の前奏曲とフーガと同様の24曲の曲集ではあるが、こちらはかなり地味で各々の曲の特徴も薄く、聴いているとどんな曲か把握出来ないままに次の曲に移ってしまう感じである。よく聴くとショスタコーヴィチらしい風味がある音楽ではあるのが分かるものの、地味すぎて楽しめないというのが率直な感想である。
24の前奏曲とフーガ(1952年)
4.5点
1曲目が大変素晴らしくて、一般化された精神の深みをバッハのように音楽で体現し、心をノックアウトする音楽。
2曲目はパラパラとしたバッハの影響が強い雰囲気
3曲目はフーガがかなりバッハっぽく、前奏曲はショスタコーヴィチによくある雰囲気。
4曲目は悲しくエモーショナルで心を動かされる。
5曲目は前奏曲はエモーショナルでフーガは個性的な主題と、どちらも面白くて良い曲。
6曲目は暗い情熱が素敵。フーガはやや長すぎる。
7曲目は分散和音をテーマにしているのが面白い。
8曲目は虚空をさ迷うような前奏曲はいいが、長すぎるテーマのフーガはアイデア倒れ。
9曲目はユニゾンの曲でショスタコーヴィチ節全開すぎるし、フーガの押せ押せは面白いが刹那的すぎる。
10曲目は前奏曲も悪くないし、ロマンチック的情緒のフーガが割と良い。
11曲目は間奏的な軽いスケルツォの前奏曲と、軽くてあまり印象に残らないフーガ。
12曲目は、オクターブの重厚な低音が悲劇的な前奏曲も、耳を突き刺すようなフーガもともに力作。
13曲目は前の曲の流れをうけて静寂と平和を静かに望むような雰囲気が良い。
14曲目は前奏曲はムソルグスキーを彷彿とさせるグロテスクさ。フーガは普通。
15曲目はシニカルな前奏曲も良いが、前衛的で複雑な押しのフーガが圧倒的。
16曲目は黙示録のようなフーガがすごい。捕らえ所のないテーマが延々と薄い音とボソボソとした独白で続けられる。
17曲目は様々な色の絵の具を混ぜたような、複雑で何にも帰属できない雰囲気が面白い。
18曲目は普通だが、フーガのテーマに泣きが少し入ってる。
19曲目は謎めいたフーガが印象に残る。前奏曲も捉えにくさがある。
20曲目は静謐な曲で特にフーガの途中からは印象が弱い。
21曲目は軽快で気分転換できるが、だんだんひねくれてしまう。
22曲目は曙光のような薄暗さの中にいるような曲で雰囲気は好き。
23曲目は曲集の終わりに近付いた清々しさを表現した曲で心地よい。
24曲目は壮大に曲集を締めていて、十分な出来になっている。
全体にショスタコーヴィチにマッチした形式であり、ピアノ作品の代表作である。彼の音楽の類い希な普遍性が非常に良い形で現れている良作。24曲の表情は様々であり、多様な表現を見せている。
2台のピアノのための小協奏曲(1954年)
3.3点
多くの部分が伴奏とソロに別れており、協奏曲として楽しめる。ピアノ協奏曲としては他の曲と同様に軽い駆け巡るピアノが楽しめる曲になっている。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81
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2022/06/07 (Tue) 02:15:11
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オリヴィエ・メシアン(Olivier-Eugène-Prosper-Charles Messiaen、1908 - 1992)
メシアン 『世の終わりのための四重奏曲』
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/967.html
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オリヴィエ・メシアン(Olivier-Eugène-Prosper-Charles Messiaen、1908 - 1992)
現代の最重要作曲家の一人。独自の音世界を築いて、大きな実績を残した。でも自分は生理的すぎる彼の音感覚を身体がなかなか受け付けない。
管弦楽曲
トゥーランガリラ交響曲(1949)
2.0点
おそろしくキモい曲。生理的な感覚が生々しく露にされすぎている。ちっともいい曲とは思えなかった。
室内楽曲
世の終わりのための四重奏曲(1941)
3.5点
ピアノ曲
幼子イエスに注ぐ20の眼差し(1944)
3点
鳥のカタログ(1956-58)(全13曲)
2.5点
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%281890%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E9%99%8D%29
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2022/06/07 (Tue) 02:16:12
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サミュエル・バーバー(Samuel Barber、1910 - 1981)
