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2022/05/21 (Sat) 05:19:50
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能率 95dB 以下の低能率スピーカーは買ってはいけない
スピーカーといえば皆さんはすぐに箱に入った四角いものを想像されると思います。そして、販売されているカタログを見るとすべてのものが素晴らしい考えのもとに設計し製造されているかのように書いてあります。スピーカーの設計は非常に難しく、素晴らしいと言えるようなスピーカーはなかなか存在しないものです。そこで、良いものを探すには知識が必要になってくるのです。
スピーカーシステムには使用されているスピーカーユニットの種類、またはエンクロジャー(箱)の種類などで目的の音質が異なり、本当に良いものが現在生産されているかということまで考えないと見つける事が出来ないかもしれません。
スピーカーユニットの種類には
●フルレンジ
単体のスピーカーで全ての帯域を受け持つように設計されています。ユニットの中でこれほど簡単なものから高価なものまで数多く作られたものはありません。スピーカーユニットの設計の基本となるもので今でも最高級の低音用として用いられます。また、フルレンジとツィーターを一緒にした同軸2ウェイのユニットもあります。一般的な大きさのものでは同軸方のほうが非常に有利です。このフルレンジユニットがスピーカーの基本になると考えられても良いと思います。
●ウーハ-
低音を重視して設計されたもので口径が大きくストロークが大きく取れるように設計されています。しかし、低音が伸びているとか大きさだけでは良い音質の判断材料にはなりません。同じ箱の大きさならば設計理由から判断すると口径の小さいウーハーの方が音質的に有利になります。
小さい箱で低音を伸ばすにはコーン紙の質量を重くします。低音の共振周波数が下がり、小さい箱の割には低音がよく出るようになりますが、注意するべき事は音質の低下です。重くなったウーハーはスピードが遅くなります。歯切れの良い低音は出てこなくなりますので音楽的には重ったるい鮮度の低い音質となります。
良質な原音再生を意図したウーハーは大口径でも軽い強いコーン紙で出来ています。そして能率が高く、高価なものは100dB以上もあるのです。
●スコーカ-
中音用に設計されたユニットですが箱に取り付けた小型のものは今までに良いものはありませんでした。比較的に良いものとしては小型のフルレンジが使用されています。
大型のものではホーン型が使用されていますが、ドライバー単独では良いものかもしれませんが一般的に販売されているものではホーンの設計が設置する都合に合わせてあり、低音や高音との音の位相や定位が上手く取れないのが殆どです。見た感じ凄そうに見えますが家庭用としては不完全でしょう。しかし、低位と位相が合わせられたものは予想を越える素晴らしさがあります。
●ツィーター
高音を再生するために設計されたもので多くの種類があります。能率の高いホーンタイプは高級品に利用されますが指向性に問題があることがあります。コーンタイプは最もポピュラーなツィーターでウーハートの相性も良く安価です。最近はソフトドーム型が良く使われていますが能率が低いため小型システムに利用されます。指向性は非常に良い。音質重視のシステムにはホーンタイプが多く利用され、バスレフ型にはコーンタイプ、密封型にはドームツィーターが多いようです。
エンクロジャー(箱)の種類は
●平面バッフル型
一番古くから使用されているものでスピーカーの前と後の音を混合させないように広い板で仕切るものです。最近は板の共振を無くすため形が工夫されています。最高の音質が得られますが使用できるユニットは比較的に高価です。バッフルが大きくなるところが欠点ですが、低域の音質は他の方法で勝るものはありません。低音のよさは全体域につながり、原音再生を目的とされる場合は特にお薦め致します。現在のメーカーさんでは作っているところは有りませんが成功すると箱型での音作りは時間の無駄ということが良くわかります。バランスよく広帯域を再生するには非常に経験と技術が必要です。
●バスレフ型
平面バッフル型をなるべく小さくするために考えられたもので、ユニットの後から出る音を箱で封じ込めながらある程度の背圧を抜き、特性の降下している低音のみを位相反転させ前に開けたポートの共振で持ち上げる設計です。一般的な大きさのシステムでしたらこちらの方が有利でしょう。
●密封型
スピーカーの後から出る音を箱で封じ込め、その音を箱に詰められた多量の吸音材で消去しようと考えて設計されたものです。当然スピーカーは空気の圧力を受けますので動きにくくなり能率が低下します。この空気の背圧を利用しウーハーの振動系に重りを付け、または重くして共振値を下げて低音を再現する方法です。また、ボイスコイルを大きくしてもかまわない設計であり100W以上の入力に耐えます。しかし全体的に背圧を受けながら振動しているために楽器のように開放感のある音は望めません。箱の内部を調整する事により自然な感じの音ではありませんが綺麗な音の感覚の音作りにしたり、音質重視でなく音圧で圧倒するような音楽として聴かれたい方には向いているかも知れません。
大きく分けて分類しましたがお解かりの方も多いと思います。上記を基本にして説明を書いていきます。
大まかな音質の良いスピーカーの選び方
スピーカーを判別するに特性表が表示されていると思いますが、この表がメーカーや国や用途によりまちまちになっています。プロ用は(-3dB)を基準に、アマチュア用は(-10dB)を基準に測定するなど、全てを信じて評価すると大きな失敗に結びつきます。特性表の中で信用できて音質的な参考に出来るものがスピーカーの能率です。この能率は電気信号をどれほどの効率で音に変換できるかを表しています。車で言えば1000ccのエンジンで何馬力出せるかの表示と同じものです。これを音圧として表示されています。平均的には約90~93dB(デシベル)位でしょう。これが3dB変化すると半分かまたは倍の効率になります。悪い数値のものは表示されてないものもあり、だいたい85dB前後でしょう。良いものは100dB以上にもなります。この数値はアンプの出力を1W入力した時、スピーカーから1m離れたところの音の大きさを表します。数値が100dBのスピーカーの場合は1Wの入力で録音された原音の音量が出ます。そして変換効率は5%です。90dBの場合は0.5%ということになります。
良いスピーカーを作るには構造や理論が自然でなくてはなりません。音質の良いものは小さな信号までも効率的に音に変換できるようにする為に、振動系は軽くて強いものを選びます。その為に自然と能率が良くなり100dBを越えるか近いものになります。このように音質重視で設計されたスピーカーユニットは背圧のかからないバッフル型またはバスレフ型に取り付け使用します。しかし、最近では平面バッフル型は大きさが敬遠されて小型のバスレフ型や密封型が多くなりました。しかしこのことは背圧が加わるために低音を出そうとして設計すると振動系の部分を重くする必要があります。こうして箱内の空気圧と振動系の重さにより原音再生の考え方から離れていったのです。バスレフの場合は90~93dB程度のユニットを使用するためまだ良い方ですが、密封型の箱では振動系に重りを付けた物が多く良質な再生音は得られないでしょう。最近では、更に小型で重低音をうたい文句に別のスピーカーユニットを箱の中に取り付け共振を利用して低音を増強しようとしたスピーカーシステムがあるようですが原音再生には全く無縁のものと思います。
ここで上手くいった一例として当店の409システムをご紹介いたします。このシステムは一見バスレフにも見えますが、バスレフポートを縦長にすることで共振を少なくしてボックス内の背圧を抜いています。ユニットは能率が20センチでは世界一の97.8dBもあります。上手に鳴らすことで平面バッフル型に近い良い音質が得られるのです。
ここで誤解の無いように「良い音質とは」の説明をしておきます
良い音質とは録音される前の音のように感情の入った色々な微細な音を正確に再現するもので、綺麗な音や汚い音、太い音、細い音、激しい音、やさしい音、明るい音、暗い音などを表現する事が出来ます。演奏家が楽器などによって音で表現しようとしている意味が聞き取れるものであり、何でもきれいな音で表現するものではありません。最近は音楽としての音質を忘れてオーディオとしての勝手な音作りが先行している製品の方が多くなっています。少し視野を広げる事で素晴らしいオーディオの世界があることに気付いて頂けると思います。
スピーカーシステムの形から見た性質
平均的な小型のスピーカーシステムには2ウエイや3ウエイが多く見かけられます。どちらが音質的に有利かといえば2ウエイの方です。帯域的には3ウエイの方が有利でしょう。しかし、予算を同額にすると2ウエイが非常に良い結果になります。その理由は2ウエイのウーハーとツイーターに3ウエイにするため中音のスコーカ-を入れますがスコーカ-の能率は非常に悪く、ウーハーの効率を揃えるためにウーハーの振動系を重くして共振点を下げて低音を伸ばすのが一般的です。こうする事で3ウエイの帯域は広くなります。しかし能率が悪くなり音質が劣化し2ウエイに劣るのです。そのほかにもネットワークという音を分ける部分も3ウエイの方は部品数が多くなり高価になりますので、2ウエイのままで予算をかけたシステムの方が音質は非常に有利になるのは明白です。
http://www.otono-edison.com/edisonkyo/speaker.htm
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JBLのLE15系(LE15,LE15A、#2215、2231A等のコルゲーションコーンタイプ)のウーハーは「コーン紙が厚く重い」。
これらのウーハーを使ったシステムには、Tr型のプリアンプ + 200W級以上のパワーアンプを組み合わせないと上手く制動出来ない。
D130系のサウンドが好みかもしれない・・・- Mr.トレイルのオーディオ回り道 2015年07月10日
http://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/126857b34625479bfcaac51d5ab3a673
私はD130系の軽く反応の早いサウンドが好みの様だ。
自宅のSP-707JシステムやサブのD208システムが特にお気に入り。
今では中々奇麗なD130(16Ω)のユニットを手に入れるのも容易ではない。
それはD208(8Ω)・D216(16Ω)も同じ状況。
何故なら1950年代のユニットだからだ。今から60年以上前のユニットになる。
高能率で軽い低音は非常に肌触りが良いと云う感触。
世の中ワイドレンジを狙って、能率を犠牲にして再生周波数帯域を30Hz付近に下げようとしているユニットが多い中で、40Hzぐらいしか出ないD130の方により音楽性を多く感じる。
D208はD130を20cmサイズにしたモノで、同じ20cmユニットのLE8Tとは性格が異なる。
「LE」が付いているユニットは「低域対策」がされたユニットで有る事を意味している。
LE15やLE15Aも低域対策がなされ、30Hz付近の再生が可能になっている。
これらのユニットを使うにはそれなりに知識や技術・ノウハウを持たざるを得ない。
D130の能率は101dbも有る。パワーアンプに1Wも有れば100dbの音量が得られる。
だから自宅のシステムには WE101Dppアンプ(1.4W/ch)のパワーアンプを組み合わせている。パワーよりも質を求めているからだ。
2W以下のパワーアンプが奏でる世界は、現在のハイパワートランジスターアンプの世界とは違う表現力をして来る。だからと云って万人にはお勧めはしない。
http://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/126857b34625479bfcaac51d5ab3a673
LE15系の重低音を再生するユニットに組み合わせるアンプは・・・ - Mr.トレイルのオーディオ回り道 2015年07月11日
http://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/226b473e9e5dfc81a257fd056efc0036
現在は重低音再生を目指して低能率なタイプのウーハーが多くなっている。
周波数レンジが下の方に伸びる事は「時代のニーズ」かも知れないが、「低能率」はいただけない。音の反応が鈍くなるからだ。
もうひとつ、「管球アンプ」の聴き易さや古い名器(マランツ#7やマッキンC22等)の管球プリアンプや管球パワーアンプを現代のSPシステムに組み合わせて使う方が居る。
管球アンプを組み合わせるなら「高能率SP」か「20cmフルレンジ」ぐらいにして置くべきだと思う。
例えば、JBLのLE15系(LE15,LE15A、#2215、2231A等のコルゲーションコーンタイプ)のウーハーは「コーン紙が厚く重い」傾向にある。
これらのウーハーを使ったシステムには、Tr型のプリアンプ + 200W級以上のパワーアンプを組み合わせないと上手く制動出来ない。
これらのウーハーに 管球プリアンプ + 200Wパワーアンプ を組み合わせても上手く制動出来ない。この逆に Tr型プリ + 管球ハイパワー(60W以上)を組み合わせても上手く制動は出来ない。
基本的にコーン型(ダイナミック型)のウーハーには「デジタル」チックなアンプが合う。
Tr型やIC、LSIは「石」のアンプで有る。この「石」は「半導体」素子を指す。
「半導体素子」は有る一定の電流や電圧がかかると「0」→「1」のデジタル的に流れる。
これに対して管球アンプは「水の流れの様に」繋がって流れる。
この性質は当然音の出方にも出て来る。
キレが良く立ち上がりが早いのが半導体素子を使ったアンプだ。
現代のスピーカーは、「半導体素子」を使ったアンプでドライブされる事を前提で作られている。その事を頭の中に置いておかなければならない。
懐古趣味の管球アンプの組み合わせでは上手く鳴らない。
もっとも現在手に入る真空管はほどんどが中国製やロシア製で有り、その品質は1950年代以前の真空管の比では無い。個人的には「とても使える代物では無い」と感じている。(全ての真空管と云う訳ではない)
管球アンプの良い処は「音の厚み」が低価格な物でも手に入る処。
ナローな感じのサウンド。
しかし、発熱量と置き場所の問題や、真空管自体の「バルブノイズ」が出る問題。
どんなに回路でノイズを抑え込んでも最後に「バルブ(真空管)」がノイズを発生させて来る事はどうしようもない。
1950年代以前の真空管では殆ど「バルブノイズ」は感じないが、1960年代以降の真空管では発生するまでの時間が短いし、ひどいモノは最初から「バルブノイズ」が出ている。
http://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/226b473e9e5dfc81a257fd056efc0036
私のたどり着いたステレオ - Mr.トレイルのオーディオ回り道 2019年07月22日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/b64070b323e62614c4caeb0c2d51ac4b
私は「音質アップ」を目指して、ステレオシステムを幾つも作って来た。「音質」に良いと云う事は出来る限り実験をし取り入れて来た。しかし、辿り着いたシステムは現代のオーディオとは全く異なる世界のシステムになった。
現代のステレオ(オーディオ)では、低能率スピーカーを大出力の半導体デバイスでドライブするシステムになっている。これに対し、自分の最終形は「自宅システム」である。100db/W以上の高能率SPユニットをたった1W/chのアンプでドライブするシステム。
当然出て来るサウンドも大きく違う。音に厚みが有り、穏やかで、ドラマチックで、艶やかで・・・と耳当たりが良く、音楽を楽しむのに個人的には最適と思っている。周波数特性的には40Hz~100KHzまで出せる様にSPユニットを組み合わせているが、実際は40Hz~15KHzくらいだろう。101Dの球は高域がそう伸びてはいない。
ケーブル類の音質を左右する事例を知っているので、自分で満足できるものを自ら作り出して使用している。これでソースに入っている情報をほぼ満足できる分は取り出せたと思っている。何も「懐古趣味」で管球アンプを使っている訳ではない。自分の欲しい「質感」を出せるデバイスが真空管であっただけだ。それも「古典管」と呼ばれる「手作り時代のもの」である。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/b64070b323e62614c4caeb0c2d51ac4b
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ドイツ製ヴィンテージ・オーディオ販売 クラング・クンスト KLANG-KUNST
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/479.html
スピーカーの能率が低いということは、非効率な低音に合わせて中高音を下げたりダンプしたりなどで音量を抑えてある状態なので、アンプでいえば負帰還でゲインを下げてあることに近い。同じアンプの無帰還か低帰還版がオイロダインで、高帰還版がATCといえば音の傾向を理解していただけるだろうか
「オイロダインオーナーのみなさん、安心してください。オイロダインは2016年現在の最新スピーカーと比較しても、十分にバランスのとれた正確な音を出していることが確認できました。いったい、繰り返されたスピーカーの革新的進歩とは何だったのでしょうか?」
今回の体験で、最新スピーカーの音がけっして無色透明でニュートラルな方向ではないことが確認できた。技術が進歩して歪が無くなれば、どのスピーカーも同じ音になるというわけにはいかないようだ。安価な製品の巧妙なマーケッティングから富裕層向け製品の大げさな演出まで、じつにたくましくやっている。実用的なラウドスピーカーの登場から約100年が経つが、黎明期に科学的であったスピーカー開発が、年々売るための開発にシフトしているといった印象だ。
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KLANG-KUNST ヴィンテージ愛好家の最新スピーカー試聴記 2016年4月
https://www.klang.jp/index.php?ci=10139
1945年から1983年まで38年間も製造されたオイロダインスピーカー
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/104/10428_801.jpg
先日、じつに久しぶりに秋葉原に出向き、いろいろな最新スピーカーを試聴したことについて書く。ご存じのように、わたしはオイロパやオイロダインといったクラングフィルムのヴィンテージスピーカーを使っている。ウェスタンエレクトリックも含めると同好の仲間は大勢いて、我らヴィンテージ愛好家はオーディオにおける大派閥だ。そんな連中はB&Wなどの最新スピーカーには目もくれず、「あんなキンキンシャカシャカしたスピーカーはオモチャですよ」といった調子だ。
だが、古い機器に囲まれて何十年もいると、ふと、「世間は文明化して洋服なのに自分だけ貫頭衣というように、取り残されているのではないか?」、「自分だけ古墳時代?」などと思うことがある。最新スピーカーの宣伝文句には「革新的な進歩」、「これまでにない完璧なサウンド」などという文句が踊っていて、「劣った昔のスピーカーなど粗大ごみにしてサッサと買い替えましょう」と言わんばかりだ。もちろん、アンプにも同様なことがいえるが、スピーカーほど極端な音の差は無いだろう。
筋金入りのヴィンテージオーディオ愛好家のなかには、装置があまりに大げさなので「それではナローレンジ過ぎませんか?」と心配すると、「どうせ耳が悪いので分かりません」とか、「音楽は聞きませんから」などど豪語する人もいる。わたしも裸の王様になってはまずいので、自分の耳で最新スピーカーを確認してみることにした。若いエンジニアのK君と「肉の万世」前で待ち合わせの約束をして出向くと、そこはコインパーキングになっていた。まったくの浦島太郎だ。「肉の万世」は万世橋の向こう岸に移転していたが、ハンバーグの味は変わっていなかった。
ずいぶんと前にオーディオの街ではなくなっている秋葉原
試聴には「西脇義訓指揮、デア・リング・オーケストラ」による「英雄交響曲」のSACDと、「フェリシティ・ロット(ソプラノ)」による「シューマン歌曲集」のCDを持参した。最新スピーカーに合わせた新録音と、聴きなじんだ歌という組み合わせだ。「革新的な技術によって歪がなくなったはずのニューモデルは、さぞかしピュアな音を聴かせてくれるにちがいない」と期待しつつ、複数のショップでかなりの数のスピーカーを聴いた。
大型量販店でぶらぶらしながらJBLやタンノイの小型モデルが鳴っている音を聴いたが、それらは改めて試聴したいと思うほどではなかった。開発中のDAコンバーターを現在のベストセラースピーカーで鳴らすと、いったいどんな音が出るのか確認してみる必要があると思っていたので、まずはB&Wの試聴を申し込んだ。トヨタ車のような絶対的優越性があるとされ、驚くほど売れているらしい。
まず、安価な600シリーズを聴いたところ、無理して上位機と同じツィーターにしたために中国で製造してもコストに無理があるのか、長岡鉄男流に重量ブロックでも乗せないと箱が厳しいと感じた。だが、それでは都会にふさわしいコンパクトなデザインが台なしになってしまう。いまのように高価で豊富なオーディオアクセサリー製品が無かった昔は、愛好家の必需品といえば重量ブロックやレンガ、ブチルゴムシートなどであった。いやはやダサいが、いまでも効果のあるアクセサリー群だ。
その上のCMシリーズには重量ブロックが必要なさそうだったが、期待していたようなピュアな音ではなかった。きっとうまくマーケッティングをして、「B&Wの音」を作っているのだろう。無色透明どころか、「下手をするとオイロダインより癖が強いのでは?」と思う瞬間もあった。CM1S2やCM5S2といった2ウェイはとてもコンパクトなので、英雄交響曲で低音が貧弱なのはしかたないが、高音が重要な弦の広がりや管の輝きも「これぞ最新スピーカー!」というほどではなかった。試聴の前にアンプをどれにするか問われたので、「できるだけニュートラルなもので」と所望したところ、LUXMANの純A級動作プリメインアンプL-550AX(たぶん)を使ってくれたが、低能率の小型スピーカーにはパワー不足だったかもしれない。
購入したB&WのCM1 S2
CM9S2やCM10S2といった3ウェイは箱が大きいので低音は2ウェイよりまともだった。それだけでなく、高音も2ウェイより鮮やかに聴こえた。こういう「これみよがし」の高分解能を最新モデルに期待していたので、「試しに手頃なCM9でも買ってみようか」などと気をよくした。だが、ソプラノを聴いてみると、なんとも人工的な声でがっかりした。それをK君に小声で伝えると、「世の中アニソン(アニメーション漫画のソング)のほうがメジャーですから」と返されてしまった。もう一度2ウェイに戻してもらってソプラノを聴くと、今度は2ウェイのほうが3ウェイよりもまともだった。70センチウーファーを使っているわたしは、「こんなに小さなウーファーでも2ウェイと3ウェイで一長一短があるのか」と感心してしまった。
ダイヤモンド・ドーム・ツィーターを使用した800シリーズも、2店舗で3機種を試聴した。たしかに歪は少なそうだったが、音の肌触りが異質でなじめなかった。「優れて異なる」ということかもしれないが、先入観も含め、ダイヤモンドの物性が特異であることが音の印象に影響してしまっていた。以上のようにネガティブな評価も正直に書くが、キチガイじみた大型スピーカーを使っている変人の感想なので、関係諸氏には広い心でご容赦いただきたい。
店員に「B&Wの音はちょっと派手で不自然に感じる」と伝えると、2番目に売れているというFOCALのスピーカーを聴かせてくれた。たしかに音は柔らかかったが、どこか音が薄められているようで中途半端に思えた。DALIなど、ほかに聴かせてもらった売れ筋スピーカーも印象に残らなかった。好みではないが、「なるほど、B&Wの音はうまく作ってある」と感心した。ハズレが続いて疲れたので、懐かしの名機BC IIのおかげで好印象なスペンドールを聴かせてもらった。最小モデルのSP3/1R2でも、どことなくBC IIらしい上品な音がしたので、やはり伝統というものは大切だと思ったが、高音寄りのバランスが気になった。中型のSP1/2R2にしてもらっうと、バランスは少し良くなったが、価格が立派すぎる。
なかなか思うようなスピーカーは無いものだと思いつつ、売れ筋スピーカーの最後にドイツのELACを2機種聴いた。UボートのソナーとMMカートリッジで有名な老舗の音響機器メーカーだ。ちょっとやかましいところもあったが、「最新スピーカー」らしい分解能があるのに、フェリシティ・ロットの声もギリギリで別人にはならなかったので、「これならアンプやセッティングでなんとかなるかな」と思った。
ELACのBS192
帰りがけにふらりと立ち寄った試聴室で思わぬ発見をした。イギリスはATCのスピーカーである。今回の試聴で、はじめて「ニュートラルな音」だと感じた。悪くいえばつまらない音かもしれないが、英雄交響曲もロットの声も、これといった欠点なく正確に再生した。聴いたのはペアで200万円以上もする大型のスタジオモニターだったので、気軽には買えない。家に帰って調べてみると、20万円前後の小型モデルもあった。かなり能率が低くて手こずりそうだが、それらATCの2機種とELACのBS192を仕入れてみることにした。また、最も多く聴かせてもらったダイナミックオーディオさんに感謝して、CM1S2を購入させていただいた。B&Wはダイナミックオーディオさんが実績豊富で価格も安い。
夕食の後、K君の家でクラングフィルムのオイロダインKL-L439を聴いた。「なんと、ATCのスピーカーによく似た音ではないか」と、K君と顔を見合わせた。オイロダインは能率がはるかに高いせいか、高音に抑えきれない冴えがあってATCほど透徹な音ではないが、60年という製造年の隔たりを考えれば、両者は同じ方向を目指して作られたようにすら思える。
スピーカーの能率が低いということは、非効率な低音に合わせて中高音を下げたりダンプしたりなどで音量を抑えてある状態なので、アンプでいえば負帰還でゲインを下げてあることに近い。同じアンプの無帰還か低帰還版がオイロダインで、高帰還版がATCといえば音の傾向を理解していただけるだろうか
「オイロダインオーナーのみなさん、安心してください。オイロダインは2016年現在の最新スピーカーと比較しても、十分にバランスのとれた正確な音を出していることが確認できました。いったい、繰り返されたスピーカーの革新的進歩とは何だったのでしょうか?」
今回の体験で、最新スピーカーの音がけっして無色透明でニュートラルな方向ではないことが確認できた。技術が進歩して歪が無くなれば、どのスピーカーも同じ音になるというわけにはいかないようだ。安価な製品の巧妙なマーケッティングから富裕層向け製品の大げさな演出まで、じつにたくましくやっている。実用的なラウドスピーカーの登場から約100年が経つが、黎明期に科学的であったスピーカー開発が、年々売るための開発にシフトしているといった印象だ。
とはいえ、全員にオイロダインをお薦めするわけにはいかないし、そもそも入手困難になってしまっている。「もうオーディオは終わった」などというヴィンテージ大家ほどは老いていないつもりなので、いま楽しめる方法を考えてみたい。幸い、小型スピーカーの一部に可能性を見い出せそうなので、それらと手頃なヴィンテージスピーカーの両方を所有することで、オイロダインと同等以上に音楽が楽しめるるかもしれない。その実験がしたくて数機種を手に入れることにしが、ATCは納期が長く、しばらく待たなければならない。
じつは、オイロダインを戦前の強烈な個性をもつヴィンテージスピーカーと比較すると、まともすぎて平凡に聴こえるくらいだ。そういう立派なヴィンテージスピーカーのオーナーも、最新の小型スピーカーで遊んでみてはいかがだろうか。どっちみちデジタルオーディオで新しい機器と取り組まざるをえないのだから、お使いの出力管1本の価格で買える最新スピーカーで、オーディオの幅を広げるのは悪くないと思う。
https://www.klang.jp/index.php?ci=10139
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2:777
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2022/05/21 (Sat) 05:26:20
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- スピーカーの能率(最重要・基本中の基本)-
https://procable.jp/setting/03.html
★能率の低いスピーカーは鈍感でボロいものしかありませんから、騙されてはなりません。
★80dB台の低能率の「ボロい」スピーカーなどに数十万円も支払っていてはなりません!
★高能率スピーカーはレンジが狭いなどというデタラメがあちこちに書き込まれています(要注意!)。
■スピーカーの能率(最重要・基本中の基本)
スピーカーの能率は、オーディオの最も重要な基本事項であって、まず最初に知るべきことです。スピーカーには、「能率」という表示がされています。それは、「dB」という単位で表示されています。
ごく普通の能率のスピーカーは、その能率は、90dBくらいでしょう。ヤマハのNS1000MやNS10Mあたりのスピーカーで、能率90dBです。
年齢50代以上の経験豊かなマニアのかたの大半は、スピーカーの能率につきましては、知っておられます。30代以下のかたのほどんどは、その逆で、何も知らないことが大半であることが分かりました。ごく初歩の基本すら知らないということは、非常に危険です。
■スピーカーの能率の計算方法(最重要)
能率が3dB違いますと、音量が、2倍違います。87dBの能率のスピーカーは、能率90dBの、NS1000Mに比べて、同じワット数を入れても半分の音量しか出ません。逆に、能率93dBのスピーカーは、同じワット数を入れても、能率90dBのYAMAHA NS1000Mあたりのスピーカーの、2倍の音量が出ます。
さて、ここから先が重要です。能率が6dB違っていますと、2×2=4倍違います。9dB違いますと、2×2×2=8倍の音量の差になります。
アルテック(Altec)A7、A5というような往年のプロ用スピーカーを例にします。世界中のコンサートホール、映画館用のスピーカーで、今も、あちこちのホールで使われているものです。アルテックA7、A5の能率は、105dBにも及びます。90dBと比較すると、15dBも違いますから、3dBが5回分ですから、32倍の音量差になります。能率の計算は、2×2×2×2×2です。
32倍も音量が違うということは、能率90dBのスピーカー、YAMAHA NS1000Mで、100Wのアンプを使わなければ鳴らせなかった場所でも、能率105dBのスピーカーさえあれば、たったの3W程度で、同じ音量で鳴るということを意味します。
スピーカーの品質、能率は、時代とともに、どんどん落ちているかのようです。ひどいスピーカーですと、能率がたったの84dBしかない小さなスピーカーが、50万円や100万円近い値段で売っています。
その84dBという能率と、105dBという能率で、再計算してみます。
2×2×2×2×2×2×2=128倍の音量差です。
能率84dBのスピーカーで普通に聞くのに、50Wのアンプが必要だとします。能率105dBのアルテック A7、A5というようなスピーカーには、たったの、0.4Wのアンプがあれば十分です。1Wもいらないです。
さて、この話には先があって、さらに面白くなります。1930年代頃のWE(ウェスタンエレクトリック)の38センチや46センチ口径などのフィールドスピーカー(マグネット部分が電磁石のスピーカー)というような類のスピーカーの能率は、実に、115dBもあります。こればかりは、あまり知られていません。
115dBー84dB=31dBの能率差です。
2を10回かけた数字より上ですから、1,024倍よりも上で、1,200倍くらいでしょうか。
仮に、3万ワット×2のステレオアンプがなければ、84dBのスピーカーでは、武道館でのコンサートは出来なかったとします。しかし、能率115dBのフィールドスピーカーを持ってくれば、たったの25W×2のステレオアンプで、武道館ですら鳴らせるということを意味しています。
コンサートホールだから大きなアンプが必要なわけではなく、スピーカー次第、全くもって、スピーカーの能率次第です。
数字が大きすぎて分かりにくいかもしれません。能率84dBのスピーカーに100Wのアンプをあてがうとします。115dBのフィールドスピーカーに、0.083Wのアンプをあてがうのと、全く同じ音量です。0.1Wもいらないことになります。
このことを知っているか知らないかによって、アンプの選択は、根底から変わってしまうと思います。
スピーカー次第で音量が簡単に100倍以上、場合によっては、1000倍以上も違ってしまうのですから、50Wのアンプか100Wのアンプかなどという選択など、まったく無意味であることは、誰にでも分かることです。
また、能率90dBのスピーカー、ヤマハのNS1000Mなどで10Wもあれば十分過ぎるほど十分な爆音が出ます。したがって家庭での使用に300Wや500Wなどのアンプなどは、全く不要であり、音も悪いので、使う意味があるとは思えません。
ただし、能率115dBというような、WE(ウェスタンエレクトリック)のフィールドスピーカーの本物は、あまりにも高性能過ぎて、非常に危険なものであるうえ、非常に高額です(誰が本物のF1マシンを運転できましょうか?)。絶対に近づかないでください。あまりにも鋭く敏感であるゆえ、セッティングできるはずがありません。この種のものを使い切るには、クラウンD45(プロケーブル注:製造中止になった米国クラウン社のモデル、今はもっと、数段も良いものとして、ドイツ製の、thomann S-75mk2を、さらにお安く、ご紹介しております)など、プロ用の中でも、小型の、超高性能アンプが、まず第一に必要ですが、それだけでうまくいくとは思えません。近づかないほうが無難です。
オーディオやスタジオモニターには、100dBくらいの超高性能ではあるが、危険というほどでもないという程度のスピーカー、100dBというのは、そのギリギリのラインですが、そのあたりこそが理想的でしょう。
ボロくて高額というオーディオ用では、お話にならないのです!!
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これより先は、「お客様の声」とします。
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Aさんのコメント: WE社の本当の技術力!
Subject: WE社の技術力
プロケーブル様
先月・先々月に渡り、「88760」「ミュージシャンズ電源」「ベルデン8470」「マリ
ンコ電源ケーブルシアターモデル」「firewire400 20cm」「クラウンD-45」(プロケー
ブル注:製造中止になった米国クラウン社のモデル、今はもっと、数段も良いものと
して、ドイツ製の、thomann S-75mk2を、さらにお安く、ご紹介しております)を順
次購入させて頂いたさいたま市の○○です。
貴社のサイト上にて度々紹介されている「ウエスタン・エレクトリック」という会社
がいかなるものか、非常に興味が出て来た為に調べてみましたら○○○○○○○で以下の様な
記述を発見致しました。
「1929年ごろ、ウェスタン・エレクトリックは映画館の音響システムの製造も行って
いた。ウェスタン・エレクトリックの Universal Base は、サイレントの映写機しか
ない映画館でトーキーを上映できるようにするシステムであった。また、映画館用広音域
ホーンスピーカーも設計している。これは効率が高く、3ワットのアンプで映画館全体
に音を響かせることができた。当時、高出力のオーディオ用真空管はほとんどなかった
ため、この開発は重要だった。」
・・・ハッとしました。「3ワットのアンプで、映画館全体に音を響かせることがで
きた」
ウエスタン・エレクトリック社のスピーカーの能率がいかに高かったものか、心底思
い知らされました。また、それと共にプロケーブル様がおっしゃる「スピーカーの能
率の重要性」が「基本中の基本」であるかも再認識致しました。「まったくもって
スピーカーの能率次第」・・・まさにおっしゃる通りです。
現状のオーディオメーカー各社のホームページにてどのスピーカーを調べても、せい
ぜい高くて能率は90dB程度にとどまっています。
それに対し、貴社のサイト上で見かける記述では「ウエスタン・エレクトリックのス
ピーカー能率は115dB」(アルテック?間違いでしたらすいません)音量差は500倍以
上です。
アンプの増幅デバイスが真空管からトランジスタへと変わり出力ワット数が飛躍的に
高まりました。本来それはそれとしてスピーカーの能率は下げるべきでは無かった所
を、
アンプの高出力化=アンプの高性能化という「勘違い」もしくは「メーカーにとって
の、都合の良い解釈」により、コストダウンの為スピーカーの能率は下げられてし
まったとしか考えられません。
結果、高額なだけの「ボロいゴミスピーカー」ばかりが溢れかえってしまっているの
が現代なのでしょうね。
「デジタルは音質劣化が無い」という文句と同等に、「アンプは出力が高ければ高い
ほど性能が良い」という様な文句もオーディオメーカー内では「邪教の念仏」として
はびこってしまっているのではないかと推測している次第です。
「アンプのワット数の違い=使用用途の違い」であり、アンプのクオリティの差では
無いという事をメーカー各社は再認識すべきではないかと考えます。
プロケーブル様から購入させて頂いたクラウンD-45(プロケーブル注:製造中止になっ
た米国クラウン社のモデル、今はもっと、数段も良いものとして、ドイツ製の、
thomann S-75mk2をご紹介しております)、紛れもなく「大正解!!」でした。
我が家では音量的にはボリュームを最小の位置から4目盛りで標準、日中に頑張って
6目盛りが最大です。これ以上は隣近所から苦情が来そうです。(卓無し、オーディオ
インターフェースからアンプへ直結です。)
出音の密度感は極上です。使用スピーカーは能率80dBの○○○○○○○ ○○○○○という機種
ですが(上記の様な能書きを垂れた後で恐縮です。)それでもこれまで使っていたアン
プとの違いがわかります。
耳に届く音量は能率の高い低い関係無く同じにする事は出来るかと思いますが、その
出音の「内容」はやはり能率が高い方が有利なのでしょうね。
○○○○○○○ ○○○○○はその形状により「定在波を発生させない」という点において非常
に気に入っており当面はこのスピーカーを使い続けると思いますが、「生音」を目指
すという前提にて、エレクトロボイスの「Force-i」の購入を今後の課題として取って
おきたいと思います。
また、今私が使用しているパソコン「○○○、○○○○○-○○○○」はデジタル部分の能力は
悪いものでは無さそうでありますが、冷却用ファンの騒音が尋常ではありません。
これでは音楽鑑賞には辛いものがありますゆえ将来的にはマックへの買い替えも課題
としておきたく思います。
何やら取りとめなく、長文となってしまいました。これにて失礼致します。
プロケーブル注:)素晴らしいコメントをいただきました。まさに、全部、この通り
です。
90dBと115dB、この数字はおそらく300倍くらいと思います。80と115ですと、
もうとんでもない事になって、3000倍!くらいの違いになります。
1Wのアンプと3000Wのアンプで同じ音量??
誰だって、「ふざけるな!!馬鹿野郎!!」
とまで言いたくなるような、そこまでの違いでしょう。
しかし同時に他のページでも書かせていただいている通り、能率の高過ぎるスピーカーは扱うのが非常に
危険でデリケートです。そこまで能率が高くては、普通は扱えませんので、多くとも100dB前後を限度に
したほうが安全だと感じています。
アルテックともなると100を完全に越えますので、すでに完全なる危険領域です。アルテック
を使いこなせる人はまずいません。何らかの間違いに陥り、生涯にわたって苦しむだけです。
これは肝に銘じておいてください。
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Aさん再登場!:
Subject: サイト掲載御礼
プロケーブル様
お世話になっております。さいたま市の○○です。
「ハイエンドオーディオレベルを再確認しました」のコーナーに引き続き、私のメールを
掲載して頂き、ありがとうございます。前回のメールはジョーク混じりの内容
でしたが(超高級料亭のみそ汁です 笑)今回は真面目な私の考察を含んだ内容の
メールでした。
私は現在30代でして、プロケーブル様から見たら「能率の重要性」についてまともに
知識を得る機会がなかった世代と言えると思います。
プロケーブル様のサイトで能率についての知識を得るまでは「能率なんて、ボリューム
を上げれば関係ないのでは?」と軽く見ていたものです。ただ、今となっては「能率
こそが、まずもってスピーカーの性能を推し量る最大の要素」と考えを新たにした
次第です。
我々の世代は、自分で金銭を稼いで自分でオーディオ機材を買える様になった頃、
アンプの増幅デバイスは既にトランジスタ全盛。アンプの高出力化をいい事に民生
用オーディオメーカーが、スピーカーの性能を既に下げてしまっていた時代です。
私個人の見解としては真空管はごく一部のもの好き(失敬)な人向けの物くらいの
認識でした。
またアンプの出力は2ケタワットで当たり前、スピーカーの性能は再生可能な周波数
範囲で決まる、という価値基準でした。それらを高らかに謳っているオーディオ
メーカーのカタログしか見た事なければ、誰もが間違いなく同じ様な認識となって
しまう事は無理の無い事かと。これがまさしく、知識のない消費者へのメーカーによる
「洗脳」ですね。
プロケーブル様が推奨される「SR用スピーカー」ですが、以前お伝えした様に私は
かつてバンド活動を盛んに行っておりまして、ライブハウスなんかではその類の
スピーカーを良く目にしており、また、その出音も知っていたつもりでした。
「音楽を流していない時は常に「サー」という音がする、ノイズの多いスピーカー」と
捉えていました。
今にして思えば、スピーカーの個体差もあったかも知れませんが、この様なノイズは
「感度が高い故に、わずかな電気信号のノイズまでも耳に届くレベルにまで拡大して
いた」という事なのでしょうね。もちろん、その他の機材のアナログケーブル・電源
ケーブルから伝わってくるノイズなど複合的要因の結果が「サー」音の原因と思われ
ますが。
だからこそ、オーディオにはまずもって「電源」「電源ケーブル」が大事という事である
と今では認識しております。電源類の重要性は「電気信号を忠実に再生する、性能
の高いスピーカー(言わば、スピーカーとしての本来あるべき役割を果たせる
スピーカー)」・・・高額なだけのオモチャではない「真のスピーカー」に対してこそ、
活きてくる事でありましょう。
能率の低いスピーカーでは「わずかな」電気信号のノイズを感知する事自体が夢の
また夢で至難の業=音声信号に対しても鈍感、なのですね。
鬼門コーナーを読み進めていった結果音楽再生の為の各パーツに課せられた
目的や役割、そしてその性能を推し量る為にスペック上のどの数字に注目すれば
良いのか、大変理解が深まりました。ありがとうございます。
プロケーブル注:)ミキサーの使い方を一つ間違えると、コンサートホールやライブハウス
など大音量で鳴らす場所では、このかたの言われるような「サーッ」という不快な
ノイズが入る事があります。SN比が悪い場合です。まずは、SN比に目を向けてください。
これは、プリアンプでは、もう手に負えません。プロ用のミキサーが必要です。
プロ用ミキサーを導入して、0dB管理を徹底して行う事によってのみ、不快なノイズ
が消えます。
が、家庭ではそこまで大音量にしませんので、SN比が悪くとも気付かないケースが多いので
す。そして、最善の音になっておらず、間違ったセッティングのオーディオ
が、ほとんどです。
ミキサーを購入したかたは、まずは説明書をしっかり読んで、0dB管理、つまりミキサーに
付いている、メーターの使い方を、しっかり覚えてください。
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プロの中のプロのレコーディングエンジニアが低能率スピーカーを斬る!