サミュエル・バーバー『弦楽のためのアダージョ』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/777.html
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サミュエル・バーバー(Samuel Barber、1910 - 1981)
交響曲
交響曲 第1番 ホ短調 Op.9 (1935~36/1943改訂)
3.0点
明確な和声と構築感は19世紀的だが、それに安住するわけではなく、ロマン派的な感性にプラスして20世紀的な新鮮な叙情性がある。初期の作品なのでまだ個性の確立が足りない感じがあり、素晴らしいという程の場面は少ない。単一楽章といっても、楽章の区切りは割と明確に感じられるので、聞きやすい。
交響曲 第2番 Op.19 (1944/1947改訂)
3.0点
複雑で前衛的な響き、バーバリズム、オスティナートなど、意欲的な作品。激しさに圧倒される場面もある。しかし、まとまりと交響曲らしい総合性にどうにも欠けるので、聞き終わった後に物足りなさが残る。バーバーらしい洗練された知性は楽しめる。
管弦楽曲
序曲『悪口学校』 Op.5 (1932)
3.0点
バーバーらしい切れ味の良さと現代的な管弦楽の機能のさせ方を楽しむ曲だと思う。旋律に魅力はないし、強く印象に残る場面もないが、管弦楽でここまでできるのかという20世紀のスピード感に合わせた音楽の機動力には驚く。
弦楽のためのアダージョ Op.11 (1937)
3.8点
悲劇的なドキュメンタリー番組のバックグラウンド音楽のような曲。これが一番有名というのも作曲者には可哀想な話だ。とはいえ、非常に分かりやすいメロディーの流れの中に、純音楽としての和声等の工夫が忍ばせてあり、決してつまらない曲ではない。たまに聴きたくなる。
オーケストラのためのエッセイ第1番 Op.12
3.0点
2番や3番と違い、悲劇的で重厚な曲。断片的な切り取り方の感じは共通だが、この重さはエッセイという響きには合わない気もする。
オーケストラのためのエッセイ第2番 Op.17 (1937)
2.5点
ライトな音楽であり、映画音楽に聴こえる。軽快で、電車から見る自然の風景のような感じの雰囲気は悪くないが、心にぐっとくるものはない。
夜間飛行 Op.19a (1964)
3.0点
テーマが明確な音楽で、夜間飛行の小説のことは知らないが、場面とシチュエーションが目に浮かぶようである。この場面の作り方はカッコいいし、徹底的であるとともにキレが良いと思う。音楽としては渋いのだが、渋さが目的になっていないのがよい。渋いのにワクワクゾクゾクするような所がある。
オーケストラのためのエッセイ第3番 Op.47 (1942)
2.8点
映画音楽のような軽さのある曲。軽いテーマで書いた、断片的な情景の描写の曲と考えると、エッセイという命名はなるほどと思う。2番よりは内容がある。
クリスマスに Op.37 (1960)
協奏曲
ヴァイオリン協奏曲 Op.14 (1939~40)
3.3点
抒情的であるとともに、アメリカ的なすっきりとした開放感と現代性があり楽しめる。技術をひけらかさず、高音も少なく耳に優しくて、歌わせる場面が多いのも好感度が高い。凡庸さはほぼなく、突き抜けた感じを楽しめる。2楽章の冒頭の旋律はなかなか良い。洗練された垢抜けた感じと抒情というバーバーの美点が活かされた好作。
カプリコーン協奏曲 Op.21 (1944)
2.5点
カプリコーンという楽器があるわけではなく、曲の愛称のようなものである。フルート、オーボエ、トランペットと弦楽合奏。全3楽章14分。協奏曲という感じは少ない。即物的で新古典主義のような音であり、ストラビンスキーを連想する。音としては面白いものが続くが、よく理解出来ないまま次々と雰囲気を変える。他のバーバーの曲と大きく異なる雰囲気。
チェロ協奏曲 イ短調 Op.22 (1945)
2.3点
1楽章はかなり難易度が高そうなのは分かるが、曲が全然頭に入ってこない。前衛的ではないのに理解できない。2楽章も3楽章も同様であり、凡庸を拒否していることは分かるが、あまりに心に刺さるものが少なくて、まとまりのようなものも表現したい対象に対する意思も感じられず、楽しめない。
ピアノ協奏曲 Op.38 (1961~1962)
3.5点
1楽章はプロコフィエフを彷彿とさせる切れ味鋭いモダニズムを混ぜた技巧的な楽章。2楽章はラヴェルのピアノ協奏曲を思い出す素朴で透明感のある曲。切ない後半部分には強く胸を締め付けられる。3楽章は野蛮な速いテンポの5拍子の曲で凄くカッコイい。
オーボエと弦楽のためのカンツォネッタ Op.48 (1977~78)(オーボエ協奏曲の緩徐楽章として計画。未完。オーケストレーションはチャールズ・ターナーが補筆。)
室内楽曲・器楽曲
弦楽のためのセレナード Op.1 (1929/1944弦楽オーケストラ編)
2.5点
やけに悲劇的なセレナーデである。何をしたいのか掴みどころがなく、なんとなく曲が進んで終わる。新奇性も感じられず、習作の感が強い。