これは鬼門コーナー61番、マイクの使い方の最終回答(検証中に)登場してこられた熟練のレコーディングエンジニア、関井さんというかたから低能率スピーカーをモニターに使った際の現象などの実例を報告いただいたもので、61番コメント集に同じ文章が掲載してありますが、こちらのほうがふさわしいのではないかと、同一文章ではありますが、こちらにも掲載させていただきます。
3番さん、関井さん再登場!: 民生用低能率スピーカーをプロの中のプロが斬る!!
プロケーブル様
○○○のスピーカーはモニターには不適切です。
音の輪郭は出ていますが音楽の表現が薄い状態です。
理由は簡単で能率が88dbのスピーカーでは音楽の微妙
なニアンスは表現出来ておりません。
その具体的な例を書きます。
高能率のスピーカーでは例えばリバーブの消えて行く様子
が最後まで聞き取れますが、低能率のSPではあるレベル
まで小さく成るとストンと消えてしまいます。
そうとう大きな音で再生しなければ繊細で微妙な弱音
まで聴こえず、大きな音は部屋の影響も大きく、多くの
その他の問題が生じます。
○○○の持ち主は皆さん大きな音で聴いています。
決して悪い物ではありませんが、値段を考えると、全面的
に無条件に相談を受けた場合に推薦するとは限りません
個人的な意見としては私はモニターとして使用しません
ただニアフィールドモニターはあまり能率にこだわる必要
はありません、距離が近いので解像力が高ければ能率
が低くても上記の問題は生じません。
今回、貴殿に送ったCD「b-flat」高能率のSPと低能率
のSPでは聴こえ方が全く違います。
ぜひ同じ音量で聞き比べして下さい。
Moon Cold Studio 関井久夫
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Bさんのコメント: 能率88dBのスピーかーでは、本当にダメだった!
メールのタイトル:「能率の違い」これほどとは…。
こんにちは、○○です。
実は、小型スピーカーを「○○○○sch ○○-51?」に買い替えまして能率の違いに驚いているところです。
今までは88dbでしたが、今度は92db。
その差は4db。
音量の差もさることながら音の濃さが全然違う。
88dbでは「リバーブが消える。」と書いてあった記憶がありましたが、まさにそうですね。
ネットで見た「スピーかーの能率の差」という事で面白かったのが、低能率のスピーカーでは「さっきの音は無かった事にしておこう。」とありました。
つまり、その情報に音として反応出来ない。
低能率スピーカーはまさに鬼門ですね。
聞き比べると、全く面白くない。全然音楽じゃないです。ゴミというのがよくわかります。
スピーカーの能率が90dbを超えないとアンプの性能の比較は出来ないんじゃないでしょうか?
88dbという低い能率のスピーかーですと音が薄くて判別が難しい。92dbあると細かい音がよく出ます。
非常にリアルで、分解能力にアンプの限界すら感じます。
個人的には「○○○○sch ○○-51?」は良いスピーカーのように思えます。
と言うのも、慣らし(エージング)が2.3時間も鳴らせば十分だからです。とにかくウーファーが軽い。
とにかく、出てくる音が段違いで楽しいです。
これは非常に貴重な体験でした。
○○ ○○
プロケーブル注:)当店もスピーカーの性能差を分ける基準は、90dB以上か、未満か、というところで、ラインを引いています。そのあたりが、高性能とゴミとを分ける基準でしょう。
ただ、小型スピーかーのところで、当店が記述している通り、音楽というのは、ラジカセ的、AMラジオ的に楽しむという方法があります。これは、貴重な体験として、貴重な趣味として、あるのです。
音の良し悪しなどには耳が向かず、音が表現する内容だけに耳が向きます。
そのほうが、精神的には、良かったりもするくらいですので、分かっていたうえで、88dBのスピーかーを使われるには、それでいいでしょう。
https://procable.jp/setting/03.html
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3:777
:
2022/05/21 (Sat) 05:31:20
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高能率スピーカー vs. 低能率スピーカー
高能率スピーカーの選び方~生演奏の迫力を自宅で再現する | 創造の館 音楽苦楽部
https://souzouno-yakata.com/audio/2014/02/04/2772/
高能率スピーカーの選び方~生演奏の迫力を自宅で再現する
公開:2014/02/04 更新:2020/10/04
ドラムやパーカッションの生音には迫力がある。しかしスピーカーの再生音にはそれがない。特性がいくら良くても生音と「かけはなれた」音しか出ない。これこそ現代のスピーカーに一番欠けているもの。この謎を考察し、生音に近い音の出るスピーカー選びのポイントをご紹介する。
スピーカーが生音にほど遠いのはなぜか
ドラムやパーカッションから出る音圧の変化はとても鋭い。皮膚がビリビリ震え腹にズンズン響くのは、その音圧(気圧の変化)が体にぶつかってくるため。人間の体には身体共鳴があり、その周波数は体の部位によって違う。腹部の共鳴周波数は500Hz付近である[5]。
生演奏の感動を再現するにはこの身体共鳴の再現が不可欠であり、それには生演奏と同じ音圧を品質良く出せるダイナミックレンジの広いスピーカー[1]が必要になる。原理的に身体共鳴が得られないヘッドホンやイヤホンは、そこでどんなにいい音を出しても決して生演奏の感動は得られない。
スピーカーのダイナミックレンジは、スピーカーの能率に比例する[1]。能率は振動板が軽く、口径が大きく、駆動力が強いほど(磁気回路が強力なほど)良い。方式も音を四方八方に散らす音場型より、音の塊を直接自分にぶつけて来るホーン型の方が有利である。
ドラムをそれらしく再生するには50Hzあたりからキッチリ再生する必要がある。ここで問題になることに、共鳴(バスレフ、室内定在波)による音の遅れがある。ワンテンポ遅れて聞こえることがあるのは、このせいである。
音の中でも女性ボーカルが比較的それらしく聴けるのは、再生側の欠点が目立ちにくい音域にあるため。
生音の音圧はどのくらいか
いろいろな資料を総合するとピークで109dB。これをリスニングポジションで再生できれば良い。詳しくは関連記事8を参照。
アンプの音などというものは存在しない~オーディオアンプの選び方
https://souzouno-yakata.com/audio/2007/05/02/2315/
生音の再現に適したスピーカーの候補
ライブコンサートの音を自宅で出そうと思ったら、そこで使われているのと同じスピーカーを使うのが一番の近道になる。つまり、SR用スピーカーが候補になる。
ただし、コンサート会場のように遠くまで音を飛ばす必要がないから、会場と同じ規模のものは必要ない。距離が近くなればその分、スピーカーの能率もしくはもしくはアンプのパワーが少なくて済む。
一般家庭に適した具体的な候補は関連記事7を参考にしてほしい。
TOUR-X(TX1152)は最強のスピーカーか!?~家庭で使えるSR(PA)スピーカーの選び方
https://souzouno-yakata.com/audio/2007/04/26/2312/
能率の高いスピーカーの特徴
能率の高いスピーカーはダイナミックレンジが広い[1]。大きな音を出しやすく、微小信号によく反応する。世間の表現を借りれば、
「クリアで鮮明」「打てば響く」「音離れがよい」「生々しい」
といった特徴になる。かつて隆盛したジャズ喫茶も、このような音でお客を魅了させていたに違いない。
長岡鉄夫 壮絶超音速スピーカーの製作記事(1985年 STEREO)
出典:STEREO 1985年6月号
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/02/180214_210610.png
長岡鉄男氏の作品に能率102dBのスピーカーがある(PA-2 1985年)。
試聴の結果についてこうある(一部抜粋)。
「壮絶、圧倒的。メーカー製のシステムでは絶対に聞けないショッキングなサウンドだ。ものすごく音離れが良く、全域にわたってスピード感がある・・・このスピーカーの音は、超音速、というよりは超高速で飛んでくる感じがある・・・音圧の衝撃力はたいへんなものだ。直径1mのフライパンでガーンとひっぱたかれる。そんな感じである」
但し、能率最優先で作った結果、周波数特性が犠牲になり音色にクセがある。「ソースによってはちょっと落ち着けない」とコメントされている。
口径の割に能率が高いスピーカーを見える形にする
長岡鉄男氏の能率102dBは文句なしに高い。しかし口径の割に能率の高いスピーカーがある。例えばクリプシュのR-14Mは10cm口径で90dB。これは能率が高いといえるのだろうか。
スピーカーの能率は、振動系の軽さと駆動力の他に、振動板の面積(口径)が関係している※。そこで、面積(口径)の影響を除外して能率を比較できるグラフを作ってみた。
図1.スピーカーの能率と口径の一覧
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/nouritu_graph3.png
オレンジのプロットは、高域の再生にホーン型ユニットを使った、能率が高いとされるスピーカー。オレンジのボトムを繋いだ線を高能率のボーダーラインとし、そこから-3dBのところを中能率のボーダーラインとした。線の傾きは口径2倍で3dB。単純には面積4倍で6dBになりそうだが、駆動力(磁気回路)4倍の「4発相当」とはいかず、2発相当が適当のようである。
このグラフから、10cm口径のクリプシュのR-14Mは高能率スピーカーの一員であることがわかる。生々しい音で多くの人を魅了した 2S-305 (ダイヤトーン 1958年発売)も、相当な高能率スピーカーだった。
生演奏の再現はオレンジの線が目安になる。この線から上のスピーカーを選べば、一般的な半導体アンプでもそれらしい音圧を出せる。
例えばTX1152の能率が最も高いが、距離を1/4※(ニアフィールド)とすれば、オレンジの平行線上にある小型スピーカー(例えばR-15M)でほぼ同じ音圧が出せる(同じアンプ出力Wで)。部屋のサイズや試聴距離に応じて適切なスピーカーを選んでほしい。
線の下方向に候補を求めると3dBごとにアンプの出力が2倍必要になり、スピーカーの歪も増えて良質な音を得にくい。生演奏の感動を求めるなら、少なくとも緑の線から上を候補としたい。
※:距離が半分ごとに6dB増えるのは自由空間で鳴らした場合の話。一般的な室内でこの通り減衰することはない。
高能率・低能率の利点と欠点
高能率スピーカー
(利点)
・大音量を低歪で再生できる
・微小な信号によく反応する
・アンプの出力が小さくて済む(アンプにお金がかからない)
(欠点)
・低音が出にくい(振動板が軽い為)
・周波数特性にクセを生じやすい
低能率スピーカー
(利点)
・周波数特性をフラットにしやすい
・重低音が出る(振動板が重い為)
(欠点)
・重鈍で暗い音質※
・大音量再生が苦手(歪が目立ち、うるさく感じる)
・大出力アンプが必要(アンプにお金がかかる)
※:昔、10cmフルレンジ(FE-103)のコーンにJBL LE-8Tを真似てパテを塗ったことがある。パテを塗り重ねるほど能率と引き換えに低音が良く出るが、元気で明るい元の音色とは程遠い、暗くぼんやりした音だった。
高能率スピーカーの欠点には次の改善手段がある。
・低音が出にくい →サブウーファーを追加する
・周波数特性にクセを生じやすい →周波数特性がフラットな機種を選ぶ
高能率SPは能率を優先した設計で周波数特性が犠牲になっている製品が多い。そんな中にも特性に配慮した機種がある。こういう商品を選び、不足する低域をサブウーファーで補うことで音質的に満足いくシステムを作れる[1]。
遅れ率で応答を評価する(2020/7/14)
腹にズンズン響く低音を再生するには、応答のいいスピーカーを選ぶ必要がある。バスレフは応答が悪く、群遅延にそれが表れる。
ところが、群遅延が同じ数値でも周波数によってその影響が違う。1/30secの群遅延は30Hzにとって1波長の遅れに過ぎないが、90Hzの1/30secは3波長の遅れになるため同列に比較できない。周波数に関係なく同じ土俵で遅れを評価できる指標として、次を提案したい。
遅れ率(遅延率)=群遅延×周波数
群遅延はインピーダンス特性のピークで最大になることから、その時定数を求めてこれを使うのが簡単である[6](ピークの時定数は同じポイントの群遅延に等しい)。
下のグラフはウーファーの遅れを、遅れ率に換算して同列比較できる形にしたもの。ポートから出てくる音の遅れが目立つ。ポートを塞いで密閉にし、同じ密閉式のサブウーファーにつなげるのが品質の良い低音再生のポイントになる。
ウーファーの遅れを遅れ率にしてみたもの
図2.各種ウーファーの遅れ率
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/8613f89d40e10a36645a2cc8608979c2.png
周波数全域の群遅延は音を入力(スピーカー端子電圧)で割った伝達関数の位相から求められる。この測定値にはスピーカーから出た音がマイクに到達するまでの音速による遅れや、レイテンシ(測定系の遅れ)など、周波数に依存しない一定の遅れ時間が含まれるので、これを差し引く必要がある。
ツイーターの遅れ率の測定例(参考)
下の図はJBL S3100のツイーター正面特性のインパルス応答(Lch=スピーカーの入力電圧、Rch=ツイーターの音圧)から群遅延(一番下左)と遅れ率(一番下右)を計算した結果。振動板とマイクの距離205㎜を補正してある。高域に関しては、10kHzまでほとんど遅れ無しで再生できてることがわかる。
S3100ツイーターの遅れ特性を分析した結果
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/S3100TWguntien.png
理想的なホーンスピーカー(2019/1/16)
コーン型やドーム型は振動板の質量を負荷として駆動するため質量が応答に影響するが、ホーン型は振動板の前にある空気を負荷として直接駆動するため、周波数特性に振動板の質量があまり関係しない。
そのため軽い振動板を使い、強力な磁気回路と組み合わせて応答を極限まで高めることができる。
応答に優れ、低歪で大音量を出せる点で、ホーン型(コンプレッションドライバー+ホーン)は理想的な方式である。
<詳細>
文献 1によるとホーンスピーカーの応答を示す時定数はf/fc>5でほぼゼロになる(fc:ホーンのカットオフ周波数)。実際はf/fc>5でもコイル時定数と振動板の質量が応答に影響するが、軽い振動板と強力な磁気回路を使うことで遅れを小さくできる。
参考:過去の高能率スピーカー
能率を高めるうえではホーン型が有利だが、民生用の高能率システムは過去を振り返ってもあまりない。
一つは図1にプロットした三菱電機2S-305、テクニクスSB-E100、外部イコライザーを使う前提でONKYO グランドセプター GS-1(28cm×2,100dB)、パイオニア S-HE10(25cm×2 98dB)、パイオニアのS-HE100(25cm×2,96dB)などがある。
テクニクス ホーン型SPのラインナップ(1980年頃)
テクニクスのホーン型SPラインナップ(1980年頃のカタログ)で、ちょうど平面SPがブームだった頃。
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2014/02/P2262044.png
左上のSB-10000は46cm,95dB。右のSB-E100の方は30cm,95dBである。
https://souzouno-yakata.com/audio/2014/02/04/2772/
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ジャズ喫茶ベイシーの音の秘密~ハイレゾ時代のスピーカー選び | 創造の館 音楽苦楽部
公開:2015/10/20 更新:-------
https://souzouno-yakata.com/audio/2015/10/20/13697/
ベイシーとは岩手県一関市にあるジャズ喫茶。スピーカーの構成は15″ウーファー(JBL 2220B)2発を密閉箱に入れ、中高域にホーンを使ったもの。能率は103~104dBと推測される。良い音を得るために能率が重要なファクターであることをベイシーのシステムが教えている。
ベイシーのスピーカーシステム
密閉箱の容積は1kL近い巨大なものらしい。低域再生限界は計算上50Hzだがそれ以下もダラ下がりに伸びていると見られる。
バスレフポートから出る音には遅れがあるが、密閉箱では共鳴による遅れが原理的にない。下から上まで共鳴に一切頼らず、能率100dBOverを達成したシステムは、おそらくここ以外に無い。過渡応答を最高にできる解の一つである。
私はベイシーに行ったことが無いが、このようなシステムから出てくる音は想像できる。以前書いた高能率スピーカーの特徴[1]が最高レベルで聞けるはずだ。
能率は90dBで十分?
市販されているスピーカーの能率は、昔から90dB前後のものが多い。そのため、ほとんどの人がこの能率の音しか聴いたことがない。
「能率が低くてもパワーを入れれば同じこと」
そんな考えの人も多いようだ。能率が低いスピーカーでは良質な大音量再生が期待できない。そこで、能率別にランクを規定してみた。高能率SPの音に少しでも興味ある人は、ぜひ参考にして欲しい。
能率別のスピーカーランク(当館独自)
クラスS
15″ウーファー×2を十分大きな密閉箱に入れて100dBを超える能率を達成したもの。ベイシーのシステム。全ての音域を共鳴に頼らないで出す。過渡応答を損なわずに十分な低音を出せる。
クラスA
15″ウーファー×2をバスレフの箱に入れて100dBを超える能率を達成したもの。ローエンドは共鳴で伸ばした低域なので過渡応答はクラスSより劣るが、箱の体積がクラスSの半分以下で済む。シネマ用のJBL 4722N、3722Nが該当する。
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2015/10/JBL4722.png
JBL 4722Nと3722Nのカタログ写真左はJBL 4722N、3722N(JBL2015カタログより)。ベイシーのシステムに一番近いのがこれ。受注生産で価格はペア60~80万円。
インピーダンス4オーム、能率はなんと104dB。アンプは数ワットで事足りるので選択が難しい。
クラスB
15″ウーファー×2をバスレフの箱に入れて90dB後半~100dBの能率を達成したもの。レイオーディオのRMシリーズやJBLのエベレストが該当する。個人消費者に縁のない価格(600万円~)とサイズ。
クラスC
12″以上のウーファーにホーンを組み合わせたSR用スピーカー。軽いコーンを使って高能率のまま小型化したもので能率100dB前後の商品を手ごろな価格で入手できる。ヤマハS112VやCBR12はホームユースに使える候補[2]。
このタイプは低音があまり出ないのでサブウーファーと組み合わせることが望ましい。この場合、出来るだけ口径が大きく、パワーが入るもの(500W以上)の商品を組み合わせたい[2]。
クラスD
15″ウーファーにホーンを組み合わせた大型システム。クラスBを小型化して一般家庭に導入しやすいサイズにしたもの。ウーファーの振動系が重くなって能率は95dB前後に落ちる。昔からJBLがこのクラスの商品を多く作っている。我が家のJBL S3100はこれに相当。2018年の現行機ではS4700がこれに相当する。
クラスE
中高域にホーンを使って能率90dB前半を達成している小型スピーカー。クリプシュ[5]やサウンドハウスのCLASSIC PROシリーズがある。低域はクラスCと同様サブウーファーと組み合わせて補う。
限られたスペースに設置するミニシステム、ミニホームシアターに好適。当館ではCLASSIC PRO CSP6 にサブウーファーを組み合わせている[3]。
クラスF
能率90dBに満たないスピーカーすべて。ハイレゾ対応と称する高級スピーカもここに入る。高度な技術を投入しどんなに工夫を凝らしても、能率を犠牲にしたシステムからは、決して「いい音」が出ないことをこのクラスの高級ピーカーが実証している[4]。
オーディオ機器のボトルネックは今もスピーカー
ベイシーのソースはアナログレコードという。アナログレコードでこれだけいい音が聴ける。ということは、今でもオーディオのボトルネックが音源(ソース)ではなくスピーカーにあることを示している。
そのソースをハイレゾに替えたところで、違いが見えないのは当然のこと。今のスピーカーに一番欠けているもの、次の進歩に繋がるKWは「能率」ではないかと考えている。
<参考購入先>
ジャズ喫茶「ベイシー」の選択
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA%E5%96%AB%E8%8C%B6%E3%80%8C%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%80%8D%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E&language=ja_JP&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&linkCode=sl2&linkId=7f48130de45c7aefcf602ad2aaff943a&tag=asyuracom-22&ref=as_li_ss_tl
https://souzouno-yakata.com/audio/2015/10/20/13697/
伝説のジャズ喫茶 ベイシー - YouTube動画
http://www.asyura2.com/21/reki7/msg/266.html
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TOUR-X(TX1152)は最強のスピーカーか!?~家庭で使えるSR(PA)スピーカーの選び方 | 創造の館 音楽苦楽部
公開:2007/04/26 更新:2020/03/15
https://souzouno-yakata.com/audio/2007/04/26/2312/
サイキョーを連呼する某サイトの主人がエレクトロボイスTOUR-X(以前はJBL JRX115だった)を推している。これはSR用(コンサートやイベント用)のスピーカー。能率100dB。過渡応答に優れ民生品では絶対に出ない音が出る。民生品しか見てこなかった人にとっては盲点といえる。
PRO CABLE
最強のスピーカーはこれだ!
EV(エレクトロボイス)TOUR-X(TX1152)
1個 90,500円で、2個セット(ステレオ)で、181,000円です。最高の性能をお安く入手してください!
これぞ最強! 能率100dB!!
プロ用38cmウーファーとコンプレッションドライバーの伝統的な2wayスピーカー!
https://procable.jp/etc/ev_tour_x.html
聴感上は「生々しい」「明瞭」「音離れがよい」と感じるだろう。私がオーディオに興味を持ったきっかけも、手を伸ばせば掴めそうなくらいのリアルな音像体験にあった※2。
タンノイのアーデンとバークレイのカタログ(1981年)※2:私が学生のころ、オーディオショップで聞いてショックを受けたスピーカーがこれ。タンノイのアーデンかバークレイ(のどっちか)。オペラが鳴っていて、そこに本当に人がいるかのようだった。
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2007/04/P2262046.png
左はその当時のカタログ。タンノイのアーデンとバークレイ(1981年5月 ティアック)
SR用スピーカーの候補
下の表は、15インチ+ホーンを使ったSR用スピーカを並べたもの。能率100dB近いものが多いが、能率が高いと低音が出ない。民生機器では低音を出さないといけないから、94dBくらいが限度のようだ。
SR用スピーカーの候補一覧表(2010年4月調べ)
https://souzouno-yakata.com/car/wp-content/uploads/sites/9/2014/01/srsp.jpg
SR用はスピーカー保護のためパンチングメタルが全面を覆うものが多い。
ヤマハConcert Club VシリーズやエレクトロボイスSX300シリーズなど一部の商品はホーン正面にパンチングメタルがない。パンチングメタルを気にする人もいるが、目が波長に対して十分小さい場合ほとんど影響ない。
一番下の3つはJBLのホームオーディオシリーズ。14インチでは能率が低い。S3100は私が使っている機種。2018年の現行機でこれに相当する機種はS4700。長いことこのクラスに能率94dのSPが無かったが、やっと同等のものが登場した。民生機種ではこれが現在唯一の候補。
周波数特性に注意
SR用スピーカーは能率優先で設計されていて周波数特性にうねり(クセ)のあるものが多い。これがSR用をHi-Fiや鑑賞に転用した際に違和感を覚える要因になっている。Hi-Fiや鑑賞用ではできるだけ特性がフラットなものを選ぶ必要がある。
特性がフラットなものを選ぶための第一の注目点はホーンの形状。ホーンの途中に段差がないこと、ホーン出口端がバッフル面と滑らかに繋がっていることに注目したい。
HI-Fi製品の金属ホーンでは「鳴き」を抑えるためダンプ剤が塗布されるが、SR用ではほとんど注意を払われていない。ホーンを叩いて響く場合は、DIYでデッドニングする必要がある[7]。
TX1152の周波数特性 出典:データーシート
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/ae46b1f460ee46f789c27b264a6cb421.png
エレクトロボイスTX1152の周波数特性。低域共振周波数以下がストンとおちている。38cmといえど低音は伸びていない。中域のインピーダンス特性にある高い山が気になる。
エレクトロボイスSX300の周波数特性グラフ
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2007/04/18021201.png
エレクトロボイスSX300の周波数特性。ハイ上がりで高域に山谷がある。インピーダンス特性にも高い山。
高域の起伏はホーンの途中に段差がついているせいか。SR用なら問題ないが、音楽再生は落ち着かない音になっている可能性がある。
ヤマハS115Vの周波数特性 出典:データシート
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2007/04/18021201-1.png
ヤマハS115Vの周波数特性。滑らかなカーブのホーンを搭載してモニタースピーカーのように特性がフラット。Hi-Fi用途でも問題なさそう。
弟機のS112Vも同様にフラット。SR用でも特性は妥協しない。マジメなモノづくりが伺える。
高能率スピーカーの欠点
高能率スピーカーは軽い振動板を使って中高域の能率を追求している。その結果、中高域が強く張り出した音色のものが多く、低音が出ない。いくら大きいウーファーが付いていても低域は伸びてないので[6]、Hi-Fi用途ではサブウーファーの追加が必要になる。
元々サブウーファーとセットで使うホームシアターでは、小型SR用がメインスピーカーの最適な候補になる[3]。
JRX115のような中型スピーカーではツイータを耳の高さに持っていくための「台」も必用になる。
ウーファが2連のJRX125(現在はJRX225)を選ぶとフロア型となって台が不要になるが、下のウーファからも中域が出てしまうためこの対処が難しく、一般の室内では使いにくい。
SR用に組み合わせるサブウーファーの候補
ここはDクラスアンプで駆動する出来るだけ大型のユニットを使った機種が適している。
SR用サブウーファーは18インチ(口径46センチ)の大型もあるが、LR信号ミックス機能のないパッシブタイプが多く使いにくい。
一応BEHRINGERに候補がある。例えばVQやBシリーズはDクラスアンプのほかハイパスフィルターを搭載し民生品のような使い方ができる。
民生用では密閉式のフォステクスCD250Dが候補になる[8]が、口径が小さすぎるのが難点である。
サブウーファーはクロスオーバーさせて使う
メインスピーカーの低域をカットせずにサブウーファーと繋げるのはお勧めできない。サブウーファーを入れる場合は、必ずメインスピーカーの低音をカットしクロスオーバーさせて使う。
メインスピーカーの低音をカットすると次のような多くの利点がある。
耐入力が増る
歪が減る(ウーファーの振幅が減るため)
アンプ側の負担が減る
箱鳴りによって生じる雑音が減る
周りのものを振動させにくくなる
定在波の影響が軽減される(設置が容易になる)[4]
アンプ選びの課題
サブウーファーを追加でき、メインSPの低音をカット(クロス)できる機能を持つアンプを選ぶ。
このようなことができるアンプは、AVアンプか、一部のHi-Fiアンプしかない(2019年現在、マランツのM-CR612がこれに対応している。サブウーファー端子を持ち、メインスピーカーの低域カットが可能)。
デジタル処理が普通になった今、サブウーファーとのクロスオーバーやレベル調整などは全部デジタル処理の一環でやってしまいたい。
AVアンプはこれが普通にできるが、Hi-Fiオーディオアンプでこれができる商品がほとんどないのが残念なところ。
まとめ
Hi-Fi用に使えるSRスピーカーの、創造館が選んだサイキョー候補は次の通り。サブウーファーとセットで使ってください。今まで体験したことのない音が聴けるはずです[2]。
候補1:ヤマハ S112V
12インチウーファー+2インチドライバーで能率97dB、20.8kg。15インチのS115Vより高応答が望めます[6]。ツイーターが2インチの為、高域の伸びが控えめ。ホームシアター用なら問題ない。
候補2:ヤマハ CBR12
12インチウーファー+1.4インチドライバー、能率96dB、13.9kg。Hi-Fi用ではこれが一番かもしれません。
サブウーファー候補1:EUROLIVE B1500XP
15インチ、Dクラスアンプ、3000W。LR信号ミックス搭載。アンプのLFEかLRラインアウトをXLRに変換して接続する。変換アダプターを使用。
サブウーファー候補2:EUROLIVE VQ1500D
B1500XPとの違いは値段と出力(500W)。ローエンドの伸びが控えめ、ホームシアターに向く。
サブウーファーはどちらもポートを塞いでブーストONして使うことで応答に優れた低音を出せると考えられる。
スピコンをスピーカーに接続している様子
https://souzouno-yakata.com/car/wp-content/uploads/sites/9/2000/10/190407_045708.png
SR用スピーカーは裸電線を挿すような結線はできません。配線材としてスピコンが必要(Neutrik NL4Fx。末尾Fcは旧製品)。ケーブルはカナレ4S8が定番ですが適当なキャブタイヤケーブル(2スケア2芯)をホームセンターの切り売りなどで買ってもOKです。
サブウーファーを使わない場合はJBL S4700 (15インチ、能率94dB、2018年)が唯一の候補になります。
スピーカー台は、組立式のスチールラックがベスト[5]。例えばこちらの商品がマッチします。足は円形アジャスターに交換してください。
おまけ~某サイト(プロケーブル社)の記述の正しさ
サイキョーを連呼する某サイト(プロケーブル社)の技術的解釈や考察は間違いだらけ。しかし何故か最終結論は正しいものが多い。私はこのサイトを見て、経験と観察だけでも正しい答えを導き出せることを知った。
(2008/2/9 追補)
SRスピーカーではスピーカスタンドが課題だったが、某サイトの主人が解を見つけた。理屈の説明は相変わらず無茶苦茶だが、コーナに配置してツイータの軸線をずらすことでSRスピーカー弱点(低域の弱さと軸上高域のキツさ)を同時に解消できるのは確か。3次元的に自由なセッティングが可能なスタンドはユニークで評価できる。
<参考購入先>
JBL JRXシリーズ JRX215はJRX115の後継機です
https://www.amazon.co.jp/s?k=JBL+JRX&_encoding=UTF8&camp=247&creative=7399&linkCode=ur2&tag=asyuracom-22
サウンドハウス こちらからも購入できます
http://www.soundhouse.co.jp/?atnct=soundhouse_01000fty00c7zj-36c6186a252d39095067d45c687cae40
https://souzouno-yakata.com/audio/2007/04/26/2312/
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プロケーブル社長の言っていた事が本当だった _ オーディオの基本と鬼門・その真実
https://a777777.bbs.fc2bbs.net/?act=reply&tid=14004014
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クリプシュ(Klipsch) R-15M 最強の高能率SPの実力を検証する | 創造の館 音楽苦楽部
公開:2018/12/31 更新:2020/12/15
https://souzouno-yakata.com/audio/2018/12/31/36712/
クリプシュR-15Mは13cmクラスで最高の能率(出力音圧レベル)を誇るスピーカーだ。そのスペックはなんと94dBであり、他の追従を許さない。今回はこのSPを購入して実力を検証してみた。
クリプシュとは
クリプシュはアメリカの音響機器メーカー。ホーンの技術に独自性のあるメーカーでほぼすべての機種にホーン型ユニットを採用している。10cmクラスの小型SPにまでホーンを付けているため、高能率で小型という、他社に見られない商品がある。
ラインナップはDALI同様に多く、R-15Mと同サイズの機種だけでも以下がある。
表1 クリプシュ5.25″ブックシェフのラインナップ(2020/12現在)
価格はアマゾンの輸入価格($米価格)
https://souzouno-yakata.com/audio/2018/12/31/36712/
サイズ(H×W×D) ユニット構成(cm) 能率(dB) 重さ(kg) 価格(ペア) 万円($)
RP-500M 343×173×241 5.25″CERAMETALLIC+1″チタンLTSハイブリッド 93 5.4 5.7($329)
R-51M 338×178×215 5.25″IMG+1″LTS 93 5 3.6($224)
R-15M
(カタログ落ち) 318×178×206 5.25″IMG+1″LTS 94 4.67 2.8($170)
RB-51 II
(カタログ落ち) 289×165×272 5.25″CERAMETALLIC+1″チタンLTS 92 4.75 –
RP-150M
(カタログ落ち) 370×195×271 5.25″CERAMETALLIC+1″チタンLTSハイブリッド 93 6.67 –
R-14M
((カタログ落ち) 248×149×191 4″IMG+1″LTS 90 3.2 2.6($120)
LTSというのはサスペンションがリニアに動くよう工夫されたもの、ハイブリッドはホーンがシリコン製という[3]。耐入力はどれも連続75W以上。同クラスに多い軟弱な商品と異なる。
ウーファーはIMG(Injection Molded Graphite)と、CERAMETALLICの2種類ある。IMGは名前からすると黒鉛の粉末を熱可塑性樹脂に分散させ射出成型したもの。基本的に樹脂とみられるが詳細不明。CERAMETALLICはアルミにセラミックコートしたものだという[7]。
R-15Mは同社の中でボトムに位置することがわかる。値段は日本円で3.2万円だが米アマゾンでは$173(約1.9万円)だから中身は1本1万円しない安価な商品である。
R-15Mはポン置き専用だが最近のモデルはホームシアターで使えるよう壁掛け用の穴が付いている。
クリプシュにはその他、15インチウーファーを使った大型のオールホーンシステム(KLIPSCHORN、LA SCALA IIなど)あって興味深い。
現在購入方法はアマゾンから並行輸入品を買うしかなさそう。日本に公式サイトがあるがヘッドホンとイヤホンしか扱っていない。
R-15Mの外観
R-15M外箱の外観。
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R-15M SP端子
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背面のスピーカーターミナル。バナナを刺すところにダストキャップが付いている
フロントのユニットは共通パネルごと接着されてるらしく、分解できるところはこの端子部分しかない。プロ機器と違って修理やメンテナンスは考慮されていない。
クリプシュR-15Mの外観
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デスク上にセッティングしたところ。以前ご紹介した通り机の反射による特性の乱れを防ぐため上下逆さにする[4]。
フロントグリルが上下対称であり反転して付けて完成。スピーカー台はハヤミ工産NX-B300S がぴったり。
R-15Mフロントグリル裏面
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/181228_201542.png
フロントグリル裏面。樹脂性でメッシュの目が少し大きい。特性に若干影響するが、問題ない範囲。
R-15Mのネットワーク回路
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/181230_074807.png
ネットワークは端子の裏にある。構成はごく普通。高域のコンデンサは3.6uF100Vの電解コン。アッテネーターは抵抗が直列に入るだけになっている。
吸音材は白いウールマットの切れ端がウーファーの周りに少しあるだけ。
R-15Mのツイーターユニット
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/181230_075044.png
バスレフポートからツイーターが見える。本体は樹脂製でアルミの放熱フィンが付いている。磁気回路がネオジウムなのか、とても小さくできている。
ホーンと言ってもユニット単体で能率100dBを超えるコンプレッションドライバーとは違って大人しい音が予想される。
R-15Mの能率グレード
ウーファーの口径と能率の関係を示したグラフ
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2019/01/10011901.png
これは以前公開した口径と能率の関係を示したグラフ[1]。R-15Mは13cmクラスで最も高い位置にある「高能率型」スピーカー。94dBという数字が本当だとすると、稀有な存在。
能率が良いことは、応答が良いことのほか、細かな情報も消えずに出てくることを意味する。応答が良く、情報量豊かという特性が、音質面でリアリティの向上に貢献し、なかなか得難い「生々しい」音の源となる[1]。
出力特性
クリプシュR-15Mの周波数特性
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/18122802.png
軸上30cmの周波数特性(グリル付き)。多少谷があるが、おおむねフラット。高域は12kHzまで。低域は100Hzまでとなっている。
クリプシュR-15Mのインピーダンス特性
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/18122801.png
インピーダンス特性。公称8Ωだがウーファーのインピーダンスは4Ω。f0c=106Hz、ポート43Hz。
f0cの遅れは4.1ms(Q0c=1.36)、ZENSOR1(3.0ms)[2]に対しかなり遅い。
ポートを塞ぐと f0c=90Hzに落ちて2.7ms(Q0c=0.77)に改善する。Q0cは0.7前後がバランスいいとされるので、このSPはポートを塞いで使うのが良さそうだ。
音質
一聴して違和感を感じる。低音がボワボワでとても聴けたものではない。これは上記したようにウーファーの共振倍率(f0c)が高すぎるため。背面のバスレフポートから盛大に音が漏れており、吸音材が足りてない。
バスレフポートにタオルを詰めるとボワボワ感が改善する。低域も十分伸びていて、一般的なソースで不足を感ることはないだろう。
バスレフポートに吸音材を詰め、サブウーファー (ヤマハ NS-SW300 )を120Hzでクロスさせた結果はたいへん良好。その音質は意外なことに、フラット&ソフト。
メタリックなコーン+ホーンに能率94dBといったスペックから想像する音とは違う。能率に関しても我が家にあるClassic Pro CSP6 (91dB,8Ω,実測7Ω)と大差ない。これはどうしたことだろう?
Classic Pro CSP6 とクリプシュR-15M
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/181229_154851.png
CLASSIC PRO CSP6(写真左)はリアリティがあり、ひっぱたかれるような鋭いアタック感もある。
これに対しR-15M(写真右)から出てくる音は耳当たり良く優しい。きつい音を出さず滑らか。長時間でも聴き疲れしない。
リアリティを追及したHi-Fとは違う方向で、「いい音」があることを教えてくれるスピーカーだ。
R-15Mの本当の能率は〇dBだった!