弦楽四重奏曲第1番 ロ短調 Op.11(1936/後に第2楽章を編曲(弦楽のためのアダージョOp.11))
3.3点
1楽章はなかなか切れ味があって、そこそこ楽しめる。2楽章は弦楽のためのアダージョ。各楽器が1台だと音の厚みが足りないから、合奏版の方が良いと思う。孤独感のあるチェロの旋律部分はいいかもしれない。3楽章は静と動の対比がすごい。締めもかっこよくてなかなかしびれる。2楽章と3楽章は優秀。
弦楽四重奏曲第2番 (1948)
夏の音楽 Op.31 (1956)
3.0点
管楽器の自由な音の絡みの幻想性が楽しい。思ったより長く続く。各楽器がバラバラに動くようでいて、統一されて、またバラバラになるのを繰り返す。それに翻弄されながら変化についていくのを楽しむ曲とも思った。
ヴァイオリン・ソナタ (1931)
チェロ・ソナタ Op.6 (1932)
3.0点
チェロの響きの活かし方のバランスが良い。曲は1楽章に関してはかなりロマン派に近く聞きやすく、なかなかのチェロ作品。ところが3楽章はモダンな響きが強くなり、なんだか掴み所のないよく分からない変な曲になってしまう。
ピアノ曲
ピアノ・ソナタ 変ホ短調 Op.26 (1949)
4.0点
ラフマニノフやスクリャービンを消化した現代的な洗練されたピアニズムと超絶技巧。無調的なモダニズム的な感覚と、その基盤となるバーバー的なロマンチシズム。どの楽章もカッコ良くてキレが良くて、センスも良い。1楽章と4楽章のかっこよさは特に凄い。間違いなく第二次大戦後を代表するピアノ曲。
バラード Op.46
2.5点
スクリャービンの影響で書いたのは一聴で明らか。より知的で都会的だが、ドロドロしたものが無く、何より単純に音数が足りない。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC
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2022/06/07 (Tue) 02:16:34
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ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten) 1913 - 1976)
ベンジャミン・ブリテン 弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 作品25
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/775.html
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ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten) 1913 - 1976)
主要曲はどの曲も独自の世界感をもった力作である。独特の音世界を持ちつつも、シリアスで深みがあり芸術性が高い。オペラが得意だったようだが、器楽曲作曲家としても20世紀を代表する大作曲家である。
歌劇
「ピーター・グライムズ」作品33 Peter Grimes(1944~45)
3.5点
前半だけ聴いたが、なかなかファンタジックで現代的な曲。音だけでも強く主張があるのでそこそこ楽しめる。
合唱曲
キャロルの典礼 作品 28「A Ceremony of Carols」(1942)
3.0点
美しい合唱曲。独特のブリテンらしい音使いと感動的な合唱の編曲の融合は効果的。
春の交響曲 作品44 Spring Symphony(1949)
3.0点
12の歌曲からなる作品。オラトリオに近いが構成としてまとまりと展開があり交響曲という命名に違和感はない。やや晦渋であるが、スケールに巨大感があり、厳かで不思議な大いなる雰囲気を充満させて、独特の世界を強靭なイマジネーション力で展開しており、合唱曲作家としての力量をみせている。とはいえ、天才的な発想の妙というレベルには達していないと思う。
戦争レクイエム 作品66 War Requiem(1960~61)
3.8点
声楽の大作曲家であるブリテンの全霊を傾けた作品だけあり、かなりの凄みをもった作品になっている。暗くて重いだけのレクイエムではなく、独特の音空間の美の中で、場面により鎮魂的な雰囲気に沈み、歴史性や社会性をみせることもある。大作であり、多くのインスピレーションを注ぎ込んだ多くの場面は、映画のような移り変わりを見せる。戦争の悲劇性を芸術家として芸術に昇華させつつも、生々しさももたせて強く訴えている。世界の闇と悲劇のモニュメントを作ろうという意思を感じる。
管弦楽曲、協奏曲
シンフォニエッタ 作品1(1932)
2.8点
18歳の作品とのことだが、すでに完全にブリテンらしい音の使い方が全体を支配している。まとまりを産む音楽のコントロール力とか表現の奥深さは欠けているように思われて、作曲者が何をしたいのか掴めない。最後まで理解できないまま曲が終わってしまった。だからあまり感動するものではないが、とにかく18歳でこの世界を産み出したことには驚かされる。