R-15Mの能率は能書き通り94dBもあるのか。この測定には無響室が必要でアマチュアには困難。当館では屋外で測定を試みたが反射音の影響を十分小さくできず、うまくいかなかった。
そこで本機と比較用SPの音圧特性をマイク位置固定で測り、オクターブバンドで差をとることにした。相対比較になってしまうが、この方法では反射や定在波の影響を受けない。比較用SPはClassic Pro CSP6 (91dB,8Ω)と、Classic Pro CS104CSP6 (87dB,8Ω)。以下に結果を示す。
音圧レベル差の測定結果
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/000505.png
R-15Mの能率はCSP6 (91dB,8Ω)と平均が同じ。CS104 (87dB,8Ω)に対しては平均で2.5dB上回っていることが判明。つまり94dBを誇る能率の実態は90dB~91dB程度ではないかと考えられる。
この数字の違いは測定方法の違いによるのだろうが、90dB~91dBでも能率が高いことに変わりはない。
総評
背面のポートに吸音材を詰めるのを標準と考えたい。
ポートを塞いだ音はナチュラル&フラット&ソフト。聴き疲れしない優しい音は、BGMとして流すのにぴったりである。
元が安いスピーカーなのでコストの制約から省略されている部分が多い。吸音材の追加、ホーンのデッドニング~ホーンスピーカーの音を改善する[7]、電解コンの交換など、手を入れると良くなりそうな部分が多い。
PCの横に置くスピーカーとして見ると大きい。そんな場合は一つ下のR-14Mが候補になる。
R-15Mのポートに吸音材を詰めた様子
https://souzouno-yakata.com/audio/wp-content/uploads/sites/9/2018/12/181231_084730.png
こんな感じ。吸音材はお魚用の高密度ウールマットでよい。W170×D120くらいのサイズにカットし、だし巻き卵のように丸めて突っ込む。
創造館式オーディオシステム(2019/10/19)
小型SPのバスレフダクトを塞ぎ、サブウーファーを1次定在波の節の位置に置いて、100Hz付近でクロスさせる※。これが現在、限られた小空間において最高の音質を得る方法の一つだ。デスクトップやPCオーディオで、大型スピーカーを使ったシステムに負けない優れた音質が得られる。
これを「創造館式オーディオシステム」と呼ぶことにした。
※:最適なクロスオーバー周波数は1次と2次の定在波の中間周波数になる。詳細は関連記事8を参考にしてほしい。
参考:能率(出力音圧レベル)について
EIAJ RC-8124A によると、1Wに相当する正弦波入力を加え、1m離れた点の音圧レベルを測定し、低格周波数範囲内で1オクターブ以上の範囲の平均をとれとある[6]。
この測り方はいろいろあり、昔は 300Hz、400Hz、500Hz、600Hzの4点で測った音圧平均が用いられたようだ[5]。
このようなワット基準だとインピーダンスによって音圧が違ってくる。1Wは8Ω,2.83Vだが、4Ωだと2.00Vになってしまうため電圧(ボリウム)を落として測ることになる。
JIS C5532 音響システム用スピーカーでは20.3.1項に特性感度レベル(=能率のことか?)の規定があり、こちらも1W,1mとある。測定にはピンクノイズを使う。
ところで、現在の出力音圧レベルの仕様には次の2種類がある。
〇dB,2.83V,1m
〇dB,1W,1m
前者はヤマハ、オンキョー、ダリ、B&W、JBL、テクニクス、クリプシュなど民生品で採用している。
後者はエレクトロボイス、ベリンガー、ヤマハ(プロ用)、JBL(プロ用)などのプロ機器メーカーとフォステクスのユニット単品で採用している。昔(1990年代まで)は民生品でもほとんど後者だった。
2.83Vという電圧基準の場合、出力音圧レベルはスピーカーのインピーダンスに左右されない。出力音圧レベルが同じなら8Ωでも4Ωでも同じボリウム位置で同じ音圧になる。
スピーカーのインピーダンスが8Ωのときだけ、両者の表記が同じ土俵で比較できることに注意しておきたい。
<参考購入先>
R-15M
https://www.amazon.co.jp/s?k=R-15M&language=ja_JP&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&linkCode=sl2&linkId=8da4b5f509268ad34f787a20158f416d&tag=asyuracom-22&ref=as_li_ss_tl
RP-500M 2018年に登場した最新機種です
https://www.amazon.co.jp/s?k=RP-500M&language=ja_JP&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&linkCode=sl2&linkId=8e7cc4ba921f70d32d7a789abb602d69&tag=asyuracom-22&ref=as_li_ss_tl
RP-400M PCスピーカーに好適な一回り小型のタイプです
https://www.amazon.co.jp/s?k=rp-400m&language=ja_JP&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&linkCode=sl2&linkId=b459a97b0627c49d385daadc078fd3b1&tag=asyuracom-22&ref=as_li_ss_tl
https://souzouno-yakata.com/audio/2018/12/31/36712/
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4:777
:
2022/05/21 (Sat) 05:41:42
-
ドイツの小型の家庭用安物スピーカーは何故あんなに音がいいのか?
ドイツ SABA のフルレンジ SPユニット
https://vintage-audio.jp/?p=390
メーカー:SABA
モデル名:Permadyn 5298U8
生産国:ドイツ
生産時期:1952~1958年
型式:シングルコーン
口径:8inインピーダンス:5Ω
マグネット:アルニコV
鮮やかなグリーン色のコーン紙が特徴のドイツ名門SABAのフルレンジSPユニットです。
超軽量コーン紙に小型の磁気回路、ペラペラのプレスフレーム・・・
1950年代の家庭用ドイツ製ユニットの特徴なのですが、これを上手に鳴らすと、英国やアメリカのユニットでは出すことの出来ない、ナチュラルで透明度の高く、繊細で分解能が高いサウンドを奏でるので、見た目じゃ判断できないのです。
そして、これらドイツのユニットを研究すると非常に合理的に作られている事に気が付きます。
超軽量なコーン紙を使用している為に、それを駆動する磁気回路は小さくでき、よってフレームもダイキャスト等大掛かりでなくプレスフレームで十分な強度が取れる訳です。
実に合理的でしょ!
しかも、超軽量コーンはユニットの設計だけでなく、サウンドにも大きなメリットがあります。
軽量だから信号に対しての反応が圧倒的に速いのです。
これにより、全帯域で分解能が高く、小音量時に音が潰れないのです。
小口径・軽量コーンのユニットは、家庭用(家庭用HiFi)ユニットに分類されますので、ドイツ業務用と混同して考えては駄目です。
また、構造上ハイパワーユニットではありませんから、駆動するパワーアンプも、2~3Wのシングル(またはP-P)管球アンプが適当です。音量が足りないからといって、ハイパワーなアンプを繋いだりしてはいけません、音量を稼ぐ場合は、ユニットを複数個使用します。そして、適度な音量で鳴らすことで、超軽量コーンユニットのメリットが最大限発揮できます。
この事を踏まえてシステムを構築します。
まず、特徴である軽量コーンにあまりプレッシャーを掛けずに使用したい為、平面バッフルか後面開放型が適当だと思います。
密閉型、バスレフ型になるとバックプレッシャーのコントロールが難しくなる事とエンクロージャーの影響を受けやすくなりますので、今回は1940年代の米PHLCO社のAMラジオのキャビネットを利用することにしました。
後面開放型になります。
バッフル板をキャビネットに合わせて製作します。適度な鳴りを考え、9mm厚のフィンランドバーチ合板を使用しました。ユニットのインピーダンスは5Ωなので、2本をシリーズに接続し、トータルインピーダンス10Ωで使用します。それを組み込んで完成です。
そのサウンドですが・・・ユニットの特徴を上手く活かせたシステムになったと思います。決してワイドレンジではありませんが、全帯域に渡って癖がなく明瞭度が高いサウンドです。長時間聴いても聴き疲れすることもなく、部屋の中に音楽が自然に広がっていきます。これ1本で十分か?と言われると、私の場合はそうはいきませんがサブシステムとして、または音楽鑑賞用としてなら十分な能力があります。
ドイツ家庭用シングルユニットは、見た目ではなく実質的な能力の高さを、国内の皆さんも評価して欲しいと思います。
このユニットは、ドイツ(ライプチッヒ)のコレクターからの出物で大変状態の良いユニットでした。同等ユニットも多数ありますので、これらSPユニットをお探しの方は下記までお問い合せ下さい。
https://vintage-audio.jp/?p=390
ドイツ古典フルレンジユニット
http://www.soundstage.jp/Full_Range.html
1950年代のドイツ製フルレンジは、超軽量コーンを強力アルニコマグネットでドライブ。
96〜97dB/W/mの高能率を得ています。
コーンの実効質量は、何と5〜6g!
(fostex FE203等の代表的な軽量ユニットに比べても半分以下です)
*この時代のユニットは同一モデルでもロットの違いによるバリエーションがございます。磁石、フレーム形状等が写真の物と一致しない場合がございますが予めご了承ください。同一品質基準、同一工場で生産されたコーン紙の優秀性は、全てのユニットに共通です。
声、木管がリアルなことは、ドイツヴィンテージユニットに共通の特徴と思いますので、以下の個別ユニットの説明では省略させて頂きました。
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Telefunken 20cmフルレンジユニット
同社Opusシリーズの大型ラジオ、コンソールに多用されたユニットで、この時代のドイツの情感を伝えてくれる代表的ユニットと言えばこれでしょう。
弾むような低音にクリアな中域と少し華やかな高域を乗せ、
どこまでも楽しく音楽を聴かせてくれます。
特性の暴れが上手く高域のレンジ感に結びついている一面がありますため、
単体で十分楽しめるユニットである反面、ツィータの追加で大幅にグレードアップいたします。特に弦楽の倍音の豊かさ、艶等が顕著に改善され、どなたにも安心してお勧めできるシステムになります。
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Telefunken 楕円フルレンジユニット
背面放射音が華やかな傾向がありますので、後面開放キャビネットに用いるにはデッドニング等のチューニングが必要ですが、
コーンの材質、面積が同じなので最終的には円形20cmユニットと同じ音色傾向にまとめることが可能です。
ツィータの追加で本領発揮となるのも同じです。
円形20cmユニットより新しい時代のものなので全般に保存状態がよいのも利点かと思います。
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SABA 22cmフルレンジユニット Permadyn25
ほぼ20cm口径ながら一回り大きいSABA製のユニットです。
帯域バランスが実に巧みで、 造り手のセンスと技術の高さをうかがい知ることができる HiFi指向の正統派ユニットです。
ハッタリの無い落ち着いた雰囲気の再生音は、
小編成のジャズや男性ボーカルにマッチするかと思いますが、
クラシックでしたらピアノソロもありだと思います。
SABA(Schwarzwälder Apparate-Bau-Anstalt)社は現存しませんが、
Telefunkenの対向メーカーとして一時代を画した総合電機メーカーです。
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ラーヴェオプタ(LoeweOpta) 20cmフルレンジユニット
ややプレスの効いたコーン紙による張りのある明晰な鳴りっぷりが特徴です。中域を基軸とする表現のためレンジ感は今ひとつですが、その分、弦楽の切れ込み感や、金管の輝き、ピアノのアタック感等が小気味よく出るユニットかと思います。
勿論レンジ感についてはツィータの追加で改善されますので、
最終的なシステムの完成度は他の兄弟銘柄(Graetz、 Telefunken 、 Grundig、 等々)に全く引けを取りません。
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ローレンツ(Lorenz) 20cmフルレンジユニット
下手なツィータなら付けない方が良いくらいよく伸びて歪の少ない高域を持ち、それが躍動感溢れる中低域と見事に一体化しています。
ヴィンテージの味わいは薄いかも知れませんが、
音源を選ばないオールマイティなユニットで、
この時代のフルレンジユニットの最高傑作の一つでしょう。
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グルンディヒ(Grundig) 20cmフルレンジユニット
ベークダンパならではの硬質でハイスピードな音のユニットです。
帯域は上下に若干狭い傾向がありますので、これをセッテイングで補う工夫が求められます。具体的には、高音をよく反射する硬質の壁面(窓ガラス等)を背にすることや、 部屋のコーナー近くに配置して低音を増強すること、等の工夫になります。
鳴らすのが難しいユニットではありますが、
セッテイングが決まった時には背面音を最大限に利用した後面開放キャビネットの理想形が完成しています。
特にピアノ曲などでは、他のシステムでは得られない生々しい説得力や典雅な余韻表現が可能です。
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グレーツ(Graetz) 20cmフルレンジユニット
コルゲーション補強されたコーン紙にNT4クラスの大型マグネットを組み合わせた強力ユニットです。
中域以下に厚みがありチェロのゴリッとしたところの表現などは秀逸です。
高域は出ませんが元々低域がよく伸びていますので、アドオンツィータとの組み合わせで最もワイドレンジなシステムが完成します。
フルオケ再生も迫力十分です。
http://www.soundstage.jp/Full_Range.html
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粋音舎 ドイツ古典フルレンジユニット用の後面開放型エンクロージャー
http://www.soundstage.jp/OpenBack.html
ヴィンテージの味わい
この時代のドイツ製ユニットを鳴らすということは、単に昔の音を甦らせるということではありません。
その枯れて乾いた音色は、約60年の歳月をかけた熟成の結果でもあるからです。
歳月という試練に耐える素材、構造、
それを現実の姿にする優れた製造技術、
そして熟成という時間の魔法・・・
全てが結集された再生音は、60年貯蔵の美酒を開封するが如く、今この時のために流れ出すのです。
現代の代表的な軽量ユニットに比べても半分以下という超軽量のコーン紙は空気との親和性が極めて高く、録音マイクがスタジオやステージの空気と交わした会話を
まるでリスニングルームの空気に口移しするように、優しく、熱く、伝えてくれます。
裏板のない開放型キャビネットとの組み合わせは、超軽量振動板の軽快な動きを妨げないための工夫。
最新のハイレゾ音源をも活かす音楽再生の完成形が、60年前のドイツで既に極められていたのです。
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粋音舎 ドイツ古典フルレンジシステム(受注生産品)
ユニット
口径 20センチ
搭載数 1個
形式 コーン型フルレンジユニット
能率 96dB/W・m
耐入力 5ワット
製造国 ドイツ
キャビネット
寸法 幅38cm×高さ58cm×奥行30cm
形式 後面開放型
材質 フィンランドバーチ材
( 前面グリルは別売となります。)
※ユニット製造元は、テレフンケン、グルンディッヒ、ローレンツ等々の銘柄を取り揃えています。
※ステレオの片側に2個または4個のユニットを用いたタンデム仕様の大型システムも特注製作承ります。
(注記)
本製品は、背後の壁による反射を利用いたします。このため壁との間に50センチ以上の距離が必要です。
壁の材質も反射音の音質に大きく影響しますが、一般的な木質の建築内装材であれば良好な結果が得られます。背後が石膏ボードやガラス板などの場合には、薄手(6ミリ前後)の合板を壁に立て掛けて設置することをお薦めいたします。
本製品に搭載のユニットは、1950年前後にドイツで製造された家庭用ラジオから取り出した使用済みのヴィンテージユニットです。動作良好なユニットを検査厳選の上、 極力外見を揃えてステレオ左右のペアを組んで おりますが、モノラル再生が主流だった当時のラジオ1台からは1つのユニットしか取り出せないため、製造年や保存環境の違いにより細部の形状や色合いが微妙に不揃いな場合があります。
本製品は極めて高能率なため、数ワット程度の小出力真空管アンプとの組み合わせを推奨いたします。 大出力アンプとの組み合わせでは、誤入力等により破損する場合があります。
http://www.soundstage.jp/OpenBack.html
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合同会社 粋音舎(すいおんしゃ)
E-mail suion@soundstage.jp
Web http://www.soundstage.jp
TEL 03- 6271- 5760
所在地 東京都練馬区
事業内容 音響機器の企画、製造および販売
製造委託先 株式会社 サカエ工芸
株式会社 サカエ工芸
http://www012.upp.so-net.ne.jp/strata/SAKAE.html
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4、5年前、捨てられていたラジオから外したような、ボロボロのドイツスピーカーがネットオークションなどで出回ったが、こうした事を積み重ねた結果がドイツスピーカーの評判を落としてしまったのではあるまいか。
あの手の8㎝ほどのスピーカーはおそらくラジオから外したものと推察され、もしそうなら所詮人の声さえ満足に聴く事が出来れば事足りるので、其れなりの性能にしか造られていないだろう。それを50円か100円か或いは1000円か知らないが塵の山から安く拾って来て、オーケストラを鳴らし「フィールドスピーカーで御座い。付いては20万円頂きます。此方は上等のテレフンケンなので100万円頂きます」、これでは評判が落ちるのも無理はない。
スピーカーで一番難しいのは箱だという事は今更めく話で、とうに皆様御承知の通りである。
ただ造るだけなら大工仕事でも出来るが、ユニットの実力を実力通りに鳴らす事はそう簡単に出来ることではない。
指定の寸法で造ったから音になるかといっても、まずまともな音になった例を僕は知らない。無論素人仕事でも偶然の大当たりが無いとは言えないが、エンクロージャーの自作ばかりは決してお勧めできるものではない。
尤も、どう造ったって、音は出るに決まっているので、願望から僕らはつい錯覚する、出来たてのほやほやの時は「なんて良い音だ」と思いたいのである。
そして、JBLやアルテックのユニットを使っているんだから良い音に決まっているというブランドに対する先入観がまた僕らの耳を錯覚させる。
回路図通りに組み上げれば一応回路図通りの音が出るアンプなどとはわけが違って(これだって部品配置や配線方法等で俄然音は違ってくるが)目に見えない空気の振動に関する計算と現実の音の間には大きなギャップがあるようだ。
だが逆の事もあるだろう、コーラルのスピーカーユニットだって、箱を旨く造れば素晴らしい音に仕上がるかもしれない。今も云った通り偶然の産物が成功をおさめないとは云えないから、つい期待するし箱造りに嵌るのである。
この事は自作エンクロージャーに限った事ではなく、他社製造の箱つまり指定寸法に依る本職の仕事だってユニットがまともな音を出した例を聴いた事が無い。
まして、他社独自の設計によるエンクロージャーをや、である。
タンノイ然り、JBL,アルテック然りオリジナルとの音質の差は歴然としている。
古くはヴァイタボックスのコーナーホーンに物凄い奴があった。大メーカーともあろうものがよくぞここまでやってくれたものだとほとほと愛想が尽きて、以来このメーカーの物は何によらず買った事が無い。こういう音造りを平気でやる音響メーカーを信用出来ないのである。指定寸法という触れ込みながら、どう造ったってここまで酷い音にはなるまいと思うが、それがちゃんとそうなっているのだから驚く。
件のラジオ用スピーカーも当然箱を作らねばならないが、素人仕事も本職仕事も含めてちゃんと音になった例があるんだろうか、甚だ疑わしい。
僕の知っている限りでは、自称スピーカーの専門家の造ったへんてこりんなバッフルなど随分杜撰でいい加減なものだった。言うまでもなく音は出ていたが音にはなっていなかった。
会社の大小を問わず、どういうものを造るかというメーカーのコンセプトは、要は経営の先見性に加えて教養とセンスとモラルを根本とする筈だから、これが無いメーカーは気楽なものである。何でも有りなのだ。要は「だからこのスピーカーは良いのですよ」という話を造ってしまえば良い。
僕らはだから自分の耳をしっかり信じて、良い悪いもさることながら、好きか嫌いかをしっかり耳で判断したら良いのだろう。JBLだから好きなのではなくて、眼をつぶって聞けば自分の好き嫌いは誰に教えてもらわずとも基よりはっきりしている筈だ。
その耳で是非ともちゃんと整備されたドイツスピーカーの音を聞いてみては如何だろう。
ただし、どうしてもオイロダインをというなら、閉館した映画館を買ってしまうのが早道だろうから相当の費用も必要になるに決まっている。だが、価値はあると思う。勇者の出現を期待して、是非とも聴かせて頂きたいものだ。
http://audio-file.jugem.jp/?eid=34
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ドイツの小型の家庭用安物スピーカーは何故あんなに音がいいのか?