シンプル・シンフォニー 作品4 Simple Symphony(1933~34)
3.3点
弦楽合奏か弦楽四重奏の曲。シンプルで明快で爽やかだが、単なる単純な曲ではない。分かりやすい捻りではなくブリテンらしい独特の新鮮な感覚が発露していることにより、未聴感を感じさせる。この曲の感性そのものを刺激するような新鮮な感覚は面白い。作曲者の感覚の鋭さが為せる技だろうか。とはいえ、若書きであり深みはないため物足りないところはあるし、全体的にみて感動するほどの名作ではない。
ソワレ・ミュージカル 作品9(1936)
3.0点
ロッシーニの曲を使って書いた軽妙で明るい娯楽的な音楽。ブリテンらしからぬ底抜けの明るさで爽やかで聞いていて気分は良いが、単にそれだけであり他の作曲家でも書けそうなレベルである。
フランク・ブリッジの主題による変奏曲 作品10 Variations on a Theme by Frank Bridge(1937)
3.3点
弦楽合奏。26分。10の変奏曲は工夫が凝らされてバラエティーに富んでおり、弦楽合奏によるブリテンの語法での曲として可能な限りの全力を注いでいるのが分かる。主題はあまり印象深くないが、この曲の場合は関係ない。音楽のバラエティーと複雑さに感心するとともに、シニカルな陰影を持っていて精神的深みもそれなりにあり聴いていて飽きない。弦楽合奏の自由さがよい方向の結果に繋がっている。
ピアノ協奏曲 作品13(1938/45)
3.9点
1楽章は色彩的で機動性の高いオーケストラと、軽快にパラパラとフレーズを弾く雰囲気がラヴェルを連想する。2楽章も明確な個性がある曲。3楽章は3番に似ている場面があり曲の雰囲気もプロコフィエフを連想した。4楽章は再びラヴェル風ブリテンという感じ。全体的な作品としての大きなレベルでのまとまりに欠けているので聴き終わるとがっかりするのだが、個別の部分においてはピアノも華やかだし、はっとするような耳を捉える部分は多い曲。
ヴァイオリン協奏曲 作品15(1939/58)
2.8点
あまり面白くない。運動性に難のあるブリテンの音楽性が明らかにマイナスに働いている。協奏曲らしい醍醐味がなく、ソロが有効に機能していない場面が多い。音楽性の観点でもブリテンにしてはあまり高くないと感じた。2楽章だけはそれなりに楽しめたが、他は残念に感じた。チェロ交響曲をさらに物足りなくしたイメージ。
シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20 Sinfonia da requiem(1940)
3.8点
全3楽章。声楽はなし20分。1楽章は沈鬱な鎮魂の雰囲気でまさにレクイエムのような曲。2楽章の怒りの日は、音の乱舞の仕方がなかなか秀逸である。激しくてもやりすぎにならず、落ち着いた間の取り方があるのがブリテン。3楽章は平和の祈りだが、地に足の着いた霊が天上に舞い上がっていくような音楽で、非現実的な理想ではなく妙な実在感のある世界平和が表現されていると思う。素晴らしい。オネゲルと比較したくなる20世紀的な交響曲であり内容充実の名作である。ただ、皇紀2600年奉祝曲として日本から委嘱された曲だが演奏されなかったそうだが、確かに全くそぐわないのは笑える。
左手のためのディヴァージョンズ(主題と変奏) 作品21 Diversions on a Theme for Piano (Left Hand) and Orchestra(1940/54)
3.5点
左手だけのピアノというのがブリテンによく合っている。片手ゆえに音が厚ぼったくならず、美的センスで聴かせる音楽性がよく出ている。軽快で心地よいピアノとバリエーション豊かで多彩な音楽は、次を聴きたい衝動を最後まで引っ張って続けることに成功している。ラヴェルのような旋律の美しさやエモーショナルさは無いのと変奏曲ゆえの軽さがあるが、楽しんで聴ける。
4つの海の間奏曲 作品33a 4 Sea Interludes(「ピーター・グライムズ」より 1944)
3.8点
4曲とも近代的な管弦楽らしい豊富な表現力を活用した音楽的なイメージ表出力が素晴らしい。SF的もしくはファンタジー的な超常的世界をイメージする。優れたインスピレーションが4曲とも発揮されており楽しめる。
パッサカリア 作品33b Passacaglia(「ピーター・グライムズ」より 1944)
3.0点
ブリテン流の不思議さとブライトな響きでパッサカリアを料理するとこうなる、という音楽。同じ低音の継続とその他の楽器の音の流れの違和感の落ち着かなさを愉しむ音楽だが、期待以上ではなく予想の範囲内である。
青少年のための管弦楽入門(パーセルの主題による変奏曲とフーガ) 作品34 The Young Person's Guide to the Orchestra - Variations and Fugue on a Theme of Henry Purcell(1946)
3.0点
パーセルによる主題は印象的なのだが、その後の変奏は、コミカルでファンタジックではあるが、幻想的で変幻自在すぎてついていくのが大変である。その点で、典型的な入門曲という感じより、ブリテン独特の世界の中の楽器入門になっている。決して分かりやすくないし、とり立てて音楽が優れている感じはしない。
チェロ交響曲 作品68 Symphony for Cello and Orchestra(1963)
3.0点
分厚い管弦楽で交響曲の名にふさわしい堂々たる大曲である。だが、全体を分厚い雲のように覆う陰鬱な気分には滅入りそうになる。最後の楽章で少し雲の隙間から光が差す瞬間があるだけである。チェロは活躍するが管弦楽は溶け込んで、ブラームスの協奏曲以上に一緒に音楽を作る。空間は壮大さはあるのだが、そのごく一部に存在する自分がテーマになっているようでもあり、その狭さと雰囲気の変化の少なさが物足りなさになっている。
室内楽曲
弦楽四重奏曲第1番ニ長調 作品25(1941年)
3.8点
室内楽というより弦楽合奏のような音の使い方である。だが、そんな細かい事はどうでもよいと思うくらい素晴らしい内容である。精神的な深み、瞑想的な雰囲気、ダイナミックな音の使い方と場面転換は、強い力で精神のドラマの世界に誘ってくれる。精神世界でたゆたう自分の魂が心地いい。しかし、美音的な良さもあり、鋭角的なバルトークやショスタコーヴィチとは別の切り口で同じくらい深い世界に到達している。素晴らしい。
弦楽四重奏曲第2番ハ長調 作品36(1945年)
3.5点
1番ほど分かりやすくない。何しろ3楽章は長大で静謐な世界で、自己疎外された魂の浮遊した遍歴を楽しめる。聴くのは少し大変だが、重すぎるわけでないのでウンザリしないため辛くはない。他の楽章もはじけるほどにはならず、曖昧な靄の中の音楽である。1楽章も2楽章も表面は全然違うが根底の精神性は3楽章と近いと思う。ある意味で一貫性がありすぎるように思われるのが欠点か。ブリテンらしい美しさは全開で、かなりの聞き応えはあるのだが。室内楽らしさが少ないのは1番と同じ。
弦楽四重奏曲第3番 作品94(1976年)
3.5点
老人の人生懐古の曲ということで良いのだろうか。老人になった自分、という存在を強く意識した孤独の独白の曲に聞こえる。もちろんブリテンらしさの中での表現である。もっとも亡くなる年の作品とはいえ63歳だから老人というほどではないか。おそらく評価の分かれる作品だろう。自分は最初は精気の無さがイマイチと思ったが、聞いているうちに強く惹かれるようになった。死の予感の虚無感と、絶対的な無に至る感覚が感じられて、感動してしまった。
チェロソナタ ハ長調 作品65 (1960年)
2.8点
一言でいうと少し変な曲だと思う。通俗的なサービス精神はない。やりたい音を好きに作った音楽である。モノクロームな色彩感の薄い音楽であり、地味だが渋くてかっこいいところがある。自由に精神的な彷徨をするような印象でありわなかなか趣味的である。たまたま気にいる人はいるだろうが、ツボにハマらない人にとってはあまり楽しめない音楽だろう。
ラクリメ―ダウランドの歌曲の投影 作品48 (1950年)
2.5点
ヴィオラとピアノのための作品。14分あり規模が割と大きい。複数の部分をつなげて書かれており、古い時代のものと思われる旋律が静かで不思議な雰囲気を醸し出している。しかしながら、音楽が心にすっと入り込まない。曲の長さに見合うものがない。
器楽曲
無伴奏チェロ組曲第1番 作品72(1964)
3.3点
詠唱のような場面が多いが、それ以外も様々な場面がある。神秘的であるとともに退廃的。孤独の精神的探索を楽しめる深さがある。チェロ1本であり短い曲ではないが充分に豊富さが取り入れられており、飽きずに楽しめる。リズミカルさが少ないのが難点と思う。全体に暗い陰があるが、そこにブリテンらしい美が添えられており、うんざりすることはない。
無伴奏チェロ組曲第2番 作品80(1967)
3.3点
1番ほど根暗ではない。代わりに無機質で疎外された違和感がコンセプトになっているように聴こえる。リズムがある程度ある曲が多いところが良い。心に染みる感じは少ないが、なんとなく日常のふとした瞬間に無意識に感じているであろう間隙と裏側の違和感が音楽化されているように思う。
無伴奏チェロ組曲第3番 作品87(1972)
2.8点
短い曲が連続で繋がっている構成。一つずつが断片的すぎて、内容が浅い。感動ポイントが少なく、イマイチだと感じたまま次の曲になり、それもイマイチというのが続く。他の2曲よりワンランク落ちると思う。
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%B3
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2022/06/07 (Tue) 02:16:58
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武満 徹(たけみつ とおる、1930 - 1996)