1950年代のドイツ製音響機器
1950年代のドイツのオーディオ機器に目を向けると、意外にシンプルなシステム構成であることに気付く
そもそも100dB/W/m の高能率スピーカーを鳴らすことを前提としているので、家庭用はおろか、小規模PA装置でさえも5W~10Wで十分な音圧が得られた
そしてスピーカーはフィックスド・エッジでベークライト製のスパイラル・ダンパーを用いているため、小音量でも反応スピードが早く、EL84やEL82(6BM8)のシングルで十分に鳴るし、そもそも大入力を入れることはできない。
当時のほとんどの人は、AM放送規格に適合した8kHzまでが限界のフルレンジ・スピーカーで十分だと感じていただろうし、実際にドイツ製フルレンジは、ドイツ語の発音の特性から4~8kHzが強く出るように調整されているので、高域の不足はほとんど感じないだろう。
以下は戦前のスピーカーの特性であるが、最初の2way化によるワイドレンジ化からはじまり、1930年代にはシングルコーンのフルレンジで十分な高域特性が得られている。
Siemens&Halske社の2way特性(1928年)
Isophon P25の周波数特性
これを普通のフラットな特性で聞く場合は、ヴァイオリンとピアノの音色の違いが気になるだろう。
ヴァイオリンは中高域が強いのに、ピアノは高域の落ちたカマボコ型である。
このことの原因も、ドイツ製スーピカーの 2kHzの落ち込みと 4~8kHzの盛り上がりで説明できる。この強く出るのは単純に音圧が強いだけでなく、反応も早い特徴がある。なのでイコライザーで上げて調整してもどこか不自然なところが残るため、あくまでもスピーカーの機能で補うべきものである。
これにEL84やEL34などのビーム管を合わせることで、帯域が狭くても切れ込みの強いサウンドが得られる。
また当時に良く行われたレコード鑑賞会というのも注目して良いと思っている。ようするに公民館の映画鑑賞会の延長のようなもので、そのときに使われたのはオイロダインのような立派な劇場用スピーカーではなく、スーツケースに入れた25cm程度のフルレンジスピーカーで、アンプもEL84プッシュプルで十分な音量が得られた。
フルレンジでも10kHzまでの再生周波数でサービスエリアが約50度得られることから、ちょっとしたホールでも十分に鳴り渡る。必要な機能を絞った現実主義から学ぶべき点は多いように思う。
Klangfilm社の移動式映画館
Siemens社 スーツケース・スピーカー
2000型映写機用
当時のドイツでは、小学校などを巡回する移動映画館やレコードコンサートがよく行われ、LPレコードはそうしたところで使われる教育的な用途もあったと思われる。
そもそもドイツ・グラモフォンはジーメンス社の傘下にあり、レコード・コンサートは当然ジーメンス社のPAシステムで行われたと考えられる。もちろんKlangfilmも擁する大企業であるため、高級オーディオ機器の製造もあるにはあったが、戦後霹靂としたドイツ人が新たにオーディオを購入できるわけもなく、こうしたサービスを通じて新しいHi-Fi機器を知ってもらおうという意図も感じられる。
巡回用の簡易PAは、25cm程度のフルレンジスピーカーをスーツケースに治めたものを、10W程度のEL84アンプで鳴らしていた。50名強の人数なら、これで十分な音響が得られた。
注意したいのは、ドイツ・グラモフォンのLP発売は1952年からで、それ以前はVARIABLE GRADE という78rpmのシェラック盤だったことである。
1941年からテープ録音を実用化していたドイツにおいて、意外に思えるかもしれないが、
テープ録音 → ラッカー盤
という工程を終えるとテープが破棄されることもしばしばあった。その後、LP用にテープにダビングされ保存されたものもある。例えば、フルトヴェングラーの1951年セッション録音、ケンプのベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集のうち1951年録音は本来ラッカー原盤だとされる。
逆に戦中からテープ録音での放送を楽しんでいたドイツ家庭において、Hi-Fiという文字はあまり意味がなかったらしく、LPの表示は「LANGSPIELPALTTE 33」という規格を示すのみである。このことからも、ドイツの放送規格とのグレーゾーンを辿っていたことも十分に考えられる。
このラジオ音源も曲者で、最近オリジナル・テープからリマスターされた、ベルリンのRIASやウィーンのRot-Weiss-Rotの録音は、1940年代でも驚くほど鮮明である。マイクの生音に近いので、人によっては高域がうるさいと感じるだろう。要は一般に流布する媒体に、これまで該当するものがなかっただけなのである。
家庭用オーディオについては、当時のドイツの状況からすると、以下の3タイプに分かれよう。
1.ほとんどの庶民はラジオで試聴し、LPを聴く機会はレコード鑑賞会も多かったと思われる。また一体型コンソール(Kombination:コンポ)も多数あった。これらの場合、ほとんどの場合フルレンジのみが基本である。
2.海外向けの高級オーディオ機器では、高域拡散用にコーン・ツイーターが幾つも付いているタイプが多い。これは1950年代のドイツにしかみられない様式である。
3.スタジオモニターで有名なLorenz社のポリエチレン製ツイーターは、英米のスタジオ機器で持て囃されたことから一目置かれているが、強烈な高域特性で、いわばF1レーシングカーのようなものである。
このように当時のどのような立場で試聴するのかでも、録音に対する印象が違うと思う。それほどに、1950年代のドイツ・グラモフォンの録音は評価が定まりにくいのである。
はっきり言えることは、高能率だからと1970年代以降の重たいウーハーをEL156で鳴らすことはあり得ないと思うし、高域が足らないからと10kHz以上の再生周波数を無闇に伸ばす必要もない。
モノラル期のドイツ・グラモフォンは、もっと広い階層のユーザーに開かれた再生方法があるのだと思う。 ここでは個人的なプランで組んだ低予算システムを以下に示す。
1.95dB/W/m以上の高能率で、高域の4~8kHzが落ちないフルレンジ・スピーカー1本
2.EL84(6BQ8)、EL82(6BM8)などの小型ビーム管のシングルアンプ
3.録音品質のばらつきが大きいためイコライザーは必須
4.CD再生の場合は古いライントランスで微妙な味付け
フルレンジスピーカーでは、私の所有しているのは米Electro Voice社のSP8Bという20cmユニットをBaronetというコーナー型バックロードホーンに納めている。
当時のエレクトロボイス社はPatricianという4wayシステムを筆頭にHi-Fi再生の先端を行っており、アメリカ製でクラシック再生ではトップを行くメーカーと考えていいと思う。
一方で、Baronetのような小型システムでは、小音量で快適に聴けるように高域の扱いを変えていて、SP8Bはアメリカ製では珍しくダブルコーンを使い4~8kHzを持ち上げている。
これはテープ録音がドイツから移入された初期の、Hi-Fiらしさを演出する工夫であり、このことが1950年代の家庭用システムを知る鍵であるように思われる。
これと同じ傾向の音では、サブコーンが付いたイギリスのLowther PM6、最近の製品ではイタリアのSICA社のPA用フルレンジも同様の特性を持っていて有用だと思う。
1950年代のエレクトロボイス社がドイツ的なサウンドポリシーを持っていたと言える理由のもうひとつは、同時代のIsophon社のカタログとの比較でも明らかになる。
当時はモニタースピーカーとして開発され、テレフンケンのスタジオ等で用いられたOrchesterスピーカーには、姉妹品のPH2132/25/11があり、2つのユニットの特性の違いは、エレクトロボイス社の説明と同じとみられる。また小型スピーカー"Cabinet"のインストール方法にも類似性が指摘できよう。SP8Bも1960年代初頭の第3世代となると、フラット志向に集約されるので、Hi-Fiの過度期におけるビンテージ・オーディオの一断面である。
アンプはあえてキット製品で使われるようなEL84シングルアンプを使ってみた。実際、高能率スピーカーをつないだ場合、普通の家庭用であれば1Wもあれば十分である。小型ビーム管のほうが、低音は弾むように鳴るし、中高域のほのかなツヤが美音を演出する。
ただし、録音品質にばらつきが大きいためイコライザーは必須である。グラフィック・イコライザーのように仰々しいものではなく、3バンドあれば十分で、BEHRINGER社の製品が安くてカッチリした音で相性も良い。
古いライントランスでは、10kHz以上を落としてあげたほうが響きが澄んで聞こえるという逆転現象もみられる。多分、トランスの磁気ヒステリシスで中域にコクと粘りが出るのと、ビーム管特有の高域のツヤ(小さいリンギング)が純粋に乗るからだと思う。
ちなみに私の所有しているのは、1950年代の米UTC社の軍用マイク・トランスで、50Hz~10kHzがフラットというナロウレンジであるが、レンジ感はピタリと納まってビロードのような肌触りがでてくる。
裏技として1920年代の英国製ラジオ用インターステージ・トランスを使ってみると、5kHz以上が丸まって上品なHMVの音に変わる
これもイコライザーでハイ・カットした音とは違う伸びやかさが出るので不思議だ。こうしたアナログ時代には存在した電気的なトラップを重ねていくことで音の熟成度が増すと思われる
http://quwa.fc2web.com/Audio-105.html#deutche
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2022/05/21 (Sat) 06:06:26
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1W(ワット)アンプで 38㎝ウーハーは無理
そろそろ自宅システムにWE101Dppパワーアンプ×2台の実験を・・・ - Mr.トレイルのオーディオ回り道 2019年06月15日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/aeda8c7055fcdb7b00699c04772351d9
最近は自宅システムを良く聴く。午前中や夜遅くなってから聴いている。Wアンプ化してから非常に安定したドライブで7SPユニットシステムが生き生きして来た。現在のエクスクルーシブM4+ディネッセン:アンタレスアンプでも大した不満はない。M4のSN比の悪さも機器が活性化すれば消えて行く。活性化させるには時間がかかる。ディネッセンのアンプは当初「ノイズ」で悩まされ、修理せずに某オクに出品したが応札が無く、仕方が無いのでゴッドハンドにお願いしてノイズを取っていただいた。ノイズが無い状態では非常にいい音色のアンプで有る事が判った。現在では使用時にはノイズが出ない状態になっていて非常に満足している。ただこちらも「活性化中」で時間がかかる。本当の実力発揮は来年の4月くらいだろう。
その間に、WE101Dppパワーアンプ×2台のWアンプ化したサウンドを確かめておきたい。構想は10年前にしていた。だからプリアンプのOUTPUTは2系統作って置いた。早くやれば良かったのに、SPケーブルもストックを持っていながら、「SPケーブルが無い」と思い込んで実験をしてこなかった。
単純に「思い切り」が無かっただけだと今なら云える。回り道をしたもんだと思う。使用する出力は多分0.1W以下だろうから1W/chのアンプでも十分なはずである。音量の問題だけを危惧している。やれば1時間ほどで完了するだろう。いつやるかだけです。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/aeda8c7055fcdb7b00699c04772351d9
自宅システムのアンプの入れ替え - Mr.トレイルのオーディオ回り道 2019年06月16日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/d91c01577b00d3ed6d796291ae85ad17
昨夜自宅システムのパワーアンプを入れ替えました。エクスクルーシブ:M4+ディネッセン:アンタレスアンプからWE101Dppパワーアンプ1号+2号に交換しました。
構想を抱いてから10年の歳月が経ってしまいました。その間に不具合の発生(ローインピーダンス)が有り、ネットワークを壊したり、アンプがおかしくなったり・・・とトラブル続きでした。7SPユニットをネットワーク方式で1台のアンプ駆動に拘り過ぎた為だと思います。
写真も撮ってきたのですが「ボリュームオーバー?」なのか読み込めませんでした。後日写真は撮り直してアップしたいと思います。
昨夜8時頃、小1時間で交換及びケーブルの接続完了。やればあっという間に片付きますね。さて、出てきた音は・・・・。繋いだ直ぐはプラグ類のなじみが取れていないし、WE101Dppアンプも眠っていたので「寝起きの音」でした。
22時から1:00まで鳴らし込んで、また今朝は10時から13時まで鳴らし込みました。鳴らし込むにつれて音がまともになってきます。音数は圧倒的にWE101Dppに交換後が多いですね。弦楽器の質感は圧倒的に良いですね。
このアンプは「ドラマティックな表現」が特徴です。ppp(ピアニッシモ)~fff(フォルテシモ)の間隔が一般のアンプの2倍以上ある様な感じです。出だしは音量不足かな?と思っていてもクライマックスでは音量が大きくなります。
「静寂性」が抜群です。プリアンプとパワーアンプ3台ともに「管球アンプ」ですが、一般のTr型アンプが負けますね。交換前のアンプではSN比で太刀打ちできません。
「管球アンプ」といっても「超ハイスピードアンプ」に仕上げています。管球式だからと懐古趣味ではありません。デバイスとして球の持つメリットを最大限取り出そうとしています。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/d91c01577b00d3ed6d796291ae85ad17
自宅システムにWE101Dppパワーアンプ×2台にしてのサウンド - Mr.トレイルのオーディオ回り道 2019年06月17日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/a2aaaaa6e83ade27ae93610d5605c2ef
WE101Dppパワーアンプ×2台で自宅システムのスピーカー(7ユニット構成)を鳴らし出しています。WE101Dppパワーアンプにしてサウンドは「おとなしく」なりました。2台のアンプですが、1台のアンプで鳴らしている様なつながりの良さです。
かと言って特別「音質アップ」したと意識するより、「レベルダウン」した様なサウンドです。低域の鳴りが非常におとなしくなってオーディオ的には「面白くない音」かも知れません。まだアンプを交代させたばかりで時間が有りませんので正確な評価は出来ませんが、「低出力」のアンプで38㎝クラスのウーハーを鳴らすのは至難の業かも知れません。独特の鳴り方です。
中・高音に関しては特に問題はないと思いますが、ボリュームとの絡みも有り、音の広がりが十分とは言えませんが、「これがWE101Dppパワーアンプの世界」なのかも知れません。
楽器の質感に関して、特に弦楽器のサザメク様な質感が出て文句なしです。その分JAZZのキレのある音系のサウンドは薄いので不満な処でも有ります。鳴らし込みで何処まで出てくれるようになるか?と気になり始めています。
低域の質感がどうしても物足りなければいつでも交換可能なようにディネッセンのアンプを用意しています。将来的には3ウェイマルチアンプシステムになるかも知れません。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/a2aaaaa6e83ade27ae93610d5605c2ef
やはり1W(ワット)アンプで38㎝ウーハーは無理 - Mr.トレイルのオーディオ回り道 2019年06月17日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/e7f735455d955edcaeb7a8870f1c630b
WE101DppパワーアンプでD130(38㎝フルレンジSP)を完全に近い形で鳴らし切るのは難しいと感じます。音自体は出ますが重心が上がり、音のキレを感じません。これでは音楽の感動を味わう事は無理と判断しました。
低域・中域用の101Dppパワーアンプ2号を諦めて、ディネッセン:アンタレス パワーアンプを持って来ました。高域は101Dppパワーアンプ1号のままです。この状態でほぼ決まり・・・みたいな豪華なサウンドになりました。
ブレンデル(P):シューベルト:さすらい人幻想曲を聴きましたが、音数が極端に多く、ピアノが豪華な直接音と倍音の響きで心地良く、当方としては心が震えました。オリンパスシステムでは出ないサウンドになりそうです。
オリンパスシステムは「実音」サイズに拘って作成しました。心臓にちょっと悪いな?(冷や汗のでる)様な低音が出ます。これに対して自宅システムは「音楽を心地良く楽しむ」様に方向性を変えています。どちらが好きか?と聞かれれば「自宅システム」となります。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/e7f735455d955edcaeb7a8870f1c630b
WE101D についての詳細は
今 大人気の WE101D _ 出力0.6Wのシングル・アンプで鳴らせるスピーカーは?
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/445.html
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可愛い子供を旅に出してはみたものの・・・ - 「音楽&オーディオ」の小部屋 2017年06月30日
http://blog.goo.ne.jp/jbltakashi
昔から憧れのスピーカーだった「CN191コーナーホーン」(ヴァイタボックス)を使っておられるUさん。
大のレコード愛好家で使用されているプレイヤーが「927ST」(EMT)、プリアンプがマッキントッシュの「MC22」、パワーアンプが同じくマッキンの「MC275」という豪華メンバーだ。
そのUさんが先日我が家にお見えになったときに、「AXIOM80」の繊細なヴァイオリンの音がいたく気に入られたご様子なので、「よろしかったら71系のアンプが遊んでますので1台お貸ししてもいいですよ。マッキンのアンプにはない音が期待できるかもしれませんね。」と、持ちかけたところ「それはありがたいですね。ぜひお願いします。」というわけで、めでたく話が成立。
この5月に「WE300Bシングル」が1年2か月ぶりに戻ってきたので、随分と71系アンプの出番が減ってしまったのも水を向けた理由の一つ(笑)。
さあ、どのアンプをお貸ししようか。71系アンプは3台あって「171シングル」をはじめ「71Aシングル」、そして「71Aプッシュプル」(ナス管4本使用)といろいろある。
「いずれアヤメかカキツバタ」といったところだが、相手が大物の「CN191コーナーホーン」となると選抜も厳しくなる。
散々迷った挙句、結局「171シングル」を持って帰っていただくことになった。とてもいい音色だし、使ってある真空管は1940年代前後の製造の滅多に手に入らない古典管ばかり使ってあって、何だか最愛の子供を旅に出すような気分だ(笑)。
初段管がMH4(マルコーニ:メッシュプレート仕様)、出力管が171(トリタン仕様)、整流管が480(SPARTON)、インター・ステージ・トランス入り(UTC:アメリカ)というシンプルな構成。
さて、2週間ほど経過してから「お返しします。」とUさんがアンプを我が家に持参されたのは去る25日(日)のことだった。
興味津々で「どうでしたか?」
すると、「ヴァイオリンは良かったのですが、どうしても(音を)押し出す力が弱くてイマイチでした。」との率直なご返事。
「そうですか・・・」とうれしさ半分、悲しさ半分といったところかな(笑)~。
実を言うと、Uさんの使っておられる出力が70ワット近くあるアンプと比べると、力感上ではたかだか出力1ワット前後のアンプが太刀打ちできるはずはないのだが、繊細さと音色の美しさで勝負できるかもしれないと淡い期待を抱いていた。
あのタンノイあたりの焦点のぼやけた低音ならうまくいきそうな気もするが、CN191の引き締まった音とは相性が悪かったようだ。
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JBLのコーン型ユニットは能率が100db以上と高いのに駆動するアンプにはかなりのハイパワーを必要とする。
いったい何故なんだろうかとずっと疑問だったが、ふと「ユニットのコーン紙が重たいのではなかろうかと」に思い至った。
イギリス系のユニットはコーン紙が薄くて軽いので能率95db前後にもかかわらずアンプのパワーはあまり必要としないのがその推論の理由。
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「躁=ハイ」の時期にはJBLの出番だよ~ - 「音楽&オーディオ」の小部屋 2019年05月15日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/c281c22ec78aad0cc106a7e4c887747c
先日の都会への小旅行(4月30日~5月3日)を契機に何だか妙に華やいだ気分が続いている。
どうやら「鬱」を抜け出て「躁=ハイ」の時期に入ったらしい(笑)。
やはり人間はときどきはまったく違った日常環境に身を置いた方がいいみたいですね。
そしてオーディオにももろに影響が・・・。
このところ、ずっと「鳴りを潜めていた」元気のいいJBLサウンドが我が物顔にのさばって来るのだから何とも不思議。
その代表格が「175」ドライバーだ。振り返ってみるとこれまで数多くのJBLの製品を使ってきた。
たとえば「375」ドライバー、「LE85ドライバー」「075ツィター」そしてコーン型ユニットでは「D130」(口径38センチ)、「D123」(口径30センチ)、そして「LE8T」(口径20センチ)などなど
これらの中で一番しっくり来たのが「175ドライバー」だった。なにが気に入ったかといえば一言でいうと「仰々しいところがない」ところかなあ。
ただしジャズではバッチリだがクラシックの再生にはもうちょっと「一味」欲しいのでいろいろ実験してみた。
音の出口のところに「どんがばちょっ」と目の細かいステンレスの金網を被せてみたがこれは失敗だった。聴けないことはなかったが音の伸び伸び感が失われてしまう。やはり素人の生兵法は怖い(笑)。
そこで仕方なく駆動するアンプを「300Bアンプ」から「PX25アンプ」への交換と相成った。
これは見事に図に当たった。「300Bアンプ」に比べると中高音域がややおとなしいので175ドライバーの尖り気味のところをきれいに抑えてくれた。これで決まり!
そうすると、はみ出た「300Bアンプ」をどう使おうか。
そこで、まるで連鎖反応のように久しぶりにJBLのD123を起用してみる気になった。涙を呑んでグッドマン「AXIOM150マークⅡ」との交換だ。
こうなるともう我が家のシステムの大変革ですね!
久しぶりの「D123の登場」に当たって留意した点は次のとおり。
☆ 良きにつけ悪しきにつけ響きが少ないユニットなのでバッフルの板厚をわざわざ薄めの1.2mmにして響きの増幅を期待した。
☆ D123はフルレンジを標榜しているがここはやはり2ウェイだろう。そこで同じJBLの「075ツィーター」を組み合わせてみた。特注の超重量級ステンレス削り出しホーンは本体に比べて6倍もするお値段なので遊ばせておくにはもったいない(笑)。
☆ 075は3000ヘルツあたりから使えないことはないが本領を発揮させるにはやはり7000ヘルツあたりからだろう。そこでネットワークはパイオニアの「DN-8」を使いクロスオーバーを8000ヘルツにとった。
☆ 8000ヘルツ以上を受け持つ「075」は能率が110dbとメチャ高いのでアッテネーターが必要だが、音の劣化を招くのでマイカコンデンサー(0.075μF)にスプラグのコンデンサー(0.39μF)をかませて音量調整をした。
☆ 「D123」ユニットの後ろ側に向けて排出される背圧〈逆相の音)の逃がし方はグッドマン用の「ARU」(背圧調整器)をそのまま流用した。
簡単に背圧を逃がさず微妙にユニットに負荷をかけて低音を増強させる「ARU」の仕組みは見事で「D123」にも歴然たる効果が発揮されるのだからたまらない(笑)。
ちなみにJBLのコーン型ユニットは能率が100db以上と高いのに駆動するアンプにはかなりのハイパワーを必要とする。いったい何故なんだろうかとずっと疑問だったが、ふと「ユニットのコーン紙が重たいのではなかろうかと」に思い至った。
イギリス系のユニットはコーン紙が薄くて軽いので能率95db前後にもかかわらずアンプのパワーはあまり必要としないのがその推論の理由。
ただし、これはあくまでも私見です。
それはともかく、これら一連の対応がどうやら想像以上にうまくいったようで「300Bアンプ」で鳴らしてみたところ、感心するほどのとても「まっとうな音」が出た。
いかにも(音声信号に対する)応答性が優れたJBLらしいサウンドである。サブウーファーの必要性をまったく感じさせないところも気に入った。
結局、我が家のシステムは次のとおりとなった。
使っているユニットといえば、グッドマン、ワーフェデールがそれぞれ1個に比べてJBLが3個と圧倒的に優勢だ。
周期的に訪れる「鬱」の時期が到来するまで、このトロイカ体制で進んでみることにしよう(笑)。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/c281c22ec78aad0cc106a7e4c887747c
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2022/05/21 (Sat) 06:07:14
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シアター用スピーカーが 1Wでも鳴る理由
WEシアターサプライスピーカーは、基本的に低域、高域にホーンロードをかけています。 そのため巨大なものになり、初期の 555レシーバーをフルレンジに使ったシステムでも長大なホーンロードと開口部が必要です。
のちの TA4181Aと 594A型ユニットを搭載したミラフォニックシステムは、さらに巨大な仕掛けのものになります。
スピーカーは大きいのに、アンプリファイアーの出力はとりわけ大きなものではなく、555レシーバー専用アンプリファイアーであった 41、42、43アンプリファイアーでも、今日のトランシスターアンプ出力から考えれば、特別大きな出力ではありません。
デッカアーク型スピーカーのキャビネットに組み込まれているグッドマン社製 20cmフルレンジユニットのマグネットは、500円硬貨より少し大きい位で一見非力なスピーカー。 それに極めて小さな出力(1Wそこそこ)のパイ社製ブラックボックスアンプリファイアーを接続すると、50畳あまりのオフィスいっぱいに良質な再生音で満たされるます。
それを一度聴いていただければ、たちどころに反応力というものを理解していただけます。 現代の数百ワット出力アンプリファイアーを使用して低能率スピーカーを駆動するのとは、まったく異なったスタイルで動作しているとしか考えられません。 ここに電気信号再生の本質的な問題の根源があります。
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銚子の散歩道
シアターシステムスピーカーを汎用転用して、ホームユースとして製造されたモデルについて書いてみましょう。
こうした製品を愛用されている方は我が国には多くいらっしゃるのはご存知の通りです。
これらの品は生まれはPAですが、ホームユース品として販売され、なおかつ評判も良いスピーカーシステムです。
米国JBL・ハーツフィールド、パラゴン
エレクトロヴォイス・パトリシアン
英国ヴァイタヴォックスコーナーホーン型
等がざっと思い当たります。
アルテック、A7、A5を入れなかったのは、これらは完全なPAであるためです。
又独オイロダインもPAの部類に入るので書きません。
上記のスピーカーシステム群における共通点は、クリップシュ型の変形コーナーホーンを採用していることです(パラゴンはフロントロードですが。)
これらのスピーカーシステムは、一見 1Wあたりの入力をコンパクトなボディで、シアターシステム並の音圧レベルを得る為のものにみえますが、実際に PA として使うと問題が生じます。 PA にとって必要欠かさざる音の到達距離がより短いのです。
確かに家庭用としては他の形式のものより、格段に音は飛びます。 しかし、純粋なシアター PA と比べるとかなり落ちるのです。
私はこれを試したことがあります。 アルテック1570Bアンプリファイアーで音圧レベルは小さな劇場並みで実験したのですが、
10m まではヴァイタヴォックスコーナーホーンもロンドン・ウエストレックスホーンシステムも、音圧と浸透力いずれも変わりません。
15m を過ぎると途端にヴァイタヴォックスの方が落ちてきて、20mを過ぎると完全にウエストレックスによる再生音が到達してきます。
これは1570Bの入力ボリューム目盛6くらいのポジションでのことで、ゲインをもっと開放するとその差はさらに広がります。
これがクリップッシュ型コーナーホーンの特性で、ハーツフィールド、EVパトリシアン、英ヴァイタヴォックス各社が、コーナー型クリップッシュホーンを用いたのは、業務用機の PA臭を取り除き、ホームユース用に仕立てる為、絶妙なる仕掛けを仕込んだからです。
これらはいずれもコーナー型である為、中高音用ホーンがリスナー正面に向くことはなく、中高域を反射させてきつくなるのを避けています。
それでもコンプレッションドライバーの再生音は、他のコンシューマーユースのモデルと比較すれば相当エネルギーは強いのです。
そこで製作者は、中高音ホーンをキャビネットでカバーしたのです。
ヴァイタヴォックスコーナーホーンや、EVパトリシアンの中高音ホーンがキャビネットに内蔵されているのは、ただ全体としてのデザインを考慮しただけではなく、それなりの理由があります。
ヴァイタヴォックスコーナーホーンの中高音カバーを取り去ると、再生音は途端にPAくさくなります。
そして低音ホーン開口部面積と、中高音ホーンの開口面積比率にも念入りに計算された意味があります。
中高音ホーン開口面積に対し、低音ホーンの開口面積はかなり大きくなっており、それはとりもなおさず、ホームユース的に豊かな低音再生を狙ったがゆえなのです。
反応力という観点から見れば、反応力自体をコントロールしていることにもなります。
それは事実であり必要なことでもあります。
ホームユースは最大音圧というものが限定されているからです。
それは慎重に製作者側の意図する所によって音響デザインされており、シアター用スピーカーをホームユースに使われる方がしばしば陥る音優先のシステムとは異なるのです。 なぜなら、これらのスピーカー群はレコード再生に必要な音色とゆたかな音楽性を備えています。 全ては有能なエンジニア達が音楽の為に考案製造したシステムであり、反応力の抑制は音楽の女神へ捧げられた供え物でもあったのです。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51749261.html
さてヴィンテージオーディオ機器の世界で、賢明なる御者に操られた三頭の馬が、実際にどの様に働いているのかを書いていくのですが。 それでは、これらの機器の動作のメカニズムはどうなっているのでしょう。
それは、これまでのオーディオ常識では想像もつかない突拍子もないことかもしれません。 なぜなら、それは相互核反応と同じだと、わたしは確信しているからです。
個々の機器は小さな原子核反応炉のようなものであり、それが相互に結びつくと、大きな反応体として動作していると想像してみてください。 私自身の体験からいって、反応炉どうしが反応し合わなければ、いかに大型フロアスピーカーでも、ラジカセ並みの音しか出ません。
デッカアーク型スピーカーを例に挙げてみましょう。 キャビネットに組み込まれているグッドマン社製 20cmフルレンジユニットのマグネットは、500円硬貨より少し大きい位で一見非力なスピーカー。 それに極めて小さな出力(1Wそこそこ)のパイ社製ブラックボックスアンプリファイアーを接続すると、50畳あまりのオフィスいっぱいに良質な再生音で満たされるます。
それを一度聴いていただければ、たちどころに反応力というものを理解していただけます。 現代の数百ワット出力アンプリファイアーを使用して低能率スピーカーを駆動するのとは、まったく異なったスタイルで動作しているとしか考えられません。 ここに電気信号再生の本質的な問題の根源があります。
ヴィンテージオーディオの時代、電気信号の伝達に使われる電流の量は、質的なものを伝える為だけ有れば十分でした。 電気信号という船を浮かべ進めるだけの水量があれば、それ以上必要はなく、それ以上あると、かえって反応力を損なってしまうのでした。 それゆえにむやみな大出力アンプは製造されませんでしたし、必要もなく、当時のスピーカーに接続しても良い成果は決して得られません。 しかし銚子にお越しいただけなかった方に、こうした事実に納得していただくことは無理なことです。
そこで例をあげてみましょう。 今日のヴィンテージオーディオファンであればどなたでも御存じである、WEのトーキー用スピーカーで説明してみます。
WEシアターサプライスピーカーは、基本的に低域、高域にホーンロードをかけています。 そのため巨大なものになり、初期の 555レシーバーをフルレンジに使ったシステムでも長大なホーンロードと開口部が必要です。
のちの TA4181Aと 594A型ユニットを搭載したミラフォニックシステムは、さらに巨大な仕掛けのものになります。
スピーカーは大きいのに、アンプリファイアーの出力はとりわけ大きなものではなく、555レシーバー専用アンプリファイアーであった 41、42、43アンプリファイアーでも、今日のトランシスターアンプ出力から考えれば、特別大きな出力ではありません。
そうした比較的小出力で劇場での使用に耐え、なおかつ効果的な広告が可能です。 WEのトーキーシステムの中で働いている、電気信号自体の性質が、現代のオーディオとは全く別の力を保持しているのです。 それこそが核反応的な連鎖であり圧縮、拡張と言うやり取りの後に、再生結果として提示されるのです。 ただアンプリファイアーが連結して圧縮、拡張を行っていっても、そのままでは核反応を発生させることは出来ません。
問題は電気信号の圧縮と拡張が、何のために行われているかです。
今日のオーディオでは、この圧縮と拡張は利得を得る為であるとか、アンプリファイアーの出力の増大として解釈されていますが、この時代のシアターシステムはそうではありません。
それは電気信号の加工に使われたのです。 加工され、可変された電気信号は、アンプリファイアーの出力という船に乗って、スピーカーに送り届けられ確実に爆発します。
しかしこれだけでは核反応爆発力を長続きさせることは難しい。 確実に誘爆させ、それを連続的爆発に導くには、スピーカーを臨界に保ち、いったん電気信号が入ったらそのまま臨界点に達する様にしなければなりません。
そこでコンシューマーユースホームオーディオとは、全く別の仕掛けを持った機材が必要になってきます。 WE のアンプリファイアーがその大きさの割に出力が小さいのは、ここに仕掛けが施されているからです。 出力より反応力の方に重きを置いたアンプリファイアーだったのです。
アンプリファイアーに限らず、光学式サウンドトラックフィルムの入力から、終段のスピーカーシステムに到るまで、あらゆる個所に反応する仕掛けが仕込んであります。 つまり WE のトーキーシステム全体が反応体の固まりであり、そのシステムブロックの一個一個が原子核反応炉みたいなものです。 こうした仕掛けがあるからこそ、小さな出力であっても大規模な拡声が可能です。 逆にいえば WE のスピーカーシステムの優秀さの証しでもあります。
およそ WE のトーキーシステム全体を見渡し、その反応力の値を考えた場合、もっとも強力な力を示すのはスピーカーです。
WE に関わらず RCA やヴァイタヴォックス、BTH、アルティック等のシアターシステムのスピーカー能率は大変高く、標準的には 1W入力あたり 105~110 dbほどになります。 これはコンシューマーユースのものと比べればかなりの高能率であり、音圧も出るのですが、それはあくまで 1W入力時の話です。 劇場で使用する際は、もちろん 1Wで済むはずがありません。 当然もっと多くの入力信号を送ることになりますが、さて、ここで能率と音圧の秘密をお話ししなければなりません。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51748646.html
前回のつづきで、能率と音圧のマジックについて書きます。
WE のトーキースピーカーは、入力信号の上昇に対してリニアに追従して働きます。
入った分だけ音圧が大きくなるのです。
なんだそれは当り前ではないかと思われるかもしれませんが、失礼ですがそう思う方は真のトーキー用スピーカーの何たるかを知らず、ちゃんと聴いたことが無い方です。 何故なら WE だけでなく真のトーキー用システムが、圧縮、拡張、反応力の三つの力を総動員して、核反応力を発生させたなら、人間はそのすさまじい音圧にリスニングルームに座っていることすら不可能です。 トーキーシステムとはその様なものです。
スピーカー自体の入力信号に対する変換効率、能率がコンシューマーユースのものとはまったく別物であることを意味しています。
WEトーキーシステムにとってスピーカーの能率とは、再生音における最低保証値であり、1W入力-105/110dbという値は、アイドリング時のエンジン回転数と同じ状態にあるのです。
ところがこの値はコンシューマーユースにあってはこの値はむしろ、最大音圧レベルに近いものであり、これを考えると両者の 1W 入力-105-110db という値は業務用の場合は最低値を示し、コンシューマーユースは最高値であると言うことになります。
そして反応力という立場からみると、両者の能率、音圧レベル特性値とは、1W 入力に対する反応力の値であるということに思い当たります。
これがマジックです。 私達はこのことを知らずに来てしまった。
確かに能率という面から見ればシアター用スピーカーは 1Wでも鳴ります。
しかしそれは反応力がなければ、ただ鳴っているだけです。
シアタースピーカーシステムを鳴らすには、たとえ 1Wでも確実に核反応を発生させるアンプリファイアーでなくては、シアタースピーカーの真の能力を示すことは出来ません。
しかしシアタースピーカーを家庭で使用する場合、そのほとんどが核反応力が殺されているのが現実です。 そうでなければ、すさまじい音圧レヴェルでレコードを鑑賞することになり、これは劇場かそれに準じるスペースを確保されている方にのみ許されることです。
たとえ、そうした空間で映画を上演するならまだしも、レコードを再生するとなると、それは家庭で鑑賞するために制作されたレコード本来の音質とは程遠いものであるのは、ユーザーご自身が良くわかっていることでしょう。
それでは反応力で動くスピーカーが、他の様式で動作して生み出される再生音は、どうでしょうか。
シアターサプライ用システムを開発した会社は、家庭での音楽の繊細な表現に用いるためのコンシューマーユースも研究開発しました。
シアターシステムを家庭でそのままレコード再生に使用するとなると単なる PA にすぎなくなり、ホームユースオーディオシステム全体が難聴患者のための拡声機となってしまいます。
したがって転用するにあたって、シアター用とはまた異なる仕掛けが必要になってきます。
特にフォノイコライザーとその後のラインプリに重きを置き、多種多様な可変機能を付属させていきます。 それはレコードという音楽媒体に対して反応させるものです。
一時流行した入力信号を可変させないプリアンプが、大出力パワーアンプと組み合わされた時、拡声機的な再生音となることを思い出していただきたいのです。
こうした拡声器的再生音は、ヴィンテージ時代のハイフィデリティではまずありえないものでした。 信号とは可変されるもの、というのがポリシーだったからです。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51749181.html
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2022/05/21 (Sat) 06:08:42
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昔の軽量高能率スピーカーにはドライブ力が強い最新のトランジスタアンプは合わない
1666 O.M.さん(アマチュアコントラバス奏者) Thu Apr 7 04:07:48 JST 2016
▪ 古典的なユニットは、WRアンプとは合わない
WRアンプと組み合わせるスピーカーについて当方が経験したことを投稿いたします。
当方は後述のように川西先生がリファレンスにしておられる B&W 805 MATRIX を導入し、JBL D130、LE175を処分することを決断しました。
当方はオーケストラ等でコントラバスを弾いいておりまして、JBL D130、LE175は「コントラバスの音を再現するのに此れに勝るユニットはない」というオーディオとコントラバスの大先輩の主張を受け入れて揃えたものでありました。
導入直後は確かに、分厚い中低音に、ホーンの厚い中高音にしびれました。
しかしすぐにどうしても「耳につく不快な音」に気がつき悩むことになります。
またヴィオラやピアノの左手がどうも落ち込んでいます。
サイン波を入れても音圧がガタガタで特に 1,000Hz〜2,000Hzに凹みがあります。
結果的にこれは過制動による歪んだ音だとわかりましたが、それがわかるまでに数カ月かかりました。
過制動だと判明するまでの道のりが本当に長く苦しかったです。
ネットワークが悪いかと思って高価な素子を買い求めたり、ホーンドライバを買い換えようか、高域用のツイータを導入しようかと悩んだりと落ち着かない日々でした。
川西先生に相談しようにも何が不満なのかうまく表現できません。
とうとう当方のイライラが爆発してWRアンプが悪い!と川西先生に怒りをぶち撒けました。
しかし、このことで結果的に正しい解決の道が開けました。
川西先生より3台のアンプを送って頂きまして解決策を探っていきました。
比較試聴していきますと、JBL は高出力になるにつれて解像度が上がるのですが歪みは決して消えません。
その後一般的な管球アンプを入手してみると、あんなに悩んでいた歪みはすっと消え去り素直な鳴り方です。
しかし音の粒が大雑把です。
なんというか「古い音」とでもいうのでしょうか、
これがスタンダードなJBLの音なんだと納得いたしました。
これらのいわゆる古典的なユニットは管球アンプの特性に合わせた設計である、
という結論に達しました。
録音されたものを適切に再生させようと思うならば現代的な設計のスピーカーを用いて WRアンプで鳴らすのが最善であると分かりました。
▪805matrixと WRアンプはやはり最高であった!