最美の音楽は何か? _ 武満 徹『弦楽のためのレクイエム 』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/215.html
最美の音楽は何か? _ 武満 徹『ノヴェンバーステップス』
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/977.html
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武満 徹(たけみつ とおる、1930 - 1996)
日本人作曲家の中ではダントツに有名。現代音楽だが、聴きやすいため普通のクラシックファンでも良さはすぐに分かると思う。海外の現代音楽よりも日本人の感性によく合っていて、音からイメージされるものが明確というのもあり、すぐに入り込めると思う。
管弦楽曲
弦楽のためのレクイエム 1957 弦楽
黒い絵画 レオノーレ・フィニによせて 1958 Orch
樹の曲 1961 Orch
環礁 1962 S,Orch
弦楽器のためのコロナII 1962 弦楽
地平線のドーリア 1964 Orch
グリーン 1967 Orch
冬 1971 Orch
マージナリア 1976 Orch
鳥は星形の庭に降りる 1977 Orch
ア・ウェイ・ア・ローンII 1981 弦楽
夢の時 1981 Orch
雨ぞふる 1982 Orch
星・島(スター・アイル) 1982 Orch
夢窓 1985 Orch
トゥイル・バイ・トワイライト ―モートン・フェルドマンの追憶に― 1988 Orch
トゥリー・ライン 1988 Orch
ヴィジョンズ(I神秘 II閉じた眼) 1990 Orch
マイ・ウェイ・オブ・ライフ ―マイケル・ヴァイナーの追憶に― 1990 Br,cho,Orch
ハウ・スロー・ザ・ウィンド 1991 Orch
系図 ―若い人たちのための音楽詩― 1992 ナレーター,Orch
群島S. 1993 Orch
精霊の庭 1994 Orch
協奏的作品
シーン 1959 vc,弦楽
弧(アーク) 1963-76 pf,Orch
テクスチュアズ 1964 pf,Orch
ノヴェンバー・ステップス 1967 琵琶,尺八,Orch
アステリズム 1968 pf,Orch
クロッシング 1969 cho,gt,hp,vib,pf,Orch
ユーカリプスI 1970 fl,ob,hp,弦楽
カシオペア 1971 perc,Orch
ジェモー 1971-86 ob,tbe,Orch
秋 1973 琵琶,尺八,Orch
ジティマルヤ 1974 mar,Orch
カトレーン 1975 cl,vn,vc,pf,Orch
遠い呼び声の彼方へ! 1980 vn,Orch
海へII 1981 fl,hp,弦楽
夢の縁へ 1983 gt,Orch
虹へ向かって、パルマ 1984 ob-d'amore,gt,Orch
オリオンとプレアデス(犂と昴) 1984 vc,Orch
リヴァラン 1984 pf,Orch
ウォーター・ドリーミング 1987 fl,Orch
ノスタルジア ―アンドレイ・タルコフスキーの追憶に― 1987 vn,弦楽
ア・ストリング・アラウンド・オータム 1989 va,Orch
フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム 1990 perc,Orch
ファンタズマ/カントス 1991 cl,Orch
夢の引用 ―Say sea,take me!― 1991 2pf,Orch
セレモニアル ―An Autumn Ode― 1992 笙,Orch
ファンタズマ/カントスII 1994 tbe,Orch
スペクトラル・カンティクル 1995 vn,gt,Orch
邦楽曲
蝕(エクリプス) 琵琶,尺八 1966
室内楽曲
弦楽四重奏のための作品
ランドスケープ 1960 SQ
ア・ウェイ・ア・ローン 1980 SQ
その他
オリオン(犂) 1984 vc,pf
そして、それが風であることを知った 1992 fl,hp,va
https://classic.wiki.fc2cn.com/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC
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2022/06/07 (Tue) 02:17:23
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ヘンリク・ミコワイ・グレツキ(1933年12月6日 - 2010年11月12日)
ヘンリク・ミコワイ・グレツキ 交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」
http://www.asyura2.com/21/reki6/msg/764.html
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20:777