そうなるとしても、当方はしっかりした低音が欲しい。
大型のスピーカーが必要ではないかと考えました。
川西先生がリファレンスとされているスピーカーはブックシェルフ型です。
いくらこのスピーカーで低音も十分出ていると言われてもにわかには信じられません。
しかし B&W の MATRIX で 805 より大型の 802、801 という選択肢も難しい。
802 は川西先生もおっしゃるように中途半端な感がします。
801 は巨大過ぎて躊躇します。
丁度良品が市場に出ていたので思い切って 805 MATRIX を導入することといたしました。
80 5MATRIX 導入当初はウーハーが熟れていないのか低音がすかすかでこれは大失敗だったかと思ったものの、急速に音が変わっていきました。
数日鳴らし込んだ 805MATRIX の音は、当方が今まで聴いてきたブックシェルフ型スピーカーのイメージを覆します。
和音の響きという縦のラインと、音と音の繋がり、進行感という横のラインがこれまで聞いたことがないくらいに自然です。
フルオーケストラの5弦コントラバスの響きさえも十分再現されています。
この低音の再現性の高さは正に川西先生が掲示板で何度も書いておられることです、やはり川西先生は正しかったのです!
クラシック、ジャズ、タンゴ、ロック、ポップス等々全てにおいてコントラバス、
エレキベースの音がくっきり聞こえ全く問題を感じません。
ピアノの低い音の金属巻きの弦を叩いたズンとした響きもあります。
グランドハープも所有しておりますが、その生音と比べても遜色ありません。
目の前で吉野直子さんが演奏している感じです。
ホーンじゃないと分厚い中高音は得られないと思っていましたが全くホーン以上です。
歪みなく繊細でしっかりとした音圧です。
バイアンプで駆動しツイータの音量を相対的に大きくするとJBL のホーンで頑張って出そうともがいていた音が出てきました。奏者の息遣い、細やかな指の動きがはっきり見えます。
定位感もびっくりします。スピーカーがすっかり消えています。
実際のところ JBL も B&W も音の方向性は違いがありません。
世の中では前者は音が前に出る、ジャズ向きだ、後者は音が後ろに広がる、クラシック向きだなどと言われたりしており当方もそう思い込んでいました。
実際に使ってみると当方が JBL のユニットを使って鳴らした音の延長上に B&W の音がありました。JBL も B&W も当時の技術の制約の中で生の音を再現するために
ユニットを開発していたわけで、JBL も真空管アンプを使えば B&W と音のベクトルは全く同一です。
またタンノイのスターリング(TW)も試しましたが、スピーカーの癖のようなものは感じますが、特にクラシック向きという印象はありませんでした。
ただ WR アンプでは 805 程には上手く鳴っている感じは致しません。
JBL のように何か鳴らしにくい要素があるのかもしれません。
805 MATRIX ですと、出力の違う WRアンプで聞いても音は全く同じです(もちろん個体差による極僅かな音の違いはあるような気がしますが誤差の範囲内でしょう)。
5W でも 100W でも再生された音のクオリティは同じく高いです。
JBL の古典ユニットのように W数で解像度が変化するということはありません。
最も安価な E-5H でも何ら問題ないわけです。
どんなジャンルの音楽を聴こうとも、アンプもスピーカーも正しい方向に向かって適切に作られたものを選べば良いだけであって、その一つの方向が WRアンプであり、B&W MATRIX シリーズであるということでしょう。
ジャズ向きだとか、オーケストラ向き、室内楽向きなどというスピーカーはなく、またスピーカーのグレードアップなどというのもなく、WR アンプを基軸におけば、あとはつないだスピーカーの音が生と比べて適切かどうかを基準にすれば良いのではないでしょうか。
川西先生は出力の違うアンプを貸し出してくださいます。
もし比較試聴して音が違った場合はスピーカーに問題があるのかもしれません。
805MATRIX にサイン波を入れてみて驚きました。なんと50Hzまでも音圧が落ちずに
出ているではないですか! サイン波で性能が図れる訳ではありませんがこの数値だけでも805MATRIX は少なくともコントラバスの再生には問題がないように思われます。
そもそもコントラバスは低音楽器というよりは倍音楽器と認識したほうが
しっくりくるかもしれません。弦の振動で震えた駒が表板を叩くことで発生する
豊かな倍音が重要です。基音の周波数を基準に考える必要はないかもしれません。
この小さな805MATRIX でここまで再現されるのであれば、ウーハーの追加された801、802 もどれだけの再現性があるのか興味があるところです。
しかし、これらはユニット数が増えるのでどうしてもチェロが下に、ヴァイオリンが上にくるような定位における違和感が生じるだろうと想像出来てしまいます。
店頭で聞いた最新の B&W の大型スピーカーをそこにあるメーカーのアンプで鳴らしたのを聞いた時にはそういう違和感が大きかったのです。
805 は 805 なりに大変バランスのよい完成されたスピーカーだと思います。
805 MATRIX と WRアンプを組み合わせて音楽を楽しんでいると、スピーカーの B&W の開発者とアンプの川西先生の、生の音を再現したいという熱い思い、熱い執念が出会って見事に実を結んでいるのだと深く実感いたします。
オーディオで求めるものは人それぞれですが、もし生を基準にした再生音を求めるならば、第一候補は川西先生がリファレンスに用いている 805 MATRIX が最良の選択であり、さもなくば現代において素直に設計されたスピーカーを使用するのが良いだろうと思われます。
オーディオ装置などは単なる道具ですので、当方の経験したように懐古的なものや
根拠がはっきりしないのに高額なものなどに惑わされないようにして正しい方向のものを選べば良いでしょう。WRアンプは間違いなくそういうものです。
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1669川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Apr 14 2016
O.M.さん、詳細で単刀直入なご投稿ありがとうございます。
O.M.さんが使用されていたスピーカーは、ずっと B&W の CDM1 だとばかり思っていました。そして暫く音信が途絶えておりました。
去年の文化の日の頃でしたか、久し振りにお便りがありました。それは、お持ちの ΕC-1 と Ε-10 のアップグレードのお話でした。2年ほど前にΕ-10 のプロトタイプをお貸し出しし、WR アンプを気に入って頂きご購入頂いたのを思い出しました。
しかしよくお話を伺うとどうもチャンデバを使ってマルチ駆動をされているようで、ローチャンに Ε-10、ハイチャンにはもっと以前にご購入頂いた WRP-α9/A をお使いになっている事が分かり、結局、WRP-α9/A の安定化電源化も含めてアップグレードをして頂く事になったのでした。
ところが「どうせアップグレードするならΕC-1 に EQ 基板を載せて LP も聴けるようにしたい」とご希望が脹らみ、結果的に大手術となりました。そのご報告はWR掲示板の 163 6と 1642 に詳述されていますので、改めてお読み頂ければ幸いです。
この時に「WRアンプの音は革命的だ!」と言う名誉あるご感想を頂いたのです。
実はこの頃に既にヘッドアンプのご注文も賜っており、それは年末ギリギリに納入させて頂いたのでした。この絡みで純粋MCカートリッジが見直されています。また、MMの再生音にも劣るCDの音を改善すべく、プレーヤーも32bitDACを積んだものに買い換えられています。
このように短期間で O.M.さんは急速な坂道を登られたのです。それが何処かに歪となって皺寄せが来るとは夢にも思っていませんでした。詰まり音が良くなったら、又それだけ粗が目立って来る事になり易いのだと思います。今まで隠れていた欠点が表に出てくる可能性があるのです。
11月の末頃には、ローチャンとハイチャンの繋がりが悪い、と言うようなお話をチラホラされています。この時に初めて私は O.M.さんが D130+LE175+D91 をお使いになっていると認識したのです。
12月に入ってからこの問題が大きくクローズアップされて来ています。
既に、チャンデバは止めて LE175 の方をコンデンサーでカットする方法に変わっていましたが、そのコンデンサーの質で音がコロコロ変ると仰っています。そこで、私が ASC を推奨して
> ツイータのハイパスのコンデンサーですが、川西先生ご推奨の ASC がやっと届きまして、
> この違和感がすっきりと解決できました!
と一度は満足されています。
この後、ヘッドアンプ導入によるMCカートリッジの音について色々感想を寄せて頂いたのですが鉄心入り MCカートリッジの音が
> ジャズベースが鉄芯だと一旦PAを通した音に聞こえてきました。
と仰っていたので、最初は誇張かと思っていたのですが、今思えばスピーカーの問題が顔を出していたのかも知れません。
確かに、鉄心入りMCは純粋 MC に比べてそう言う傾向が多少はあるのですが、その時「PAを通した音」と言う表現に多少違和感はありました。
2月に入ってハイパスのコンデンサーで随分悩まれたようです。エージングの問題、耐圧の問題等で音がかなり変ると言うのがご不満のようでした。今思えばそう言う事で音に大きな変化がある場合は、別に本質的な問題が隠されている事が多いのです。
中高域に違和感があるとカットオフ周波数を下げたくなるものです。その為にはコンデンサーの容量を増やさなくてなりませんが、そうそう思い通りの容量のコンデンサーが手に入る訳ではありません。勢い、コンデンサーの並列接続になります。
コンデンサーはそれぞれ直列にインダクタンス分を持っていますので、不用意に並列接続すると高周波領域に共振峰ができ、システムに何らかの問題があると、それが音質に微妙に影響してくるのです。WR アンプのパスコンにも昔から1Ωの抵抗を直列に入れています。
O.M.さんもこれで暫く悩まれたようですが、並列にされた2つのコンデンサーそれぞれに直列に0.5Ωから2Ω位を入れるようにアドバイスさせて頂いたのです。その結果、
> この音を聞けば、昨日までの音は奇妙奇天烈であったのは一目瞭然です。
> バイオリンのパワーに負けず、ビオラやチェロの粘っこい音が難なく聞き取れます。
> 当然ピアノの左手もしっかりしており、低音の太い金属弦の粘っこい感じ、
> 高音はキンキンせずにカンカンなる感じが出ています!
> これはすごい。正にこの方向の音が欲しくて右往左往しておったのです。
と言うレポートを頂き私は一安心したのです。それから3月の半ば頃までは便りがなく満足されているのかなと思っていたのですが、また問題が発覚したようでした。
それはウーハーとツイターを別々のアンプで鳴らすと、本来はもっと良くなるはずなのに耳に着く違和感があって改悪になると言う問題でした。
音楽がちぐはぐに聴こえると言う事でした。
ウーハーを鳴らしている Ε-10H の音と、ツイターを鳴らしている WRP-α9/A (Ε-5H 相当)の音がかなり違うと言うご不満でした。
WRP-α9/A の方が膜が掛かったようになると言う事でした。
私は5W以下で鳴らすなら、Ε-5H とΕ-50H の音はそんなに変わらないと常々申し上げていますし、今回のアップグレードの時もそれを確認して発送していますから、これは何かあるなと薄々思い始めていました。しかし、未だスピーカーのダンピングの問題だとは気付いていませんでした。
それ以降、こちらのΕ-10Hプロト、WRP-ΔZERO(Ε-50H相当)、100W機(Ε-100H相当)を次から次とお貸し出しし様子を見させて頂きました。
それに依ると、Ε-10HよりΔZERO、ΔZEROより 100機とドンドン分解能が上がると言う事でした。
この時に、音の表現を形容詞などで表現すると誤解の元になると痛感し、なるべく具体的に表現するように努めるべきであると悟ったのです。こちらで鳴っている音と余りに違うレポートを頂くと、何を頼りにそれを判断すれば良いか分からなくなるのです。
この頃に頂いたご感想の一片を記しますと
> 届いたアンプでは、音の次元が違います。これはすごい。
> 当方のアンプもつなぐスピーカーが805matrix だとこのような素晴らしい音で鳴るのでしょうか。
> まったく信じられません!
と言うように、ハイパワーアンプなら結構良く鳴るものの、ご所有の α9/A やΕ-10H では、とても上手く鳴らせないと言う内容です。
この頃は他に何かあると思いつつも、まだネットワークの問題も気になっていて、スピーカーのインピーダンス上昇の問題も考慮し、打ち消しの為の直列素子を入れるように進言したりしましたが、少し効果はあったものの本質的な解決には至りませんでした。
この頃になると O.M.さんもアンプの問題もさる事ながら、真空管時代に開発された JBL の問題点に気付き始めて居られたのでしょう。
真空管アンプと高帰還アンプ、又大きな箱に入れないと低音が出ない昔のスピーカーと小型エンクロージャーに入れてハイパワーで鳴らす現代のスピーカーの違い等々について、色々調査されたようです。
D130+LE175 を聴いて衝撃を受けた時、鳴らしていたのは真空管アンプだった事も思い出されたのでしょう。
一度は真空管アンプで鳴らす必要性と、既に JBL を諦めて 805 MATRIX を探す気にもなられていたのだと思います。それから5日程音信が途絶えていました。
真空管アンプを入手し、805 MATRIX も注文したと言うメールが突然ありました。
真空管アンプは3結シングルのミニパワーアンプでしたが、次のようなレポートが添えられていました。
> JBL とWRアンプでは高出力に比例して解像度は上がります。100Wの解像度はαZEROをはるかに
> 凌ぎます。しかし、しぶとく残り続ける「うまく鳴っていない感じ」があります。
しかし、3結で鳴らすと
> これが管球アンプだとこの鳴らない感じがすっと消えているのです。
> 解像度は一気に落ちているのに、耳触りはとても自然です。
と言う風に仰っています。
真空管アンプだとずっと付き纏っていた違和感がスッと消えるようです。
どうも、WRアンプだと無理に JBL の穴を叩いているようです。しかし、次のようにも仰っています。
> 管球アンプの解像度はMMとMCのような違いがあります。いや、もっとあるかもしれません。
> WRアンプの解像度を聞いてしまうと全く笑ってしまう大雑把さなんです。
> しかし管球アンプですとユニットの発音の様子が全く異なり、総体的にこれが
> 当時のスタンダードな再生音であると納得できるような質感です。
生の音を求めて近代的なスピーカーを高帰還アンプで鳴らすのと、昔ながらのゆったりした音を楽しむのと両極端を経験された事になります。
この音の違いの要因はアンプの出力インピーダンスの違いだと思います。
昔ながらのスピーカーはやはり当時想定された目的で使うべきなのでしょう。
無理に定電圧駆動するとコーン紙の振動が制動され過ぎてしまう為に、一部に耳障りな音が残ると考えられます。
D130 がアルニコを使っているのも裏目に出た感じです。
察するに昔の真空管アンプでも、それなりにダンピングが効いた音が出るように図られていたのだと思います。
振動学的には、臨界粘性減衰係数に、系の粘性減衰係数が近付くと減衰振動は振動的でなくなり、単調減衰になってしまいますが、このような系は反応が鈍くなりますので、切れのある軽い音にはならないのです。
電気振動でも言えて、方形波特性を余り鈍らせるとアンプの音は硬直して来ます。
制動不足でリンキング状態になると音は荒れますが、少しアンダー気味で低い山が1つ見える程度が良いとされています。
しかし、805 MATRIX が到着すると、
> 805MATRIX 届きまして、衝撃です!
> JBL と合わせて、もう必要のないものとなりました。
O.M.さんは生楽器の音を再現する為のオーディオを目指して居られますので、当然の結果となったのです。どのように衝撃だったかは次に示す文章から見て取れます。
> E-10H で駆動していますが、805 を慣らしきってやろうという先生の熱い思いがビシビシと
> 伝わってきます!第一印象だと低音が薄いかな?と思いやはり失敗だったかなあと思ったものの、
> しばらく聞いていると音がこなれてきたのか、バランスがよく感じてきました。
ハイパワーアンプに比べてご自分のものは大きく見劣りがするとお感じになっていたはずですが、805 MATRIX ならものの見事に鳴ったようです。
音のバランスが聴くうちに良くなったのは、やはり長い間眠っていたスピーカーのエージングが進んだ為ですが、耳が小型スピーカーに慣れたこともあると思います。さらに、
> この小さな筐体SPでピアノがこんなに満遍なく聞こえるのは奇跡ですね!
> 掲示板や先生のメールに書いてある左手の最低音が聞こえるという記述はさすがに
> 言い過ぎだろう、聞こえていても蚊の泣くような微かな響きでしょうと思っていたのですが、
> まさかまさかこんなに聞こえるとは!
と仰っていて、私が Feastrex で体感した時と似たような衝撃を受けられたようです。この音が認識できると本当に幸せな気分になるから不思議です。
そして、やっとO.M.さんは納得の行く音を手に入れられたのです。
> 全体の音楽性は明らかに805 です。時間軸に沿って響きが繋がっていく感じに破綻がありません。
> 定位感もすごいです。よそ様のところでのJBL で相当大音量で試聴距離も離れて聞いた時にSPが
> 消えている感覚がありましたが、自宅では近接で歪みが多く耳につくのかいまいちです。
> それに比べればこの805はとても素晴らしい!スピーカーを意識することが全くない!
> やっと色々な呪縛から解放されました。
この成功は B&W805 MATRIX でなければ得られないのではありません。
又 B&W805 MATRIX に WR アンプを無理に合わせている訳でもありません。
その証拠にサトウさんの追試でもっと小型で安価な DENON の USC-M3E を繋いでも「これだけでも十分立派な鳴りです。」と仰っています。
D130では過制動になり違和感が残りましたがその理由ははっきりしています。
現代のスピーカー、特にヨーロッパ系のものなら全く問題はないと思います。
どうぞ安心して、WRアンプをお求めになって下さい。
http://west.wramp.jp/datawr35.html
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8:777
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2023/11/03 (Fri) 13:37:50
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Mr.トレイルのオーディオ回り道
500Wのアンプなんかいらない
2023年11月02日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/70188bf6d8b84814ba59a16ea23d1fef
以前オリンパスシステムで使っていたアンプ群です。 この前の状態は、中・高域もアキュフェーズのA20V×2台で「オールアキュフェーズ」でした。低域のM-100は最初から使っていましたが、出力500W/chのアンプです。出力の割には低域のドライブ力は「ソフト」でした。出力値をデジタルで読む事が出来たので、通常の出力を良くチェックしていました。プリアンプのボリューム9時の方向で0.5Wくらいです。これがいつもの音量の時の出力値。ボリュームを10時方向に上げると、2~5Wくらいですね。この時は100db近くあり「爆音」ですね。
これは現在のアンプ群。低域のレビンソンは200W/chあります。こんなに出力は要らないのですが、しっかりしたトランスが無いと良い低音になりません。1995年頃になると、何処のメーカーも「ローインピーダンス対応」機種になっています。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/70188bf6d8b84814ba59a16ea23d1fef