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2022/06/07 (Tue) 02:21:08
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クラシック音楽の youtube リンクは
阿修羅掲示板 近代史6
http://www.asyura2.com/21/reki6/index.html
に記載しています。各曲へのリンクの数が多過ぎて ここには貼れません。
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クラシック音楽 一口感想メモ
https://classic.wiki.fc2cn.com/
音楽関係ブログへのリンク
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/399.html
オーディオ関係ブログへのリンク
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1208.html
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21:777
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2022/06/10 (Fri) 09:48:00
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あげ16
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22:777
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2022/06/22 (Wed) 06:15:13
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あげ24
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23:777
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2022/07/04 (Mon) 06:10:52
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クラシック音楽 _ バロックと古典派の音楽
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009420
クラシック音楽 _ ロマン派の音楽
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009578
クラシック音楽 _ 世紀末の音楽
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009494
クラシック音楽 _ 20世紀の音楽
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009496
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SP時代の演奏家はこんなに凄かった
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14009733
手回し蓄音機はオーディオではない。楽器だ!
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14004305
手廻し蓄音機 と Sogaphon で聴くSP録音の CD復刻盤
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/433.html
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24:777
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2022/07/22 (Fri) 05:30:20
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youtube 動画 を DAコンバーター無しでパソコンからアンプに直接繋いで聴くならこのケーブル
iPhone/パソコン用ベルデン88760 ラインケーブルの王者 BELDEN(8412の現代バージョン)
https://procable.jp/ipod/ipod_88760.html
PCオーディオはオンボードで十分 USB DACは不要
アンプとはこんなケーブルでつなぐだけ
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YouTube・ニコニコ動画の動画を安全にダウンロードする方法
「YouTube」の動画を安全にダウンロードする方法について
https://www.japan-secure.com/entry/blog-entry-459.html
「Youtube」の動画を連続再生する方法
https://www.japan-secure.com/entry/site_that_the_video_of_youtube_can_be_continuous_playback.html
「ニコニコ動画」を安全にダウンロードする方法
https://www.japan-secure.com/entry/how_to_download_on_nicovideo.html
「FC2動画」を安全にダウンロードする方法
https://www.japan-secure.com/entry/blog-entry-490.html
「Pandora TV」の動画を安全にダウンロードする方法
https://www.japan-secure.com/entry/how_to_download_on_pandora_tv.html
動画サイトで「HTML5」の動画を再生できない場合の対策方法
https://www.japan-secure.com/entry/measures_method-in_the_case_where_in_the_video-sharing_site_can_not_play_video.html
「Dailymotion」の動画を安全にダウンロードする方法
https://www.japan-secure.com/entry/how_to_download_videos_of_dailymotion.html
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最高の音を一番安く手に入れる方法
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14003094
原音再生すると音の官能性が消える
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14083149
この世のものとも思えない音を出すにはどういうオーディオ機器が必要か
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14030753
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外部 USB-DACを使って youtube の音楽を聴く方法
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14071646
Gustard R26 _ ディスクリートR2RデスクトップDAC
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14080112
GUSTARD DAC-A26 _ 旭化成 AK4191+AK4499EX搭載のDAC
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14064243
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25:777
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2022/07/23 (Sat) 23:08:17
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「映画とクラシック音楽の周囲集」_ 映画・音楽に関する最も優れた評論集
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14025561
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26:777
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2022/12/14 (Wed) 09:41:48
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コルンゴルト アリア「私に残された幸せは~マリエッタの歌~」
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14072464
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27:保守や右翼には馬鹿しかいない
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2023/02/03 (Fri) 04:25:37
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あげll